多頭飼いにおけるしつけのポイント

犬は上下関係を重視し、群れにおける自身の順位を気にする習性があります。

多頭飼いにおいて「群れ」のリーダーは、飼い主さんです。先住犬は、単身で飼われていた時代から「リーダーから愛されているのは自分だ」と認識しています。

新しく迎えた犬にばかり目をかけてしまうと、やきもちを焼いて問題行動を起こすこともあります(新しく迎えた犬が子犬の場合、特に多くなりがちですので気をつけましょう)。

ほめる順番も先住犬を先に

これまで飼い主さんからの愛情を一身に受けてきた先住犬にとって、新しく迎えた犬は群れにおける順位を揺るがす存在になりかねません。

先住犬が精神的に不安定になれば、迎えた犬もまた不安定になりがちです。先住犬が安心感を得て落ち着いていれば、多頭飼いを穏やかに進められます。

多頭飼いをはじめた当初のルール

新しく犬を迎えた当初は、先住犬を優先させることがポイントです。例えば、食事を与える順番・散歩に出かける順番・ブラッシングをする順番……一緒に声をかけるのではなく、まずは先住犬に声をかけましょう。

特に、新しく子犬を迎えた際に気をつけたいポイントです。先住犬がやさしい性格で新しく迎えた犬に順番を譲ったとしても、そのまま受け入れてはいけません。子犬がわがままに育たないよう、ルールは守らせます。ルールのもとで子犬が主従関係を覚えていくことにより、先住犬を敬うようになります。

それぞれの犬と上手な距離感で接するには

多頭飼いをはじめた当初、先住犬を優先として対応することは大切なルールです。しかしながら、それは新しく迎えた犬を邪険に扱うということではありません。それぞれの犬と深く接する時間は、しっかりと確保しましょう。

散歩のタイミングを生かそう

新しく迎えた犬とコミュニケーションをとる際は、先住犬の姿が見えない場所で行いましょう。

とはいえ、室内では個別にコミュニケーションを図るタイミングはなかなか見つけにくいかもしれません。そこで、散歩に出かける機会を生かしてコミュニケーションを図ります。

散歩や運動は、皆で一緒にしてあげたくなりがちですが、この機会こそ愛犬たちと個別に深くコミュニケーションをとるチャンスです。多頭飼いの生活では他者へ気をつかうこともあり、どこかストレスを抱えがちです。飼い主さんとマンツーマンで散歩へと出かける時間は、愛犬にとって「のんびりできる時間=リフレッシュできる時間」となります。

また、散歩は愛犬のことをより深く知るいい機会でもあります。どんなことに興味を示すのか、得意や苦手なことはなにか、行きたいコースはほかの犬と違うのか……愛犬それぞれの思考や行動を理解でき、よりよいコミュニケーションを実現できます。

短い時間でも、個別にコミュニケーションをとる時間をつくってあげましょう。愛犬それぞれとの結びつきを強くすることも、多頭飼いのうえでは大切なポイントです。

多頭飼いにおけるコミュニケーションで気をつけたいポイント

多頭飼いをはじめた当初は犬だけで遊ばせない

多頭飼いのなかで犬同士の結びつきが強くなると、依存の関係に陥ることもあります。なんでも一緒じゃないと行動できない、関係を壊すものは排除しようとする……など、問題行動につながりがちです。

犬同士で序列をつくりあげると、リーダー(飼い主さん)の言うことを聞かなくなる恐れもあります。過保護にならない程度の距離感を保ちつつ、愛犬それぞれとコミュニケーションをとるように心がけましょう。

成犬と子犬の関係

先住犬が成犬で新しく迎える犬が子犬の場合、やんちゃ盛りでエネルギッシュな子犬に先住犬が嫌がる場合もあります。

子犬を受け入れなくなってしまうと、多頭飼いがうまくいきません。適度な距離を置き、無理に遊ばせないようにしましょう。

まとめ

多頭飼いのスタートする際には、飼い主さんがリーダーシップを発揮してしつけを行うことが大切です。主従関係とルールを守らせて、集団生活に慣れるよう配慮しましょう。そして、愛犬たちとはそれぞれ個別に接する時間を確保しましょう。信頼関係は、多頭飼いを上手に行う大切なポイントです。

犬の多頭飼い特集-あとがき 愛犬それぞれと深いコミュニケーションを

多頭飼いは、先住犬と新しく迎える犬の性格によって、すぐに仲よくなる場合もあれば、一年など時間がかかる場合もあります。飼い主さんにとっては、どの子もきっとかわいいと思っていることでしょう。焦らずにゆっくり、愛犬同士が仲よく暮らしていけるようにサポートしてあげてくださいね。


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『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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