犬はなぜかわいいの？ 人が犬をかわいいと思う理由5選！

犬の顔は、もふもふしていて、まるっこく、おでこが広くて目がクリクリで……。とかわいい要素がいっぱいです。
顔立ちだけでなく、笑顔もしょんぼり顔も、寝顔も、豊かな表情すべてかわいく感じるもの。

『私たち人間が本能的に「かわいい」と感じる見た目には特徴がある』
こう示したのは、「ガチョウは生まれた直後に目の前にいる動くものを親だと覚える」という『刷り込み』現象を発見したことで有名な動物行動学者、ローレンツです。

ローレンツは「かわいい」の特徴をベビースキーマ（赤ちゃん図式）と呼び、

• 丸い

• 頭が大きい

• おでこが広い

• 目が顔半分より下にある

などいくつかの特徴を提唱しました。
これらの特徴は人間や動物の赤ちゃんと一致していて、ひとりでは生きていけない赤ちゃんは、大人に「かわいい」と思わせ、母性本能を引き出すための見た目をしているという考えです。

この理論は、対象が犬であっても当てはまります。
成犬になっても、シニアになっても、「かわいい」と感じる特徴は、赤ちゃんのころと大きく変わりません。さらに月日を重ね、ともに過ごしてきた時間が長くなれば、愛おしさは増していくでしょう。

また、犬はより人間に「かわいい」と思ってもらうために進化をしているようです。
たとえば、眉の筋肉です。
犬には、オオカミがもたない眉を動かす筋肉があり、それにより上目遣いができたり、白目をちらりと見せたりすることができています。
祖先は持っていなかった機能なので、人間と暮らすうえで必要だったのでしょう。
そうしたことを考えると、私たちが犬の顔立ちと表情をかわいくて仕方ないと感じるのは、必然のことなのかもしれませんね。

聞きなれない音に反応したのか、飼い主さんの次の言葉を期待しているのか、「なあに？」と首をかしげてこちらを見つめるしぐさ。
首をかしげるしぐさは犬以外の動物でも見かけることがありますが、その姿がかわいくて、もう一度見ようと、反応のあった言葉をつい何度も言ってしまう飼い主さんも多いです。

お手のような動きをして、飼い主を呼ぶしぐさも、まるで「ねぇねぇ」と言っているように見えます。
構ってほしくて甘えているのか、遊びに誘っているのか、判断がつきにくいこともありますが、「手を使って呼ぶ」という動作はまるで人間のよう。それがまたかわいいと感じる理由の一つでしょう。

座っている椅子や飼い主さんの足にポスンとあごを乗せ、じっと見つめてくるしぐさ。
あごを乗せたまま小さく声を出す子もいれば、何度もあごを置き直し、何かをアピールしてくる子もいます。
犬と人が見つめ合うと、お互いにオキシトシンというホルモンが分泌されるといわれています。
オキシトシンは愛情ホルモンとも呼ばれ、分泌されれば幸せな気持ちになります。

そばでくつろいでいるときや、寝ようとしているときに、愛犬が「ふぅー」と深いため息のような鼻息を出すことがあります。
これはとても落ち着いていてリラックスしたときに出るものだそうで、理由を知るとますます愛おしいですね。

「好きだよ」「嬉しいな」の気持ちを、しっぽをぶんぶん振り回して表現してくれる姿は、誰もがかわいいと思うもの。
犬にとっては、しっぽを振ろうと思って振っているわけではなく、気持ちに連動してしっぽが動いている状態です。
そんなに喜んでいるのだというのが目で見てわかるので、ますますかわいいと思うのでしょう。

大喜びで「おかえりなさい」と迎えてくれる愛犬の姿に、悶絶する飼い主さんも多いようです。
熟睡していてもなんらかの音で飼い主さんの帰宅に気付きます。ペットカメラを設置して愛犬の行動を見てみると、さらに愛おしさが増すかもしれません。

飼い主が移動をすれば一緒に移動をして、体が少しでも触れるポジションで、寄り添うようにそばにいてくれるときがあります。
触れている部分から、じんわりと愛犬の温かさや愛情が伝わってくることでしょう。

犬は、好きだよという気持を伝えるために、飼い主さんの体を舐めてくることがあります。
間違いなく愛情表現ですが、なにか不安を感じて飼い主さんを舐めにくる、ということもあるようです。
しっぽを振りながら嬉しそうに舐めていれば心配はいりませんが、そうではない可能性があるならば不安の原因を探しましょう。

愛犬がおもちゃを持ってくるときの理由は、「遊ぼう」だけではありません。
大事にしているものを飼い主さんに見せてあげよう、プレゼントしてあげようと思って、持ってくるそうです。

何万年も前から人間とともに生きてきた犬は、人間に合わせ、少しずつ進化をしています。
犬の従順性についても、作業犬や使役犬として暮らしてきた過程で、飼い主のことがとくに好きな犬が交配されてきた結果なのではという見解があります。

眉の筋肉を持った理由と同じで、犬はみな「素直さ」をもっているのではないでしょうか。
そして人はみな、自分にだけ懐いてくれる姿や、頼ってくれる存在を、とてもかわいいと感じるのでしょう。

犬は私たち人間社会にすっかり溶け込み、生活に密着しています。
一歩外へ出れば散歩中のワンちゃんがたくさんいて、犬を飼っていない人でも、その姿を毎日のように見ているのではないでしょうか。犬は私たちにとってもっとも身近な動物といえるでしょう。

犬は当たり前のように私たちを慕い、信頼し、そして大好きだよと甘えてくれます。
私たちもまた、自分を慕い信頼し、甘えてくるかわいい動物を守ってあげたいと思います。
犬は、人間の気持ちに共感することもできるのだそうです。ただかわいいだけじゃない、人間にとって最高のパートナーといえるでしょう。