老犬の夜鳴き(夜泣き)、原因は?

ある日突然始まる老犬の夜鳴き。なぜ鳴くのでしょう?

認知症

老犬の夜鳴きは、認知症の症状の一つである可能性が高いです。愛犬の行動をしっかり観察しましょう。
認知症では昼夜の逆転、徘徊、旋回を繰り返す、飼い主の呼びかけに無反応、おもらしなど、夜鳴き以外の症状も多くみられます。
認知症は、老化に伴い少しずつ症状が現れるケースと、環境の変化や病気などが引き金となり、急激に悪化するケースがあります。

体の痛み

長時間同じ体勢でいることでできた床ずれの痛み、関節痛、腫瘍や傷、腹痛など、痛みが原因かもしれません。
加齢に伴って発生する変形性関節症の場合は、慢性的な痛みを伴います。床ずれは、寝たきりでなくても発症することがあり、睡眠中の血行不良が原因になることもあるようです。

視覚や聴覚の衰えによる不安

見えない・聞こえない不安から、夜鳴きをすることもあります。孤独感や体の不調から、精神的に不安定になる老犬も少なくありません。

ごはんやトイレなどの要求

おなかが空いた、トイレに行きたい、水を飲みたい、抱っこしてほしいなどの要求鳴きというケースです。
老犬の要求鳴きは、わがままや甘えだけではありません。犬自身で行うことが難しく、飼い主さんのサポートを要求しているのだと考えてあげましょう。

生活リズムのズレ

日中のお昼寝時間の増加、運動不足、昼夜逆転、体内時間のズレから、夜眠れず、徘徊とともに夜鳴きが始まる場合があります。

老犬の夜鳴き(夜泣き)の対処法は?

不安、要求、生活リズムのズレによる夜鳴きの場合は、改善が可能です。

声をかける、そばで寝る

見えない、聞こえない、不安や孤独感からの夜鳴きは、飼い主さんの声を聞いたり匂いを嗅いだりできれば、すぐに鳴きやむはずです。
そばへ行って声をかけ、体をなで、そして近くで一緒に眠って、安心させてあげましょう。

要求にこたえる

愛犬が何を不快に思っているのかを探って対処していくと、要求鳴きは改善します。
愛犬が何を求めているのかわからないときは、本能からくる欲求と考えてみましょう。
まずは「おなかが空いた、トイレにいきたい」、「暑い・寒い」、「寝心地が悪い」や「移動したい、寝返りをうちたい」など、愛犬の状態を観察し予想を立てて、順にかなえてあげましょう。

老犬の要求鳴きは、自力で行うことが困難で、助けをもとめて訴えている場合が多いです。愛犬の要求を汲み取ってこたえ、満たしてあげましょう。
おなかが空いている様子なら、「今は食事時間じゃないから」と考えず、少量のごはんを与えてください。
トイレに行きたい様子であれば、思い切ってトイレ場所を近くに設置するのもよいでしょう。
寝心地の悪さを訴えてくることが多ければ、老犬にやさしい寝床づくりをしてみましょう。

生活リズムを整える

日中のほとんどを寝て過ごすようになってきた老犬。
もし夜鳴きが始まれば、夜とれなかった睡眠を日中にとるようになり、あっという間に昼夜逆転の生活になってしまいます。
日中の長すぎるお昼寝は、夜に目がさえて眠れずまた夜鳴き……という悪循環に陥ります。まずは夜眠れるよう、日中の起きている時間と運動量を増やしてみましょう。

日中のお散歩と日光浴は体内時計のリセットの効果だけでなく、気分転換や脳への刺激が得られ、心地よく程よく疲れてくれます。
日中、飼い主さんがいない日は、テレビをつけっぱなしで出かけるのもよいでしょう。テレビからの音や映像は、老犬の脳によい刺激を与えてくれるといわれています。
また、夜はできるだけ真っ暗にし、日中としっかり区別することも大切です。

老犬の夜鳴き(夜泣き)で注意すべき点は?

叱らない

老犬の夜鳴き対策でしてはいけないことは、「叱る」「無視する」「放置する」です。
これらは家族に迎えて間もない犬に対し、トレーニングやしつけとして行うには効果的な方法ですが、老犬には効果がないばかりか、症状を悪化させてしまう可能性もあります。
なぜ鳴いているのか理由を知るためにも、すぐに愛犬の様子を見に行き、声をかけてあげましょう。

騒音対策

愛犬へのケアと同じくらい大切なのは、自分自身が疲れてしまわないようにすることです。
愛犬の夜鳴きで一番深刻なのは、おそらくご近所への騒音問題。鳴き声がうるさくて近所迷惑になっていないか、不安を抱えながら愛犬のお世話をするのは心的負担が大きいもの。
そんなときは思いきって、近隣の方々に直接声かけてみてはいかがでしょう。愛犬の状態や、しつけをしていないわけではないことを知ってもらうのは大切です。状況がわかれば、理解してくださる方もいるはずです。
一軒一軒訪ねることが難しければ、自治会(町内会)の会長さんに相談するのもいいかもしれません。

また、防音グッズもおすすめです。
取り付け・取り外しが簡単な防音壁(シートタイプ)、吸音材、防音カーテンなどさまざまな種類があります。飼い主さんの負担や心労を軽減するためにも、活用してみてはいかがでしょうか。

それでも夜鳴き(夜泣き)する場合は?

愛犬の夜鳴きが認知症によるものの場合や、体の痛みからくるものの場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
しかしながら、何をしても治まらないケースもゼロではないでしょう。その場合も、夜鳴きは病気ではないからと悩まず、ためらわず、獣医師に相談してください。

認知症はサプリメントや漢方で症状を改善したり、ある程度進行を遅らせたりすることができるといわれています。痛みが理由の場合は、痛みの原因を治療することで夜鳴きは改善します。

いろいろ努力しても治まらない場合は、睡眠薬や精神安定剤を使用するという方法もあります。
老犬に薬を飲ませることに抵抗を感じる飼い主さんも多いと思いますが、愛犬にとっては一晩中鳴いて心身疲れ果てるほうが苦痛かもしれません。
獣医師と納得いくまで話し合い、適量を与えるならば、愛犬も飼い主さんもゆっくり体を休めることができるでしょう。

まとめ

老犬が夜鳴きをするようになったら、まずは原因を探ることが、解決への第一歩です。
また、飼い主さんの心に余裕があることも大切です。なかなか治まらない場合も一人で抱え込まないでください。
症状をよく観察し、獣医師に相談することで的確なアドバイスがもらえます。不安を感じたらすぐに診てもらいましょう。
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 執筆者プロフィール
No dog No life

特に牧羊犬が大好きです。
一番の関心事は「シニアわんことの暮らし」。
「人と動物の共生」「ワンヘルス」にも関心があり勉強中です。

動物愛護フェスティバル実行委員。
某県の災害時動物救護ボランティアチームに所属。
某県の動物愛護センターの登録ボランティア(おうちに帰れなかった犬たちの保護と譲渡のお手伝い)もしています。

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