キャバリアのルーツは、キング・チャールズ・スパニエル

イギリスを原産とするキャバリア。犬種としての正式名称は「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」で、アメリカンコッカースパニエルパピヨンなどが属するスパニエル種のひとつです。

キャバリアのルーツは小型のスパニエル(トイ・スパニエル)で、犬に深い愛情を持つイギリス王室にて長い間愛されてきました。特に、チャールズ2世(1630~1685)は、公務を忘れるほどにトイ・スパニエルを溺愛していました。

しかしその後は、パグなどのマズルが短い犬種(短吻種)がヨーロッパにて流行し、キャバリアも交配を重ねるごとに長いマズルが短くされていきました。やがて「キング・チャールズ・スパニエル」として、呼ばれるようになります。

キャバリアと呼ばれるまで

短吻種の流行に乗り作出されたキング・チャールズ・スパニエルは、強引な繁殖により健康面に不安を持つ犬種でした。やがて、チャールズ2世が愛したマズルの長い伝統的なスパニエルを復活させようという動きが起こりはじめます。

1828年に犬種クラブが設立されると、その動きは本格化。元来の特徴を得るための「戻し交配」が重ねられ、本来の特徴を取り戻していきます。そして、祖先に近い特徴を得た個体は、中世の騎士を意味する「キャバリア」という名を冠した「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」と名付けられたのです。

キャバリアの体重と毛色、かかりやすい病気

小型犬としては、体がやや大きいキャバリア。平均的なサイズは、
■体高:30~33cm
■体重:6~8kg
ほどとされ、体長は体高より長く、骨はがっしりとしています。伸び伸びとした軽やかな歩様を見せるとともに、華麗な身のこなしを見せます。

顔の特徴は平らな額と、丸く大きな目です。たれ目のせいか、優しく穏やかな表情といえます。

4つの毛色を持つキャバリア

絹のような被毛を持つキャバリア。毛はあまり長くありません。また、足元に羽毛のような長い毛が生えているのも特徴的です。キャバリアの毛色は、主に4色あります。

■ブラック&タン
ツヤのある漆黒色です。タン・マーキングと呼ばれる模様が、両目の上・両頬・耳の裏側・胸・脚・尾の裏側にあります。模様は明るい色調です。

■ルビー(レッド)
体全体が明るく鮮やかな茶色です。

■ブレンハイム(ブレナム)
白地に、鮮やかなチェスナット(栗色)のマーキングが入っています。

■トライカラー(白地にブラックの斑とタンマーク)
白地に黒い模様とタン・マーキングが見られる3色混合のカラーです。

キャバリアがかかりやすい「僧帽弁閉鎖不全症」

キャバリアは、僧帽弁閉鎖不全症にかかりやすい犬種とされています。犬が発症する心疾患の75~85%は僧帽弁閉鎖不全症とされ、犬種関係なく老齢の小型犬がかかりやすい病気です。遺伝的な要因もあり、キャバリアは3~4歳までに半数近くがこの病気を抱えるといわれています。

僧帽弁とは、左房室弁のことです。僧帽弁に閉鎖不全が起こると、左心室から左心房へと血液が逆流し、症状が現れます。左心不全は徐々に起こり、症状が進むと肺水腫を原因とする呼吸困難が起こります。

基本的に治る病気ではなく、現れている症状をできるだけ抑えていくことによりQOL(生活の質)の改善を目指す治療がとられます。獣医師から処方された薬の服用を続けることによって、病気自体の進行をある程度抑えていくことが可能です。早期発見、そして早期投薬開始が治療のキーポイントとなります。

【本項参考】
改訂版イヌ・ネコ 家庭どうぶつの医学大百科 (パイ・インターナショナル)
P250「僧帽弁閉鎖不全症」より

家庭犬としての魅力にあふれた性格を持つキャバリア

穏やかで優しげな表情を見せるキャバリア。よき愛玩犬として、そしてよき家庭犬としての気質を備えています。

キャバリアは柔軟な面があり、飼い主が静かなタイプであれば寄り添い、体を動かすことが好きな飼い主ならばともに楽しみます。愛嬌があり社交性も高く、家族以外にも朗らかにコミュニケーションをとろうとします。

キャバリアの飼い方ワンポイント

キャバリアの性格はとてもよく、喧嘩や争いごとを好まず、小さなお子さまや高齢者、ほかのペットとも仲よくします。

愛情深く、人間が大好きなキャバリアですから、深くコミュニケーションをとるためにも室内飼いをおすすめします。

■トイレなどの基本的なしつけ
■フローリングにおける転倒防止の対策(膝蓋骨脱臼を予防します)
■食いしん坊なので、余計にごはんを与えない

上記3つのポイントをおさえておきたいところですね。
特に、3つ目のポイントを覚えておきましょう。キャバリアの平均体重は6~8kgですが、食欲旺盛で体重が変化しやすいので、体重の推移を記録しておくとよいかもしれません。

運動のペース

遊び好きで恐れ知らずのキャバリアは、毎日適度な運動が必要です。最低でも1日20~30分程度の散歩に出かけるとよいでしょう。室内での遊びも有効的です。

被毛のお手入れ

キャバリアは上毛・下毛にて構成されるダブルコートで飾り毛もあり、換毛期は特に抜け毛が目立ちます。

絹のような毛は短く、床にひきずるほど伸びることはありません。個体によって、ウェーブがかった巻き毛やくせ毛を持ちます。キャバリアの被毛は細く絡みやすいので、日々こまめにブラッシングしましょう。

まとめ

飼い主や家族とコミュニケーションを上手にとれるなど、家庭犬として魅力ある性格を持つキャバリア。運動好きながら長い散歩をさほど必要としないことも、飼いやすい犬種と言われる理由かもしれません。かわいらしい被毛のケアや健康管理を日々行うことが、育て方のポイントです。
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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。
 監修者プロフィール
獣医師・トリマー・ドッグトレーナー / ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています。

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