ジャックラッセルテリアの基礎知識

いつも元気でぴょんぴょん飛び跳ねているような動きと、愛嬌たっぷりな表情が印象的なジャックラッセルテリア。その歴史や、特徴や魅力に迫ってみましょう。

歴史

ジャックラッセルテリアの歴史は、イギリスに住むジョン(愛称ジャック)・ラッセル牧師が作り出した、キツネ狩りをともにするテリア犬から始まります。
1800年代初め、ジョンラッセルがオックスフォード大学の学生だった頃、たまたま見かけた「トランプ」という名のメスのテリア犬を気に入り、その場で交渉し、譲ってもらったといわれています。
キツネ狩り愛好家であったジョン・ラッセルは大学卒業後、トランプを基礎に、馬とともに走り、キツネの巣穴に入り追い立てることができる、フォックステリア(キツネ狩り用テリア)の作出に励んだそうです。

実はジョン・ラッセル牧師は、KC(イギリスのケンネルクラブ)の創立に関わった人物でした。
ラッセル牧師の作出したフォックステリアは評価が高く、KCへの犬種認定の話が出ていたようですが、彼はフォックステリアが狩猟犬としての能力よりショードッグのように容姿が先行されてしまうことを危惧し、登録を拒んだというエピソードが伝えられています。
その後、ラッセル牧師は優れた狩猟犬を目指し、ビーグルやブルテリア、ボーダーテリアなどの血を入れていきます。ラッセル牧師が作出したテリア犬はハンター達から高い評価を受け、次第に、「ジャックラッセルテリア」と呼ばれるようになりました。

そして彼の死後、「ジャックラッセルテリア」は2つのタイプに分かれます。
ひとつは、現在「パーソンラッセルテリア」と呼ばれ、パーソン(牧師)ラッセルのこだわりと意思を継承したといわれるテリア犬。
もうひとつは、オーストラリアでウェルシュコーギーなどと交配し、一般家庭でも飼いやすいように改良され、私達がいま「ジャックラッセルテリア」と呼んでいるテリア犬です。
すなわちジャックラッセルテリアは、イギリス生まれのオーストラリア開発で、パーソンラッセルテリアと比べると若干体高が低く足が短め、比較的温厚な性格のテリア犬といえます。

こうして世に出たジャックラッセルテリアですが、基礎犬を作出したラッセル牧師がケンネルクラブへの登録を拒んだ過去や、彼の名を冠する犬種が2種類登場したことから、とくにイギリスのケンネルクラブに「ジャックラッセルテリア」と公認されるまでには長い時間がかかりました。

・ANKC(オーストラリアのケンネルクラブ)1990年に認定
・JKC(日本ケンネルクラブ)1995年に認定
・FCI(国際畜犬連盟)2000年暫定認定、2003年正式認定
・UK(イギリスのケンネルクラブ)2016年に認定

一方のパーソンラッセルテリアは、1990年に「パーソンジャックラッセルテリア」の名で、UK(イギリスのケンネルクラブ)に登録されます。その後、2つの犬種を区別するために、1999年に「パーソンラッセルテリア」へと改名。そしてようやく、もう一方の「ジャックラッセルテリア」が2016年に認定となったのです。

特徴

グループ3G(テリア種)、筋肉質でしなやかな体つきをしている小型犬です
理想体高は25~30cm、理想体重は体高5cmに1kgが相当するとされていて、体高25cmの犬であれば約5kg、体高30cmの犬であれば約6kgとなります。

毛質

ジャックラッセルテリアはダブルコート種で、毛質は3タイプあります。

・スムース(光沢がある短い毛)
・ラフ(カールがかった長い毛)
・ブロークン(短い毛スムースと長い毛ラフ、どちらも生えている)

この毛質は、両親犬がスムースであってもラフやブロークンの子犬が生まれることがあり予想が難しく、また、生後6カ月以上にならないと確定できません。
したがって、販売時に説明されている毛質は、ブリーダーの経験から「スムース予想」や「ブロークン予想」のように予想として表記されるのが一般的です。

毛色

白に、ブラックまたはタン(茶)、またはブラック&タンのマーキングが入ります。
その際、ブラックやタンマーキングより白が優勢でなければならない(すなわち51%以上を占めなければならない)とされています。タンは薄いタンから濃いタンまであります。
マーキングの入り方はそれぞれで、成長とともにマーキングが変化するのも、ジャックラッセルテリアの特徴といえるでしょう。
どのように変化するかはそれぞれですが、成長とともにタンの色が薄くなる、顔に入っているマーキングは広がる、ブレーズ(両目の間から鼻先までの真ん中を通る白い線)は狭くなる、という変化が多いようです。

性格

狩猟犬としての本能を備えているジャックラッセルテリア。賢く、怖いもの知らずで、明るく元気いっぱい。
気性が荒い個体も少なくありませんが、何事にも一生懸命で飼い主に従順です。
好奇心旺盛で遊ぶことが大好き。身体能力が高く、スポーツドッグにも向いています。

ジャックラッセルテリアの子犬を迎えよう

価格相場

ジャックラッセルテリアの平均相場はおおよそ18万円程度。
親犬がチャンピオン血統であれば30万近くの価格がつくこともあります。また、オスよりメスのほうが高値に設定されることが多いようです。

子犬を迎える方法

ジャックラッセルテリアの子犬を迎える方法は、「ペットショップで購入する」「ブリーダーから購入する」「里親になる」の3つがあります。

①ペットショップで購入する
ペットショップとは動物を仕入れて販売している店舗のことです。好きなときにいつでも見に行けるのが利点です。
気に入った子犬を見つけた場合は、「お店の衛生・管理状態」「定められた週齢まで親犬と過ごしていたか」「スタッフに犬の知識があるか」「購入後のアフターフォロー」「病気や死亡に対しての保証制度の有無」、以上5点は必ず確認しましょう。
「定められた週齢まで親犬と過ごしていたか」は、店の入荷日は定めをクリアしていても、入荷前には仲介業者が入ったり競りにかけられたりと、親犬から引き離された時期はもっと早い可能性があります。しっかりと確認しましょう。
また、このような質問に対しきちんと返答があるショップ、仕入れ先や親犬について答えられるスタッフがいるショップが理想的です。

②ブリーダーから購入する
まず、ジャックラッセルテリアを専門にブリード(繁殖)している、優良ブリーダーを見つけましょう。
優良ブリーダーはいわばその犬種のプロフェッショナルです。ジャック・ラッセル・テリアを愛し、犬種固有の遺伝性疾患について正しい知識を持っていて、血統と犬質向上に努めています。
ジャックラッセルテリアは、遺伝性疾患は少ない犬種といわれていますが、毛質が確定には時間がかかることや、成長とともにマーキングは変化する可能性があるという説明の有無は、優良ブリーダーであるか否かを見分けるポイントのひとつになるでしょう。
インターネットを通じてのブリーダー直販でしたら、子犬は親犬と多くの時間を過ごすことができ、子犬にかかるストレスが少ないというのも大きなメリットです。
動物愛護管理法では、犬猫販売の際の現物確認と対面説明を義務づけているため、ブリーダーの住まいが遠方の場合には出張費がかかってしまうデメリットはあります。しかし、ジャックラッセルテリアを心から愛し、正しい繁殖をしているブリーダーからであれば、心身ともに健康的な子犬を迎えることができるでしょう。

③里親になる
全国の保健所・動物愛護センターなどの行政施設には日々、多くの犬が収容されています。ジャックラッセルテリアも例外ではありません。家庭の事情で飼い続けることができなくなった個人が手放すケースもあります。
行政施設に収容された犬達は、譲渡可能と判断されると、新しい飼い主の募集にかけられます。個人がSNSなどを利用して新しい飼い主を募集する場合もあります。
県や市、ボランティア団体のホームページ、譲渡会、または、里親募集サイトなどをこまめにチェックしてみましょう。
気になる子をみつけたら、保護犬になった経緯、健康状態、それから、譲渡条件をしっかり確認してください。新しい飼い主を待っている犬達は疾患を持っていたり、心に傷を負っていたりする子も少なくないからです。
また、募集側も「この子に二度も辛い思いをさせないために」と厳しい条件を設けている場合が多いです。多少の違いはありますが、面接、環境調査、トライアルを経てようやく正式譲渡、という流れが一般的です。
純血種の子犬の里親募集は多くないので、犬を迎えるまでに時間はかかりますが、焦らずじっくり進めていけば、運命を感じる出会いがあるかもしれません。

健康な子犬を見分けるポイント

立ち姿、歩き方をしっかり観察しましょう。
皮膚はカサカサしていないか、フケは出ていないか、被毛にはツヤがあるどうかもチェックポイントです。鼻には適度な湿りがあり、目には輝きがあるか、動くものを追っているかを確認します。
親犬やきょうだい犬の健康状態についても話ができると安心ですね。

飼い始める前に必要な準備

子犬を迎えると決めたら、早速準備をしましょう。子犬がやってくる前にそろえておくべき飼育グッズをご紹介します。

・ケージ
ずっと使うものなので丈夫で、成犬になっても飛び越えられない高さのものを選びましょう。屋根付きタイプもあります。
犬がゆったりと横になれる広さのものを選び、中にベッドやトイレを設置し、留守番などで長い時間ケージで過ごしてもストレスにならないパーソナルスペースにしてあげましょう。

・トイレトレー
トイレのしつけにはトイレトレーがあると便利です。
トレーはいたずら防止のメッシュ付きタイプや囲いがあるもの、オス用にL字に立てられるものなどさまざまな種類があります。

・首輪、ハーネス、リード
子犬期は装着のしやすさ、つけ心地のよい素材、サイズを重視して選びましょう。リードは丈夫なものを、体の大きさに合わせて選んでください。

・その他、事故防止グッズ
ジャックラッセルテリアは、室内でも走ったり遊んだりすることが多い元気いっぱいの犬種です。滑りやすいフローリングの上などが主な活動場所となる場合は、カーペットや滑り止めマット、コルクマットなどを敷きましょう。
また、非常に好奇心旺盛ですので、コンセントやコードに興味を持ったり、おもちゃを破壊するまで夢中になって遊んだりしてしまうことも。壊されたら困るもの、舐めたり噛んだりしたら危険なものにはカバーを付けるか、届かないところに置くなどの対策をとってください。

ジャックラッセルテリアの飼い方

食事のポイント

ペロッとあっという間に食べてしまう犬も多いので、食事は与え過ぎに注意しましょう。
また、筋肉質な体ですので、良質な動物性たんぱく質がメインのドッグフードがおすすめです。
市販のフードはパッケージに必ず給餌量が記載されています。運動量や体重の増え方を考慮し、与える量を決めましょう。

子犬期は、必要摂取量が日々変わる可能性があります。こまめに体重を測り、常に適量を与えられるようにしてください。
また、子犬は一度で食べられる量はそれほど多くなく、消化器官も未熟な状態です。スープやミルクでふやかして食べやすくしたり、1回分の量を減らして回数を増やしたりするなどの工夫をしましょう。

生後6カ月くらいになると成犬らしい体つきになってきます。1歳前後で体重の増加が落ち着いたら、徐々に成犬用フードに切り替えてください。
もともと食べているフードに少しずつ混ぜながら切り替えます。完全に切り替わったら、1回の量を増やし、1日2回の食事回数になるよう調整していきましょう。

必要な運動量

ジャックラッセルテリアは狩猟犬だったこともあり、大型犬と変わらないくらいの運動量が必要です。
散歩の頻度で考えると、成犬で1日に2回、それぞれ30分~1時間程度が望ましいです。
運動不足はストレスとなり、吠える噛むなどの問題行動の原因にもなりますので、散歩で十分な運動をさせ、心身ともに満たしてあげましょう。
散歩をたっぷり行うことも大切ですが、ときどきドッグランへ連れて行くなどして、自由に思いっきり走り回れる時間も確保してください。

しつけのコツ

ジャックラッセルテリアに限らず、ハンター本能に長けているテリア種は、基本的に気が荒く、家庭犬としての飼育は難しいといわれることもあるようです。
しかしながら、現在日本にいるジャックラッセルテリアは、家庭犬用に改良されたオーストラリアタイプがほとんど。また、ジャックラッセルテリアは非常に賢く従順な犬ですので、飼い主さんの上手なリードがあれば、最高のパートナーとなってくれるはずです。

遊ぶことが大好きなジャックラッセルテリアは、つい遊びに夢中なりすぎて興奮状態になってしまうことがあります。
例えば、気に入ったおもちゃがあれば、壊すまで咥えて離さない……なんてこともしばしば。しかし、まったくおもちゃに見向きもしないときもあるなど、オン(興奮しているとき)とオフ(落ち着いているとき)がとてもハッキリしています。
しつけの際は、ジャックラッセルテリアの特徴を上手に利用して、オンとオフを切り替えられるようにするといいでしょう。
遊びを通して「待て」と「おすわり」を教えると、待てとおすわりの指示が入ったときにはオフの状態になるようになります。
飼い主さんがけじめをもって、一貫した態度を示すことができれば、驚くほど早く習得します。オンとオフを意識してトレーニングしてみてください。

また、散歩は何も教えないと、自分の首が苦しいくらいにリードを引っ張り、犬にも飼い主さんにも負担が大きくなりがちです。リードは常に緩んだ状態にする「リーダーウォーク」をマスターしましょう。
待てとおすわりと、リーダーウォークができるようになったら、「呼び戻し」トレーニングにも挑戦してみてください。このときもフリスビーやボール投げなどの遊びを通して、名前を呼ばれたら戻ってくることを教えます。
呼び戻しは、ジャックラッセルテリアとの生活を大きく左右する重要なしつけといえます。ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょう。

お手入れ方法

・ブラッシング
毛質により若干方法が違いますが、3つの毛質に共通していえるのは、毎日のお手入れが必要だということです。
スムースコートは、3種のなかで一番抜け毛が多い毛質です。ブラッシングは必ず毎日行いましょう。抜け毛が気になる時期は1日2回のブラッシングを推奨します。
ラフコートは、プロは毛をナイフで抜く「プラッキング」というお手入れを行います。専用の道具を使用して行うもので、自宅でもできる方法ですがコツが必要です。毎日のお手入れは、スリッカーブラシで十分でしょう。しばらくプラッキングを行わないと、毛が伸び、やわらかいコートになります。
ブロークンコートは、ラフコートと同様、プラッキングというお手入れになります。プラッキングは抜けかけて浮いた毛を取り除き、新しい毛の発育を促進する効果があります。毎日の自宅でのケアはスリッカーブラシでOKです。仕上げにコームを使うといいでしょう。

・歯磨き
歯のケアは健康維持のために必要不可欠です。歯磨きは子犬のうちから慣らしておきましょう。
できるだけ毎日、やわらかい歯ブラシや濡らしたガーゼを巻いた指で、歯と歯茎をマッサージするようにこすってください。

・耳掃除
月1~2回を目安に、洗浄液をふくませたコットンでやさしく拭き取ります。垂れ耳でケアが難しかったり犬が嫌がったりする場合は無理をせず、動物病院やサロンにお願いしましょう。

・シャンプー、爪切り、肛門絞り
月1~2ペースで行います。シャンプーは行きつけのサロンを見つけ、自宅と交互に行い、どちらにも慣れてもらうのがよいでしょう。
技術と経験を要する爪切りと肛門絞りは、はじめのうちは診察を兼ねて動物病院でお願いするか、シャンプーの際にサロンで処置をお願いし、そのうち自宅でもできるように練習するとよいかもしれません。

かかりやすい病気

生後6~8週くらいから症状が出始める先天性重症筋無力症や遺伝性要因により、ひざの関節がずれてしまう膝蓋骨(しがいこつ)脱臼。
大腿骨が成長する時期、1歳未満で発症するケースが多いといわれているレッグ・ペルテス症、糖尿病などがあります。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

ジャックラッセルテリアのブリーダーについて

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