頑張りすぎないお世話が正解だった!

おやつを使って愛犬とコミュニケーションをとっている飼い主
必要以上に張り切って犬のお世話を抱え込んでしまうことや、あれもこれもと手を出して、犬を構いすぎてしまうことは、愛情深い飼い主にはありがちです。時に頑張りすぎることは、飼い主にとっても、犬にとっても大きな負担になることもあります。

要求に応えすぎない

飼い主さんのなかには、「犬の幸せのためなら何でもしたい」と考える方もいるでしょう。しかし、犬をハッピーにすることと、ご機嫌取りをすることは全く別物なのです。

誰しも愛犬の喜ぶ顔が見たいものです。しかし要求に応えすぎていると、おねだりがエスカレートし、わがまま犬になってしまいます。おねだり癖のついた犬は要求が通らないとストレスをためるので、愛犬にとっても飼い主にとっても悪循環です。

それぞれの事情に合わせたお世話でOK

ほかの犬と比べて「なぜうちの子はこれができないんだろう」、「忙しすぎて犬の世話が苦痛だ」などと悩んでしまう方もいるようです。
犬にも人間と同じように個性があります。飼い主さんにもそれぞれの生活があります。「こうでなくてはいけない」と考えすぎず、それぞれの事情にあったお世話のペースをつかんでいくことが大切です。

さらに、犬を飼うことには大きな責任が伴うものの、何もかも一人で抱え込まなくてはいけないということではありません。家族がいる場合は、みんなでお世話をシェアしましょう。

力を合わせて愛犬のお世話をすることで、家族の絆が深まります。愛犬にとっても誰か一人にだけ懐くのではなく、家族全員と信頼関係を築けたほうがハッピーです。

しなくてもよいお世話~衛生編~

シャワー中の犬
「ほどほどのお世話」というのは、具体的にどのようなことをいうのでしょうか。もちろん、手のかかり具合は犬によって千差万別。どこまでのお世話を必要とするかには個体差があります。

犬の衛生管理はとても重要です。ただし命に関わるお世話でない場合、省略してしまっても構いません。具体的には、次のようなポイントが“しなくてもよいお世話”になるでしょう。

1.散歩から帰ったらシャワーで足を洗う

雨の日や泥んこ遊びをした日ならまだしも、散歩のたびに必ずシャワーで足を洗う必要はありません。濡れたタオルなどで拭くだけで十分きれいになります。

またトイプードルのような長毛種は、足周りの毛をカットすることでお手入れの手間も省けます。

2.綿棒で丁寧に耳掃除をする

耳の汚れが気になるからといって、人間用の綿棒を使って丹念に耳掃除をしていませんか?
実は、デリケートな犬の皮膚にとって、綿棒の刺激は強すぎるのです。また、必要以上に耳掃除をすることは、かえって耳を傷つける原因になります。
犬の耳掃除には湿った布やコットンを使用し、軽く表面を拭き取るだけに留めましょう。
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3.週に1回以上シャンプーする

「頻繁にシャンプーをして、いつも清潔な状態にしてあげたい」という方もいますが、これも間違ったお世話の一つです。シャンプーのしすぎは肌を傷め、皮膚病の原因になってしまいます。

犬にとっての適切なシャンプー頻度は1~2カ月に1回程度。最低3週間の間隔をあけるのがおすすめです。毎日のブラッシングで清潔を保ち、汚れが気になる場合もシャンプータオルなどで拭き取るようにしましょう。
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しなくてもよいお世話~しつけ編~

粗相して飼い主に注意されている犬
犬のしつけに神経質になってしまう飼い主さんは少なくありません。しかし、しつけの難易度は犬種や個体差によって変化するもの。「よその犬と比べてうちの犬は……」なんて比べる必要はないのです。しつけにおいても、しなくてもよいお世話は省いても問題ないと頭に入れておきましょう。

4.長時間トレーニングをする

指示をよく聞き、物覚えのよい子もいれば、粘り強いトレーニングが必要になる子もいます。
たとえば「お手」や「おかわり」といったしつけは、必ず覚えさせなくてもよいのです。あまりトレーニングを好まない犬に対しては、基本のしつけ以外はできなくてもよいと割り切ると気が楽になります。

また、「なかなか覚えてくれない!」と長時間トレーニングをすることは、かえって逆効果になることも。一度教えただけでは済まないと心得て、気長にトレーニングしましょう。
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5.犬の行きたい方向に散歩する

毎日の散歩タイムは、犬にとって至福の時間です。行きたい方向に歩きたがることもありますが、わがままを許しすぎるのは愛情ではありません。

散歩のときにクンクンと周辺のにおいを嗅いで歩いたり、あらぬ方向に行こうとしたりするときも、適度なところでやめさせるのが大切です。
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6.「マテ」ができるまでごはんをあげない

「待てができるまでごはんはお預け!」というスパルタ方式でしつけようとするケースもあるようです。しかし、しつけは一度や二度で覚えるものではなく、また一度成功したことでも再び失敗してしまうことは珍しくありません

根気比べのような厳しい教育は、犬にとってあまり意味のないことです。日々のスキンシップやコミュニケーションで信頼度を上げるようにしましょう。

7.吠えている犬を叱ったりなだめたりする

「ワンワン!」「ギャンギャン!」と大きな声で吠えられると、憂鬱になる飼い主さんもいるのではないでしょうか。すかさず叱ったりなだめようとする人が多いかと思いますが、それでも吠えるのをやめてくれないことがあります。
また、吠えるたびに声をかけることで、犬が「吠えると飼い主が構ってくれる」と勘違いしてしまうこともあります。

そんなとき、効果を発揮するのが「無視」です。声がけをしないだけでなく、目線も合わせないようにしましょう。
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しなくてもよいお世話~食事編~

ごはんを食べている犬
しなくてもよいお世話は食事管理にもあります。次のような事柄は、愛犬に食事を与えるうえで必須事項ではなく、省略してもよいことです。

8.手作りフードにこだわる

ペット業界が発達した現代では、さまざまな種類のドッグフードが販売されています。愛情たっぷりの手作りフードももちろんよいですが、特別なアレルギーがない場合、手作りにこだわる必要はありません。
忙しくて調理する時間がない場合には市販のドッグフードをあげ、その分愛犬とのスキンシップの時間にあてるのもおすすめです。

9.飽きないように数種類のフードを用意する

なかには、さまざまなごはんを食べたがるグルメな犬も存在しますが、基本的には一度に複数の種類のフードを用意する必要はありません。
「飽きないように」とさまざまなトッピングを用意する方法もありますが、偏食やカロリーオーバーにならないよう与える量には注意しましょう。

10.野菜をたくさん与える

人間の場合、必要な野菜をバランスよくとる食生活が理想です。
しかし犬の場合、1日に必要な栄養素のほとんどはフードで補えるものです。もちろん、犬の体調によってサプリやトッピングで栄養を補うこともありますが、市販のフードをあげている場合は、毎日たくさんの野菜を用意する必要はないといえます。

11.毎日決まった時間にごはんを与える

毎日同じ時間にごはんを用意するのは、忙しい飼い主さんにとっては難しい話ですよね。実際のところ、少しぐらい食事時間がズレてしまう分には問題ありません。
衛生管理やしつけと同様、飼い主自身が神経質になりすぎないのがポイントなのです。
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まとめ

室内で過ごす子犬
以上、やらなくてもよい犬のお世話について説明しました。
ついつい頑張りすぎてしまう飼い主さんも、たまにはちょっと“おさぼり”してみませんか? 一息ついてみると、忙しい日々のなかで見落としていた愛犬の意外な一面に気付けるかもしれませんよ。