猫が喧嘩をする理由

なぜ猫同士の喧嘩は起こってしまうのでしょうか? 喧嘩の原因は、猫の習性や性格によるもが大きいとされています。
主な3つの理由を見ていきましょう。

①縄張り争い

理由の1つ目は、縄張り(テリトリー)をめぐる喧嘩です。
猫は野生の名残で縄張り意識を持っており、ホームテリトリーと呼ばれる生活圏や、ハンティング・テリトリーと呼ばれる狩猟圏の範囲を決めています。
一般的にメス猫よりオス猫のほうが強い縄張り意識を持ちます。

ホームテリトリーは、猫が寝たり、ごはんを食べたりするいわばプライベート空間です。ここに入ることを許されるのは飼い主と顔見知りの同居猫だけ。そのほかの猫が入ってくると「縄張りに入ってくるな!」と激しい喧嘩になります。

ハンティング・テリトリーはその名の通り生きるための狩りを行う場であり、家で飼われている猫の場合は家全体が縄張りになります。ホームテリトリーほどの強い意識はないものの、やはり知らない猫の侵入は許されません。侵入してきたほかの猫と喧嘩に発展することもしばしばです。

②メス猫を巡った争い

発情期の野良ネコが、大きい鳴き声を出して相手を求めているのを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
発情期のメス猫は、特有のフェロモンで複数のオス猫を引き寄せて争わせ、一番強いオスと交尾しようとします。
去勢をしていないオス猫の場合、繁殖期にはメス猫を求めて去勢済の猫の10倍までも縄張りを広げます。そしてほかの猫と縄張りが重なり合うと、オス猫同士の争いに発展してしまうのです。
子孫を残そうとする本能から、発情期のオス猫は通常時よりも気性が荒く、喧嘩っ早くなります。

③相性の不一致

多頭飼いをしているとき、猫同士の相性の問題から喧嘩が起こるパターンです。
猫はもともと自分の縄張りの中で単独行動をする生き物で、室内飼いの場合は家の中すべてが縄張りです。
必然的にほかの猫と縄張りが被るので、スペースを共有することになりますが、相性が良くない猫同士だと、喧嘩が起こってしまいます。猫同士の力関係がはっきりしない場合でも、喧嘩が起こりがちになります。

猫の喧嘩のルール

猫の喧嘩を観察すると、一定のルールの下に勝敗を決めていることが分かります。
どのように喧嘩をするのか、ルールと流れを見ていきましょう。

①互いの体格を見て相手の強さを見極める

猫の世界では、一般的に体が大きいほど喧嘩が強いとされます。
猫は勝ち目がない喧嘩に挑むようなことはほとんどありません。体格差による優劣がはっきりしている場合、弱い猫がフッと目を逸らし、喧嘩を回避します。

②睨み合いが続き、激しく威嚇し合う

お互いに目を逸らすことなく、睨み合いが続きます。
背中の毛を逆立てながら「ウーウー」、「シャー」といった普段と違う荒々しい声を上げ、激しく威嚇します。

③威嚇で相手が引かない場合、噛みつきや猫パンチから喧嘩に発展する

いよいよ喧嘩が始まるといったとき、どちらかの猫が先制攻撃を仕掛けます。首元をめがけて噛みつき、猫パンチやキックを繰り出します。
激しく揉み合い、取っ組み合いをするので、ケガをすることもしばしば。

④どちらかが反撃をやめると、喧嘩も終了する

片方の猫がその場から逃げ出したり、うずくまって反撃しなくなったりしたら「参りました」のサインです。一方が降参した時点で喧嘩は終わります。
勝った猫はそれ以上の深追いはせずに静かに場を立ち去るのがルール。一度勝敗が決まれば、同じ猫同士で再び喧嘩になることはまずありません。

突然休戦してグルーミングを始めることも

喧嘩の最中に、片方の猫がいきなり毛づくろいを始めることがあります。これは「転移行動」と呼ばれるもので、喧嘩による興奮状態を静めようとする行動です。
喧嘩中のグルーミングは劣勢の猫に多く見られ、「このままじゃ負けそうだな、どうしよう……」と焦る気持ちを落ち着けようとしているのです。

猫の喧嘩は仲裁すべき?

猫同士が激しい取っ組み合いを始めたとき、飼い主としてどうするのが正解なのでしょうか?
多頭飼いしている猫同士が喧嘩をしているときは、基本的にそのまま放置でOKです。
同居猫同士の喧嘩には、一度ぶつかり合うことで互いに優劣をつけ、関係を築く意味もあります。そして一度喧嘩をした猫同士の再戦はほぼありません。
これを無理やり飼い主の手で止めてしまうと、かえって関係をこじらせてしまうことになってしまいます。

喧嘩と思っていたら、ただじゃれ合っているだけ、ということもあります。仲がよい猫同士なら、噛んだり取っ組み合いをしたりしていても、おなかを見せたりごろんと転がったりするようであれば、「仲よく遊んでいる」という認識で問題ありません。
本気の喧嘩ならば、どちらかがケガをするまで徹底的にやり合うため、じゃれ合いと違うことがはっきりと分かります。

一方、自分の飼い猫が外で野良猫と喧嘩している場合は要注意。
野良猫はそのほとんどが何らかの感染症ウイルスを持っているため、喧嘩によって病気をうつされてしまう確率が高くなっています。一度喧嘩するだけで、死亡につながる重大な病気にかかるリスクがあるのです。
野良猫との喧嘩によるリスクは、大きく細菌性感染症とウイルス感染症の2種類です。

細菌性感染症

野良猫に噛みつかれることによる噛み傷から感染する病気。傷口から細菌が入り込むことで、体が赤く腫れて膿がたまる「膿瘍(のうよう)」や、「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」といった皮膚の感染症が引き起こされます。
重症化すると、たまった膿が皮膚を破り、体の一部が壊死してしまう怖い病気です。

ウイルス感染症

野良猫との喧嘩によりうつるリスクが高いのは、「猫白血病ウイルス感染症(Felv)」と「猫エイズウイルス感染症(FIV)」です。いずれも感染すると治療が難しい病気であり、完璧な予防策もありません。
特に猫エイズウイルスは、発症すると短い期間のうちに死亡してしまう、非常に怖い感染症です。

もしも飼い猫が野良猫と喧嘩をしてしまったら、できるだけ素早く仲裁に入りましょう。
手や足を出すと飼い主がケガを負ってしまう危険があるため、水をかけるなどして仲裁する方法がよいです。

もし猫が喧嘩でケガをしたら?

喧嘩のあとは、猫がケガをしていないか念入りに確認しましょう。例え小さなケガでも、感染症で気が付いたころには手遅れ……という可能性もあります。
ケガや出血が見られる場合は、下記のような流れで適切に対処しましょう。

①まずは落ち着かせてケガの程度を確認

喧嘩直後の猫は、落ち着きなく興奮が冷めきらない状態です。猫が平常心に戻るのを待ってから、猫に触れて傷を確かめます。
ケガの箇所を触ろうとすると、嫌がって暴れることもあります。猫を目の粗い洗濯ネットに入れるなどして、逃げ出さないようにしましょう。
ケガをしやすい顔まわり、お尻まわりはもちろん、毛をかき分けて全身くまなくケガのチェックを行ってください。

②傷口を洗い、消毒する

出血している傷口を見つけたら、応急処置を行います。
まずは傷口をぬるま湯で洗い、血や汚れを優しく拭き取ります。そして猫用の消毒液で傷を消毒してください。
目のまわりをケガしている場合は、無理に消毒せず、濡らしたガーゼで軽く拭き取ることに留めましょう。

③止血する

傷口を消毒したら、ガーゼを押さえて止血します。手や足をケガしている場合は、ガーゼの上から包帯を巻き、しっかりと止血しましょう。出血が多い場合には、包帯をきつめに巻きます。
動脈からの出血(鮮紅血)の場合は、傷口より心臓に近い部分を固く巻き、固定してください。
静脈からの出血(暗紅血)の場合は、傷口の部分をしっかりと巻きましょう。

目などの顔まわりを負傷したときには、エリザベスカラーを付けて傷口に触れないようにするのが効果的です。

④動物病院に連れていく

出血が止まらない場合や、猫が暴れて応急処置が難しい場合、猫の様子がおかしい場合は、すぐ動物病院へ連れて行きましょう。
喧嘩の相手が野良猫だった場合は、感染症のリスクを考慮して必ず獣医師に診せてください。

一番の対処法は、野良猫と喧嘩させないことです。完全室内飼いで外に出さないことは、結果として猫の命を守ることにもつながります。

まとめ

猫の喧嘩の理由と対処法について解説しました。
喧嘩は猫の社会化においても重要なことで、複数の猫で暮らしている場合、ある程度は仕方ない部分もあります。
過激な喧嘩により猫がケガをしないよう、飼い主として注意深く見守りましょう。
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『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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