ペルシャの基礎知識

猫の人気ランキングでは、上位の常連になっているペルシャ。穏やかな性格で飼いやすいとされていますが、具体的にはどんな猫なのでしょうか?
はじめにペルシャの基本データを紹介していきます。

ペルシャの歴史

古代「ペルシア帝国」を名前の由来とするペルシャは、猫のなかで最も古い歴史を持つ猫種とされています。
ペルシャが生まれた時代ははっきりしていませんが、16世紀頃のトルコからイタリアに渡った猫がペルシャまたはターキッシュアンゴラの祖先であるという説や、現在の西ヨーロッパを起源とする説が有力とされています。

ヨーロッパの貴族階級のペットとして愛好されていたペルシャですが、イギリスで開催されたキャットショーへの出陳や、アメリカへの上陸を経て、その人気は世界中に広まることとなりました。
また20世紀に入ると、ペルシャを「より鼻が短い顔」に改良しようとする動きが起こります。
伝統的な容貌の「トラディショナルタイプ」に対して、「エクストリームタイプ」と呼ばれる、極端に鼻ぺちゃなペルシャが生み出され、アメリカなどの一部地域で愛好されるようになりました。

ちなみにヒマラヤンやエキゾチックショートヘアは、ペルシャとほかの猫との掛け合わで生まれた猫です。
このように、ペルシャは後発の猫種を作り出す基礎になっています。

ペルシャの体高、体重と平均寿命

ペルシャの体型は「コビー」タイプに分類されます。
頭部や足先が丸く、胴が詰まって肩幅や腰幅、手足ががっしりした「ずんぐり体型」です。
体高は23~25cm程度、体重は3~5.5kgが平均値です。大きすぎも小さすぎもなく、猫の平均サイズ程度と言えるでしょう。

ペルシャの平均寿命は猫の平均から見ても長く、15歳程度と言われています。
アニコム損保の調査では、ペルシャの寿命は13.9歳。やはり純血種のなかでは長い数値が出ています。

同じく人気猫種のヒマラヤンは、ペルシャと「シャム」の交配により生まれた猫です。ペルシャとシャム、両方のよい部分を受け継いだ姿をしています。
ヒマラヤンの豊かな長毛や風貌はペルシャに似ていますが、顔にあるブラウンのポイントカラーやサファイヤブルーの瞳には、シャムの特徴が表れています。
体高や体重、平均寿命を比較してみても、ペルシャとヒマラヤンにさほど大きな違いは見られません。

ペルシャの性格

穏やかな性格で飼いやすいと評判のペルシャですが、具体的にはどんな性格・気質を持つ猫なのでしょうか?

①猫の王様の名にふさわしい“上品さ”を備える
ペルシャはとても温厚で、落ち着いた性格。見た目と相まって、上品な印象です。
高貴なイメージから「ワガママそう」と言われることもありますが、実際はそんなことはありません。
上品なだけではなく、猫らしいマイペースさや、人懐っこさも兼ね備えているところにも魅力があります。

②おおらかで落ち着いている
ペルシャは賢く好奇心旺盛ですが、動きは活発過ぎず、おっとりした猫です。
細かいことを気にしない大らかな性格のため、初心者でも飼いやすい猫取言えるでしょう。ほかの猫よりも多く睡眠をとるのもペルシャの特徴です。眠いときに構いすぎると、嫌がられてしまうことも。

③物静かでめったに鳴かない
おとなしい性格のペルシャは、めったなことでは鳴き声を上げない猫です。
「部屋では静かに過ごしたい」という人や、マンションやアパートに住んでいるで、「隣に猫の声が聞こえないか
気になる……」という人にもぴったりですね。

ペルシャの毛色のバリエーション

ペルシャはふさふさとした被毛が特徴の長毛種です。単色から模様入りのものまで、実に幅広いバリエーションの毛色が認められています。

〇ソリッド(単色)
模様が入らない単色タイプ。ホワイト、クリーム、ブルー、レッド、ブラックなど。

〇パーティーカラー(複合色)
複数の色味が入るタイプ。

〇シルバー&ゴールデン(チンチラ)
チンチラはペルシャの一種で、シルバーやゴールドの色味を持つ。色によってチンチラ・シルバー、チンチラ・ゴールデンに分かれる。

〇キャリコ&バイカラー(三毛猫・二色)
ホワイトを基調に、ブラックやレッドなどの色味が入るタイプ。ブラック・レッド&ホワイト、ブラック&ホワイト、ブルー&ホワイト、レッド&ホワイトなど。

〇スモーク&シェーデット
下毛の白色の様子が煙のように見える模様。ブラック・スモーク、レッド・スモーク、ブルー・スモーク、クリーム・スモークなど。

〇タビー(縞模様)
基本カラーに濃い色の縞模様が入るタイプ。ブルー・タビー、レッド・タビー、ブラウンタビー、シルバー・タビーなど。

ペルシャの子猫を迎えよう

子猫の頃から豊かな被毛に覆われ、まるで小さな毛玉のような姿が愛らしいペルシャ。初心者にも飼いやすいとされる猫のため、「初めて飼う猫にペルシャを選びたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。
ペルシャの子猫を迎え入れる前に、価格相場やお迎えの方法、飼育の準備など、子猫を飼うために必要なことを知っておきましょう。

ペルシャの価格相場

生体価格の相場は、約18万円です。
ペットショップやブリーダーによって価格は変わりますが、基本的には親猫がキャットショーのチャンピオンである場合や、人気のカラーであるほど高くなる傾向です。
生体価格のほかに、ワクチン代、エサ代や飼育グッズの購入費用がプラスされます。
また、猫が幼いうちは何らかのトラブルで動物病院にかかることも予想されます。
猫にかかる費用は、やや多めに見積もっておくことをおすすめします。

ペルシャを迎える3つの方法

ペルシャを飼いたいと考えたとき、猫を迎える方法は「ペットショップで購入する」、「ブリーダーから購入する」、「里親制度を活用する」の3つです。
それぞれメリット、デメリットがありますので、それらを比較した上で自分に合うものはどれか、事前に考えておきましょう。

①ペットショップで購入する
<メリット>
 ・自分の都合に合わせて子猫を見に行ける
 ・多種多様な子猫が販売されているため、ペルシャとほかの猫を比較できる
 ・子猫と一緒にエサや専用グッズを購入できる

<デメリット>
 ・ペットショップのような展示式の販売方法は、子猫にとってストレスがかかる
 ・乱繁殖や管理が行き届かない結果、健康面に問題を抱えている子猫が売られている場合がある
 ・必ずしもペルシャに詳しい店員がいるわけではない

街角の専門店や、ホームセンターなど、猫を扱っているペットショップは全国各地に存在しています。
人気種であるペルシャは、比較的どこのショップでも手に入りやすいと言えるでしょう。
一方、儲け主義の乱繁殖や、劣悪な飼育環境など、悪徳ショップの存在が問題になっていることも事実です。
ペルシャと幸せな生活を送るためには、「子猫選び」以上に、「店選び」が重要であると言えます。

②ブリーダーから購入する
<メリット>
 ・ペルシャのプロから優良な子猫を譲り受けることができる
 ・親猫や兄弟猫、子猫が育つ環境を実際に見学できることがある
 ・ペルシャの飼育経験が豊富なブリーダーから、飼育のアドバイスを受けることもできる

<デメリット>
 ・人気のブリーダーは「予約待ち」になっている場合がある
 ・希望のブリーダーが近隣にいない場合がある(遠方に行かなくてはいけない)
 ・なかには悪徳ブリーダーも存在する

いわばペルシャのプロである専門のブリーダーから譲り受ける方法は、特に初心者飼い主さんにおすすめです。
身近に良血統で健康なペルシャの繁殖に取り組んでいるブリーダーがいるのであれば、ぜひ一度見学に行ってみてください。
ブリーダーは、親猫の繁殖から生後間もない子猫の飼育までを行っているため、子猫のことをよく見ています。
猫舎に見学に行けば、実際に親猫や子猫を見せてもらいながら、「この猫はどんな猫か?」という話を聞くこともできるでしょう。
ペットショップと同様、ブリーダーのなかには乱繁殖を行う“悪徳ブリーダー”も存在します。
ブリーダーを選ぶ際には、「動物取扱業者登録番号」の有無や、ネットの口コミなどを入念にチェックしましょう。

③里親制度を活用する
<メリット>
 ・ペットショップやブリーダーよりも費用を安く抑えられる
 (成猫を譲り受ける場合は、生体費用がかからないことが多い)
 ・自分が住んでいる地域の保健所や動物愛護センターの譲渡会で、実際に猫の様子を見ることができる
 ・殺処分されるはずだった猫を救うことにより、社会貢献ができる

<デメリット>
 ・必ずしも希望のペルシャを譲り受けることができる訳ではない
 (子猫は人気のため、すぐに貰い手が付いたり、里親の倍率が高くなったりする傾向にある)
 ・里親を待つ猫は前の飼い主から虐待を受けた猫もおり、背景はさまざま。すべてて受け入れる覚悟が必要
 ・決められた条件に合わないと、里親になれないことがある
 
猫の容姿や月齢にこだわりがないのであれば、里親制度を活用することも一つの方法です。
里親制度は、各自治体の保健所や動物愛護センターが行っているもので、誰かが理由あって飼えなくなった猫を引き取ることができます。
ペルシャのような純血種や、月齢の低い猫は、貰い手の競争率も高くなる傾向にあります。
里親制度を検討するのであれば、ぜひ一度お近くの施設で開催されている譲渡会を覗いてみてはいかがでしょうか。

健康な子猫を見分けるポイント

ペルシャの子猫を迎え入れる上でチェックしておきたいのは、「子猫の健康状態」。
健康状態に問題がある子猫は、通院の問題があるため初心者飼い主には不向きです。
子猫を選ぶ際には、どこかおかしな所がないか、以下のようなポイントを確認しましょう。
※子猫をチェックする際は、目で見るだけでなく必ず抱っこさせてもらって確認してください。

〇体型…痩せすぎたり、太りすぎたりしていないか。抱っこしたときに、骨格や筋肉をしっかり感じられるか
〇四肢…引きずるような様子はないか
〇皮膚…赤みやただれ、傷はないか。痒がるような様子はないか
〇目…イキイキと輝いているか。大量の目ヤニが付着していないか
〇耳…傷はないか、耳垢は付着していないか
〇歯…汚れていないか
〇肛門…付近が汚れていないか、寄生虫がいるような様子はないか
〇その他…活発に動いているか。具合悪そうにぐったりしていないか

ペルシャを飼い始める前に必要な準備

初めて猫を飼う人に知っておいていただきたいのが、猫が快適に暮らせる環境整備の方法です。

ペルシャはほかの猫と比べてゆっくり寝ることを好む猫種です。落ち着いた環境で安眠できるよう、寝床を整えてあげるといいでしょう。
運動はあまり必要なく、手頃な高さの家具に乗ることが好きな猫なので、高いキャットタワーを設置する必要はありません。
ケガ防止のためにも、ペルシャが暮らす部屋は、安定感のある家具で揃える(家具をしっかり固定する)ことをおすすめします。
また、猫を飼うために必要なグッズは早めに揃えておくとよいでしょう。

<子猫を飼い始めるときに必要なもの>
〇猫用のトイレと猫砂
〇エサとエサを入れる容器
〇爪とぎ
〇寝床(ベッドや毛布)
〇キャリーケース  など

ペルシャの飼い方

豊かな長毛を蓄えるペルシャは、こまめなお手入れを必要とします。また、さまざまな遺伝的疾患のリスクを抱えているため、定期的な健康診断や日々のチェック等、健康管理も欠かせません。
子猫を迎える前に、ペルシャの飼い方の基本を押さえておきましょう。

食事のポイント

運動量の少ないペルシャは、太りやすい傾向にあります。また、特徴である美しい毛並みを保つためにバランスのよい食事も欠かせません。
下記のようなポイントで、ペルシャの体質・特性に合うフードを選びましょう。

<ペルシャのフード選びのポイント>
 ・子猫、成猫、シニアと、成長段階に合ったもの
 ・肥満防止になるもの
 ・美しい毛並みの維持を助けるビタミンB群、アミノ酸、不飽和脂肪酸などを含むもの
 ・ペルシャが食べやすい小ぶりなもの
 ・毛球症を防止する効果があるもの

また、ペルシャは体質的に尿石ができやすいため、水不足は禁物です。こまめな給水を心掛けましょう。

必要な運動量、おすすめの遊ばせ方

ペルシャはほかの猫と比べて、運動量が少ない猫です。キャットタワーのような高い場所に飛び乗ったり、部屋の中を走り回ったりすることは好みません。人の目の届く高さでゆっくり過ごすことが好きな猫です。

とはいえ、ストレス解消や肥満防止のため、毎日の遊びは必要。猫じゃらしのようなペルシャが喜ぶおもちゃを使って、1日短時間ずつでも適度な遊び(運動)の時間を作るといいでしょう。

しつけのコツ

ペルシャは賢くしつけがしやすい猫です。子猫の頃からしっかりコミュニケーションを取り、良いことと悪いことを教え込みます。
猫のしつけは、「繰り返し、根気よく」が基本。うまくいかなくても、激しく叱りつけたり叩いたりするのは絶対にNGです。
正しい方法で、繰り返ししつけを行いましょう。

〇トイレのしつけ方
子猫がトイレに行きたいようなそぶりを見せたら、すかさずトイレに連れていき、排泄させる。失敗してしまった場合はすぐにその場を消臭し、排泄物の臭いを消す。

〇爪とぎのしつけ方
まずは飼い主が猫の前で爪とぎをやって見せて、「ここで爪とぎをしていいよ」と教える。ほかの場所で爪とぎをしてしまったときはすぐにやめさせて、爪とぎの場所まで連れて行く。

ペルシャのお手入れ方法

ペルシャの美しい毛並みを保つためには、日々のお手入れが重要です。
子猫の頃からよくスキンシップを取り、お手入れを嫌がらない猫に育てましょう。

〇ブラッシング
ペルシャの最大の特徴である、美しい長毛。オーバーコート、アンダーコートともに毛量も豊富です。
特に換毛期に当たる春~夏の時期は、驚くほど大量の毛が抜け落ちます。
またペルシャは顔がくぼんでいるため、自分で舐めて毛づくろいすることが苦手です。
ぼさぼさのまま放置することは見た目が悪くなるだけではなく、毛玉や毛球症の原因にもなるため、しっかりとケアをしてあげましょう。

基本的にブラッシングは毎日行います。1日朝晩の2回が理想です。
ブラッシングの際には、長毛種のお手入れに向いているブラシをうまく使い分けましょう。
はじめにピンブラシと呼ばれる細いブラシで毛のもつれをほぐしてから、スリッカーブラシやコームで全身の毛流れを整えます。
脇の下や手足は毛玉になりやすいため、特に念入りにお手入れしましょう。毛玉は無理やり引っ張ると猫が痛がるため、ピンブラシなどを使って丁寧にほぐしていきます。
定期的にトリミングサロンでお手入れするのもいいでしょう。

〇目と鼻のケア
ペルシャはその顔の特徴から、涙や目ヤニが出やすい猫です。ほうっておくと悪臭や皮膚炎の原因になるため、目鼻はこまめにケアしてあげましょう。
お手入れの際には、水や専用のアイクリーナーで湿らせたコットンで、優しく目や鼻の周りを拭き取ります。デリケートな部分のため、強く擦りすぎないように注意してください。

温度管理

厚い被毛に覆われているペルシャは、夏の暑さに弱い猫種です。また鼻が低いため、呼吸が苦しくなりやすいとされています。
熱中症対策のため、夏場はクーラーを付けて室温を管理しましょう。クールマットなどの冷感グッズを使うこともおすすめです。
また、ペルシャは冬の寒さもあまり得意ではありません。夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるよう、温度管理を行いましょう。

ペルシャかかりやすい病気

他の純血種と比べて長生きする傾向にあるペルシャですが、実は遺伝的な問題や体の特徴による病気のリスクを多く抱えた猫なのです。
ペルシャがかかりやすい病気について知っておくことは、飼い主としての必須条件になるでしょう。

<ペルシャはこんな病気に注意!>
■呼吸器・心臓
〇短頭種気道症候群…短頭種であるペルシャは、生まれつき呼吸がしにくい(苦しくなりやすい)
〇肥大型心筋症…心臓の筋肉に肥大が起こり、心臓の血液が足りなくなる
〇心嚢水…心臓の周辺に体液がたまってしまうことで、心臓の動きが悪くなる

■肝臓・腎臓
〇多発性肝嚢胞…肝臓に複数の嚢胞(水がたまった袋)ができる
〇多発性嚢胞腎…腎臓に複数の嚢胞ができ、腎臓の動きを妨げる
〇尿石症…ペルシャは尿石ができやすく、進行すると血尿や膀胱炎の原因になる

■目
〇流涙症…鼻涙管という涙が出る管が圧迫されることにより、涙がたくさん出てしまう
〇眼瞼内反症…眼瞼(まぶた)が内側に折れて、目や眼球を刺激してしまう
〇進行性網膜萎縮…網膜(視神経の先端が集中する器官)が萎縮することにより、視力低下や失明の原因になる

■皮膚
〇アレルギー性皮膚炎…さまざまなアレルギー物質を原因とし、皮膚に異常を引き起こす

気品あふれるペルシャと豊かな生活を

今回は、ペルシャの基礎知識と子猫の迎え方、飼い方のポイントを解説しました。
高貴な見た目や穏やかな性格など、ほかの猫にはない魅力がいっぱいのペルシャ。
ペルシャを飼ってみたい方は、ぜひこの記事を参考に”運命の子猫“を探してみてくださいね。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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