シベリアンハスキーの特徴は

シベリアンハスキーの成犬の理想体高はオス53.5~60cm、メス50.5~56cm、体重はオス20.5~28kg、メス15.5~23kg。日本では大型犬ですが、世界的に見れば中型犬の部類に入ります。オオカミによく似た凛々しい顔立ちで、筋肉質で骨格もがっしり。

北極圏の極寒の気候に耐えるため、ダブルコートの被毛はかなり厚く、抜け毛は多いです。毛色はよく見かけるシルバー&ホワイトやブラック&ホワイトのほかに、レッド&ホワイトやホワイト一色など、種類は意外と豊富。

子犬のころは歌舞伎の隈取のような、独特の模様が入る場合が多いですが、成長とともに目のまわりは白くなります

多くの犬種はだいたい同じブラウンやブラックの目をしているなか、シベリアンハスキーの目の色はさまざま。左右の目の色が違うオッドアイも、シベリアンハスキーにはよく見られます。

シベリアンハスキーの歴史

シベリアンハスキーは、シベリア北東部のチェルスキー山脈一帯が原産の犬種です。極寒の地でも長距離を走り続けられるシベリアンハスキーは、エスキモーの部族であるチュクチ族によって、そりやボートを引く犬として飼育されてきました。

犬種名は、アメリカの探検家や商人がチュクチ族を「ハスキー」と呼んでいたため、飼っている犬もそう呼ばれた、吠える声がしゃがれている(ハスキー)から、など複数の説があります。

シベリアンハスキーが世界に広まったのは20世紀はじめのことでした。ゴールドラッシュの影響でアメリカ人がアラスカに渡り、そこでシベリアンハスキーの評判を聞きつけたのです。数々の犬ぞりレースで勝利を収めたシベリアンハスキーは、犬ぞり愛好家にとってなくてはならない犬になりました。

その後、シベリアンハスキーはピアリーの南極探検、アムンゼンやスコットの南極探検に同行。第二次世界大戦中はアメリカ軍に用いられて北方の探査犬や救助犬としても活躍しています。

シベリアンハスキーの知名度を上げた「命のレース」

シベリアンハスキーの名が世界的に有名になったのは1925年のこと。

アラスカ北西部の都市ノームで、突如ジフテリアが流行しました。ジフテリアは感染力が高く致死性も高い病気。ワクチンを確保していなかったノームではすでに数人の死者が出ていて、一刻の猶予もありませんでした。

ワクチンの緊急輸送が急がれますが、折悪しくノーム周辺にはブリザードが吹き荒れ、空輸は不可能。そこで、アラスカ中央部ネナナからノームまで、輸送のために優秀なシベリアンハスキーの犬ぞりのチームが緊急編成されたのです。

マイナス50℃を記録する極寒と激しい吹雪のなか、100頭以上の犬と20人のマッシャー(操縦者)がリレー輸送を行い、全長1058kmを走破。3万人分のワクチンは無事にノームに届けられました。

少なくとも6頭の犬が死に、多くのマッシャーが凍傷を負ったといいます。このリレーは「Great Race of Mercy(偉大な慈悲のレース)」と呼ばれ、多くの人の心を打ったとともに、シベリアンハスキーの知名度を高めました。

アンカーの先導犬だったシベリアンハスキーの「バルト」は、銅像となって今もニューヨークのセントラルパークに立っています。1996年にはスピルバーグ監督でアニメ映画にもなりました。

バカ犬と誤解された理由① 無駄吠え

日本では1980年代後半に、人気漫画の影響からシベリアンハスキーのブームが起こりました。しかし、シベリアンハスキーの特徴や性格を理解しないままの飼育は多くの誤解を生んだのです

シベリアンハスキーは「バカ犬」だといわれることがありますが、実際はとても知能の高い犬。言い換えれば、飼い方次第ではシベリアンハスキーだけでなく、どんな犬でも「バカ犬」になってしまうということ。

そり犬として活躍してきたシベリアンハスキーは、さまざまなチームでそりを引くためすぐに打ち解けられる社交性があり、常に仲間と一緒に過ごしたい甘えたがりな性格です。

ブームになった当時、日本ではまだ犬を外で飼うのが一般的で、たくさんのシベリアンハスキーがさみしい思いをしました。仲間を呼ぶためにシベリアンハスキーはたくさん吠え、「無駄吠えの多いうるさい犬」のイメージが定着してしまったのです。

現在はシベリアンハスキーだけでなく、犬は室内飼いが推奨されています。
シベリアンハスキーは穏やかで協調性があるので、子どものいる家庭や多頭飼いにも向いています。できるだけ一緒にいる時間をつくり、たっぷりコミュニケーションを取れば、無駄吠えすることは少ないでしょう。

バカ犬と誤解された理由② 脱走癖

シベリアンハスキーは脱走癖があるといわれています。

環境やリーダーが自分に合わないと感じると、状況判断力に優れたシベリアンハスキーは、自ら居心地のいい場所を見つけに行ってしまうことがあります。

シベリアンハスキーに脱走させないためには、戸締りなどの対策も重要ですが、一番はシベリアンハスキーが離れたくない飼い主になることです。毎日毅然とした態度で向き合い、世話をして遊んで、たくさんコミュニケーションを取りましょう。

シベリアンハスキーが脱走するもうひとつの理由として、犬ぞりを引いていた過去が関係しています。犬ぞりを引くときは、一度出発したら、うしろを振り返ることは許されません。そのため、走り出したら一直線。

シベリアンハスキーが走り出したら、気付いたときには迷子、などということもありえます。しかも、楽天的で細かいことを気にしない大雑把な性格のため、迷子になった先でエサなどをもらえた場合、そのまま過ごしてしまうこともあります。

戸締りに注意するとともに、囲まれたドッグランなどを除いてノーリードにすることを避け、念のため迷子札やマイクロチップも用意するのがおすすめです。

シベリアンハスキーのしつけは根気が重要

好奇心旺盛で目移りしやすいシベリアンハスキーは、集中力に欠けるといわれることがあります。しつけの訓練中に飽きたそぶりを見せたら、無理強いせずに切り上げましょう。

楽天的なのでイタズラを叱られても軽い気持ちで繰り返すことがあります。厳しくしつけるより、シベリアンハスキーがイタズラしにくい環境を整えることも重要です。

シベリアンハスキーのしつけで最も重要なのは、シベリアンハスキーという犬種をよく知り、愛情をもって接することです。

シベリアンハスキーを飼うときの注意

そりを引きながら長距離を走り続けるため、シベリアンハスキーはタフな犬。必要な運動量は多く、毎日1時間程度の散歩が必要だといわれています。歩くだけでなく、自転車で並走したりジョギングしたりしないとシベリアンハスキーは満足しません。

かなり力が強いので、万が一のときシベリアンハスキーを制御できるように飼い主は体力が必要です。

暑さに弱く、家族と一緒にいたい犬なので室内飼いがおすすめですが、抜け毛は覚悟してください。普段から量が多めで、換毛期はさらにおびただしい抜け毛があります。毎日しっかりブラッシングしましょう。毎日掃除機がけも必要になるかもしれません。

室内ではなるべく涼しい気温を保つ必要があります。温暖な地域では、早ければ4月からシベリアンハスキーのためにエアコンを使うという飼い主も。夏は熱中症に気を付け、冷却グッズなどを活用してシベリアンハスキーの健康を守ってください。

まとめ

シベリアンハスキーは楽天的で大雑把な性格なので、知能は高くてもものを覚えるのに時間のかかる犬種です。そういった天真爛漫なところを魅力と思えるなら、シベリアンハスキーは最高のパートナーになるでしょう。
シベリアンハスキーは、見た目の凛々しさとワイルドさと性格のギャップに夢中になる飼い主が多いそうですよ。
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『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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