2,000人以上をレスキューしたセントバーナードの歴史

セントバーナードの原産地はスイス。スイス・イタリア国境間のグラン・サン・ベルナール峠にある、修道院の救護所で活躍したことで知られています。

犬種名はこの修道院の名前から「Saint-Bernard(サン・ベルナール)」とつけられ、日本では英語読みした「セントバーナード」と呼ばれるのが一般的です。

グラン・サン・ベルナール峠は古くから交通の要所と知られていましたが、冬はマイナス30℃にも至ることがあり、積雪は20mを超えることも。あまりの厳しい気候に馬を使うことができず、徒歩で山越えする人の多くが遭難の悲劇にあったと伝えられています。

そんな遭難した人々の探索に役立ったのがセントバーナードでした。セントバーナードは嗅覚に優れたうえに、深い雪の中を進む体力や勇気を兼ね備えた犬。大きな体で雪原に救護者を導くための道を作り、遭難者に寄り添って暖かい毛布のような役割を果たしていました。

修道院がセントバーナードを使って遭難者の救助を行ったのは17世紀中ごろからと言われています。それから20世紀初頭までの約250年間、2,000人以上もの命を救い続けました。

「超大型犬」のセントバーナードの大きさは

現在のセントバーナードは、オスの体高70~90cm、メスの体高65~80cmの超大型犬です。体重は50~90kgで、犬種のなかでは最重量級。過去には1970年にアメリカで生まれたセントバーナードが、体高99cm、体重138kgにも達したという記録が残っています。

そんなセントバーナードも、もともとは現在よりひとまわり小さな短毛の犬でした。体が大きくなった背景には、セントバーナードを襲った病気や救助時の過酷な環境があります。

19世紀初頭、遺伝性による先天性疾患と病気が大流行。加えて、救助の際に雪崩へと巻き込まれてしまう事故、そして雪山の過酷な気候が災いし、犬種の存続が危ぶまれるほどに個体数は減少の一途を辿ってしまいます。

絶滅の危機を救ったのは、ラブラドールレトリバーの先祖でもある「ニューファンドランド」との交配でした。豊かな被毛をもつニューファンドランドの影響で、長毛タイプのセントバーナードが誕生したと言われています。

しかし、長毛タイプは体に雪がつきやすく救助犬としては不向きとされ、セントバーナードが救助犬として使われることはあまりなくなりました。

セントバーナードの被毛の秘密

セントバーナードの被毛はホワイトが基調です。赤系ブラウンのまだら模様が入り、ブリンドルカラーや茶系イエローカラーのまだら模様も認められています。また、頭部はブラックのシェードが望ましい色です。

毛の構造は、寒冷地出身の犬に多い上毛と下毛がある「ダブルコート」です。短く硬めの毛が密集して生えるスムース(ショート)タイプと、ストレートあるいはウェーブがかった長い毛をもつラフ(ロング)タイプ」の2パターンがあります。

どちらのタイプも、毎週3回程度はブラッシングしたいところです。とくに、毛の生え変わる「換毛期」には大量に毛が抜けるため、しっかり処理しましょう。

ダブルコートの被毛は熱がこもりやすく、暑さに弱いので熱中症には注意が必要です。夏場は徹底した室温管理と水分補給に気を配っててください。

賢く、親しみのある性格

大きな体をもつセントバーナードですが、性格はいたって温和でのんびり。救助犬として活躍した歴史からもわかるように、とても賢く従順な犬種です。

セントバーナードは大型犬ゆえに成長のスピードが早く、社会化訓練をする「子犬期」も短いので、早い段階からしっかりとしつけましょう。
体が大きいため、セントバーナードに悪気がなくても、遊びたくて飛びついてきたり散歩中に興奮して引っぱられたりするだけで事故につながる恐れがあります。

賢く従順な性格を持つセントバーナードは、比較的訓練しやすい犬種です。しつけに自信がない場合は、しつけ教室などでトレーニング方法を学ぶという方法も有効ですよ。

セントバーナードを上手に飼育するポイント

体が大きく食欲旺盛な犬種のため、毎日の運動が必要です。一日一時間は散歩に出かけましょう。
激しい運動は必要ありませんが、ただ歩くだけではなくジョギングを取り入れて運動の強度を上げていきたいところです。

セントバーナードのような大型犬は、「股関節形成不全」になりやすいと言われています。食事管理・運動によって肥満防止を図り、関節の負担を減らしてください。股関節まわりの筋肉が発達すれば、関節をしっかり支えてくれます。

セントバーナードを飼う場合には、できれば家屋と庭を行き来させるなど、常に動ける環境を整えることが望ましいですね。

また、よだれが多い犬種で、放置すると皮膚炎を起こすことがあります。食事や散歩のあとは口のまわりを拭いてください。

まとめ

救助犬として大活躍してきたセントバーナード。大型犬のなかでは飼育に向いている優しい性格です。包み込んでくれるような安心感はほかの犬種にはなかなかない魅力と言えます。
とても大きな体に成長するため、飼育環境や食費など、しっかりと準備をしたうえで迎え、セントバーナードとの楽しい時間を過ごしましょう。
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『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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