犬が食べてはいけない食材 

犬が食べてはいけない食材は以下のものです。
中毒量に関しては、報告されているものを記載していますが、個体差によるところが大きいのも事実です(少量でも中毒を引き起こす子はいます)。
体に害があるとされている食材に関しては、一切口に入れないようにしたほうが無難です。

野菜

・たまねぎ・ニラ・にんにく
多くの方が「あげてはいけない」と認識されている食材かと思います。
アリルプロピルジスルフィドという成分が赤血球を破壊し、貧血を起こします。生でも加熱しても与えてはいけません。たまねぎに関しては、犬では5g/kgの量を一度に与えると赤血球に変化が見られ、一度に体重の0.5%以上を摂取すると中毒症状が現れるとの報告があります。
症状としては、無気力・呼吸困難・嘔吐・下痢・茶色い尿、黄疸(歯茎や白目の部分が黄色くなる)などが見られます。
目に見えなくても、ピザ、パスタソース、中華料理、離乳食などにも、たまねぎ、にんにくは多く使われています。知らず知らずのうちに与えてしまう可能性があるので、注意しましょう。
上記のほかに、エシャロット、ワケギなどもこの有害物質を含みます。

・アボガド
必ずしも中毒を引き起こす食材ではないですが、アボガドの中に含まれるペルジンという成分で、下痢・嘔吐などの消化器症状を起こすことがあります。
また、あの大きなアボガドの種を飲み込んでしまった場合には、消化器官を閉塞してしまう可能性が大きいので注意しましょう。

・トマト(緑の部分)
赤く熟した部分は基本的に無害です。しかし、緑の部分、葉や茎の部分にはソラニンという中毒物質が含まれています。中毒症状は吐き気、筋力の低下などです。

・キノコ
スーパーで売られているキノコ類はまず与えて大丈夫ですが、野生のキノコの中には有毒のものが多くあります。含まれる有毒成分により、中毒量や症状もさまざまで、なかには死に至るものまであります。
種類のわからないキノコに関しては与えないようにしましょう(これは人間と一緒ですね;)。

果物

・ぶどう・レーズン
性別、年齢、血統にかかわらず、急性腎不全を引き起こす可能性のある果物です。
中毒のメカニズムに関してはまだ解明されてないところも多く、中毒量も不明ですが、少量でも絶対に与えるべきではありません。
食欲低下・元気消失・嘔吐下痢・腹痛・おしっこの量が減る・脱水などの症状が見られます。

・チェリー・さくらんぼ
未熟なチェリーやさくらんぼの種や皮の部分には、シアン化物という犬にとって有害な物質が含まれています。熟したものでは含まれる量はわずかになります。
シアン化物は赤血球が酸素を運ぶのを阻害し、呼吸困難、瞳孔散大などの症状が見られます。
また、種が消化器官に詰まってしまう可能性もあり、その場合には下痢嘔吐などの症状が見られます。

ナッツ類

ナッツ類は総じて消化が悪く、消化管閉塞、下痢、嘔吐、便秘などを引き起こす可能性があります。犬には与えない方が無難です。また、以下のものには中毒性があります。

・マカダミアナッツ
原因物質は特定されていませんが、神経症状を引き起こすことがあります。また、脂質が多いので、肥満や膵炎になることもあります。

・クルミ
日本のクルミに毒性はないといわれていますが、カビが生えたクルミは震えや神経症状を引き起こすことがあります。

お菓子

・チョコレート
チョコレートの中のテオブロミンという成分が中毒症状を引き起こします。
中毒量はテオブロミン100mg/kgとなりますが、チョコレートの種類によってテオブロミンの含まれる量が違うので厄介です。一般的にミルクチョコレート、ダークチョコレート、ブラックチョコレート、ココアパウダーの順に含まれる量が多くなります。
症状は嘔吐下痢・興奮・多尿・痙攣などで、摂取後1~4時間で発現します。

・キシリトール
人間では無害ですが、犬にとっては有害です。これは人間と犬の糖分解の機序が異なるためで、犬の場合、キシリトールを摂取すると急激に低血糖を引き起こします。
症状は下痢嘔吐・元気消失・無気力・震えなどで、摂取後1時間以内に現れます。
中毒量は100mg/kgといわれていますが、市販のガムは種類によってキシリトールの含有量が異なり、どれだけ食べたかを判断するのは難しいところです。

・焼いていない状態のパン生地
「中毒」ではありませんが、イーストの働きで生地が消化管の中で膨らみ閉塞し、胃がねじれてしまう胃捻転などを引き起こす可能性があります。

魚介類

人間と同様で、例えば、フグには神経症状を引き起こす毒性がありますし、少し古くなった魚では食中毒を起こす可能性もあります。
そしてやはり脂質や塩分が多いので、消化器症状が現れることがあります。

危険な食材を与えてしまったときの対処法

誤って食べてしまったものは、吸収される前にできるだけ早く吐かせてあげることが大事です。可能であればすぐに動物病院を受診しましょう。
食べてしまったものを持参すると診断材料になります。写真でも構いません。

食べてからの時間にもよりますが、病院ではまず吐かせる処置を行います。胃洗浄を行うこともあるかもしれません。毒素を吸着させるための吸着炭を与えたり、失ってしまった分の水分補給(点滴)をしたりします。

もしすぐに受診できない場合は、自宅で吐かせる手段として、大量の塩(スプーン1~5杯)をマヨネーズに混ぜて、舐めさせる方法が有効です。

犬に食べさせてもよい食材

次に、犬に食べさせても問題ない食材について紹介します。
愛犬に手作りごはんを作ってあげるときや、ご褒美として与えるときの参考にしてください。

野菜

アスパラガス、ブロッコリー、人参、セロリ、きゅうり、インゲン、じゃがいも(芽を除く)、ほうれんそう、さつまいも、トマト(赤い部分)、大根、キャベツ、レタスなど。
生のままでは消化不良を起こすことがあるので、あげる際には火を通し、細かく刻むなど、食べやすい方法を考えてあげましょう。

果物

りんご、バナナ、ブルーベリー、みかん、桃、梨、柿、パイナップル、イチゴなど。

魚、肉類

先ほども述べましたが、脂質や塩分が多いので、与えるとしても少量にしましょう。与える際にはしっかり火を通してください。

まとめ

実際は、それぞれ犬の体質により、食材との相性があります。
中毒を引き起こすことはなくても、アレルギー症状が出てしまったり、下痢嘔吐が起こったりすることはどの子にでも起こりえます。
初めて与える食材は、少量から、変わった様子がないかしっかり観察しながらあげましょう。また、人間の食べ物に慣れてしまうと、ドッグフードを食べなくなってしまうことが多いです。そうならないためにも与える量には注意しましょう。
 執筆者プロフィール
獣医師免許取得後、3人の出産・育児をはさみながら、8年間都内の動物病院で勤務。家族の転勤に伴い、各地を転々としています。
現在はアメリカ在住。動物保護シェルターのサージェリー部門にて勉強中です。ママ獣医・転勤族獣医としての在り方を模索中です。
小さいころからウサギが好きで、獣医師になることを決めました。
ペットとの笑顔あふれる生活のために、少しでもオーナーさんの不安が少なくなるよう、病気のとき以外にも何でも相談できる身近な獣医師を目指しています。

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