スコティッシュフォールドの基礎知識

スコティッシュフォールドといえば、全体的にまるまるとしたフォルムと、前にぺこんと垂れた折れ耳が特徴。人気の秘密はこのキュートなルックスにあります。そんな愛らしい猫ちゃんを飼う前に、まずは性格や体格など基本的な情報を知っておきましょう。

犬みたいに従順なスコティッシュフォールド

スコティッシュフォールドは猫のなかでも、とても飼いやすいと言われています。しかし、なぜスコティッシュフォールドが飼いやすいのでしょう? 
まず、ペットの飼いやすさを判断する基準には下記のようなポイントがあげられます。

・フレンドリーな性格で、協調性が高いこと
・賢く、飼い主に従順で、しつけがしやすいこと
・おとなしいこと(鳴き声が小さいこと)
・ブラッシングやトリミングなどのお手入れがしやすいこと

スコティッシュフォールドは、これらの基準をほぼ満たしている猫なのです。

1.甘えん坊でフレンドリー
猫は一般的に、「気まぐれ」など自由奔放で飼い主さんにもあまり懐かないイメージがありますが、スコティッシュフォールドはその逆。性格は甘えん坊で飼い主さんにも従順、そして穏やかで誰にでもフレンドリーに接することができます。
そのため、犬のような性格だとも言われています。協調性も非常に高く、猫に限らず他のペットと一緒に飼っても仲良くできます。飼い主以外の人間に人見知りをすることも少ないので、来客が多い家庭でも安心して飼うことができるでしょう。

2.賢いのでしつけがしやすい
次のポイントは、しつけがしやすいこと。ペットを飼う際の不安の種にもなるしつけですが、スコティッシュフォールドは賢い猫で、きちんと教えれば学習できるため、飼い主さんの手を焼かせることも少ないでしょう。

3.おとなしい
マンションやアパートなどにお住いの方がペットを飼う時に躊躇するポイントと言えば、鳴き声の大きさ。鳴き声による近所迷惑を懸念してペットの購入を断念する人も少なくありません。しかし、スコティッシュフォールドはのんびりとした性格で、あまり大きな声を出すようなこともないため、そのような方にも飼いやすいと言われています。

4.特別なお手入れは不要
猫自身がきれい好きで、自分で自分の身体をなめまわす「毛づくろい」をして清潔を保つため、特別なお手入れの必要もありません。スコティッシュフォールドの毎日のケアも基本はブラッシングのみで大丈夫でしょう。体臭もほとんどありません。

このようにあまり手がかからないため、ひとり暮らしの方や多忙がちな方でも無理なく飼うことができます。忙しい毎日のなかで、潜在的に癒しを欲している現代人の需要にマッチしているのも人気の秘密かもしれませんね。

思わずひとめぼれ。かわいさが詰まったルックス

◇特徴的な耳
スコティッシュフォールドの大きな特徴でもある「折れ耳」ですが、これは遺伝子の突然変異「軟骨形成不全」によるもので、すべての猫の耳が折れるわけではありません。
生まれたときはどの個体も立ち耳ですが、折れ耳の遺伝子を持った個体は生後3週間ほどで耳が前に折れはじめます。また、その折れ具合にも違いがあり、スコティッシュフォールドの耳は、折れ耳を含めると全部で4種類に分かれます。
・立ち耳
折れることなく耳が立ったまま育つ個体です。軟骨の形成不全による折れ耳の遺伝子を持たないため、骨の病気にかかりづらい傾向にあります。スコティッシュフォールドは折れ耳が人気なこともあり、このタイプは折れ耳タイプよりも安く飼うことができるでしょう。

・シングルフォールド
スコティッシュフォールドの由来でもあり、英語で折りたたむを意味する「フォールド」。シングルフォールドはその名のとおり、折りたたみ回数が1回であることをあらわしています。そのため折り目はゆるめ。前方に耳がたれており、完全にたたみきっていない状態です。

・ダブルフォールド
ぴったりと折り目がついたような状態で、前に耳が折りたたまれています。

・トリプルフォールド
折り目が三重になるため、耳は顔に沿って完全にたたまれた状態になります。そのため、前から見ると顔が丸く見えるのも特徴です。キャットショーで高く評価されるのはこのタイプですが、一方で遺伝性の疾患にかかりやすい弱点を持っています。

体つき
スコティッシュフォールドは「セミコビー」と呼ばれるタイプで、頭、四肢、足先が丸みを帯びた身体つきをしています。また、瞳も大きくまんまる、被毛も豊富でシルキー……と、愛らしさを感じさせる要素に満ちています。また、被毛は短毛(ショートヘアー)と長毛(ロングヘアー)の2タイプが存在します。

体重はオスで4~6kg、メスで2.7~4kg程度が平均です。スコティッシュフォールドは、運動量が少なく太りやすい猫種ですので、肥満による病気のリスクを防ぐためにも定期的に体重・体型チェックを行いましょう。
◇寿命
平均寿命は、およそ10~13年。人間の年齢に換算すると54~66歳くらいになります。折れ耳が代表的な例ですが、スコティッシュフォールドは遺伝的に骨や関節の形成異常が起きやすい猫種。この他にも内臓疾患にかかるリスクもあり、猫全体の平均寿命が15歳前後であることを考えると、少しデリケートと言えるでしょう。

しかし、生活環境に気を配り、怪我や病気を極力避ける飼い方をすることで長生きできることも多々あります。かかりやすい病気についてはあらかじめ知識を持っておくと良いですよ。

スコティッシュフォールドの子猫を迎えよう

スコティッシュフォールドの価格帯、相場

「スコティッシュフォールドを飼いたい」と思っても、気になるのはその値段ですよね。相場は10万~30万円程度。価格帯に開きが出るのは、この猫種特有の「折れ耳」を持った個体の需要が高いことが関係しています。耳が折れているほど価格は高くなる傾向にあるため、立ち耳のスコティッシュフォールドなら平均よりも安く購入できるでしょう。

ペットショップでも飼うことができますが、より安く購入するならば、直接「ブリーダー(キャッテリー)」から購入する方法がおすすめです。ペットショップに支払う手数料が入らない分、ペットショップに比べると価格が安くなる傾向にあります。

また、他には「里親になる」方法があります。里親になれば初期費用を安く抑えることができますが、譲り受けるためには里親募集側の提示する条件を満たす必要があるため、タイミングや縁に左右される部分も大きいことを頭に入れておきましょう。

◇キャッテリーとは?
「キャッテリー」とは猫の繁殖家の意味。犬や猫を交配させて繁殖させる人達を「ブリーダー」と言いますが、「キャッテリー」はいわゆる猫のブリーダーにあたります。ただし、正式に「キャッテリー」と名乗るためには、世界的な猫愛護団体であるTICA(The International Cat Association)もしくは、CFA(The Cat Fanciers' Association)の認定を受けていることが必須条件。

そして、これらの認定を受けるには、TICAもしくはCFAが純血統と認定した「登録ナンバー証」を持つ猫の飼育と繁殖を行っている必要があります。つまり、より正しく言えば「キャッテリー」はブリーダーのなかでも“猫種の純血を守る”ことに心血を注いでいる優良な繁殖者なのです。

悪徳ブリーダーにご注意

スコティッシュフォールドのなかでも人気の高い「折れ耳」の猫。しかし、実のところ折れ耳タイプは生まれる確率はそこまで高くなく、スコティッシュフォールドのなかでも交配が難しいタイプです。

折れ耳の猫同士を交配させれば100%の確立で折れ耳の猫が生まれますが、これはタブーとされています。なぜなら、障害を持った子猫が生まれるリスクが非常に高まるからです。そもそも「折れ耳」自体が骨の形成異常によるもの、つまり奇形。奇形の猫同士を交配させるとその血が濃くなるため、遺伝的な疾患を持った体の弱い子猫が生まれてしまうのです。

しかし、折れ耳タイプはその人気の高さから値段が高くなる傾向にあります。そこに目を付け、お金欲しさにタブーの交配を繰り返す悪徳ブリーダーが少なからず存在しています。
ブリーダーはペットショップにも卸しているため、ペットショップから購入する場合も、注意が必要です。折れ耳タイプで極端に安すぎる時は疑ってみる、血統を確認する、飼育環境を確認するなど確認を重ねてきちんと見定められるようにしましょう。

スコティッシュフォールドを迎える準備

スコティッシュフォールドは飼いやすい猫種ですが、他の猫種にくらべると体が弱い傾向にあります。スコティッシュフォールドの特性を飼い主が良く理解し、猫にとって安全に過ごせる環境をつくってあげることが大切です。

◇室内飼いが基本
骨の形成異常が起こりやすいなど、少しデリケートなスコティッシュフォールド。外からのウイルス感染や事故など、様々なリスクを回避するためにも完全室内飼いがおすすめです。

また、運動量はさほど多くないものの、遊ぶことは大好きな猫種なので、高いところから飛び降りて足をケガしたりすることがないよう気を配ることも必要です。
そのため、キャットタワーは高低差の少ないものを選ぶ、家の階段にはのぼらないよう柵を付けるなど工夫すると良いでしょう。

◇スコティッシュフォールドに必要なグッズ
猫を迎え入れる前に、飼育に最低限必要なグッズをそろえておきましょう。

・トイレ……成長したときのことを考慮すると、大きめのサイズがおすすめです。
・フード(えさ)…市販のキャットフードで大丈夫です。栄養バランスにすぐれた「総合栄養食」がおすすめです。
・食器…フード用・水用の2種類を用意しましょう。
・ベッドがわりになるもの…猫が落ち着いて過ごせるように、寝床になるような毛布などを用意しましょう。
・お手入れグッズ…爪とぎ器、爪切り、ブラシなど日常的に必要になるものです。

スコティッシュフォールドの飼い方

スコティッシュフォールドには怖がりな一面があります。家にやってきた1日目は慣れない環境で敏感になっているため、無理に抱っこしたりせず、まず猫をおいて様子を見ることにしましょう。そこで、トイレや爪とぎなどするそぶりを見せたら、しつけのタイミングです。所定の場所に連れていくようにします。

また、大きな音も怖がるため、掃除機や洗濯機など音を発するものにはできるだけ近づけないように気を配りましょう。段階を踏んで慣れさせていくことが大事です。

トイレははじめが肝心

まずはあらかじめトイレの場所を決めておきます。猫はトイレに行きたくなるとソワソワし始めるので、そのそぶりを見せたらトイレに連れていきましょう。トイレに行けば自分の匂いがつくので、それを印に場所を覚えるようになります。

爪とぎ専用の場所をつくろう

爪とぎは猫の本能のため、止めることは難しいもの。とはいえ、家のインテリアに傷つけられてしまっては大変です。爪とぎ専用の場所をつくり、そこに爪とぎ器を置くなどして、専用の場所で爪とぎができるようしつけましょう。また、定期的な爪切りも有効です。

スコティッシュフォールドにやさしい食事とは

基本は市販のキャットフードを与えましょう。猫の成長に必要な栄養素がバランスよく含まれているので安心です。ペットフードのパッケージに「総合栄養食」と表記されているものを選びましょう。猫に必要な栄養素がすべて含まれた理想的な食事です。水と一緒に与えれば、健康維持ができる内容になっています。

◇子猫期
・1日3~4回
生後50日~10カ月頃は成長期にあたるため、栄養価の高い食事を与える必要があります。一方、まだ小さい子猫は消化器が未発達で、上手に食事を消化・吸収できません。成猫と同じ食事を与えると消化器に負担がかかり、おなかを壊してしまうことも。
子猫の体に合わせた子猫専用のペットフードを与えましょう。また、一度に多くの量は食べられないので1回あたりの食事量を少なめにして食事回数を増やします。
◇成猫期
・1日2回
成長期を過ぎると身体の発達はゆるやかになります。消化する能力もじゅうぶんあるので食事量は増えますが、カロリーオーバーで太りすぎないよう気をつけましょう。

◇老猫期
・1日3~4回
一般的に猫は7歳を過ぎると、シニアへと移行していきます。はた目にはわからずとも、だんだんとスコティッシュフォールドの体内に衰えが見え始めるようになります。わかりやすい例を挙げると、
・睡眠時間が多くなる
・あまり動かなくなる(遊ばなくなる)
・消費カロリーが減るので体重が増える
など。
個体差はありますが、消化機能も落ちてくるため子猫期のように1回の食事量を減らして、その分食事回数を増やす方向にシフトしましょう。キャットフードも「シニア用」がおすすめです。

お手入れ(ブラッシング・コーミング)

猫は基本的に体臭が少なく、また、自分で自分の体をなめる「毛づくろい」をすることで清潔を保ちます。そのため、普段のお手入れは軽くブラッシングする程度で問題ありません。ただし、長毛タイプ(ロングヘアー)のスコティッシュフォールドは毛玉ができやすいため、週に2~3回はブラッシングするようにしましょう。
また、耳掃除も忘れずに。特に折れ耳タイプは、耳がふさがっているため雑菌や汚れがたまりやすくなります。定期的な耳掃除も必須です。

怪我や病気をしない環境づくり

スコティッシュフォールドは、その「折れ耳」にもあらわれているように遺伝的に骨に形成異常が起こりやすい猫種です。この形成異常は耳以外の部分にもあらわれやすいため、足や股関節に負担がかかりすぎない環境づくりを心がけましょう。

※例
・キャットタワーは高低差の少ないものにする
・すべりやすいフローリングの上や、よく猫が飛び降りる場所にはクッション性のあるフロアマットを敷く
・家の階段には柵を設け、猫が立ち入らないようにする。
遺伝性の骨形成異常が発症するのは、成長期にあたる生後3カ月~2年の間です。そのため、成長が止まるまでは特に気を配る必要があります。もし、骨にコブが見つかったり、猫が痛がるそぶりを見せたり、歩きづらそうにしていた時は、すぐ動物病院に連れていくようにしましょう。早期発見することで対処しやすくもなります。

愛情をたっぷり注いで信頼関係を築きましょう

そのかわいらしい外見だけでなく、性格も人懐っこくおだやか、と愛らしい魅力に満ちたスコティッシュフォールド。一緒に暮らせばきっとムードメーカー的な存在になってくれることでしょう。あまり手がかかることもない猫ですが、甘えん坊なので寂しがることのないよう、コミュニケーションは積極的にとるようにしてあげましょう。
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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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