犬はトマトを食べられる？ 犬にとって、トマトのリコピンは効果的！

赤く熟したものに限りますが、トマトは犬に害のある成分は含まれていないため、犬に与えても問題ありません。
与える際には気を付けなければならないことがいくつかありますが、トマトをいつもの食事にトッピングすると食いつきがよくなる、喜んで食べるなど、トマトを好きな犬も多いようです。

犬にトマトを与えるメリットについて、トマトに含まれる栄養素からみていきましょう。

リコピンは、天然色素カロテノイドの一種です。トマトの赤い色はリコピンの成分。リコピンはトマトのほかに、スイカや柿、紫キャベツなどにも含まれます。
強力で優れた抗酸化作用を持ち、体のさまざまな機能の老化・酸化を予防する働きがあります。

βカロテンも天然色素カロテノイドの一種です。オレンジ色で、トマト以外には、にんじん、かぼちゃなどに含まれます。
犬の体内に入るとビタミンAへの変換が行われ、プロビタミンAとして働きます。プロビタミンAには、皮膚や粘膜を健康な状態で維持する働きがあります。

抗酸化作用を持ち、白血球の機能強化や免疫力アップにも効果を発揮するビタミンC。リコピンとともに働くことで、皮膚や骨、関節、被毛などを構成するコラーゲンの生成をサポートします。
犬は自分の体内でビタミンCを合成できますが、合成量が必要量に足りない状態のときもあるようです。体外からの摂取は必須ではないものの、与えるメリットが多くあるといえるでしょう。

利尿作用の働きが認められているカリウム。体内で水分の調整を行うだけでなく、血圧を下げる効果も期待できます。
同時に、摂取の際は注意が必要なケースもある成分です。特に腎臓病や高カリウム血症などカリウム制限が必要な犬に与える場合には、一度、獣医師に相談することをおすすめします。

栄養豊富なトマト、実は約90％は水分でできています。水をあまり飲んでくれないとき、足りていないと思うときに、いつものフードにプラスすることで手軽に水分補給ができるでしょう。

トマトを与える際には、加熱することをおすすめします。
トマトに含まれるリコピンは、加熱によって吸収率が高くなります。また、油に溶けやすい脂溶性ですので、油と同時摂取すれば、体内での吸収率はより高まるといわれています。
茹でたり、油で炒めたりと加熱調理することで、さまざまなメリットをより効果的に与えることができます。
たとえばトッピング用に、完熟トマトを細かく刻んでオリーブオイル炒め。ほかにも、トマトスープや、肉と一緒に煮込むトマトリゾットなど、いろいろなレシピがあるようです。

トマトは犬に与えても問題はなく、さまざまな効果が期待できることをご紹介しました。しかし、与える際にはいくつかの注意点があります。

犬に与えても問題ないのは、赤い完熟トマトの実の部分だけです。
これは、未成熟のトマトの果実には、トマチン（アルカロイド配糖体）という、殺虫剤的役割をもつ毒性の成分が含まれているためです。トマチンは完熟すると1000分の1に減少し危険な量ではなくなりますが、花や茎、葉、ヘタには含まれています。
与えるのは赤く完熟した果実の部分のみ。ほかの部分や未熟なものは絶対に与えないよう、また、誤食の可能性がある場所には置かないように気を付けてください。

アレルギー反応を起こす可能性があることを考え、初めて与える際は少量のトマトを。体調が悪くなったときに備え、動物病院が開いている時間に与えてください。
いつもと違う様子や、気になる症状が出た場合には、すぐに獣医師に相談しましょう。

どんなに体によいものでも、過剰摂取は禁物。
水分量が多いトマトは、与え過ぎるとおなかをくだし、下痢をしてしまう可能性もあります。
また、犬はトマトの皮の消化が苦手です。
愛犬の適量を見極め、皮は剥いてから与えるか、細かくみじん切りにするなどしてから与えることをおすすめします。
もしも吐いたり下痢をしたりなどの症状があらわれた場合には、病院へ行きましょう。

一年を通して手に入れることができる身近な野菜、トマト。手軽にリコピン摂取ができるので、愛犬の健康維持にもうってつけです。加熱調理をして楽しく、おいしく、効果的に与えてみてはいかかでしょう。