ブルドッグの基礎知識

ブルドッグの正式名称は、「イングリッシュ・ブルドッグ」。名前の通りイギリスで誕生した犬種です。
はじめにブルドッグの歴史や外見の特徴、性格について詳しく説明します。

歴史

ブルドッグのルーツは、13世紀のイギリスまでに遡ります。
当時の娯楽だった牛いじめ(犬が牛に噛みつく様子を楽しむ)に使われた犬が現代のブルドッグの祖先とされています。ブルドッグの名前は、英語でオス牛を意味する「bull」に由来しています。

19世紀になると、現代のブルドッグに近い姿が確立され、牛いじめは庶民の娯楽としても広まっていきました。ところが、1835年に牛いじめの見世物が禁止されると、役目を失ったブルドッグの頭数は激減。
その後、ブルドッグを守ろうとするイギリス国内のブリーダーたちの手により、品種改良が進められました。
1860年にはドッグショーに出陳され、そして現代のブルドッグの姿形が犬種として固定されていったのです。
ブルドッグは愛玩犬となった今でも、イギリスの国犬として愛されています。

平均寿命

寿命は8歳~10歳程度で、犬としてはやや短い部類に入ります。
海外では家庭犬として大変人気な犬種ですが、ブルドッグの特徴であるつぶれた顔やしわのよった皮膚、ずんぐりむっくりとした体形を固定するために近親交配が進められてしまったことから、遺伝的疾患を多く持つようになりました。

ブルドッグは外見とは裏腹にとてもデリケートな犬です。飼い主としても必要な知識をしっかりと身に付け、日頃から健康に気を配る必要があるでしょう。

体高、体重

体高は31cm~36㎝ほどで、サイズでは中型~大型に分類されることが多い犬種です。理想的な体格は、オスが25kg、メスが23kg程度です。
体格は頭部が大きく、肩幅が広く、四肢ががっしりとしています。胴や手足が短いためコンパクトな印象ですが、抱き上げてみるとサイズ以上にずっしりとした重みを感じられます。

毛質と毛色

ブルドッグは短毛のスムースコートで、分厚い被毛を持っています。
JKCの規定では、毛色は単色またはスマットと呼ばれるブラックマスクを持つカラーが定められています。
色味のバリエーションは、ブリンドル(霜降りのような縞模様)、レッド、フォーン、ファロー(淡いイエロー)など。またパイドのようにホワイトとほかのカラーの組み合わせも存在します。

アメリカンブルドッグやフレンチブルドッグとの違い

イギリスで生まれたブルドッグと区別されているのが、アメリカ生まれの「アメリカン・ブルドッグ」です。これはブルドッグを品種改良して誕生した犬で、より足がすらりと長く、体格も大柄です。
体高は50~70cm、体重も30~60kgとなることから、サイズでは大型犬に分類されます。
毛色にはホワイト、ブリンドル、レッドスポット、ブラウン、クリーム、マホガニーといったバリエーションがあります。

フレンチブルドッグは1880年代のフランスで誕生した犬種です。
アメリカンブルドッグと同様に、ブルドックをほかの犬と掛け合わせて作出しました。体高は26~31cm、体重は8~14kg程度の中型犬です。
毛色はブリンドル、フォーン、パイドなど。フレンチブルドッグも体に対して頭部が大きく、鼻が短い短頭種ですが、サイズや体格、顔つきにはブルドッグと明確な違いが見られます。

性格

品種改良によって生まれた愛玩犬らしい性格と、闘犬としての気質を持ち合わせたところがブルドッグの魅力です。
がっちりとした体格にいかつい表情のブルドッグですが、その性格は基本的におおらかで、とても愛情深いです。素直で飼い主への忠誠心も強く、おっとりとして物事に動じない性格もあり、見た目通りの頼もしさも感じられます。
その一方で、活発で遊び好きな一面もあり、やんちゃな姿を見せてくれます。

とても優しい性格のブルドッグですが、その姿から犬慣れしていない人にとっては「怖い犬」という印象を持たれてしまうこともあります。
お散歩途中でも他人やほかの犬に飛びついたりしないよう、しっかりとしつけを行う必要があります。

ブルドッグの子犬を迎えよう

ブルドッグに興味を持ったら、まずは子犬を探すところからはじめましょう。健康な子犬をお迎えするためには、以下で紹介するポイントを押さえてください。

価格相場

子犬の価格は、平均43万円程度。チャンピオン犬を父母や祖父母に持つ子犬は、相場よりも高値になる傾向にあります。
ブルドッグは人の手により品種改良された犬で、本来の犬の姿よりも頭部が大きく、自然分娩が難しい「難産」に陥りやすい犬種です。そのため出産のリスクが高く、その結果子犬の価格も上がりやすくなります。

ブルドッグの子犬を迎える方法

ブルドッグの子犬は、主に国内のブリーダーのもとで誕生し、ペット市場で取引されています。子犬を迎え入れる方法は、大きくペットショップ、ブリーダー、里親制度の3つです。それぞれのメリット、デメリットを見ていきましょう。

①ペットショップ
人気犬種を多数そろえているペットショップ。ブルドッグのような中~大型犬を探すなら、大型店を探すのがおすすめです。
店頭では実際に子犬の様子を見学し、抱っこさせてもらうこともできます。初めて犬を飼われる方にとっては、必要なグッズを一通り揃えられる点もメリットです。

ただし、ブルドッグを専門的に取り扱っているショップでない以上、いつでも子犬に出会えるとは限りません。
また飼育環境や子犬の健康状態に問題があっても、そのまま店頭に並んでいるといったケースも。自分自身が十分犬種に関する知識を持ったうえで、子犬を見極める必要があるでしょう。

②ブリーダー
お店を経由せず、直接販売を行っているブリーダーからお迎えすることも可能です。良質な子犬にこだわったブリーダーは、豊富な知識と経験をもとに、愛情をかけて親犬や子犬を育っています。健康で丈夫な子犬をお迎えしたいのであれば、ブリーダーのもとですくすく育った子犬を見学してみましょう。

しかし、ブリーダーもいいこと尽くめではありません。ブルドッグのブリーダーの数はほかの人気犬種と比べて少なく、お住まいの地域によっては、身近に犬舎がない…ということも。
インターネットを通じて子犬を販売するブリーダーも存在しますが、やはり子犬は直接自分の目で確認して決めたほうがいいでしょう。

③里親制度
何らかの事情で譲渡に出された犬を引き受ける方法です。
ブルドッグの子犬が里親に出されていることは珍しいですが、現在普及している里親サイトでは、リアルタイムに募集状況をチェックすることができます。

安価で犬をお迎えできる里親制度ですが、デメリットも十分考慮しなくてはなりません。里親に出されている犬のなかには、病気や問題を抱えている場合少なくないのです。
また里親として選ばれるためには、過去の飼育経験や飼育環境など、いくつかの条件を満たす必要があります。

健康な子犬を見分けるポイント

スタンダード(欠陥がない)とされるタイプのブルドッグは、その姿を維持するため、健康課題を抱えていることも少なくありません。そういった事情も十分理解したうえで、できる限り健康な子犬を選びましょう。

<各部位のチェック>
①目…キラキラと輝きよく動いているか、目ヤニが異常に出ていないか
②鼻…鼻水や鼻周りの汚れはないか
③口元…極端なアンダーバイト(下あごの突出)は見られないか
※ブルドッグは先天的にアンダーバイトが多い犬種です
④耳…赤みやただれ、異常な汚れやニオイはないか
⑤被毛、皮膚…異常な抜け毛や皮膚の異常はないか
⑥肛門…排泄物で汚れていないか
⑦体格…四肢がしっかりしているか、ずっしりと重みを感じるか

子犬を飼い始める前の準備

ブルドッグのような短頭種は、夏の暑さに弱いため、外飼いには適さない犬種です。成長するとある程度のサイズまで成長しますので、室内でブルドッグを飼うスペースをしっかり確保した上で、必要なグッズ等を揃えましょう。

■サークル、ケージの設置
犬の居住スペースとなるサークルやケージは、大きさや形状、素材もさまざまです。
ブルドッグは体が大きく力強い犬種ですので、中で暴れたりかじったりしても壊れにくいものを選びましょう。
設置場所としては、ブルドッグが快適に過ごせるよう夏場にエアコンが効く部屋が理想です。

■キャリーケースやクレートの準備
犬の寝床として使ったり、車や公共交通機関での移動の際に使ったりするときの必需品です。市販品にはサイズや素材のバリエーションがありますので、ブルドッグの成長に合わせたサイズを選びましょう。
 
■ベッドの準備
犬用のベッドには、四方が囲まれたカドラータイプ、平たいマットタイプ、円形や半円形の屋根が付いたドームタイプなど、さまざまなものがあります。犬によっては好みのタイプのベッドがあるようです。
ブルドッグの体のサイズに合うもので、汚れても洗濯機で丸洗いできるタイプのベッドがおすすめです。

■トイレの準備
プラスチック製のトイレトレーに、排泄物を吸収するペットシートを敷いて使用します。ペットシートのみを使っても問題ありません。

■フードと食器
ドライフードにウェットフード、犬のごはんはバリエーション豊富です。子犬の頃は、成長に必要な栄養素を含むパピー用のフードを。1歳を過ぎる頃には、徐々に成犬用のものに切り替えていきましょう。
子犬の成長に合わせたサイズのエサ入れ・水入れや、犬が食べやすい高さに調節できるエサ台があると便利です。

ブルドッグの飼い方

最後に初心者飼い主さんに押さえていただきたい、ブルドッグの飼い方のポイントを解説します。ブルドッグに健康で長生きしてもらうためにも、犬種の特性や飼い方のコツを十分理解しておきましょう。

食事のポイント

ブルドッグは先天的に消化器系が弱く、消化不良に陥りやすいとされています。また、あまり運動を必要としませんが、その結果胃腸の働きが弱まる傾向にあります。
ブルドッグのフードを選びは、グレインフリー(穀物不使用)で消化に優しいもの、消化を助ける成分が含まれるものがおすすめです。デリケートなブルドッグの体をいたわる無添加フードもいいでしょう。

成長のために高い栄養価を必要とするパピー期と、成犬期、シニア期では、与えるフードの量や種類を変える必要があります。
肥満防止のためにも、食事は決められた量を1日2回に分けて与え、間食のおやつも食べ過ぎに注意しましょう。

必要な運動量、散歩の頻度・回数

がっちりとした体格で剛健なイメージのあるブルドッグですが、必要な運動量はさほど多くありません。
お散歩は1日20~30分程度ほどでOK。足腰の関節や筋肉に負担をかけてしまうため、激しい運動は控えるのが無難です。また、ブルドッグは暑さに非常に弱いため、夏場の外出は日が高い時間を避け、猛暑日は涼しい室内で軽い運動に留めましょう。

しつけのコツ

おっとり優しい性格が魅力のブルドッグ。のんびりとした気質に合わせて、気長に構えてしつけを行うのがよいでしょう。
また、闘犬らしい頑固な一面もあるため、一度機嫌を損ねてしまうと、元通りになるまで言うことを聞いてくれない……という場面も。飼い主として、根気よく一貫した態度でしつけに臨みましょう。

■留守番のしつけ
子犬の頃から徐々に1匹でいることに慣らし、長時間のお留守番に耐えられるようにしつけましょう。留守番慣れしていないときにいきなり長時間1匹にさせるのは、子犬にとって大きなストレスになってしまいます。
また留守番中でも犬が安心できるよう、ケージやベッドといった居場所を整えてあげることが大切です。

■噛み癖のしつけ
普段はおとなしく優しいブルドッグでも、飼い主さんに甘えたい一心で甘噛みしてくることがあります。子犬の頃は力も弱く、じゃれつかれてもダメージは少ないですが、これが成犬になっても続くとなると一大事ですよね。
子犬が甘え噛みをしてきたら、低い声で「痛い」、「ダメ」と短く叱り、噛むのをやめさせてください。それでもじゃれついてくるようであれば、子犬が落ち着くまで無視をするのも有効です。
叩いたり、大きな声で叱り飛ばしたりする行為はNG。あくまで穏やかに諭すようにしつけましょう。

■吠え癖のしつけ
おっとりした性格のブルドッグは、無駄吠えをほとんどしない犬種です。そんなブルドッグが必要以上に吠えるときは、不安や不快感を伝えるサインかもしれません。
犬は環境の変化にも敏感な動物です。まずは犬が吠える要因(不快に思う要因)を取り除き、安心できる住環境を整えてあげましょう。
しつけの際は、噛み癖と同様、叩いたり騒いだりせず、低い声で静かに叱り、興奮がおさまるまで犬を放置してください。

いずれにせよ、ブルドッグのしつけには根気が必要です。はじめのうちはうまくいかなくとも、犬のペースに合わせて気長に続けましょう。

自宅でできるお手入れ方法

ブルドッグはトリミングを必要としない犬種ですが、犬を清潔に保つためには、日々のブラッシングや定期的なシャンプー、顔のしわのケアが重要です。
特にしわの間に汚れがたまると、ニオイや皮膚病の原因になってしまいます。大切な愛犬につらい思いをさせないためにも、こまめなケアを行いましょう。

■ブラッシング
ブルドッグのお手入れのメインとなるのが、毎日のブラッシングです。ブルドッグはオーバーコートとアンダーコート、2層の毛を持つダブルコートのため、換毛期には相当の抜け毛が発生します。

ブラッシングには、ゴム製のラバーブラシと豚毛などで作られた獣毛ブラシを用意しましょう。換毛期には、専用の抜け毛取りブラシを使うのもおすすめです。
まずはラバーブラシで全身の抜け毛を絡めとり、仕上げに獣毛ブラシで毛並みを整えるようにブラッシングします。

■シャンプー
ブルドッグのように顔や体にしわのある犬種は、構造上、皮脂汚れが溜まりやすくなっています。汚れたままにしておくのは犬にとってもよくありませんし、ニオイの発生原因にもなります。
シャンプーには、犬専用のものを使用してください。種類がいくつかありますが、短頭種用やデリケートな皮膚の犬でも使える薬用のもの、体臭の発生を抑えてくれるものがおすすめです。

シャンプーの手順は、全身をシャワーで濡らすところからはじめましょう。下毛までしっかり濡らしたら、シャンプーを泡立てて背中側から手足、おなか、お尻、後頭部や顔回り……と洗い上げていきます。
顔回りが濡れるのを嫌がる場合は、直接水をかけずに濡れたタオルで拭き取るにとどめてください。
シャンプーが終わったら、洗い残しがないよう念入りに洗い流します。シャワーの温度はぬるま湯に設定し、シャワーヘッドを犬の体に密着させるようにすると犬への負担を軽減できます。
全身をキレイにに洗い流したら、仕上げにバスタオルで拭き上げ、軽くドライヤーをかけて乾かしてあげましょう。

シャンプーは月に1~2回程度の頻度が適切です。ニオイが気になって月に2回以上洗ってしまう飼い主さんがいますが、洗い過ぎは犬の皮膚に負担をかけ、かえって皮膚病の原因になってしまうこともあります。
濡れタオルや部分用の洗い流さないシャンプーを併用しつつ、犬を清潔に保ってあげましょう。

■顔回り、しわのケア
ブルドッグの特徴ともいえる顔回りのしわは、汚れが溜まりやすい部分です。放置すると悪臭の原因や皮膚疾患を引き起こしてしまうため、日常的にケアしてあげましょう。

お手入れの際は、タオルなどの柔らかい布を濡らしてしぼり、しわの間をやさしく拭き取るようにします。ゴシゴシ擦ると犬も痛い思いをしますので、「優しく丁寧に」を心掛けてくださいね。

■歯磨き
週に1回程度を目安に、歯ブラシや歯磨きシートを使ってデンタルケアを行います。食後にデンタルガムを与えたり、引っ張って遊べるデンタルロープを使ったりするのもいいでしょう。

■爪切り
ブルドッグの爪切りは、月に1~2回程度が目安です。人間言いう「深爪」状態になると血管や神経に触ってしまう恐れがあるため、爪の先から丁寧に切ってあげましょう。
慣れないうちは2人で犬を押さえる役と切る役を分担してやるほか、動物病院やトリマーといったプロにお願いする方法もあります。

かかりやすい病気

純血種のブルドッグは、先天的にさまざまな病気や疾患にかかりやすい犬種です。愛犬に1日でも健康で長生きしてもらうために、ブルドッグが注意すべき病気について理解を深めておきましょう。

<ブルドッグが注意したい病気>
・皮膚病…しわの間に溜まった雑菌により、赤みや痒み、ただれがおこる病気です。
・歯肉炎…特徴的な「受け口」のため、歯に汚れや歯垢が溜まりやすく、歯茎の炎症が起きやすい犬種です。
・乾性角結膜炎…涙の量の不足により目が乾き、結膜炎を引き起こす症状です。
・チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)…さくらんぼのように第三眼瞼が飛び出している状態です。
・短頭種気道症候群…骨格の問題で気管虚脱、鼻腔狹窄、軟口蓋過長といった症状が引きおこり、呼吸が上手く行えなくなる状態です。激しいパンティングといったしぐさが見られます。
・股関節形成不全…がに股姿が特徴的なブルドッグですが、四肢に負担がかかることで股関節が変形すると、歩行障害を引き起こす恐れがあります。

明るく陽気なブルドッグの子犬を家族に迎えよう

ブルドッグの魅力や飼い方のポイントをたっぷりお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
飼い犬としては小型のフレンチブルドッグやボストンテリアも人気ですが、やはりこの迫力満点の姿はブルドッグならではの魅力ですよね。
ぜひこの記事の内容も参考に、かわいいい子犬を探してみてくださいね。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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