猫が甘噛みする理由

甘噛みする猫

愛情表現

猫による甘噛みの理由の1つ目は、愛情表現です。

【こんなシチュエーション】
  • 猫にとって気持ちいいところを撫でていたら甘噛みされた
  • 猫が喜んでいるとき、機嫌がいいときに甘噛みされた
  • おなかが空いている様子、遊んでほしい様子が見られる

スキンシップとしての猫の甘噛みは、親子やきょうだい間でよく見られる行動です。母親のように自分を世話する飼い主への愛情表現として、甘噛みをすることがあります。

飼い主に気持ちいいところを撫でられた猫が、お返しに甘噛みするといった行動も、猫が甘えている証拠です。また、おなかが空いているときや遊んでほしいときにも、飼い主を軽く噛んで甘えてみせることがあります。

一方、撫でている最中の甘噛みは、撫で方や触られている場所に不満があって噛む場合も……。これは「嫌だ、やめてほしい」といった気持ちを表す攻撃行動にあたるもので、愛情表現とは別モノです。

どこを撫でられるのが好きかは個体差があり、また猫の気分や体調によって変わるものでもあります。
猫がストレスを感じているサインとして甘噛みしているときは、一旦撫でるのをやめて、様子を見るようにしましょう。

狩猟本能

理由の2つ目は、狩猟本能による捕食行動です。

【こんなシチュエーション】
  • 手にじゃれつかせて遊んでいたら噛まれた
  • 動いている足に飛びつき、甘噛みしてきた
  • 体勢を低くしておしりを振ったあとに噛みついてきた

猫はもともと狩猟本能が色濃く残っている動物ですが、飼い猫の場合は、外で獲物を狙ったり、捕食したりする必要がありません。
そのため、狩りの代わりにエネルギーを発散するため、人間の手足が動く様子に反応してじゃれついたり、甘噛みしたりすることがあります。

猫の反応がおもしろいからといって手足を甘噛みさせていると、「飼い主の手足=遊んでもいいおもちゃ」と認識し、嚙み癖がついてしまうおそれがあります。

動く人間の足などに噛みついてくるときは、本来は狩りに使うはずだったエネルギーがあり余っている状態です。
猫じゃらしやおもちゃを使って遊ぶなど、上手に発散させてあげましょう。

歯がかゆい

理由の3つ目は、歯や歯ぐきがかゆいためです。

【こんなシチュエーション】
  • 生後3~7カ月前後の子猫
  • 子猫が急におもちゃや飼い主の手指に噛みつくようになった
  • 口の中が出血したり、口臭がしたりする
  • 小さな乳歯が抜け落ちているのを見つけた

猫は生後2週間ほどで乳歯が生えてきます。乳歯は6週間前後で生えそろい、成長するにつれて1本、2本と抜け落ち、代わりに永久歯が生えてくるようになります。

永久歯への生え変わりは、早い場合で生後3カ月からはじまり、生後6~7カ月にかけて生えそろいます。

永久歯への生え変わりの時期になると、子猫は歯や歯茎がムズムズかゆいのが気になり、何かを噛みたくて仕方ないような状態になります。

子猫の成長には欠かせない時期なので、飼い主の手指の代わりに噛んでもよいおもちゃを与えるようにしましょう。

ネックグリップ

理由の4つ目は、ネックグリップ行動によるもの

【こんなシチュエーション】
  • 繁殖期を迎えたオス猫が急に噛みついてきた

母親に首筋を噛まれた子猫がおとなしくなることを「不動化反射」といいます。
これは母猫が子猫の世話をするために必要なものですが、交尾のときにも、オス猫がメス猫に対して同様の行為をする様子が見られます。

この行動が、オス猫の「ネックグリップ(交尾のときにメス猫の首筋を噛んで動きを止めること)」です。

オス猫のネックグリップによる甘噛みは、メス猫以外にも向けられることがあります。
たとえば、家の外にいる発情したメス猫に反応し、興奮状態になったオス猫が飼い主の手指に噛みつく、といったケースです。

ネックグリップは極めて本能的な行動のため、無理にやめさせるのは難しい場合があります。

甘噛みを防止するためには、まずオス猫を去勢しておくことが重要です。
さらに、去勢していないメス猫を近づけないようにする対策も必要になるでしょう。

猫の甘噛みのしつけ方・対処法

甘噛みする猫
猫が甘噛みする理由はさまざまです。甘えやじゃれつきが問題行動にエスカレートしないよう、飼い主は一貫した態度でしつけをおこなう必要があります。ここでは、とくに効果のあるしつけの方法をご紹介します。

「痛い!」と大きな声を出す

猫に甘噛みされた瞬間、大声で「痛い!」と言う方法です。

猫同士の場合は、甘噛みでじゃれあいながら加減を覚えていきます。親猫が子猫に対して噛みつきが強いことを教えるために、噛まれた瞬間叫び声をあげ、ときには強く噛みつき返すことも。

飼い主と猫の場合も、同様の行動をすることで「今の噛み方は痛かったよ」と教えることができます。

多頭飼いで猫同士を遊ばせる

子猫の場合は、ほかの猫との触れ合いのなかで社会化し、甘噛みの力加減を覚えていきます。
猫同士でじゃれあうことでストレスの発散にもなり、飼い主に攻撃やじゃれあいの矛先が向かなくなる効果も期待できます。

ただし、過度なじゃれあいはケガにつながる危険があるため、猫同士でヒートアップしないよう、飼い主が注意深く見守りましょう。

噛まれても手を引かない

噛まれた指を猫の口の中に軽く押し込む方法です。

興奮状態の猫に強い力で噛みつかれたときでも、手を引かずにそのまま口の中の奥のほうに入れるように、軽く押し込みます。
手を引いてしまうと、狩りごっこをしている猫は「獲物が逃げる」という感覚になり、ヒートアップする可能性があるためです。

軽く押し込むことで、猫が我に返り、離してくれたら成功です。
この方法は力加減を間違えると痛みを伴うこともあるため、注意しながらおこないましょう。

噛んでもよいおもちゃを与える

生後3~7カ月ごろまでの永久歯への生え変わり期は、歯がかゆく、どうしても甘噛みせずにはいられない時期です。

飼い主の手指を噛むことが癖にならないよう、代わりに猫用のおもちゃを与えて噛ませるようにしましょう。

遊ぶ時間を増やしてあげる

猫の甘噛みがひどいときは、遊び足りず、ストレスがたまっているサインである場合も。
本来であれば狩りに使っていた「捕食行動」のエネルギーを発散させるためにも、おもちゃ遊びは有効です。

猫じゃらしや、上からブラブラと糸を垂らすおもちゃ、ジャンプして遊べるおもちゃなど、猫の狩猟本能を呼び覚ます「素早く動くもの」で、十分な時間遊んであげるといいでしょう。

まとめ

毛糸で遊ぶ猫
今回は、猫の甘噛みの理由と対処方法についてご紹介しました。甘噛みを悪い癖にしないためにも、飼い主は、毅然とした態度で根気よく正しいしつけをおこなう必要があります。また、甘えによる甘噛みなのか、歯がかゆいだけなのか、猫の気持ちや行動の意味を理解することで、よりよい関係が築けるようになるでしょう。