多頭飼いを始めるタイミング-先住犬との関係

多頭飼いを行う場合、すでに犬を飼っている状態でスタートする場合が多い傾向があります。先住犬である愛犬の成長に合わせたタイミングで多頭飼いをはじめましょう。

■先住犬が小型犬・中型犬の場合
小型犬・中型犬は、2歳を迎えるころ精神的・肉体的に成熟し落ちつきが出てきます。このころには、しつけもひと通り入っているのではないでしょうか? 先住犬が成熟したタイミングで多頭飼いをはじめれば、新しく迎えた犬を受け入れやすくなります。

■先住犬が大型犬・超大型犬の場合
大型犬・超大型犬は小型犬・中型犬と成長のスピードが異なり、成熟する時期が比較的遅くなります。精神的・肉体的に安定してくる、3歳ごろに多頭飼いを検討していくとよいでしょう。

■先住犬が生後6カ月未満の子犬の場合
新しく迎える犬が子犬の場合はきょうだい的な存在として育て、成犬の場合はその成犬を群れでの上位として扱いましょう。

順位づけは犬たちに決めさせる

遊びのなかでの力比べや、犬同士の相性が合わずにケンカをはじめることもありますが、群れのなかで力関係を上にしようと戦いを挑んでいるという意味合いもあります。これは「順位づけ」と呼ばれる犬の習性でもあり、大切なコミュニケーションです。

犬の群れには上下関係があり、順位づけを行います(特に、年齢の近い犬同士は顕著です)。

多頭飼いにおいても同様で、先住犬が必ず優先されるというわけではありません。先住犬と新しく迎えた犬の間で決めていきます。端からみるとケンカをしているようにも見えますが、基本的には飼い主さんが介入しないようにしましょう。

順位づけの結果、犬は納得して上下関係をつくります。群れのなかでの順位があやふやだと争いごとが続くので、犬同士が納得して順位を決めるまで見守ることが大切です。

飼い主さんは群れのリーダーとして、犬同士が決めた順位によって対応をとりましょう。食事の順番などの様子を見ながら順位が上となった犬を見分け、上位の犬から対応していくようにします。

順位づけのケンカを止める方法

ただし、あまりにケンカが激しい場合はいったん止めに入りましょう。大ケガを負ってしまってはいけません。止めに入る際には、無言で犬の間に体を割り込ませましょう。そして、愛犬が落ち着いてきたらそれぞれを離すようにします。

これは、犬同士でも使っている「カーミングシグナル(自分と相手を落ち着かせようとするコミュニケーション信号)」のひとつです。

ケージとトイレ-愛犬ごとに独立した住環境を用意できればベスト

多頭飼いの際は、それぞれの犬ごとに居住スペースを用意します。犬は縄張り意識を持つ動物です。それぞれ個別にケージやトイレを用意すると、縄張り争いなどのトラブルが起きにくくなります。

パーソナルスペースとしておすすめのケージ

ケージは犬にとって縄張りとなる居所の役目を果たし、愛犬たちにとって安心できる寝床にもなります。愛犬の数だけ用意しておくと、日々安心して生活を送ることができます。

トイレも頭数分用意しておくことが望ましい

トイレも飼っている犬の数に合わせて用意しておきましょう。なかには一つのベッドやトイレを共有しようとする犬もいますが、広さには限りがあるので落ち着いて用を足せる環境が必要です。

【スペースを確保することが難しい場合】
大きめのサークルを準備し、サークル内にそれぞれの寝床・トイレスペースをつくりましょう。寝床はタオルやシーツなどを敷いて場所を決め、トイレの場所はトイレシートを数枚敷いて確保します。できるかぎり広いスペースを確保してあげましょう。

可能ならば事前に顔合わせを

感染症やトラブル防止の観点からなかなか実現が難しいかもしれませんが、もし新しく迎えたい候補の犬と先住犬が事前に顔合わせをできる場合、相性の確認を兼ね何度か候補犬と会わせるとよいでしょう。一緒に遊ばせることができれば、相性のチェックもできるのでなおよいです。

【新しく迎える犬が子犬の場合】
子犬は、ケンネルコフなどの感染症や耳ダニ・寄生虫などへの抵抗力が弱く、病気にかかりやすくなります。先住犬への感染を防ぎ、健康を守るためにも子犬に免疫がついた段階でお迎えすることが理想的です。

子犬がワクチンを接種していない状態で迎える場合は、あらかじめ先住犬にワクチン接種を行い、接種後1週間など期間を空けてから子犬を迎えましょう。

新たな環境に慣れていくためのポイント

迎えた犬にとっては新しい環境に、先住犬にとってはこれまでと変化する暮らし方に、それぞれ慣れていくことが大切です。できるかぎり自然な状態で、毎日の生活を送れるようにしていきましょう。

焦らず環境に慣れさせよう

最初のうちは別々のスペースで飼育し、徐々に距離を近づけていくことがポイントです。飼育する部屋がたとえ同じでもサークルやケージで仕切りをつくり、お互いが見えるようして慣れさせる方法もあります。

お互いの存在を確認させながらフードやおやつを与えていくなど、徐々に共通のイベントを増やしていき、お互いの存在に慣れさせていくと、その後の多頭飼いがうまくいきやすくなります。焦らず無理せず、時間をかけましょう。

まとめ

実際に多頭飼いをはじめる際には先住犬の存在を考慮しながら、適切なタイミングではじめることが理想的です。そして、愛犬それぞれが快適に暮らせる環境づくりが大切ですね。ケージやトイレは、頭数分用意できると愛犬が安心して生活を送ることができます。距離感はすぐに近づけず、徐々に慣れさせていくようにしましょう。

次回は最終回です。実際に犬の多頭飼いをはじめてからの飼い方についてご紹介します。


次は最終回です! 前回&次回の記事はこちら
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『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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