キャバリアの基礎知識

キャバリアの正式名称は、「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」。騎士と王様の名を持つ犬ですが、そのルーツはどこにあるのでしょうか?
まずは犬種の歴史や、体高・体重、平均寿命、性格などの基礎データをご紹介します。

歴史・ルーツ

キャバリアはイギリスを原産国とする犬種です。16世紀頃に存在した狩猟犬(スパニエル)が祖先で、当時のイギリス王室のチャールズ1世、2世から深い寵愛を受けていました。
19世紀に入ると、愛玩犬として小型のスパニエル犬と、短頭種(鼻が短い犬種)の交配が盛んに行われ、「キング・チャールズ・スパニエル」とと呼ばれる犬が登場しました。
イギリスやヨーロッパ諸国の王族、富裕層に好まれていましたが、短頭種の欠点である呼吸器の弱さや、いびきの大きさを問題視する人たちもいたそうです。
その後、古来のスパニエルへの回帰を目指して作出されたのが、現在の「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」です。チャールズ王への敬意を表し、中世の騎士の名が与えられました。「キング・チャールズ・スパニエル」と比べて口吻(マズル)が長く、サイズも少し大きめです。
キャバリアは1945年にイギリスで血統登録され、1960年頃にはイギリス王室で飼育されていたこともあります。
日本でも広く親しまれ、現在は登録数20位以内に入る人気犬種です。

体高・体重

体高は30~33cm程度で、小型犬のなかでは大きめの部類です。
体重はJKCの規定によると5.4~8kgが理想で、小型でバランスのとれた犬が好ましいとされています。

平均寿命

キャバリアの平均寿命は9歳~14歳程度です。遺伝的に心臓の病気が多い犬種ですが、小型犬としては平均~やや長めと言えます。
飼い方によっては、平均を超えて長生きする個体もいます。

毛質・毛色

毛質はつややかで柔らかく、まるで絹のような滑らかさです。ストレートもしくは少しウェーブがかった毛質のタイプに分かれます。
毛色は単色、バイカラー、トライカラーのパターンがあり、JKCで認められている毛色は4色です。

①ブラック&タン
艶のある黒毛をベースに、眉・頬・耳裏・胸や脚などに明るいタン(黄褐色)のマーキングが入るバイカラーです。
ホワイトの毛が混じるとミスカラーと見なされます。イギリスでは「キング・チャールズ」の愛称で呼ばれることもあります。

②ルビー 
赤褐色の単色カラーで、輝くように鮮やかな毛色です。
ミニチュアダックスフンドやトイプードルの場合はレッドに該当するカラーですが、キャバリアではルビーと呼ばれます。
ブラック&タンと同じく、白毛が混じるのはミスカラーです。

③ブレンハイム
パーリー・ホワイトのベースに、チェスナット(栗色)のマーキングが入るバイカラーです。
特に耳の間、頭の上に「ロザンジュ(ひし形紋)」と呼ばれるマーキングを持つことに価値がおかれています。これは、キャバリアを愛したイギリスのマルボロ侯爵が戦地に赴いている間、夫の無事を祈りつつ夫人が抱いていた犬に由来があります。夫人が犬の頭に手をおいていたところ、その犬が生んだ子犬のすべてに、ロザンジュ模様が表れたいう伝説が残っているのです。
ちなみにブレンハイムは、マルボロ侯爵の領地名にちなんだ呼び名です。

④トライカラー
毛色がブラック&ホワイト&タンの3色にはっきり分かれるトライカラーです。タンのマーキングは、眉・頬・耳裏・脚や尾に入ります。
3色以外の毛色が混じることは好ましくないとされており、ミスカラー扱いされます。
トライカラーは、「プリンス・チャールズ」の愛称でも親しまれています。

性格

愛玩犬として改良された狩猟犬というルーツを持つキャバリアは、活発で遊び好きであるとともに、穏やかで友好的な性格です。
争いごとを好まず、攻撃的な面はほとんどありません。小さな子どもにも優しく接してくれるため、家庭向きの犬といえるでしょう。噛み癖や吠え癖は少なく、ほかの犬とも仲よくできる犬種です。

飼い主に対しては非常に従順な姿勢を見せてくれます。子犬の頃からしっかりコミュニケーションを取り信頼関係を築くことで、かけがえのないパートナーとなってくれることでしょう。

キャバリアの子犬を迎えよう

キャバリアの基礎知識を学んだ次に知りたいのは、子犬の迎え方ですよね。
「どこで迎えるのがいいの?」、「何を準備すればいいの?」と悩む人のために、健康な子犬の迎え方や、必要な準備について解説します。

子犬の価格相場

キャバリアの子犬の平均相場は、約21万円です。小型犬のなかでは平均的で、比較的手に入れやすいと言えるでしょう。

価格は月齢や性別、血統、毛色にも左右されます。特にブレンハイムカラーで「ロザンジュ(頭のひし形斑)」を持つキャバリアは大変価値が高いとされ、平均よりも高値がつきやすい傾向にあります。

子犬を迎える方法

キャバリアの子犬は、ペットショップやブリーダー、里親探しの場で見つけられます。
3つの方法にはそれぞれメリット・デメリットがありますので、犬を初めて飼う方は慎重に検討することをおすすめします。

■ペットショップ
家庭犬として人気の犬種を多数取り扱うのが、ペットショップです。
さまざまな犬種を扱うペットショップをいくつか回れば、キャバリアの子犬に出会える可能性は高くなります。

子犬の生体販売のほか、フードやおやつ、ケージ、キャリー、ペットシーツなども取り扱っており、大型店舗であれば犬の飼育に必要なグッズを一度に揃えられることもできるでしょう。

一方で、初心者飼い主さんに注意していただきたいのは”悪徳ペットショップ”の存在です。儲け主義に走るあまり、子犬の健康を無視した劣悪な環境での飼育が行われるケースが稀にあります。

■ブリーダー
キャバリアを専門に繁殖を行うブリーダーは、犬種のことを知り尽くしたプロです。
子犬を希望する場合は、予約を済ませたうえで犬舎を訪れ、親犬や実際に生まれた子犬を見学しましょう。繁殖・飼育の環境や、親犬・きょうだい犬のことを知れるのは、ブリーダーならではのメリットです。
健康で血統こだわる“優良ブリーダー”は、豊富な経験からさまざまなアドバイスをしてくれるでしょう。犬の飼い方や犬種のことにあまり詳しくない方は、まずブリーダーの犬舎を見学してみてはいかがでしょうか。

ブリーダー探しの際に注意したいのは、ペットショップと同様、“悪徳ブリーダー”の存在です。犬を見学に行く際は、飼育環境におかしな点がないか、犬たちの様子はどうか、注意深く見てみましょう。

■里親制度
「里親になる」ことも、キャバリアを迎える一つの方法です。
里親を待つ犬は、飼育に何ら問題のない犬から、病気やケガ、精神面での問題を抱えた犬まで、さまざまです。子犬からシニアまで、幅広い月齢の犬が譲渡に出されています。
里親になることは、引き取り手がない犬を救い、新たな“人生”のスタートを切る手助けという意味で、非常に大きな意義を持ちます。

運よく理想のキャバリアの子犬が見つかり、譲渡の際に提示される里親の条件に当てはまれば、子犬の里親になることができます。
ペットショップやブリーダーの場合、生体価格とグッズ購入を合わせるとまとまったお金が必要となりますが、里親制度の場合は初期費用を抑えられるケースが多いです。

しかし、里親制度を使ってキャバリアの子犬に出会えるかどうかは、運次第です。また飼い主の居住環境や犬の飼育経験が譲渡条件に当てはまらない場合もあります。

健康な子犬を見分ける方法

ペットショップ、ブリーダー、里親制度、どの方法にしても必ずチェックしたいのが、子犬の健康状態です。
直接子犬と対面し、抱っこしてみるのは必須。どこかおかしな部分はないか、体のすみずみまでチェックしましょう。

<各部位のチェック>
 ①目…キラキラ・イキイキしているか、涙や目ヤニは大量に出ていないか
 ②鼻…透明の鼻水が大量に流れ出ていたり、黄緑色の鼻水が出ていたりしないか
 ③口元…噛み合わせは正常の範囲内か、、口臭はないか
 ④耳…病的な赤みやただれ、耳垢は見られないか、異常な臭いはないか
 ⑤被毛…汚れていないか、キャバリアらしい毛質のツヤが見られるか
 ⑥皮膚…赤みや傷はないか、体を痒がる様子はないか
 ⑦肛門…排泄物で汚れていないか
 ⑧体格…骨格はしっかりしているか、抱き上げたときに骨や筋肉を感じられるか

子犬を飼い始める前に必要な準備

キャバリアの子犬が見つかったら、ドックライフのスタートまであと少し。飼い始める前に、犬と暮らすために必要な環境整備やグッズの準備を進めておきましょう。

<子犬の飼いはじめに必要なグッズ>
■サークル、ケージ
温度調整ができる静かな場所に設置し、子犬の生活スペースを確保してください。
天井や床がなく、周囲を囲うだけのサークルタイプ、四方が金網で囲まれて出入口の付いたケージタイプがありますが、設置場所や条件により適切なものを選びましょう。

■キャリーケース
子犬を連れて外出するときや、犬の寝床として使います。子犬時代はワクチン接種などで動物病院に行く機会も多いため、キャリーの中でおとなしくする練習も必要です。
蓋がしっかり閉まるもので、犬の体格に合ったサイズを選びましょう。
 
■ベッド
サークルやケージの中に置くベッドは、子犬の体を温められる、柔らかいものが好ましいです。犬専用のベッドも市販されていますが、人間用のクッション、タオルや古着でも代用できます。

■トイレ
室内飼いの犬の場合、プラスチック製などの平たいトイレトレーと、排泄物を吸収してくれるペットシートを組み合わせて使うのが一般的です。
おしっこの飛散が気になる場合は、トイレトレーに飛散防止ガードが付いたタイプのものを試すのもいいでしょう。

■フードと食器
犬の月齢や体質に合わせたフードを選びましょう。子犬のときは栄養価の高いフードがいいですが、1歳を超える頃には高たんぱく・ローカロリータイプのものに切り替えるのがおすすめです。

キャバリアの飼い方

穏やかで優しく、人の気持ちが理解できるキャバリアとの生活はとても楽しいもの。1日でも長く大切な愛犬と過ごすためには、正しい飼い方やキャバリアのかかりやすい病気に対する知識が必要です。
また、キャバリアは抜け毛が多い犬種のため、日々のお手入れも欠かせません。

食事のポイント

食事は1日2回、朝晩に分けて与えましょう。
フードは月齢に合ったものを用意し、1回ずつ適正量を計って与えてください(適正量は各フードのパッケージに記載されています)。

キャバリアはとても食欲旺盛な犬です。たくさんフードを与えると、あるだけペロリと平らげてしまうことも。
太りやすい体質でもあるため、カロリーオーバーは肥満に直結します。おいしそうにごはんを食べる姿はとても愛らしいものですが、ここは心を鬼にして、肥満防止に努めましょう。

必要な運動量、散歩の頻度・回数

小型犬のなかでも体格が大きく、狩猟犬の血を引くキャバリアは、外で運動することが大好きです。
散歩の目安は、成犬で1日2回、30分程度が適正です。
散歩デビューしたばかりの子犬のうちは、無理のない距離からはじめ、徐々に散歩の範囲を広げましょう。

運動不足はストレスを引き起こすだけでなく、肥満のリスクを高める原因にもなります。
散歩ができないときは、室内で一緒に体を動かす遊びをすることも有効です。キャバリアはボールを追いかけたり、ものを取ってきたりする遊びを好みます。

しつけのコツ

穏やかで飼い主に従順なキャバリアは、しつけがしやすいとされています。攻撃性や噛み癖もあまりないため、頭ごなしに叱りつけたりするような厳しいしつけはほとんど必要ありません。
とは言いつつも、甘やかしすぎるのは犬にとっていいことではありません。子犬のうちに、基本的なしつけを済ませておきましょう。

■留守番のしつけ
飼い主や家族のことが大好きなキャバリアは、長時間1匹でお留守番することが大の苦手。ずっと一緒にいた飼い主が急にいなくなることは、犬に大きなショックを与えかねない事態です。また留守番によるストレスが、問題行動に発展することもあります。

留守番のしつけは、子犬のうちから徐々に1匹の状況に慣れさせていくことがポイントです。
まずは10分程度の短い時間から始めて、犬の様子を伺いながら留守番時間を延ばしていきます。はじめのうちはクンクン鳴いて寂しがることもありますが、自分や飼い主の匂いのついた布類をケージやサークルの中に置いておくと、犬の安心感が高まります。

「いってきます」や「ただいま」といった声がけは、返って犬を身構えさせ、留守番嫌いをエスカレートさせてしまう原因になります。
外出時は静かに場を離れ、帰宅時も平静を保ち、過剰に犬を気にする素振りを見せないようにしましょう。

■噛み癖のしつけ
歯が生え変わる時期や、飼い主に甘えたい(遊びたい)盛りの子犬は、飼い主の手にじゃれつくように甘噛みすることがあります。
力が弱く、歯が生えそろわない子犬のうちは、噛まれてもあまり痛くありませんが、これが成犬になっても続くようでは大変です。

噛み癖のしつけも、子犬のうちからスタートしましょう。
甘噛みされたら、「痛い!」、「やめて!」と大声を上げて、犬を制止します。このようなしつけを繰り返すことで、キャバリアは「人や犬を噛むと嫌なことが起こる(噛んではいけない)」と学習します。

■吠え癖のしつけ
キャバリアは一般的に問題行動の少ない犬ですが、ストレスや外的要因、飼い主自身の態度により、吠え癖が付いてしまう場合があります。
ストレスが疑われる場合は、飼育環境の改善を考えましょう。また十分な運動時間を確保することが、ストレス軽減につながる場合もあります。

また、犬が吠えたら何か食べ物を与えたり、要求に応えたりするような習慣はNGです。犬は、「吠えれば自分の思い通りになるんだ」と勘違いしてしまいます。
犬に吠えたてられても、決して要求に応えないこと。吠え癖のしつけ方は、静かになるまで犬を無視し、別の部屋にいって1匹にする方法や、天罰方式(犬が吠えたら大きな物音を立てる、近くに物を落下させるなど)で、吠えると嫌なことが起きると覚え込ませる方法があります。

お手入れ方法

キャバリアの毛は、毛量の多いダブルコートです。細く柔らかい毛質で抜け毛が起こりやすいため、換毛期は部屋中毛だらけ……なんてことも。
抜け毛のケアは、日々のブラッシングやレーキング、シャンプーといった方法があります。

■ブラッシング
通常時は1日1回、換毛期は1日数回行いましょう。
はじめにスリッカーブラシで毛のもつれや余分な毛を取り除き、コームで全体の毛流れを整えます。
換毛期には驚くほど大量の毛が落ちますが、掃除機を直接犬の体に当てて毛を吸うことは、ケガの原因になるためおすすめできません。
毛が床に落ちる前にブラッシングで取り除くことを心がけましょう。

■レーキング
トリミングナイフと呼ばれる道具でアンダーコートを抜き、毛量を調整する方法です。抜け毛を減らすほかに、夏場の暑さを軽減できるといったメリットもあります。
処理にはプロの技が必要になるため、レーキングのできるトリミングサロンにお願いするのがベストです。

■シャンプー
犬用のシャンプーで全身を洗浄し、抜け毛を一緒に洗い流す方法です。
頻度は2週間に1回~1カ月に1回の頻度が適切で、これより多くても少なくてもよくありません。

■その他のケア
被毛以外で注意したいのが、口腔内(歯)と爪のお手入れです。
歯は犬用の歯磨きグッズやデンタルガムを使うことで、歯垢の蓄積を軽減することができます。
また、伸びた爪は、トリミングサロンや動物病院、あるいは自宅で定期的にカットしましょう。

かかりやすい病気

純血種のキャバリアは、先天的に心臓病や目の病気にかかりやすい犬種です。大切な愛犬の健康を守るためにも、注意すべき疾患や病気について正しい知識を持ちましょう。

■僧帽弁閉鎖不全症
左心室にある「僧帽弁(左房室弁)」が閉まらないために、血流が左心室から左心房へ逆流する症状です。進行すると呼吸困難に陥る恐れがあります。
小型のシニア犬に多く見られる疾患ですが、キャバリアの場合シニア期を迎える前に約半数がこの病気にかかるとも言われています。
根治ができないため、投薬などで進行を遅らせる治療が行われます。

■白内障
目の水晶体が白く濁ることで、視力が低下する病気です。キャバリアの場合、遺伝的に目の病気にかかりやすいことが指摘されています。
白内障の進行により生活に支障をきたす場合は、点眼薬や手術で症状の改善を目指す方法があります。

■乾性角結膜炎
その名の通り、目が乾燥することで結膜炎のような炎症を起こす病気です。キャバリアは遺伝的に涙の量が少ないため、この病気にかかりやすいと言われています。

従順で心優しいキャバリアとの楽しい生活を

騎士の名を冠するキャバリアは、イギリス王室に愛された由緒のある犬種です。その性格はとても穏やかで、騎士さながらの従順さも併せ持つため、家庭でも非常に飼いやすいでしょう。

ただし、純血種ゆえに、心臓や目の疾患にかかりやすい傾向があるため、健康にはしっかりと気をつかってあげてください。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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