老犬がごはんを食べない理由

愛犬が以前のようにごはんを欲しがらなくなり、どんどん痩せる姿を見るのはつらいことです。なぜ老犬になるとごはんを食べなくなるのでしょう。

①嗜好が変わる、こだわりが強くなる

今まで食べていたものを食べなくなるのは、味覚と嗅覚の低下によるものかもしれません。体調により食べたいものが変わる場合もあります。

②食欲がなくなる

老犬になると、食欲そのものが落ちる場合があります。胃や腸などの消化機能の働きが弱くなる、腎臓や肝臓の能力の衰えなどが原因です。

③代謝が落ちる

老犬になると基礎代謝が低下するので、おなかが空きにくいのかもしれません。足腰や関節が弱くなり、そもそもの運動量が減少していることもあります。

④その他、痛みなど

食べるときの姿勢がつらい、口の中のどこかに痛みがあるなど、食べたいけれど食べられないという状態です。

老犬がごはんを食べないときの工夫

老犬の場合、「最近あまり食べないな」と思っているうちに、あっという間に衰弱してしまいます。
「愛犬がごはんを食べない理由」をヒントに、食べたくない理由や食べられない理由を探り、食べてもらえるよう工夫をしましょう。

ドッグフードをあたためる

ドッグフードをあたためると香りが強くなります。また、冷たいままより食べやすく、消化にもやさしいです。
方法は電子レンジで人肌くらいにまであたためるのですが、缶入りウェットタイプの場合は、缶のまま湯せんしてもOKです。
ただし缶の破裂を防ぐために、必ず缶の蓋を少し開けてから湯せんにかけるようにしてください。また、お湯から取り出すときはやけどに注意しましょう。

やわらかくする

出汁や白湯などスープを入れ、フードをふやかします。食べやすくなるうえ、水分を一緒に取ることも可能です。スープ入りフードやウェットフードは食欲不振のときの対策だけでなく、水を飲まないときの水分補給にも有効といえるでしょう。

ドッグフードを変更する

ごはんを食べてくれないときは、思い切ってドッグフードを変えてみましょう。
これまでがドライタイプでしたらウェットへ、ウェットでしたら別のウェットフードへ。または手作りごはんへ変更すると、ごはんを食べてくれるかもしれません。手作りはごはんは焼き魚やおかゆを混ぜてみるなど、市販のフードとの半々でも効果が期待できます。

トッピングをする

嗜好性の高いもの、香りが強いものなどをトッピングし、食いつきをよくするのがねらいです。トッピングだけしか食べないという結果でも大成功。ほめてあげましょう。
トッピングは、市販されている犬用のふりかけのほかに、さつまいも、すりおろしりんご、無糖ヨーグルト、小魚、かつおぶし、納豆(※粉末タイプが食べやすいです)などもおすすめです。さまざまなものを試し、根気よく続け、愛犬の食欲を刺激しましょう。

食器や食器の高さを変えてみる

ドッグフードに工夫をしても食べない場合は、器や食器の高さがあっていないのかもしれません。
器が深すぎたり浅すぎたりしていませんか? 愛犬が食べやすい形状のものに変えてみましょう。
食器の高さはあっていますか? 愛犬が体を丸めたり頭を下げたりしなくても食べられる高さに調整しましょう。

寝たきりの老犬の食事

寝たきりになると量を多く摂るのが難しくなるので、少量で栄養を摂れる、高タンパク高カロリーなものを選びましょう。手作りでしたら、牛バラ、豚バラ、皮つき鳥モモ肉などの食材がおすすめです。

食べさせるときのポイント

手作りごはんの場合は、食材がやわらかくなるまで煮込んだり蒸したりしたものをミキサーなどにかけ、食材すべての硬さが均一(ペースト状)になるようにします。
市販のウェットフードでも、野菜や肉が粒状で入っているものは、一度ミキサーにかけたほうが安心です。
スプーンで与える場合はごく少量を、口の横、犬歯の後ろあたりから差し込みましょう。小型~中型犬であれば油さし、大型犬であればドレッシングボトルをシリンジに見立て、流動食のようにして食べさせることもできます。
自分で食べたいようであれば、お皿を口元に近づけてあげましょう。

気をつけること

寝たきりの犬の食事で気を付けなければならないのは、「誤嚥(ごえん)」です。
老犬になるとさまざまな機能低下により、飲み込んだ物が食道ではなく気管に入ってしまう現象、「誤嚥」が起こります。
寝たままや、顎だけを上にあげた姿勢での食事は、飲み込む力が入れにくく、誤嚥する危険性も高くなります。

飲み込みやすくするため、また、リスクを避けるために、食事の際は上半身を起こし、食道から胃までがまっすぐになるように座らせてください。ソファやクッション、まるめた毛布などを活用し、姿勢を保持しましょう。
座らせるのが難しいなら、寝たままでもできるだけ上体を起こし、顎ではなく頭を上に上げるように意識してください。

誤嚥は老化により常態化し、嚥下(えんげ)障害を発症することもあります。常に愛犬の状態を把握し、姿勢や食事量、フードのやわらかさ、食べさせるスピードなどを調整しましょう。

その他、食前準備

ごはんの前に寝返りをうたせたり体をマッサージしたりして、筋肉をほぐし、体をあたためる準備運動をさせましょう。
口の準備運動には、ペースト状のごはんを塗った人差し指を口の中に入れ、舌のうえに置くという方法があります。
愛犬がぺろぺろと舌を動かせば準備OKです。「いまからごはんだよ」「おなか空いたね」など飼い主さんからの声がけも大切です。

老犬が食べなくなったときの注意点

ごはんを食べなくなってからの余命

これまでの「食べない」とは違う、「どうしても食べない」時期がやってきます。
口から食べることが生きることの第一条件なので、点滴などの処置を行っていない場合は、まったく食べなくなってからの余命は短く、数日くらいとなります。
数日は、3日であったり7日であったり多少の差がありますが、それはその犬の残っている体力次第ということになります。

最期の症状

最期の症状もそれぞれではありますが、吐く、下痢を繰り返すようになる、けいれんがみられるなどがあります。

病院に相談する

まったく食べなくなったら、それはその子の寿命かもしれません。はたまた、点滴などでまだまだ回復する状態かもしれません。まずはかかりつけ医に相談してください。
症状から状態をみて、飼い主さんの希望をきき、病院としてできることを提案してくれるでしょう。

最期の食事

口から栄養を摂るのが難しくなった老犬には、健康や栄養を考慮したフードでもサプリでもなく、おいしいもの、好きなものを食べさせてあげたいと、ヨーグルトやプリン、シュークリームやロールケーキなどを選ぶ飼い主さんも多いです。
スポーツドリンクや水をスポイトで与えたり、水で濡らした綿で口の周りを拭いたりするなどして、脱水にならないようにだけ注意してください。
食事時間は大好きな家族のそばで過ごせるようにするなど、家族だんらんを意識し、食欲と同時に安心も与えてあげられるといいですね。

まとめ

若く元気なころであれば、栄養バランスを考えた食事をおすすめしますが、食欲が落ちた老犬の食事は「喜んで食べてくれるものかどうか」が重要です。
むしろ元気だったころには避けてきた、少量でもカロリーが多く摂れる食材などを与え、老犬がおいしく食事をとれるような工夫を心がけましょう。
 執筆者プロフィール
No dog No life

特に牧羊犬が大好きです。
一番の関心事は「シニアわんことの暮らし」。
「人と動物の共生」「ワンヘルス」にも関心があり勉強中です。

動物愛護フェスティバル実行委員。
某県の災害時動物救護ボランティアチームに所属。
某県の動物愛護センターの登録ボランティア(おうちに帰れなかった犬たちの保護と譲渡のお手伝い)もしています。

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