犬が飼い主を舐めてくる理由

飼い主を舐める犬
犬が飼い主を舐める理由は、顔や手足、口元など、舐める部位によって微妙に異なります
それぞれの部位を舐めることに、どんな意味や気持ちが込められているのでしょうか?

①飼い主の口を舐める犬の気持ち

「大好きだよ!」

飼い主のことが大好きで仕方ない犬が、親愛の気持ちを込めて口元を舐める行動です。このときの犬の表情は、目がイキイキとして、ちぎれんばかりにしっぽを振り回していることでしょう。
飼い主が帰宅したとき、「ずっと待ってたんだよ!」と寂しかった気持ちの反動で顔中舐め回してしまう子もいます。いずれにせよ、飼い主に対する愛情あふれる行動です。

「リーダー、信頼してます!」

犬はもともと集団行動する動物です。目上のリーダーに対して敬意を表すために、ペロっと口元を舐めて挨拶します。信頼する飼い主の口元を舐めるのも、この習性によるものです。
愛犬から口元を舐められたら、犬といい関係を築けている証。リーダーとして認められていると自信を持てますね。

「ごはんちょうだい!」

おなかが空いたとき、飼い主の口元をペロペロ舐めてごはんを催促する行動です。これは子犬時代、母親からごはんをもらうときに口元を舐めて「おなかすいたよ!」とアピールしていたことの名残。
飼い主が食べたものの匂いが気になって、クンクン、ペロペロすることもあります。
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飼い主の口や鼻を舐める愛犬の行動。愛情表現やおねだり、不安緩和の意味もあります。困ったときの対処法と感染が心配される病気について説明します。

②飼い主の手や腕を舐める犬の気持ち

「一緒に遊ぼうよ!」

ボールを投げたり、おもちゃで引っ張り合いをしたり。犬は一緒に楽しく遊んでくれる飼い主が大好きです。飼い主を見ながら手を舐めたり鼻先でつついたりするのは、一緒に遊んで欲しいときに見せるしぐさです。

「ねえねえ、もっと構ってよ」

頭や体をなでて欲しいとき、甘えるように見上げながら飼い主の手や指をペロペロすることもあります。
飼い主の気持ちが別のところに行っていることに対して、寂しい気持ちもあるのかもしれませんね。

「ホッとするな~」

優しく温かい飼い主の手を舐めることで、リラックスしようとしている行動です。
極上の心地よさをくれる飼い主の手は、犬が安心感を得るために手放せないものなのです。

③飼い主の足を舐める犬の気持ち

「一緒に遊ぼうよ!」

手を舐めるときと同じく、遊んで欲しいときに気を引こうとして足を舐めることがあります。
「ほら、立って! 一緒にかけっこしようよ!」と誘っているのかもしれませんね。

「このニオイがたまらな~い!」

夏場に汗をかいて蒸れたニオイや、一日中履いていた靴を脱いだあとのイヤ~なニオイ。
犬は人間の嗅覚からすると「ちょっとクサい」と思えるニオイが大好きです。
足のニオイに心当たりのある飼い主さん、要注意です。

④飼い主の鼻や耳を舐める犬の気持ち

「癖になる味なんだよね~」

飼い主としてはギョッとしてしまいますが、犬は人間の鼻水や耳垢などの分泌液のしょっぱい味が好きだったりします。
人間の目線で言えば、ちょっと汚い愛犬の行動。よく耳や鼻を舐められることがあれば、身だしなみに気を付けたほうがいいかも!?

犬が自分の体を舐める意味

自分の体を舐める犬
手先や足、おなかなど、犬は自分の体を舐めることもあります。これらの行動にも、さまざまな犬の気持ちが表れています。

「なんだかストレスが溜まるなあ」

皮膚が赤くただれるほどに、ペロペロと自分の足を舐め続ける行動が見られたら要注意。
ストレスが溜まることで「強迫神経症」という病気になり、自傷行為に走ってしまうのです。やがて舐めるのが癖になって、気付けばいつも体を舐め続けている……なんてことも。
また、舐める代わりに血が出るまで手先やしっぽを噛み続けることもあります。

「退屈だよ~」

人間が手遊びをするように、手や足を舐めて暇つぶしをするパターン。
手を舐めながら上目遣いで見つめられることがあれば、退屈で構ってほしいサインかもしれません。

「もっと構ってほしいなぁ~」

構って欲しい気持ちから、自分の体を舐める行為に走るパターンです。
自分の体を舐め続けることで、「やめなさい!」、「退屈なら一緒に遊ぼうか?」と飼い主が反応することを期待しています。

「ここが痛いよ!」

体のどこかに違和感があったり、痛みや痒みなどの不具合があったりするとき、その場所をペロペロ舐めることがあります。
どこか特定の部位を舐め続けているときは、皮膚炎やできものなど、なんらかのトラブルが生じていることも。舐めている箇所を触ろうとすると、唸り声を上げるといった行動も見られます。
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犬が床や地面を舐める理由

地面のにおいを嗅ぐ犬
犬が地面をクンクン、ペロペロする行動にも、きちんとした理由があります。
飼い主や自分自身を舐める行動に共通する部分もありますが、ストレスによるものや食べ物の匂いにつられて、というのが主な原因です。

「イヤな感じだなあ」

緊張状態にあるときや、不安を感じているとき、自分を落ち着かせようとして床を舐めることがあります。
行動を叱ったり無理にやめさせたりするのは、余計にストレスを溜めてしまう原因になることも。別の方法で犬の気をそらしてあげる必要があります。

「なんだかおいしそうな匂いがする!」

食事のときにうっかり床に落とした食べこぼし。そのままにしておくと、おいしい匂いに気付いた犬が、床を舐めまわす……といったケースもあります。
また、栄養が不足していたり、空腹状態になったりしている犬が、食べ物を求めてフローリングの床を舐めてしまうことも。
衛生的にもよくないうえに、犬にとって有害な食べ物を拾い食いする可能性もあるため、食べこぼしには十分気を付けましょう。
ローテーブルや座卓など、犬が届く高さのテーブルにも注意が必要です。

「つい舐めちゃうんだよね」

食べこぼしの拾い食いやストレス発散がきっかけで、床を舐めることが癖となって何度も繰り返してしまうパターンです。
床や地面を舐めることや、拾い食いが癖になると、危険物の誤飲といった思わぬ事故にもつながります。
犬が地面を舐める原因を取り除き、安心して暮らせる環境を整えてあげましょう。

犬の舐める癖をやめさせるには?

しつけ中の犬
犬の舐め癖は、一時的であれば支障がないことが多いものの、過剰になるとやっかいです。
犬の舐める癖をやめさせたいときに有効な手段を、3つご紹介します。

ストレスの原因を取り除く

犬が体やモノを舐めてしまう原因の一つは、ストレスです。
ごはんや運動の量は十分か、安心して過ごせる環境か、分離不安症になっていないか、留守番が長すぎないか……ストレスの原因をできる限り取り除いてあげることで、過剰な舐め癖もおさまるでしょう。

遊ぶ時間を増やす

退屈が原因であれば、遊ぶ時間が足りないのかもしれません。
時には、犬が満足するまでとことん付き合ってあげるのも大切です。犬と遊ぶ時間を増やすことは、よい関係を築くためのコミュニケーションにもつながります。

「お座り」などの号令をかけて制止し、指示通りできたら褒める

しつけの要領で、言葉とハンドサインで舐めるのをやめさせましょう。
犬が号令にちゃんと従うことができたら、「ちゃんとできて偉いね! いい子だね!」とたっぷり褒めてあげてください。

愛情を持ってペロペロ舐めてくる犬を止めることは、なんだか罪悪感がありますよね。
しかし、犬に舐められることにより、「人獣共通感染症」という怖い病気に感染してしまう可能性もあります。
病気の感染を避けるために、なるべく愛犬に体を舐めさせないようにしつけましょう。

まとめ

舌を出す犬
以上が人や自分の体を舐めるときの犬の気持ちと対処法についての解説でした。

ペロリと舐める行動は、犬なりのコミュニケーション手段。愛情表現のほかにも、たくさんの意味が込められていることが分かりました。
言葉を話せない犬は、舐めることによって飼い主に気持ちを伝えようしているのだと考えると、ちょっと迷惑な行動も、健気でかわいらしい行動に思えてきますね。

犬の気持ちを知ることで、より楽しく、充実したドッグライフを送りましょう。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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