ロシアンブルーの基礎知識

ロシアンブルーは、名前の通りロシアを原産国とする猫です。
思わずハッとさせられるような気高い姿が印象的ですが、実際に飼うとなるとどれぐらい大きくなるのか、人慣れするかどうかも気になりますよね。
まずはロシアンブルーの基礎知識を見ていきましょう。

猫種の起源と歴史

「ロシアの青猫」の名を持つロシアンブルーの祖先は、ロシアのアルハンジェル島に生息していた土着猫であることが有力とされています。
祖先猫はやがてロシアからイギリスに渡り、繁殖家の手により交配が進められます。
高貴な見た目からロシア皇帝に愛されていた猫ですが、その魅力はイギリス王室のヴィクトリア女王も虜になるほどでした。
1800年代の後半からイギリスのキャットショーにも登場するようになりましたが、現在の名前ではなく、「アルハンジェルキャット」や「フォーリンブルー」といった別の名で呼ばれていました。

19世紀から20世紀の戦争の時代に入ると、食糧難により純血種のロシアンブルーの数は激減。一度は絶滅の危機に瀕しましたが、戦後のイギリスでロシアンブルーを復活させようとする動きが出始めます。
シャムとの交配で作出されたロシアンブルーは、現在の姿と異なる「ぽっちゃり体型」でした。
その後、原種に近いロシアンブルーの復活を目指し、ほかの猫との交配が進められた結果、現在の姿に固定されたのです。
一方、20世紀のアメリカでも、イギリス同様に育種が進められており、そのもととなったのはイギリスからもたらされたロシアンブルーと、スカンジナビアに残っていたロシアンブルーであると言われています。
これらの経緯から、「ロシアンブルーの起源はロシアではなくイギリスやアメリカだ」と主張する意見もあります。

体高、体重はどれくらい?

ロシアンブルーは、猫のなかでもほっそりとした「フォーリンタイプ」という体型に分類されます。
体高は成猫時で25~27㎝ほどで、頭が小さく、小柄な猫です。
体重は3~5kgが理想とされ、5kgを超えると肥満傾向とみなされます。

平均寿命は?

日本で暮らすロシアンブルーの平均寿命は、10~12歳ほどです。海外においては、15歳を超えて生きる長寿猫として知られ、20歳近くまで生きた猫もいます。
基本的には遺伝的疾患が少ない猫種ですので、健康管理や環境によっては日本でも17~18歳まで生きるケースも少なくないようです。

どんな性格?

“ボイスレスキャット”と呼ばれるだけあって、あまり鳴かない静かな猫です。元気に動き回るというよりは、穏やかでおっとりした性格です。
とても賢く、飼い主に対してはまるで犬のように忠実な一面を見せることも。その一方で、嫉妬深くプライドが高い気難しい性格でもあります。

ロシアンブルーは、オスとメスではやや性格が異なることでも知られています。
オスはメスよりも飼い主に懐きやすく、とても甘えん坊。飼い主の膝の上でじっとすることを好み、いつまでも子猫のような愛らしさを見せてくれます。
飼い主に対してより従順な姿勢を見せるのも、オスの性格の特徴です。

一方のメスは、気まぐれで“ツンデレ”な猫らしい性格の個体が多いです。やや神経質で警戒心が強く、臆病な一面も。
誰にでも懐くわけではなく、家族のなかでも人を選んで甘える傾向にあります。一度飼い主と認めた人に対しては強い独占欲を見せるため、そんな姿にメロメロになる人も少なくありません。

毛色のパターンは?

ロシアンブルーの毛色として認められているのは、シルバーブルー(グレー)のソリッドカラー1色です。
身体のパーツによって微妙に色の濃淡が出ることもありますが、よりグレー一色に近いものが良血統とされる傾向にあります。
シルクやビロードといった高級繊維のように輝く毛並みは、手触りも極上です。

目の色が変化する?

「グリーンの瞳」を持つ猫として知られているロシアンブルーですが、子猫時代の目の色を見てみると、成猫とは異なっていることが分かります。
子猫の頃は、“キトンブルー”と呼ばれる、淡いブルーグレーの瞳です。毛色と調和するような色味がかわいらしいですね。
一方成猫の瞳は、鮮やかなロイヤルグリーン。この違いは、メラニン色素の量に起因しています。
子猫の頃は少なかったメラニン色素が、成長するにつれて増えていき、定着することにでこのような変化が起きるのです。

どの時期に色が変わるのかには、個体差があります。この変化を楽しめるのも、ロシアンブルーの魅力の一つですね。

ロシアンブルーの子猫を迎えよう

美しい毛並みと高貴な姿で愛好家を魅了するロシアンブルー。犬のようで、猫のようでもあるこの猫の魅力にハマり、「飼ってみたい!」と考えている人もたくさんいるのではないでしょうか。
続いて、ロシアンブルーをお迎えするための方法や、健康な子猫の選び方、お迎えの準備について説明します。

子猫の価格相場は?

ロシアンブルーの子猫の価格相場は、約18万円です。
猫の生体価格は、一般的に「月齢」や「血統」で上下します。
月齢が低い猫ほど高く、3カ月~半年を超えると多少ディスカウントされるケースは珍しくありません。
また、キャットショーで入賞するような猫の子孫は“良血統”とされ、相場よりも高い金額が付くことも多いです。このタイプの猫はブルーグレーの毛色が均一で美しく、バランスの整った体格をしています。
キャットショーに出すことを考えないのであれば、相場を目安に子猫を探すといいでしょう。

子猫をお迎えする方法

ロシアンブルーの子猫を迎える方法は、「①ペットショップ」、「②ブリーダー」、「③里親制度」の3つです。それぞれの方法のメリット・デメリットを知っておきましょう。

①ペットショップ
さまざまな猫種を取り扱うペットショップでは、ロシアンブルーの子猫を取り扱っているところもあります。
店頭では、気になった子猫を抱かせてもらえることもできます。気に入った子を見つけたら、その場で成約。子猫の体調にもよりますが、問題が無ければその日のうちに連れて帰ることも可能です。

気軽に猫を見に行けるのがペットショップのメリットですが、裏返せばお迎えを待つ猫たちは、常に大勢の人々の目に晒されていることになります。
また、専門店と言ってもブリーダーほどの知識を持った店は稀ですので、お迎え前にロシアンブルーについて詳しく聞きたい人にとっては不向きと言えるでしょう。

②ブリーダー
初心者におすすめしたいのは、ロシアンブルーのプロとも言える、専門ブリーダーからのお迎えです。
特にロシアンブルーのことを徹底的に勉強し、健康で良質な子猫の繁殖にこだわるブリーダーであれば、飼育方法についても丁寧にアドバイスしてくれることでしょう。

健康で丈夫な子猫を手に入れられるのも、ブリーダーのメリットです。きょうだいたちと一緒にのびのびと育った子猫は、性格的にも育てやすい傾向にあります。
親猫を見せてもらえる猫舎であれば、子猫の成長後のイメージも付きやすいですね。

ただし、ブリーダーが近場にない場合は、遠方まで足を運ぶ必要があるかもしれません。よい子猫を迎えるためには手間を惜しまない気持ちが大切です。

③里親制度を使って迎える
誰かが飼えなくなった猫を譲り受けるのが、里親制度です。
動物愛護センターや保健所経由のほかに、現在ではネットの里親サイトの活用も盛んになってきました。

引き取り手が付かない猫は、残念ながら処分されてしまうことになります。猫の命を救うといった意味でも、里親制度は重要な役割を果たしています。

里親を募集している猫は、生後まもない子猫からシニア猫までさまざまです。里親制度の場合、価格相場よりも安価で譲り先を探していることがほとんどです。
ただし、ロシアンブルーなどの純血種の子猫は非常に競争率が高く、当選するのは至難のわざ。里親になるためには、ほかの候補者よりもよい条件を整える必要がありそうです。

また、里子に出されている猫のなかは、健康状態に問題を抱えていたり、人に懐きにくかったりする場合もあります。

健康な子猫を見分けるポイント

子猫を選ぶときの鉄則は、「実際に見て、触って、抱っこしてみる」こと。その際には、以下のようなポイントをチェックしてみましょう。

<子猫の健康チェックポイント>
・骨格…しっかりとした骨や筋肉を感じるか? 弱々しい印象はないか?
・皮膚、被毛…皮膚に赤みやただれ、ケガはないか? 脱毛や毛の汚れはないか?
・目…大量の目ヤニが出ていないか? 
・口…歯が汚れていないか? 嫌な口臭はしないか?
・耳…赤みやただれ、耳垢による汚れはないか?
・肛門…汚れはひどくないか?

飼い始める前に必要な準備

ロシアンブルーの子猫を迎えるためには、お家を“猫仕様”に整える必要があります。
猫が安全で快適に暮らせるスペースを用意するほか、以下のような飼育グッズを揃えましょう。

<お迎えまでに揃える猫グッズ>
・キャットフードと食器

ロシアンブルーには、月齢に応じたキャットフードを用意してください。
子猫のうちは、高栄養価の「子猫用」のフードを。成猫になったら、低カロリー高たんぱくのフードを選ぶのがベストです。
食器は猫の成長に合わせたサイズのものを。フード用と水飲み用の2つを用意しましょう。

・キャリーケース
頑丈なプラスチック製のものや、リュックやショルダーバッグのように持ち運びに便利なものなど、さまざまなタイプのキャリーケースがあります。
猫が脱走しないよう、きちんと蓋の閉まるものを選びましょう。

・寝床
猫が好む寝床は、“夏は涼しく、冬は暖かい”ものです。専門店には、それぞれのシーズンに合わせた素材のベッドも販売されています。
また、猫は狭くて暗い場所を好みますので、体のサイズに対して大きすぎないもの、ドームタイプのように屋根があるものが喜ばれるでしょう。

・猫用トイレ、猫砂
猫のトイレは、猫の数にプラスワンした数を用意します。オープンタイプやドームタイプなどの形状のものがあるため、設置場所や猫の好みに応じたものを使いましょう。
猫砂の材質も、人工物から天然の木材までさまざま。いつでも清潔に保つため、交換用の猫砂も多めに準備してください。

・爪とぎ
猫を飼育するうえでのマストグッズです。軽くて安価な段ボールタイプ、猫用の遊具やキャットタワーの側面が爪とぎになっているものといったバリエーションがあります。

ロシアンブルーの飼い方

おとなしく従順な性格で飼いやすいとされるロシアンブルーですが、同時に臆病で神経質な一面も備えています。飼い方を誤ったために、手が付けられないぐらい凶暴になってしまった……なんてこともあるかもしれません。
愛猫と幸せなキャットライフを送るためにも、正しい飼い方を知っておきましょう。

食事のポイント

猫の健康を維持するためにも、毎日の食事の質はとても大切です。
細身なイメージのロシアンブルーは、実は太りやすい猫種。意識的に運動させるとともに、食事内容でコントロールする必要があります。
フード選びのポイントは、「低脂肪・低カロリー」。また、消化吸収を妨げないグレインフリーのものもおすすめです。
さらにロシアンブルーの美しい毛並みを保つために、「オメガ3脂肪酸」等の栄養素を含んだフードを選ぶのもいいでしょう。

必要な運動量

基本的には穏やかでおっとりしたロシアンブルーですが、運動することも大好きな猫です。
特にやんちゃな子猫時代は、部屋中を思いっきり走り回ったり、家具を登り降りしたりと、なかなかの運動量を見せてくれます。
部屋の中に走り回れるスペースを取り、キャットタワーを設置していつでも運動できる環境を整えてあげましょう。

おすすめの遊ばせ方

ロシアンブルーは遊ぶことが好きな猫です。
猫と遊ぶことは、飼い主にとっても大切なコミュニケーションの時間になります。肥満防止やストレス解消にも役立ちますので、なるべく毎日時間をつくって遊ばせるようにしましょう。
猫じゃらしやおもちゃを使って一緒に遊ぶ時間は、1日10分ぐらいを目安とします。

しつけのコツ

「犬のような猫」とも言われるロシアンブルー。特にオス猫は、飼い主に従順な姿勢を見せます。
飼い主の言葉や行動の意味を理解するなど、とても賢い一面もあります。子猫の頃からきちんとしつけを行うことで、とても飼いやすい猫になりますよ。

人間と暮らすうえで必要なしつけは、トイレや爪とぎです。これらのトレーニングは、子猫の頃からスタートします。

・トイレ
子猫がトイレに行きたいそぶりを見せたら、すかさずトイレに連れていって排泄させましょう。トイレの中でうまくできたら、きちんと褒めてあげてください。
粗相をしても決して叱らずに。すばやく掃除して排泄物の臭いを消しましょう。
上手にやれば、トイレを覚えるまでにそう時間はかからないはずです。

・爪とぎ
爪とぎをするのは、猫の本能。好き勝手にやらせてしまうと、家中引っ掻き傷だらけになってしまいます。子猫のうちから、専用の爪とぎを使うことを教えましょう。
親と一緒に暮らす子猫の場合は、母猫から爪とぎを教わります。飼い猫の場合でも、飼い主が爪とぎをやってみせたり、子猫の手を爪とぎに乗せてみたりすることで、爪とぎを覚えてくれます。成功したときは、ごほうびをあげて褒めてあげるといいですね。

しつけがうまくいかないときは、飼育環境に問題があるのかもしれません。
臆病で警戒心が強いロシアンブルーは、環境の変化に敏感です。にぎやかな環境にストレスを感じやすいため、心当たりがある場合は、できる限りストレス要因を取り除いてあげてください。

お手入れ方法

・ブラッシング
高級な絨毯のように滑らかな触り心地は、ロシアンブルーの魅力の一つですよね。柔らかく艶やかな被毛を保つためには、毎日のブラッシングが欠かせません。
ロシアンブルーは、比較的お手入れしやすい短毛種です。換毛期でなければ、さほど抜け毛も多くありません。
長毛種のように毛がもつれることは少なく、獣毛ブラシやラバーブラシといった固めのブラシがあれば十分お手入れできます。
頭の後ろから背中→腰→お尻周り→おなか→手足と、猫の様子を見ながら念入りにブラシをかけてあげましょう。

普段は抜け毛の少ないロシアンブルーにも、換毛期はやってきます。
抜け毛が大量に増えるこの時期には、日々のブラッシングに加えて、シャンプーで毛を落とすのも有効です。
セルフグルーミングによる毛球症のリスクも高まる時期ですので、換毛期は特に念入りなお手入れを心掛けましょう。

・爪切り
やんちゃで遊び好きなロシアンブルーは、自分で爪とぎすることも大好きです。それでも猫の爪はどんどん伸びていくため、定期的な爪切りが必要になります。
動物病院やペットサロンでお願いする方法もありますが、できれば自宅での爪切りにチャレンジしてみましょう。
専用の小さな爪切りやはさみを用意し、血管を切らないよう注意しながら先端を揃えるようにカットしてください。
一度でも爪切りで嫌な思いをさせてしまうと、「爪切り嫌い」な猫になってしまいかねません。慣れないうちは決して無理をさせず、1本ずつやるのがコツです。

室温管理

細かい毛が密集しているロシアンブルーは、夏の暑さが苦手です。特に夏場締め切った部屋での長時間の留守番は熱中症のリスクが高まるため、注意が必要です。
猫が涼しい場所を求めて歩く様子が見られたら、暑さを感じているサイン。部屋にクーラーをかけ、室温を27℃前後に保ちましょう。
ひんやりした冷感で体を冷やすクールマットなどのグッズを使うのもおすすめです。

逆にロシアンブルーは冬の寒さには比較的強いですが、それでも子猫やシニア猫は寒さで体調を崩してしまうことも。寒い季節になったら冬用の温かいベッドを用意し、暖房で室温調整してあげましょう。

かかりやすい病気

ロシアンブルーは、純血種のなかでは遺伝的疾患が少なく丈夫な猫です。健康な生活を送っていれば、平均寿命を超えて長生きしてくれることもしばしばです。
肥満防止と泌尿器科系の病気には注意しつつ、猫の健康管理を行いましょう。

<ロシアンブルーが注意したい病気>
・肥満
ロシアンブルーは生まれつき太りやすい体質のため、フードやおやつの与え過ぎや運動不足がすぐ肥満になって表れます。
肥満体型になると、四肢や関節を痛めやすくなるほか、心臓や呼吸器に負担をかけることによる心不全のリスクも高まります。

・猫伝染性腹膜炎
猫腸コロナウイルスが突然変異することにより、腹膜炎といった激しい症状を引き起こします。効果的な治療がなく、致死率も高い病気です。
アメリカの動物病院の調査によると、ロシアンブルーの猫伝染性腹膜炎発症リスクは、雑種猫の7倍以上ということがわかっています。

・下部尿路症候群
泌尿器科系のどこかに結石ができる病気です。症状悪化による尿毒症のリスクがあります。
アメリカの動物病院の調査では、ロシアンブルーの膀胱結石、尿酸塩尿石症発症リスクはほかの猫種よりも高いという結果が出ました。

気高く美しいロシアンブルーと充実した生活を

ソリッドブルーの毛並みとエメラルドグリーンの瞳を持つロシアンブルー。
高貴な外見とは裏腹に、まるで犬のように人懐っこく、大きな鳴き声もめったにあげません。
短毛なのでお手入れも比較的簡単なうえに、体も丈夫なため、非常に飼いやすい猫種といえるでしょう。
ただし、肥満や泌尿器系の疾患など、一部注意しなければならないこともあるので、飼育を考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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