シベリアンハスキーの基礎知識

シベリアンハスキーの歴史

シベリアンハスキーの歴史は大変古く、明らかになっていないことも多いのですが、スピッツ系の犬種で、祖先犬はアラスカンマラミュートやサモエドの祖先犬と同じだといわれています。
シベリア北東のツンドラ地帯、チュクチ半島に住むチュクチ族が飼育していた犬が、現在のシベリアンハスキーの直接の先祖犬となります。
シベリアンハスキーはシベリアンチュチースと呼ばれ、長距離を走れるそり犬として、また、狩の助手として、チュクチ族とともに生活をしていました。
このそり犬たちが世界に知られるようになるのはずっと後のことで、チュクチ族は何世代にもわたり、自分たちの手で犬そりチームを高レベルで維持してきたといわれています。

命をつないだ犬ぞりリレー

シベリアンハスキーが初めて世界に注目されたのは1909年、アラスカで開催された犬ぞりレースに参加し、素晴らしい成績をおさめたときでした。そして1925年には伝説となる出来事が起こります。
1925年、アラスカのノーム市でジフテリアが発生し、被害の拡大が予想されたため、ネナナ市から血清を運ぶことになりました。はじめは空輸の話が出ていたそうですが、悪天候のため安全性の問題から却下となり、犬そり輸送がおこなわれることになったのです。
輸送リレーのために集められたそり犬は100頭以上。ネナナ市からノーム市は、東京から福岡までの距離に相当する1000キロ以上の長い距離ですが、出発からわずか5日半で到着、血清を移送するという重要任務を遂行したのです。輸送リレーの様子はラジオや新聞で世界に報道され、2頭のヒーロー犬が誕生しました。
1頭は名前をトーゴーといい、全区間の中で最も困難で、最も長い、146㎞期間を走破したチームのリーダー犬です。ちなみにトーゴーという名は、日本の東郷平八郎にちなんだものだといわれています。
もう1頭は、このトーゴーから血清を受け継ぎ、ノームまでの最終区間を走り抜いたチームのリーダー、シベリアンハスキーのバルトです。(※アラスカンマラミュートという説もあるようです)
最終区間を走り、世界一有名なシベリアンハスキーとなったバルトは、この功績を称えられ、アメリカ・ニューヨーク州のセントラルパークに、銅像が建てられました。
伝説となったこの輸送リレーの後、シベリアンハスキーはアメリカやカナダへ持ち込まれ、1930年にアメリカのケンネルクラブにひとつの犬種として登録されました。

シベリアンハスキーの特徴

体高は牡で53.5~60cm、牝が50.5~56cm、体重は牡が20.5~28kg、牝は15.5~23kgが理想とされています。
平均寿命12~14歳。
AKC(アメリカのケンネルクラブ)やJKC(日本のケンネルクラブ)では、「中型の犬」と記されています。しかし、理想体型内でも20kgを超える個体は、ドッグランやホテルなどの施設利用の際は、大型犬として分類されることが多くあります。
原産国はアメリカ。JKCでは5Gの「原始的な犬・スピッツ」に属し、AKCやKC(イギリスのケンネルクラブ)では3Gの使役犬、ワーキングドッグに分類しています。
しっかりとした骨格と筋肉に、極寒の気候に耐えるための程よい皮下脂肪を蓄えた体型で、密集したアンダーコート(下毛)を持つ、ダブルコート種です。
立派な尻尾に立ち耳、毛色はブラックからシルバー、赤褐色、白、とすべての色が認められています。
目の色は茶目か青目、またはそれぞれとの組み合わせのオッドアイ(左右の目の色が違う)があり、シベリアンハスキーの特徴であり魅力のひとつとされています。

アラスカンマラミュートとの違い

シベリアンハスキーの理想体重は最高値でも牡28kg、牝23kgであるのに対し、アラスカンマラミュートは、理想体重が牡38kg、牝は34kgと、ひとまわり以上大きい大型犬です。
その大きさはひとめでシベリアンハスキーではないとわかるほどですが、日本でのアラスカンマラミュートの登録飼育頭数は50頭を超えませんので、街で見かけるということはなかなかないかもしれません。
シベリアンハスキーとアラスカンマラミュート、写真でも区別できる違いは
耳: どちらも立ち耳ですが、シベリアンハスキーの耳は先端がとがり真上を向いている直立耳、アラスカンマラミュートの耳は三角形で、耳同士は離れて低い位置についています。
目: アラスカンマラミュートで認められている目の色は、茶色だけです。そのため、ブルーアイやオッドアイをしているのであれば、シベリアンハスキーで間違いありません。
尻尾: シベリアンハスキーの尻尾はキツネのように垂れており、アラスカンマラミュートの尻尾は背中に向かってゆるやかに巻いているのが特徴です。

シベリアンハスキーの性格

群れで行動するように作られた犬ですので、他の犬に友好的で、気取らず、それでいて威厳が感じられます。
用心深く、番犬の素質をみせることがありますが、どちらかというと控えめな性格で、大変に温厚で従順です。

 シベリアンハスキーの子犬を迎えよう

シベリアンハスキーの価格相場

シベリアンハスキーの平均相場はおおよそ28万円です。
親犬がチャンピオン犬、または、チャンピオンを輩出してきた血統の子の場合は、価格が高くなる傾向にあります。特徴的な目の色での価格差はないといわれています。

子犬を迎える方法

シベリアンハスキーの子犬を迎えるには「ペットショップで購入する」「ブリーダーから購入する」「里親になる」の3つの方法があります。

①ペットショップで購入する
ペットショップとは、動物を仕入れて販売している店のことです。
シベリアンハスキーの子犬はなかなか見かけないかもしれませんが、ペットショップは基本、お店に行けば子犬に会えます。
気に入った子犬を見つけた場合は「お店の衛生・管理状態」「購入後のアフターフォロー」「病気や死亡に対しての保証制度の有無」それから「定められた週齢まで親犬と過ごしていたか」「スタッフに犬の知識があるか」以上の5点を必ず確認しましょう。
「定められた週齢まで親犬と過ごしていたか」の確認は、店の入荷日だけではなく、入荷日がぎりぎりだと感じた場合には、親元を離れた時期について具体的に確認をしましょう。
このような質問をした際に誠意ある返答があるショップ、仕入れ先や親犬について答えられるスタッフがいるショップが理想です。
シベリアンハスキーは成犬になるとほとんどが20kgを超える大きさになり、誰でも飼える犬とは言えません。かわいいだけではない、飼養の大変さの説明もある店が良いでしょう。

②ブリーダーから購入する
シベリアンハスキーを専門にブリードしているブリーダーを見つけましょう。
専門ブリーダーは、シベリアンハスキーを心から愛し、正しい知識とモラルを持ち、血統と犬質向上に努めている、優良ブリーダーであるはずだからです。
シベリアンハスキーは遺伝性疾患が少ない犬種といわれていますが、それは、遺伝性疾患を持つ個体は繁殖から外すなど、ブリーダーたちの努力の結果といえる面があります。
アメリカのシベリアンハスキー犬種クラブでは、発症しやすいとされている白内障や緑内障など目の症例はすべて報告する、繁殖犬になりえる可能性のある犬には毎年必ず眼科検査を受けさせる、などブリーディングについて厳格なガイドラインを設けているのです。
日本でも、白内障や緑内障について、また、脂漏症(しろうしょう)といわれる皮膚炎にかかりやすい犬種ですので、親犬の話や、被毛のお手入れのコツなどの話を聞けると安心ですね。
子犬はブリーダー直販のサイトで探しましょう。ブリーダー直販は、子犬は家に迎えるまで親犬と過ごすことができ、ストレスがかからないという点からもおすすめです。
気に入った子犬のブリーダーが遠方だった場合には、犬の価格以外に、出張費等がかかってしまうというデメリットがあります。これは動物管理法で犬猫販売の際には、現物確認と対面説明が義務付けられているためです。

③里親になる
全国の動物愛護センターや保健所などの行政施設には、日々、多くの犬が収容されています。シベリアンハスキーのような純血種も、収容され、家に帰れないことがあります。家庭の事情等で飼い続けることができなくなった個人が、手放すケースも少なくありません。
行政施設に収容された犬たちは、譲渡可能と判断されると、新しい飼い主を募集します。募集は、行政から直接公募、保護団体を介して、また、個人での発信とさまざまです。
里親募集サイト、県や市、ボランティア団体のホームページ、譲渡会案内などをこまめにチェックしてみましょう。
気になる子を見つけたら、保護犬になった経緯と現在の健康状態、それから譲渡条件をしっかり確認しましょう。
新しい家族を待っている犬たちは疾患を持っていたり、心に傷を負っていたりする子が少なくなく、譲渡条件は厳しいためです。
とくにシベリアンハスキーは、バブル期といわれる1980年代後半から1990年代初めに、大流行した犬種です。流行りだからと安易な気持ちで飼われ、そして多くが放棄された過去があります。
募集側も二度捨てられないように、厳しい条件を設けているところが多く、申し込み後は面接、環境調査、トライアルと、正式譲渡までに多くの行程が定められています。
純血種の子犬はいつでも里親募集されているというわけではないので、犬を迎えるまでに時間がかかるでしょう。しかし運命といえる出会いが待っているかもしれません。

シベリアンハスキーの飼い方

食事のポイント

子犬期の食事は、スープやミルクでふやかして食べやすい状態にしたものを、一日3~4回に分けて与えましょう。成長期の子犬にはたくさんのエネルギーが必要ですが、顎と消化器官が未熟な状態で、一度にたくさんは食べられないからです。
また、子犬期は成長期ですので、日に日に大きくなり、日々必要摂取量が変わる可能性があります。こまめに体重を測り、常に適量を与えられるようにしましょう。

市販フードのパッケージに記載されている給餌量を参考に、運動量や体重の増え方などを考慮し、一日の量を決めましょう。
生後6カ月を過ぎるころには、成犬に近い体となり、1歳前後になると体重の増加が落ち着きます。このタイミングで成犬用のフードに切り替えましょう。
もともと食べているフードに、移行するフードを少しずつ混ぜながら切り替え、完全に移行出来たら、1回の食事量を増やし、食事回数を減らします。成犬の食事回数は「朝・夕に1回ずつ」が一般的です。

シベリアンハスキーは体が大きくなるごとに食事をペロリと、あっという間に食べてしまうようになります。嘔吐や胃捻転をおこさないよう出来るだけゆっくり食べてもらえるよう工夫をし、与え過ぎないよう注意しましょう。
フードは、シベリアンハスキーのしっかりとした骨と筋肉づくりに、穀物不使用のものや、良質な高タンパク質がメインのものが、人気があるようです。

必要な運動量、散歩の頻度・回数

シベリアンハスキーは長距離を走るそり犬ですから、非常に多くの運動量が必要です。
運動不足は体に良くないだけでなく、ストレスをため、問題行動を引き起こします。疲れるまでたっぷりと運動させるよう心がけましょう。
お散歩は1日に2回、1回量は1時間~1時間半、早歩きで行いましょう。成人期ともいわれる元気盛りの2歳~5歳くらいの間は、朝晩どちらかのお散歩は2時間ほどたっぷりとってあげるのが良いでしょう。
暑さが苦手ですので、暑い時期のお散歩は明け方と、夜は陽が落ち、涼しくなってからにしてください。
時には思いっきり走れる時間も必要です。ドッグランなどに連れて行ってあげましょう。寒さが得意な犬種なだけに、冬場の雪が積もったランも喜んで走ります。

しつけのコツ

・トイレトレーニング
犬が家にやってきたらなるべく早く、体調が良いことを確かめて、始めましょう。
朝起きてすぐ、または食事のあとなど、トイレタイムとなりそうな場面で、先にトイレ場所まで連れていきます。トイレ場所は、囲いがあるケージ内に設置するとしつけがしやすいです。トイレシートの上で排泄できたら褒め、ケージから出してあげましょう。
トレーニングではトイレ場所を嫌いにならないようにすることも大切です。もし排泄しなくても、2~3分したらケージから出してあげてください。ケージから出した途端に排泄してしまっても決して叱らず、次のタイミングを待ちましょう。
排泄しそうな少し前にトイレ場所に連れていき、トイレで排泄できたら褒める、を繰り返します。犬が行きたいと思ったときに自分で行けるよう、ケージの扉は常に開けておきましょう。

・いたずらと遠吠え
シベリアンハスキーをしつけるうえで、最も大切で効き目があるのは、運動不足にさせないことです。一日一度は、お散歩などでしっかり疲れさせ、心を満たしてあげましょう。シベリアンハスキーの運動不足は深刻な問題なのです。
遠吠えは、オオカミに近いという点、群れで行動するそり犬だったことから、例えばサイレン音などにつられて、本能で遠吠えしてしまう確率が、他の犬種よりうんと高いといえます。
シベリアンハスキーのほかにはビーグル、ダックスフンドなどの猟犬も、よく遠吠えをするといわれています。
子犬の頃の遠吠えはとてもかわいく、思わず反応してしまう飼い主さんも多いと思います。しかし成犬になり体も声も大きくなったときに続けられたら困るものでしたら、反応せず放っておきましょう。遠吠えしている最中に名前を呼ぶと、ふと我に返り鳴きやむ子も多いようです。

お手入れ方法

高い保湿力と保温力をもつ密集したアンダーコートが生えているダブルコートのシベリアンハスキー。丁寧なブラッシングが必要です。
毛玉を見つけたら特に丁寧に、引っ張らないよう、皮膚を傷つけないよう注意をして、毛先からほぐすようにとかします。
年に2回、被毛の衣替えといわれる換毛期がありますので、換毛期中は一日に2度、ブラッシングしましょう。まずはスリッカーブラシでアンダーコートを整え、抜け毛を取り除いて、仕上げにピンブラシでとかします。
トリミングについてAKCでは、シベリアンハスキーは清潔好きで体臭が少ない犬であり、とくにドッグショーに出陣する予定がないのであれば、年に数回でOKと解説しています。

暑さ対策

シベリアンハスキーは、日本の気候に適しているとはいえない犬種です。特に日本の夏は、シベリアンハスキーにとって過酷な季節です。飼い主さんが責任をもって、暑さ対策をし、体調管理を徹底しましょう。
暑い時期は24時間エアコンをつけ、直射日光があたらない場所や、風通しが良い場所をつくります。
お散歩は必ず涼しい時間帯に行き、日陰を選んで歩きましょう。しっかり水分補給ができているか、水の摂取量を把握しておくことも大切です。

かかりやすい病気

シベリアンハスキーは丈夫で、遺伝疾患が少ない犬種といわれていますが、白内障緑内障など、目の病気を発症しやすい傾向にあります。
ほかには、外耳炎皮膚炎、それから股関節形成不全てんかんなどがあります。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

シベリアンハスキーのブリーダーについて

魅力たっぷりのシベリアンハスキーをあなたも迎えてみませんか? 

おすすめは、ブリーダーとお客様を直接つなぐマッチングサイトです。国内最大のブリーダーズサイト「みんなのブリーダー」なら、優良ブリーダーから健康的なシベリアンハスキーを迎えることができます。

いつでもどこでも自分のペースで探せるのがインターネットの魅力。「みんなのブリーダー」では写真や動画、地域などさまざまな条件で理想の犬を探せるほか、多数の成約者の口コミが揃っています。シベリアンハスキーが気になる方はぜひ参考にしてみてくださいね。

※みんなのブリーダーに移動します