ミヌエットの基礎知識

ミヌエット(Minuet)とは、“ヨーロッパの優雅な舞曲”を意味する言葉です。元々は「ナポレオン」と呼ばれていたミヌエットですが、一体どのような歴史を持つ猫なのでしょうか。
まずは猫種の歴史や、体高・体重、平均寿命、性格などの基礎データを紹介します。

歴史・ルーツ

ミヌエットがはじめに誕生したのは、1996年のこと。アメリカで犬のブリーディングを行っていたジョセフ・スミスという人物が作出した猫種です。
まずはマンチカンとペルシャを交配し、生まれた子猫にヒマラヤン、エキゾチックショートヘアといったペルシャの遺伝子を持つ猫種を掛け合わせることでミヌエットが誕生しました。

ミヌエットの産みの親であるジョセフは、もともと足の短い犬を好んで繁殖していました。
たまたま新聞に掲載されていた短足の猫「マンチカン」を知り、猫にも足の短い種類があるということに興味を持ちます。
そして、マンチカンのような短足の猫種でも繁殖の過程で長い足を持つ猫が生まれることがあり、それらはスタンダードから外れるという理由で捨てられている現実を知ることとなります。
この事実に問題意識を持ったジョセフは、自ら足の短い猫種の固定化に取り組むことを決意したのでした。

2001年、ミヌエットはTICA予備登録されますが、その後はジョセフの思うように育種が進まず、2008年に一度計画は頓挫します。しかし現在では、世界中のミヌエットブリーダーたちがジョセフの意思を引継ぎ、猫種の固定化に向けた研究と繁殖が進められています。

ミヌエットが作出された当初は、フランスの英雄の名にちなんで「ナポレオン」と呼ばれていました。
これはナポレオンが小柄であったということが由来。しかし、なかには「フランスの英雄であるナポレオンの名を猫に付けるとは不敬だ」と考える人々もいました。
そういった経緯もあり、猫種としての誕生から約20年後の2015年、現在の名称であるミヌエットへの改名が実現しています。

体型・体高・体重

ミヌエットの体型は、「セミコビー」タイプに分類されます。外見にはマンチカンとペルシャ両方の特徴が認められ、丸みのある頭部に短い手足と、小柄でありながらもずっしりとしたスタイルです。
体高は個体差がありますが、体重はオスが3~4kg、メスは2~3kgほどです。

平均寿命

ミヌエットの純血種の平均寿命は約12~14年です。他の純血種と比べても平均的といえるでしょう。

毛色のバリエーション

ペルシャ、マンチカン、ヒマラヤンやエキゾチックショートヘアといった、さまざまな猫種の遺伝子を引き継ぐミヌエット。被毛は長~短毛まであり、ありとあらゆるカラーバリエーションが認められています。

<ミヌエットの毛色>
■ブラック系
全身黒一色のソリッドカラーや、ホワイトとのバイカラー。2色になる場合でも、白と黒の割合には個体差があります。

■チョコレート系
濃いめのブラウンや赤みのあるブラウンが混じり合うカラー。猫らしい野性味も感じられます。

■シナモン系
赤茶色~くすんだ黄色に近いカラー。明るすぎず、暗すぎずの絶妙な色合いです。

■レッド系
いわゆる「茶トラ」と呼ばれるような鮮やかなオレンジに見える赤系のカラー。ホワイトとのバイカラーも人気です。

■ブルー系
淡いブルーグレーに近い神秘的なカラー。ロシアンブルーを連想させるブルーソリッドやホワイトとのバイカラーが存在します。

■ライラック(シルバー)系
寒色のブルーをさらに淡くしたような優しい色合い。小型猫らしい幼い印象を強めるカラーです。

■フォーン系
暖色のシナモンが淡くなったようなベージュカラー。ライラック(シルバー)と同様、猫の表情を柔らかく見せます。

■クリーム系
フォーン(ベージュ)とも似ていますが、さらに黄色味が強く、明るい色味です。

■キャリコ
三色の毛が生える“三毛猫”模様。黒・赤茶・白の3色の入り方には個体差があり、実にさまざまな表情を見せてくれます。

性格

マンチカンとペルシャ系の血筋を引くミヌエットは、性格の面でも両種の特徴を受け継いでいます。

まずはマンチカンの特徴である、好奇心が強く活発な性格。明るく陽気で遊び好きで、飼い主とのコミュニケーションも好みます。日々のコミュニケーションやストレス解消策として、いっしょに遊ぶ時間を設けるのがいいでしょう。

そしてペルシャ系の特徴である甘えん坊な性格。とても人懐っこく、温厚な優しい気質も備えています。子どもやほかの猫とも仲よくできるため、多頭飼いにも向いているでしょう。

甘えん坊な性格ではありますが、自立心も備わっています。また賢く言うこともよく聞く猫なため、しつけもそこまで手がかかりません。

ミヌエットの子猫を迎えよう

「ミヌエットの子猫はどこで迎えればいい?」、「何を準備すべき?」と悩む方のために、子猫を迎える前に知っておきたい価格相場や、おすすめのお迎え方法、飼育準備のポイントを紹介します。

子猫の価格相場

ミヌエットの価格相場は約18万円です。まだまだ知名度の低い猫ですが、他の純血種と同様の価格水準のようです。
しかし、子猫の価格は血統や毛色、欠点の有無などによっても大きく異なります。相場は目安として見ておくのがいいでしょう。

子猫をお迎えする方法

猫種としての歴史が新しく、また日本ではやや希少種のミヌエット。
一般的に子猫をお迎えする方法は「ペットショップ」、「ブリーダー(キャッテリー)」、「里親制度」の3つです。それぞれメリット・デメリットを理解したうえで検討しましょう。

■ペットショップ
アイドルの飼い猫として話題になったことから、ミヌエットを取り扱うペットショップも増えてきました。ミヌエット以外にもさまざまな種類の子猫たちと出会うことができるだけでなく、営業時間内であればいつでも気軽に子猫を見に行けるのがペットショップのメリットです。

一方、まだまだ珍しい猫であるミヌエットは、特に地方や小型のペットショップでは見つからないことも。また、月齢が低いうちに親元を離れた子猫は、ブリーダーのもとで育てられた子猫と比べると、精神的にも安定せず、扱いにくい性格になってしまうこともあります。

■ブリーダー(キャッテリー)
ペットショップや里親よりもミヌエットの子猫を見つけやすい方法が、専門ブリーダーを探すことです。ほかの猫種と比べるとまだまだ少ないものの、ミヌエットを繁殖しているブリーダーは全国に存在します。もともとマンチカンを繁殖していた経験を持つブリーダーも多いようです。
血統登録機関に認められた優良なブリーダーは、「キャッテリー」とも呼ばれます。このような繁殖家は猫種の特徴に非常に詳しく、健康で精神的に安定した子猫の育成に力を注いでいます。

その一方、劣悪な飼育環境で悪徳な商売を行っているブリーダーも存在します。
コストを削減するため、親猫や子猫が暮らす環境を十分整えていない場合や、子猫を高く売るために月齢が低いうちに親元から離してしまう場合もあります。

■里親制度
動物保護の観点で、近年注目されているのが里親制度です。保健所や動物愛護センターといった従来型の施設から、ネット上で里親募集している「里親サイト」まで、形態もさまざまです。
里親制度は何らかの事情がある猫を譲渡することが目的であるため、一般的にブリーダーやペットショップの相場よりも安価に猫を譲り受けることができます。

一方、ミヌエットの子猫が里親に出されるケースは珍しく、特に月齢が低いほど競争率も高くなります。飼育環境や経験等、里親になるための条件もあるため、初心者には少しハードルが高いといえそうです。

健康な子猫を見分けるポイント

ミヌエットの子猫を選ぶときは、健康面に問題がないかをしっかりチェックすることが大切です。実際に子猫の状態を見て、抱っこをして、以下のようなポイントを確認しましょう。

<健康な子猫はここで見分けよう!>
・骨格…O脚のように足が曲がっていないか、抱き上げたときにしっかりと骨や筋肉が感じられるか
・皮膚…異常な赤みやただれはないか、フケや体を痒がる様子は見られないか
・被毛…ツヤツヤと整っているか、異常な抜け毛や汚れはないか
・おなか…おなかだけぽっこりと膨れていないか(寄生虫の恐れあり)
・目…イキイキとしているか、極度に目ヤニが出ていないか
・口…歯や歯茎は清潔か、嫌なニオイがしないか
・耳…耳垢による汚れや嫌なニオイはないか
・肛門…排泄物で汚れていないか

飼い始める前に必要な準備

はじめて猫を飼うときには、飼育環境の準備が必要です。お迎えする時までに以下のようなグッズを揃えておくと安心です。

①キャットフード
猫用として販売されているフードを用意しましょう。種類は大きく「ドライフード」と「ウェットフード」の2種ですが、それぞれメリット・デメリットがあります。
まずは子猫の月齢に合ったものを選びましょう。

②食器
キャットフードと飲み水を入れる食器も必須グッズです。小さな子猫でも食べやすい高さのものをチョイスしてください。

③ベッド
子猫が安心してゆっくり休むためには、専用のベッドも必要になります。特に子猫のうちは寒さに弱いため、体を温めてふんわり包み込むようなものがおすすめです。
猫用のベッドは、箱型、鍋型、ドーム型、ハンモック型……と種類もさまざま。猫の成長に見合うサイズを選びましょう。

④猫用トイレ、猫砂
猫は清潔好きな動物で、決まった場所に排泄をします。子猫のうちはトイレを覚えるまでに少し時間がかかるため、早めにトイレトレーニングを始めてください。
トイレはオープンタイプ、ドームタイプ、自動洗浄タイプなどの種類があり、排泄物を吸収する猫砂と併せて使用します。

⑤爪とぎ
早い場合、子猫は生後1カ月頃から爪とぎの仕草を見せるようになります。生後半年頃になると爪もしっかりしてくるため、専用の爪とぎを用意しておく必要があります。
段ボールや綿、木材など、さまざまな材質や形状の爪とぎがあるため、猫の好みが見つかるまでさまざまなタイプを試してみるのもいいでしょう。

ミヌエットの飼い方

まだまだ猫種としての歴史が浅いミヌエット。マンチカンとペルシャ系の猫に似た性質を持ち合わせていますが、飼育するときはどんなことに気を付ける必要があるのでしょうか。
最後に、ミヌエットの食事やお手入れ方法、かかりやすい病気について見ていきましょう。

食事

小柄でかわいらしい見た目と裏腹に、実はしっかりとした筋肉が付いているミヌエット。ゆえに肥満のリスクも高くなっています。
猫の食事は1日に必要な量を4~6回に小分けにして与えてください。カロリーオーバーしてしまわないよう、体重や月齢に応じたフード量をしっかりと量って与えましょう。
市販フードを与える場合は、消化のよいグレインフリータイプや、低炭水化物・高たんぱくタイプがおすすめです。

必要な運動量

マンチカンの血を引くミヌエットは、好奇心旺盛で活発な性格です。遊びや運動も大好きなので、ストレスを溜めないよう室内でも動き回れる環境を整えてあげましょう。

■猫じゃらしや動くおもちゃで遊ぼう
好奇心旺盛なミヌエットは、動くおもちゃにも敏感に反応します。一人遊びだけでなく飼い主と一緒に遊ぶことも好むので、ぜひ長いしっぽのついた猫じゃらしなどを使って運動させましょう。

■キャットタワーの設置
猫はもともと高いところに登ることが好きな動物。室内でも昇り降りの運動ができるキャットタワーはマストアイテムのひとつです。
活発に動き回るミヌエットですが、手足が短いためほかの猫と比べると運動能力はそこまで高くありません。体のサイズに合わないキャットタワーはケガのもとになりますので、無理のないサイズのものを用意しましょう。

しつけのコツ

「猫はしつけにくい」と言われますが、ミヌエットは猫らしい頑固さが少なく、素直に物事を聞いてくれる性格の子が多いです。コツさえつかめば、比較的容易にしつけられるでしょう。

猫のしつけにおいて大切なのは、「トイレ」と「爪とぎ」です。いずれも月齢の低い子猫のころからしつけをスタートします。

トイレのしつけ(トイレトレーニング)では、子猫がトイレの場所を覚え、飼い主の手を借りずに正しい場所に排泄できるようになることがゴールです。
猫は起床後や食後にトイレに行く習性がありますので、そのタイミングでトイレに連れていくことを習慣づけます。2~3時間ごとにトイレに連れて行くことで、子猫が自分の排泄場所を覚えやすくなります。
はじめの頃は失敗することもあるかもしれませんが、叱るのは逆効果です。粗相をしてしまった場所にニオイが残らないよう素早く片付けて、またいつものトイレトレーニングを続けましょう。

爪とぎのしつけも、爪とぎをして良い場所を覚えさせることがゴールになります。
はじめは飼い主が子猫の前で爪とぎを使う様子を見せたり、子猫の手を取って爪とぎに触れさせたりすることからはじめます。また子猫が爪とぎをする仕草を見せたら、爪とぎの場所に連れていき「ここで爪とぎをするんだよ」と教えましょう。

猫のしつけは、「失敗しても叱らず、成功したら褒める」が原則です。飼い主として子猫の成長を楽しみながらトレーニングを行いましょう。

日々のお手入れ(ブラッシング、シャンプー、爪切り)

短毛から長毛まで、被毛のバリエーションが豊かなミヌエット。美しい毛並みを保つためには、毎日のお手入れが必須となります。

■ブラッシング
ミヌエットの被毛は、毛質が柔らかいダブルコートです。特に長毛のミヌエットは毛のもつれが起こりやすいため、できれば毎日、少なくとも2日に1度はブラッシングしましょう。

短毛、長毛とそれぞれお手入れに使うグッズは若干異なります。短毛のミヌエットには、ラバーブラシや獣毛ブラシを。全身の毛流れを整え、マッサージするようにブラッシングします。
長毛のミヌエットには、毛のもつれを解くためのスリッカーブラシでのお手入れを。はじめに目の細かいブラシで毛のもつれや毛玉を取ってから、仕上げとしてラバーブラシや獣毛ブラシで毛流れを整えてください。
換毛期は、特に抜け毛が増える時期です。ブラッシングに加えて、定期的なシャンプーで毛を取り除いてあげましょう。

■シャンプー
特に換毛期や長毛のミヌエットは、シャンプーで抜け毛を落とすと日々のお手入れが楽になります。
頻度は猫の体質にもよりますが、月に1回程度から2週間に1回程度が適切です。洗い過ぎは被毛や皮膚を傷め、猫にストレスを与える原因にもなります。

薬剤は必ず猫用のシャンプーを使いましょう。耳の中に水が入らないよう、少しずつ体全体を濡らします。猫用シャンプーで全身を優しく泡立てたら、すすぎ残しがないように洗い流します。
ドライヤーを使うのは、タオルドライでしっかり水気を切ってから。ドライヤーの音を嫌う猫もいるので、ストレスを与えないよう極力短時間で終わらせるのがコツです。

■爪切り
ミヌエットの爪切りは2週間に1回程度が適切です。ペット用の小さな爪切りを使い、伸びた部分をお手入れしましょう。
猫が爪切りを嫌がって暴れるなど、自宅でのお手入れが難しいときは、動物病院やトリミングサロンにお願いするのもひとつの手です。

かかりやすい病気

猫には、種類によりかかりやすい病気や疾患が存在します。ミヌエットはマンチカンとペルシャ系の猫を掛け合わせて作られた猫ですが、ペルシャは遺伝的な疾患が多い猫です。
ミヌエットにも受け継がれてしまう場合がありますので、特に以下のような病気・疾患には十分注意しましょう。

■肥大型心筋症・拡張型心筋症
その名の通り、心臓を動かす筋肉である「心筋」が肥大したり拡張したりする病気です。心筋が肥大・拡大すると猫の体にかかる負担が大きくなり、常に息苦しそうにしている、ぐったりして元気がないといった症状が見られるようになります。これらの傾向が見られるときは、早めに動物病院へ。

■のう胞腎
腎臓の中に無数の細かい水袋ができる病気です。猫はもともと腎臓にリスクを抱えやすい動物ですが、のう胞腎になると腎臓の機能が衰え、水を飲む量が急激に増える、尿の量や回数が増える、元気がなくぐったりするといった様子が見られるようになります。

■眼病(角膜炎、流涙症)
ペルシャほどマズルが短くないミヌエットですが、それでも短頭種でない猫と比べると涙の量や目ヤニが増えるリスクが高まります。悪化すると角膜炎や流涙症といった視力低下、失明を引き起こす病気の原因になりますので、注意が必要です。

■肥満
筋肉質なミヌエットは、もともと太りやすい体質の猫です。運動不足やカロリーオーバーによる肥満は、ケガや心臓病、糖尿病といった他の病気を引き起こす原因にもなります。
肥満を防止するためにも、適切な食事と十分な運動を心がけましょう。

魅力たっぷりのミヌエットを迎えよう

毛色にさまざまなバリエーションがあり、個性豊かなミヌエット。同じ色・模様の子は2匹といないので、ぜひ運命の子猫を見つけていただきたいものです。
ミヌエットに興味のある方は、ぜひこの記事を参考に子猫を探してみてくださいね。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

ミヌエットのブリーダーについて

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