犬と狼の違い①犬の祖先は狼?

現代の犬は、生物分類学上では「イエイヌ」に分類されます。イエイヌはタイリクオオカミの血筋を引いており、そこからさらに分岐した動物であることが明らかになっています。

タイリクオオカミは、別名ハイイロオオカミとも呼ばれ、北半球に広く生息する狼です。地域によって大きさは異なりますが、体長100 ~160cm、体高60~90cm、体重は25~50kgと、現存するイヌ科の動物では最大の大きさです。
オスとメスからなる群れを成して生活し、縄張りのなかで野生のシカやイノシシを狩る肉食動物でもあります。

ではタイリクオオカミの祖先はどんな動物なのでしょうか。それには諸説あり、2,300万年~1,600万年前に生息していた肉食動物、「トマークトゥス」を起源とする説に加えて、始新世から中新世期にいた「ボロファガス」や「アエルロドン」といった肉食獣らを起源とする説も挙がっています。
長らく犬の直系祖先として信じられていたトマークトゥスは、現代の犬や狼にかなり近い外見をしていたようです。

犬と狼の違い②どんなところが違うの?

犬と狼は同じ「イヌ科」に分類されていますが、2つの遺伝子を比べてみると、いくつかの大きな違いがあるとされています。早速、具体的な相違点を見ていきましょう。

見た目の違い

犬も狼も、4足歩行で厚い毛並みを持ち、2対の犬歯を持っているという点で共通しています。
一方で、野生に暮らす狼の見た目は犬と明確に異なる部分が多いのです。例えば歩行姿勢においても、頭部の位置は低く、地面に対して頭部が並行になるような姿勢を取ります。

また野生で狩りを行う狼の歯は、いずれも犬と比べて大きく、丈夫です。あごの筋肉も大きく発達しており、また目元が釣り上がった「釣り目」も特徴的です。

習性の違い

狼とイエイヌの大きな違いは、「食べ物を得る方法」にあると言えます。人から食べ物を与えられるため、基本的に狩りの必要がないイエイヌに対し、野生で暮らす狼は常に狩りを行うことで食べ物を得ています。
自らの力で厳しい環境を生き抜く必要のある狼は、犬よりも自立心に富んでおり、また独占欲も強めです。
また人間とともに長い歴史を過ごしてきたことで、友好的な性格が備わったイエイヌですが、一方の狼にはそのようなことが見られません。その代わり、オスとメスのペアからなる群れを成して行動し、また子育てにも積極的であると言われています。

体の構造の違い

小型犬が成熟し、初めて発情期を迎えるのは生後半年~10カ月頃、大型犬の場合は生後1年前後です。一方の狼は犬よりも成熟のスピードが遅く、大人になるまでに約1年、さらに初めての繁殖期を迎えるまでにもう1年を要します。
また犬が年に2回繁殖するのに対し、狼は年に1回と少なくなっています。

犬と狼に似ている狐との違い

犬と狼と同じく、イヌ科に属するものとして「コヨーテ」という動物が存在します。世界中に生息しており、狼にも狐にも似た外見が特徴的です。
毛色は狐に似た黄褐色で、体長・体高は狼よりも小さめです。犬や狼と比べると鼻が細く、また狐のように太い尾を持っています。

コヨーテは群れを作ることが少ないとされ、主に単独やオスメスのペアで行動する動物です。ウサギのような小動物や、鳥類、爬虫類を狩るほかに、果実を食べるといったような雑食性も見られます。

犬と狼の違い③狼は犬になれる?

例えば生まれたばかりの狼を人間のもとで育て、どんなに飼い慣らそうとしたとしても、狼は犬のようになることはありません。反対に、犬を狼のようにすることもできないのです。あるハンガリーの科学者が行った実験にも、犬と狼の違いを決定付けるいくつかのヒントが見られます。

マルタ・ギャクシが行った実験は、飼いならされた狼と犬、それぞれ13頭の行動を比較したものです。飼い主に向かって見知らぬ人間が攻撃的に近づいたとき、犬と狼の行動の違いは明確に現れることとなりました。
13頭のうち、5頭の犬は見知らぬ人間に吠えかかり、攻撃するような姿勢を見せましたが、一方の狼は1頭もそのような行動にでるものがいませんでした。

この実験結果に対し、マルタは「犬は飼い主である人間の様子を伺い威嚇行動を取ったが、狼は自分の判断で“応戦する必要なし“と判断し、人間を無視するかのような態度を取ったのではないか」と推察しています。

犬と狼の違い④狼に近い犬種は?

遺伝子が狼に一番近い犬種として知られているのが、「ウルフドッグ」です。狼と犬の交雑種で、75%以上狼の血を引くウルフドッグは「ハイパーセント」とも呼ばれます。
ハスキーやシェパードといった大型犬と飼いならされた狼との交配により作出され、海外でもコアなファンが存在する人気ぶりです。

ウルフドッグの特徴

大型犬に分類され、体高は成犬時で60~80cm、体重は41~70kgまでに成長します。
平均寿命は10~12年ほどです。
正式な犬種として認められているのは、ジャーマンシェパードと狼の血を引く「サーロス・ウルフドッグ」と、「チェコスロバキアン・ウルフドッグ」の2種のみです。いずれも狼に近い野性味あふれる見た目と、犬のように飼い主への従順さを備えた性格を持ち合わせています。

日本でウルフドッグ飼えるの?

現在、ペットショップといった従来のルートでウルフドッグを手に入れることは極めて困難です。もし日本でウルフドッグを飼うのであれば、輸入業者やブリーダーを探す必要があります。
相場は業者やブリーダーによってまちまちですが、50~100万円ほどと高額です。

また狼の血を引くウルフドッグは、ほかの犬種よりも厳格なしつけを必要とします。体格が大きく力も強いため、少なくとも中級者、上級者向きの犬であると言えるでしょう。
しつけに加えて、飼育環境の整備、さらに飼育費の捻出を考えなくてはいけません。総合すると、やはり日本で飼うにはハードルが高いかもしれませんね。

まとめ

以上、狼の特徴や見分け方、「狼に近い犬」とされるウルフドッグについて紹介しました。
野生本来の姿に近い見た目や性格が、コアな犬好きから愛されている狼やウルフドッグ。気になる方は、ぜひSNSの投稿や動画を探してみてくださいね。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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