そもそも犬を電車に乗せることは可能?

結論から言うと、犬を電車に乗せることは可能です。ただし、いつでもどこでもOKという訳ではありません。
国や地域によってルールやマナーとされる事柄はさまざまです。外国の例を見ると、犬にかかわる独自の文化を垣間見ることができます。

犬と飼い主に優しい国と言われるイギリスでは、小型犬から大型犬まで、街の人々が電車やバス等の公共交通機関に犬連れで乗っている様子が見られます。犬をキャリーケースなどに入れずにリードに繋いだ状態での乗車も許可されています。

イギリスと同じく犬と暮らす人が多いアメリカも、犬と一緒に電車に乗ることができる国です。ニューヨーク地下鉄では、「犬は入れ物に入れること」といったルールが定められており、ニューヨーカーは思い思いのバッグに犬を入れて乗車しています(なかには大型犬を無理やり大きなバッグに入れている人も……)。

日本でも、小型犬をキャリーバッグに入れて電車に乗っている人の姿を見ることがありますよね。イギリスやアメリカほどの寛容さはないものの、決められた規則を守れば犬を電車に乗せてもOKとされています。

犬を電車に乗せるときのルール、料金、手続き方法

犬を電車に乗せるときには、もちろん守るべきルールやマナーがあります。

日本の鉄道の場合、犬を電車に乗せる際には犬の頭や手足が外に出ないよう専用のキャリーバッグ(ケージ)等に入れて持ち込むことが原則です。この場合、犬は乗客の手回り品(手荷物)として扱われます。
キャリーバッグで持ち運びできない大型犬は乗車ができません(もちろん盲導犬等の介助犬は例外です)。

小型犬でも、鉄道会社によって犬を電車に乗せるときに使えるキャリーバッグの大きさや重さの制限があったり、追加料金がかかったりする場合があります。
自分が乗りたい電車はどのような規則になっているか、事前に調べておきましょう。

新幹線の場合

電車ではなく新幹線に乗りたいという方もいますよね。新幹線も電車と同じルールで乗せることができます。
料金は290円(2019年)です。当日、窓口で「普通手回り品きっぷ」を買いましょう。

電車と違って新幹線では1つ、気を付けなければいけないことがあります。それは座席についてです。
電車と違って新幹線には「指定席」がありますよね。【愛犬がずっと足元ではかわいそうだから、愛犬の分の指定席券を買って、その席にクレートを置こう!」と考える方もいるかもしれません。
しかし、それはNG。規則によって禁止されているため、愛犬のために指定席を購入することはできません。

各鉄道会社の乗車規則(一例)

・JR東日本
70cm以内で、タテ・ヨコ・高さの合計が90cm程度のキャリーバッグに入れ、バッグと犬の総重量が10kgを超えない場合にのみ乗車が可能。
手回り品料金として、ケース1個につき280円がかかる。
乗車の前に別途窓口で「普通手回り品きっぷ」を購入する必要がある。

・東京メトロ
持ち込めるキャリーバッグは、長さ70cm以内、縦・横・高さの合計が90cm程度、重量が10kg以内のもの。
追加料金はかからない。

・大阪市交通局
犬を運ぶキャリーバッグの大きさや重さに制限はないが、体毛などの飛散に注意を払い、他の乗客から犬の姿を見えなくすることが求められる。
乗車料金は無料。

・名古屋市交通局
長さ2m以内で、縦・横・高さの合計が250cm以内のキャリーバッグを使用可。最大重量はバッグと犬を合わせて30kgまで。
2個までバッグを持ち込むことができる。料金は無料。

・札幌市交通局
キャリーバッグのサイズや重量の指定は特にないが、他の乗客に迷惑がかからないような配慮を求められている。料金はかからない。

犬を電車に乗せる前に準備しておくこと

ルールが分かったところで、次に犬を電車に乗せる前の準備もチェックしておきましょう。

乗車の計画を立てる

犬と電車に乗るときは、ぶっつけ本番ではなく事前に乗車計画を立てておくと安心です。
いつどの電車に乗るのか? どの駅で乗ってどの駅で降りるのか? 所要時間は何分ぐらいか? 自分の乗車する時間帯の混み具合はどうか? 降りた後の移動はどうするか? など、具体的にイメージできるようにしておきましょう。

キャリーバッグ(ケージ)などの必要なグッズを揃える

犬を入れるキャリーの用意は必須です。犬の顔や手足が外に出ないよう、フタが閉まるタイプのものを選びましょう。色や素材は外から犬の姿が見えにくい不透明なものが好ましいです。

電車内では、犬の体が外に出てしまうドッグスリングの使用はNGです。また、ペットバギー(ペットカート)も、制限サイズを超えるものは使用不可になるため注意しましょう。

ほかには、犬を安心させるためのグッズとして、いつも使っているタオルや布製のおもちゃも用意しておくといいでしょう。

事前にトレーニングする

犬を電車に乗せるために必要なトレーニングは大きく2つです。

①使用するキャリーバッグに慣れさせる
②電車に慣れさせる

普段キャリーバッグを使い慣れていない場合は、まずケースの中でおとなしくできるようなトレーニングが必要です。
また、はじめから1時間を超える長時間の乗車は犬にとっても負担が大きくなります。最初は1~2駅分(長くても10~15分ぐらい)の短時間から慣らしていきましょう。

乗車前に排泄を済ませる

排泄物で電車内を汚してしまうと、清掃のために電車を止める必要があり、周囲の乗客や鉄道会社への迷惑になります。
電車内で思わぬハプニングが起きないためにも、出かける前にしっかりと排泄を済ませてあげましょう。

犬を電車に乗せるときに注意したいこと

鉄道会社のルールやマナー、事前の準備は確認できましたでしょうか? それでは最後に、犬と一緒に電車に乗るときに注意するポイントをチェックしておきましょう。

できるだけ混雑時を避ける

混雑時は電車内も狭くなっており、キャリーバッグのような大きな荷物を持っていると周囲の迷惑になりかねません。
また、ぎゅうぎゅうになった車内で揉みくちゃにされることは、いくらキャリーバッグに入っているとはいえ犬にとってもストレスになる可能性があります。
朝や夕方の通勤ラッシュ時や、土日祝日等の特に混雑が予想される時間帯を避け、比較的空いているときに乗車するようにしましょう。

キャリーバッグは膝の上か足元に

座席に座れるときは、キャリーバッグも自分の膝の上に乗せておきます。混雑時で立って乗るときは、低い位置で手に持つか、足元に置くようにします。
座席の下は冷暖房の吹き出し口になっていることも多く、直接風が当たってしまうと温度変化で犬が体調不良になる恐れがあります。足元に置くときは、キャリーバッグに当たる位置に吹き出し口がないか確認しましょう。

荷物棚の上は電車の揺れで落下する危険性があるためNGです。また、空いているときでも座席に直接ケースを置くことは周囲からマナー違反と見なされます。

なるべく犬の存在を知らせないようにする

電車に乗っている人のなかには、もちろん犬が苦手な人もいます。犬に不用意に声をかけたり、キャリーを開けてなでたりおやつをあげるなどの行為も避けてください。なるべく犬がいることを周りに知らせないようにする配慮をしましょう。

吠えたときにはやさしく声をかける

入念にトレーニングをしたとしても、電車の音や揺れ、周囲の人の様子に驚いた犬が吠えてしまう場合があります。犬を必要以上に興奮させないよう、「大丈夫だよ」、「いい子だね」などと小さな声でやさしく声をかけてあげてください。

いつでも電車を降りられるようにしておく

いくら準備をしてルールやマナーを守っていたとしても、やはり突然の事態は起こりうることです。
犬の様子がおかしいときは決して無理をせず、途中でも降車するようにしましょう。

まとめ

電車のような公共交通機関では、周囲の人の迷惑にならないことが最優先です。
また、狭いキャリーケースでの長距離・長時間の移動は犬にとっても負担になる場合があるため、愛犬に無理をさせない配慮も必要です。

愛犬と電車に乗る際には、事前の準備と確認をしっかり行い、ルールとマナーを守って乗車しましょう。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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