犬を多頭飼いするメリットとは?

近年、犬の飼育環境は大きく変わりました。室内飼いが主流となり、単身世帯でペットが飼われることも多くなっています。こうした飼育環境の変化から、犬が他者と交流する機会は、年々減ってきているのではないでしょうか。

はるか昔、犬は群れを成し集団生活を送っていました。集団生活のなかで他者との関係性を体得してきたこともあり、犬が持つ社会性は高いといわれています。

犬種や個体により単独行動を好む場合もありますが、他者との信頼関係を築くことは犬にとってそう難しくありません。もし、相性のよい犬と多頭飼いができれば、日々楽しく仲間との生活を送ることができるでしょう。

多頭飼いは、他者とのコミュニケーションのなかで犬が本来もつ社会性を引き出します。集団生活のルールを学び、そして実践することで精神的に大きく成長していくのです。

多頭飼いのメリット3つ-社会性・留守番・意識の変化

子犬の社会性を育む

先住犬が成犬で新しく迎える犬が子犬の場合、成犬は子犬に飼い主さんとの関係性や順番づけなどのルールや上下関係を教えていきます。

犬同士の触れ合いのなかで子犬はルールを学び、社会性を育んでいきます。特に、コーチ役の先住犬が精神的に成熟しているとしっかりとルールを覚えていけるようです。

留守番時のストレスを軽減

愛犬に留守番をお願いする際、従順な性格の犬は孤独感を感じやすいことからストレスをためがちです。多頭飼いの場合は、仲間がそばにいるのでストレスを軽減し、落ち着いて留守番をしやすくなります。

愛犬が落ち着いて留守番をできるようになれば、結果的に飼い主さんの不安も軽減されるのではないでしょうか。

飼い主さんの意識変化

一頭単独で飼育している場合、かわいさあまりについつい愛犬を甘やかしてしまうことがあります。多頭飼いの場合は、愛犬たちそれぞれに等しく接することになるので、過保護になりにくく、愛犬の自立心も養われていきます。

犬を多頭飼いするデメリットとは?

大きな部分では、経済的・時間的な負担の増加です。単独での飼育に比べ、多頭飼いは犬の世話にかける時間や食費・用品費・医療費が増加します。

多頭飼いを検討している方は、これまでより時間と費用がかかること、そして飼い方が大きく変わることを理解しておきましょう。

具体的な例としては、
■先住犬を優先にしながら、それぞれの愛犬に合わせたしつけ方を行う
■愛犬ごとに散歩の時間を設ける
■それぞれの愛犬を上手に育てるため、飼い主さんが対応できる時間と費用の把握
など……。

もし多頭飼いの最中で飼い主さんが余裕を失えば、愛犬の飼育に悪い影響をおよぼします。

飼い主さん自身のライフスタイルと照らし合わせながら、多頭飼いができるかどうか、まずはしっかりと検討しましょう。

愛犬とご自身の将来を見越して多頭飼いをしよう

室内飼いが主流となった近年。以前と比べ犬の寿命も延び、高齢化の時代に突入しました。人間同様、犬の世界でも老後の介護は年々重要度を増しています。

例えば、多頭飼いをはじめる際に何頭かの子犬を同時に迎えた場合、年月が経てば愛犬たちは一斉に老犬期を迎えます。もしかすると、複数頭が同時に介護状態へと置かれる可能性もゼロではありません。仮にそうなれば、飼い主さんの負担は決して軽いものではありません。

そして、飼い主さん自身の現在の年齢も踏まえておきましょう。
将来、愛犬たちが老犬期を迎える時、飼い主さんの年齢は何歳でしょうか? そのとき、経済状態や健康状態はどうなっていると考えられるでしょうか? 今だけではなく、将来にわたって多頭飼いを維持できるようにしなければいけません。

多頭飼いを検討する際には、愛犬そして飼い主さんの将来を視野に入れて検討してみましょう。また、老犬期だけではなく、幼犬期の子育ても相応のエネルギーが必要です。多頭飼いを行う前には、飼い主さんが対応できるキャパシティを一度考えてみてくださいね。

先住犬の年齢に合わせた多頭飼いの方法を

犬を多頭飼いする際、新たに迎える犬は子犬であることが比較的多いと思います。その際、先住犬の年齢はさまざまです。新しく子犬を迎えて多頭飼いをはじめる場合、先住犬の年齢を考慮しておく必要があります。

先住犬が若い場合

子犬~成犬は、若々しく元気いっぱいです。同居当初、先住犬が新しく迎えた子犬にストレスを多少感じたとしても、先住犬も若いため徐々に順応し、多頭飼いの生活を楽しんでいけるようになります。

先住犬が老犬の場合

これまで長い時間をかけてつくりあげた生活のリズムや、慣れ親しんだ生活環境に大きな変化が訪れるので、新しく迎える犬との生活に対応しきれず、ストレスを抱えてしまう場合があります。

一方では、相性のよい子犬と引き合わせられるとポジティブな効果が現れることもあります。子犬の若さが活力となるのか、行動が活発になるなど活力を取り戻す老犬もいるようです。

【多頭飼いは年齢差が大切?】
先住犬と子犬の年齢が近い場合、成長するタイミングが近いため、縄張り争いや順位づけなど互いを主張し合うことでケンカをしやすくなります。

同性同士の場合は3歳以上・異性同士の場合は2歳以上年齢の差があると、ケンカが比較的起きにくいといわれています。

先住犬がいない状態で多頭飼育をはじめる場合

現在犬を飼育していないものの、同時に複数頭の子犬を迎えたい場合についてはどうでしょうか。

同年齢の子犬たちの場合

きょうだいとして、順番づけをせず平等に育てましょう。日々の生活、そして成長段階において、きょうだいの間で順番づけが行われていきます。

異なる年齢または成犬同士の場合

個体の性格によって相性はさまざまです。仲よくさせようと、無理に人間が介入しないようにしましょう。2頭の関係性を確認しながら、ゆっくり慣らしていきます。

まとめ

多頭飼いには、犬が本来持つ社会性を引き出し向上させるメリットがあります。精神面が成熟することで、飼いやすい犬へと成長できるかもしれませんね。一方で、多頭飼いにはこれまでと比べ、愛犬にかける費用と時間を必要とします。飼い主さんの状況を踏まえて、多頭飼いを行うか検討しましょう。

今回は、先住犬がいる場合の年齢差・新しく複数頭を迎えて多頭飼いをはじめる際のポイントについても触れてきました。次回は、先住犬の性格・精神面を中心とした多頭飼いのポイントについてご紹介します。


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『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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