寒冷地の厳しい環境で進化したシェルティ

シェットランドシープドッグはシェルティの愛称で呼ばれ、体高は35.5~37cm程度、体重は約9kgの小型犬です。

ふさふさした毛並みや優し気な顔立ちなどがラフコリーとよく似ているため、ラフコリーを小型化した犬と思われることが多いですが、実際は違います。顔の長さや毛の量にも違いがあり、ラフコリーをそのまま縮小してもシェルティの姿にはなりません。改良の過程でラフコリーが交配されたこともあるようなので、言わば親戚といったところでしょうか。

シェルティの祖先は、イギリスのスコットランド地方にある、シェットランド諸島で飼育されていた牧羊犬だと言われています。

シェットランド諸島はスコットランドに所属するものの、冬はオーロラが見えるほどの高緯度にある島。緯度で言えばノルウェーのオスロと同じくらいで、周囲の海流のおかげで雪は少ないですが、冬が長く夏が短い厳しい気候です。
荒涼とした土地のせいか作物や家畜があまり大きく育たないのが特徴で、体高1mに満たない「シェットランドポニー」が有名です。

獲物になる動物もネズミ程度しかおらず、そのような自然環境のなかでシェットランドシープドッグは独自の進化を遂げ、小型化していきました。

島の「おみやげ」として大人気だったシェルティ

19世紀後半になると、イギリス海軍の兵士がシェットランド諸島を訪れるようになります。長い間隔絶された環境で飼育されてきたシェルティは、島の「特産品」として人気を博しました。

特産品としてより美しい外見にするため、当時人気のあったラフコリーと交配させたせいで一時期大きくなってしまったこともありましたが、小型のスパニエルやパピヨンポメラニアンなどと交配することで現在のシェルティの姿に近くなったようです。

1909年にイギリスのKC(ケネルクラブ)で犬種として公認され、1911年にはAKC(アメリカンケネルクラブ)でも公認されました。
その当時は「シェットランドコリー」という名前でしたが、ラフコリーの犬種団体が混同されることを恐れて異議を唱えたため、「シェットランドシープドッグ」という犬種名に落ち着いたそうです。

今ではその名も省略され、「シェルティ」の愛称で呼ばれることが多くなりました。

シェルティはどんな性格?

シェルティは素直で愛嬌のある性格で、飼い主に従順。小型犬なのでそこまで力が強くなく、華奢ではないのでケガの心配も少ないという、どんな人にも飼いやすい犬種です。散歩のときに飼い主をぐいぐい引っ張ったり、隙をついて逃亡したりすることもなく、飼い主にしっかりついて歩けます。シェルティは非常に賢いため覚えも早く、あまり手がかかりません

ただし、シェルティには牧羊犬としての警戒心の強さから、吠えやすい傾向があります。吠えられて困るからといって、飼い主が要求に応えてしまえば、賢いシェルティはそのことを覚えて頻繁に要求吠えするようになる可能性も。また、繊細さから外部の音などに敏感に反応することも、吠え癖がつきやすい原因でしょう。

子犬のころの社会化トレーニングが不十分だとシェルティのデリケートで臆病な部分が前面に出てしまうことがあります。さまざまな経験をさせて、おおらかなシェルティに育ててください。
あまり厳しくすると落ち込んでしまうので、できたことを褒め、叱るときはビシッと一言だけというのを心がけましょう。

シェルティの飼い方のポイントは

小型犬とはいえ、元は牧羊犬だったシェルティの運動量は多いです。ふだんは朝晩2回、1回30分程度の散歩に連れ出し、たまにはドッグランなどで自由に走らせる機会をつくってください。シェルティは肥満になりやすい犬種のため、子犬の時期からしっかり運動する習慣をつけましょう。
人と一緒になにかすることを喜ぶため、環境が許せばドッグスポーツのトレーニングをするのもいいですね。

シェルティの大きな魅力にふさふさの毛並みがあります。ただし、抜け毛が多く毛玉にもなりやすく、賢く従順なシェルティの唯一の欠点と言われることさえあります。
毎日ブラッシングしていれば、抜け毛も毛玉もかなり軽減できるので、シェルティを飼う場合はブラッシングを日課にしてください。

トリミングは必要ありませんが、毛を踏んで滑って転倒することのないよう、肉球の間や足の飾り毛はマメにカットしましょう。

まとめ

過酷な環境のなかで牧羊犬として活躍し、独自の進化を果たしたシェルティ。小型犬としてはめずらしく、穏やかで従順で、どんな人にも飼いやすい犬種です。

ふさふさの被毛には多少手間がかかるものの、飼い主が手をかければかけるほど美しくなるところも、シェルティを飼う醍醐味と言えるでしょう。子犬のころからシェルティとたくさんコミュニケーションをとって、おおらかな犬に育ててくださいね。
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『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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