ラブラドールレトリバーの基礎知識

歴史

ラブラドールレトリバーの祖先犬は、カナダのニューファンドランド・ラブラドール州、ニューファンドランド島で、漁師の手伝いをする水中作業犬として活躍していた、セント・ジョンズ・レトリバーです。
セント・ジョンズ・レトリバーは、ニューファンドランド島の原産犬として16世紀ごろから存在が確認されているニューファンドランドと、イングランドから移住してきた人々が持ち込んだ犬との交配種といわれています。

1800年ごろ、セント・ジョンズ・レトリバー犬の能力の高さに目をつけたイギリス貴族マルムズベリー伯爵がイングランドへと持ち帰り、改良を重ね、計画繁殖を行います。
この時代に作出された犬が、現在のラブラドールレトリバーの直接の先祖犬といわれています。

その後、1903年にイギリスケンネルクラブ(KC)で、1917年にはアメリカのケンネルクラブ(AKC)で、正式な犬種として認定されました。
「ラブラドール」はカナダの州名が由来で、カナダをルーツにもつ犬種ですが、イギリスで選択交配と繁殖がなされたため原産国はイギリスとなっています。

特徴

理想体高はオス56~57cm、メス54~56cmで、オスとメスの体高差はほとんどありません。理想体重はオスで29~36kg、メスで25~32kgと、がっちりとした体つきをしているのが特徴です。
四肢が丈夫で、走る・泳ぐが得意な大型犬です。

JKCでは8グループの「ポインター・セター以外の鳥猟犬」に分類され、ソフトマウス(獲物にダメージを与えず咥えて持ってくることができるやわらかい口)と、指の間に水かき、優れた嗅覚を持っています。

被毛は短い直毛でダブルコート、毛色はイエロー、ブラック、チョコレートの3種があります。
もともとはブラックが主流で、ブラック以外の色が正式に認められたのは20世紀になってからと、ごく最近です。胸に小さな白い斑が入ることがありますが、3色全て単色で、毛色の混ざったカラーは存在しません。

イエロー
日本でラブラドールといえばこの色、イエローを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。イエローのなかにも、明るいクリーム色からレッドフォックスと呼ばれる赤みがかった褐色まで、何種か存在します。

ブラック
「黒ラブ」の愛称で親しまれている濃淡のない黒色ラブラドールレトリバー。鼻、爪、肉球の色も真っ黒です。先祖犬セント・ジョンズ・レトリバーの毛色であり、ラブラドールレトリバーの主流の色でした。

チョコレート
ほかの犬種では「レバー」と呼ばれるカラー。日本での飼育頭数は多くないですが、アメリカでは人気が高くおなじみのカラーです。
ラブラドールレトリバーがかかりやすい病気のひとつに「ホットスポット」とよばれる皮膚炎がありますが、これの罹患率が、イエローやブラックに比べチョコレートは2倍以上であるという調査発表がありました。

性格

温和で従順
気立てがよく、優しく穏やかで平和主義、とても温和な性格をしています。

聡明
学習能力が高く賢い犬種です。知的好奇心が強いので遊びの要素をとりいれたトレーニングなどが得意です。
明るい性格と高い学習能力、優れた嗅覚を持っていることから、各国で多くのラブラドールレトリバーが盲導犬や警察犬、災害救助犬などの使役犬として活躍しています。

社交的
人懐っこく、飼い主以外の人間に対しても友好的です。
また、ほかの犬種と比較すると縄張り意識と攻撃性が低く、吠えることもあまりないため、番犬には向いていないといわれています。
人とのスキンシップが大好きで、人と作業をすること、人に喜ばれることを好みます。

遊ぶことが大好き
性格的には穏やかですが、にぎやかな環境を好み、遊ぶのが大好きな犬種です。
レトリバーとはレトリーヴ(retrieve)、「回収する・取り戻す」という意味の単語からきており、漁猟の際に獲物を回収する手伝いをしていたことから、飼い主の投げた物を咥えて持ってくるという遊びが大好きです。

ラブラドールレトリバーの子犬を迎えよう

ここではラブラドールレトリバーの子犬を迎える方法や気を付けるべきポイント、また子犬を迎える際に必要なものをご紹介します。

価格相場

ラブラドールレトリバーの子犬の価格相場は、おおよそ21万円前後とされています。
価格はドッグショー経験や親犬の血統などが関係しますが、ラブラドールレトリバーの場合はカラーによっても若干差があり、現在はチョコレートの価格が高めの設定になっているようです。

子犬を迎える方法

子犬を迎える方法は、「ペットショップで購入する」「ブリーダーから購入する」「里親になる」の3つの方法があります。

①ペットショップで購入する
ペットショップとは、動物を仕入れて販売している店舗のことです。好きなときにいつでも見に行けるのが利点です。
気に入った子犬を見つけた場合は、「店の衛生・管理状態」「定められた週齢まで親犬と過ごしていたか」「スタッフに犬の知識があるか」「購入後のアフターフォロー」「病気や死亡に対しての保証制度の有無」以上5点は、必ず確認しましょう。

2つ目の「定められた週齢まで親犬と過ごしていたか」は、入荷日は定めをクリアしていても、入荷以前に仲介業者が入ったり競りにかけられたりと、親犬から引き離された時期がもっと早い可能性があります。しっかり確認しましょう。
また、このような質問に対し返答があるショップ、仕入れ先や親犬について答えられるスタッフがいるショップが理想的です。

②ブリーダーから購入する
まず、特定~数種の犬種のみを専門にブリード(繁殖)している、優良ブリーダーを探しましょう。
優良ブリーダーはいわばその犬種のプロフェッショナル。ラブラドールレトリバーを愛し、犬種固有の遺伝性疾患について正しい知識を持っていて、血統と犬質向上に努めています。
たとえばラブラドールレトリバーでしたら、生後4カ月ごろから症状が現れる遺伝性要因が強い病気、「股関節形成不全(CHD)」があります。病気についての説明の有無は、優良ブリーダーであるか否か見分けるポイントになるでしょう。

インターネットを通じてのブリーダー直販でしたら、子犬は親犬と過ごしながら、購入側は自宅で子犬の様子を見ることができます。必要以上に人に晒されることが少ないので、子犬に余計なストレスをかけなくて済むことも大きなメリットといえるでしょう。

ちなみに、動物愛護管理法では、犬猫販売の際の現物確認と対面説明を義務付けているので、犬舎が遠方だった場合には出張費などのコストがかかってしまいます。
ただし、ラブラドールレトリバーを心から愛し、正しい繁殖をしているブリーダーからであれば、心身ともに健康な子犬を迎えることができるでしょう。

③里親になる
全国の保健所・動物愛護センターなどの行政施設には日々、多くの犬が収容されています。
ラブラドールレトリバーも例外ではありません。家庭の事情などで飼い続けることができなくなった個人が手放す場合もあります。
行政施設に収容されお迎えがなかった犬たちは、譲渡可能と判断されると、新しい飼い主探しを始めます。個人がSNSなどを利用し新しい飼い主を募集するケースもあります。
県や市、ボランティア団体のホームページ、譲渡会、また、里親募集サイトなどをこまめにチェックしてみましょう。

気になる子をみつけたら、その犬がどのような経緯で保護犬となり現在どのような状態であるか、それから譲渡条件についても、しっかり確認しておきましょう。
新しい飼い主を待っている犬たちは疾患を持っていたり、心に傷を負っていたりする子も少なくないからです。

また、募集側も「この子に二度も辛い思いをさせないために」と厳しい譲渡条件を設けている場合が多いです。多少の違いはありますが、面接、環境調査、トライアルを経てようやく正式譲渡、という流れが一般的です。

純血種の子犬が里親募集されていることは少ないので、犬を迎えるまでに時間はかかりますが、焦らずじっくりすすめていけば、運命を感じる出会いがあるかもしれません。

健康な子犬を見分けるポイント

気に入った子犬をみつけたら、健康に問題はないか、しっかり観察してみましょう。
まずは目。動くものを追っているか、目に輝きがあるか、確認しましょう。
次に鼻。適度に湿っているか触ってみましょう。皮膚はカサカサまたはベタベタしていないか、フケが出ていないか、被毛にツヤがあるかを確認します。
体格、歩き方も見てみましょう。ラブラドールレトリバーは遺伝性要因が強い「股関節形成不全」の発症率が高いので、その場で親犬や兄弟犬の健康状態に関して確認できると安心ですね。

飼い始める前に必要な準備

子犬を迎えると決めたら、さっそく準備です。そろえておくべき飼育グッズをご紹介しましょう。

ケージ
犬には犬専用の場所が必要です。ケージは必ず用意しましょう。
ずっと使うものなので丈夫なもの、成犬になっても飛び越えられない高さのもの、または、屋根ありタイプを選びましょう。
犬がゆったりと横になれる広さのものを選び、中にベッドやトイレなどを設置し、留守番など長い時間をケージの中で過ごしてもストレスにならないようにしましょう。

トイレトレー
トイレトレーはいたずら防止のメッシュ付き、高さがあるもの、オス用にL字にたてられるものなどさまざまな種類があります。
ラブラドールレトリバーの子犬はやんちゃな子が多いからか、トイレシートを破いてしまうのを防止するメッシュ付きタイプが人気のようです。

首輪、ハーネス、リード
絶対に必要なものですが、最初に用意する子犬用のものはすぐにサイズアウトしてしまいます。
子犬用は、つけ心地のよい素材、使いやすさとサイズを優先して選びましょう。成犬サイズに近づいたら、大型犬用サイズに買い替えます。リードも成長に合わせて丈夫なものに買い替えましょう。

ケガ・事故防止対策
股関節に負担がかかりやすい犬種です。
ケガ・転倒防止や、長く元気に歩いてもらうためにも、フローリングなど滑りやすい床には、カーペットや滑り止めマット、コルクマットを敷くなどの対策しましょう。
ラブラドールレトリバーの子犬はとても活発です。
ゴミ箱、コンセントやコードなど、噛んだら危険なものや噛まれたくないものには、カバーをつけるか届かない場所にしまうなど工夫をしましょう。
また、ラブラドールレトリバーは「くわえてレトリーヴ(回収する)」が本能として備わっている犬種です。
そのためか、おもちゃの誤飲・誤食事故が多く報告されています。
成犬サイズになると野球ボールくらいのものは飲み込めてしまうので、留守番をさせる際はおもちゃやボールなどは片付けておくほうがよいでしょう。

ラブラドールレトリバーの飼い方

食事のポイント

ラブラドールレトリバーは食べることが大好きで、食欲旺盛な子が多いといわれています。与えた食事はあっという間に食べるので、ついつい与えすぎないよう注意しなければなりません。
また、糖尿病にかかりやすい犬種ですので、糖尿病の原因となることがある穀物(トウモロコシや白米)が、入っていないドッグフードがおすすめです。「穀物不使用」で「高タンパク」にこだわって選んでみてください。

市販のフードには、必ずパッケージに給餌量が記載されています。運動量や体重の増え方などを考慮し、与える量を決めていきましょう。
子犬期は成長期ですので、日々の必要摂取量が変わる可能性があります。こまめに体重を測り、常に適量を与えられるようにしましょう。
また、運動量や食欲もそれぞれ違います。犬によっては足りなかったり多すぎたりすることもあるでしょう。体重の増減をよく観察しましょう。

成長期の子犬にはたくさんのエネルギー量が必要ですが、1回で食べられる量はそれほど多くなく、消化器官も未熟な状態です。スープやミルクでふやかして食べやすい状態にする、1回の量を減らし与える回数を増やすなどの工夫をして調整しましょう。
生後6カ月くらいになると成犬らしい体つきになってきます。1歳前後になり体重の増加が落ち着いたら、成犬用のフードに切り替えてください。
もともと食べているフードに少しずつ混ぜながら切り替え、完全に移行できたら、1回の食事量を増やし食事回数を減らしましょう。
成犬の食事回数は「朝・夕の2回」が一般的です。

必要な運動量、散歩の回数

ラブラドールレトリバーは体質的に太りやすく、エネルギー摂取量と運動量のバランスが崩れるとすぐに太ってしまいます。
また、肥満によって誘発される「糖尿病」や「股関節形成不全」は、犬種としてかかりやすい病気でもあるので注意が必要です。

運動不足にならないよう、毎日十分な散歩をしましょう。
ラブラドールレトリバーの成犬の1日に必要な運動量を散歩の時間で考えると、1日2回、1回30分~1時間程度となります。
骨格がしっかりする1歳くらいまでは過度な運動はダメージとなるため、運動をさせすぎないように気を付けましょう。

成犬になるころには、朝夕1回ずつ、ゆっくりたっぷりのお散歩が習慣になっているようにしましょう。
飼い主とのスキンシップと、投げたボールやディスクを咥えて持ってくる遊び、それから水遊びが大好きな犬種です。
普段のお散歩以外に、ドッグランなど広い場所でのボール投げや追いかけっこ、ときには川や海での水遊びの時間を作ってあげるといいですね。

しつけのコツ

ラブラドールレトリバーは学習能力が高いので、しつけがしやすい犬種です。
賢く、遊ぶことが大好きなので、遊びの要素を取り入れたゲームのようなトレーニング方法がおすすめです。
「叱る」より「褒める」が効果的で、「叱られたから止めよう」ではなく、「褒められたこと再度してみよう」と学びます。
また、本能で備わっている「獲物を咥える」という行動をやめさせることは難しいです。咥えてよいもの・ダメなものをひとつずつ根気よく教えていきましょう。

お手入れ方法

短毛種のためカットは必要なく、長毛種に比べればお手入れも短時間で済みますが、被毛はダブルコートのため換毛期は念入りに、ブラッシングは毎日行ってください。
お手入れ大好きになってもらうためにも子犬のころから始め、日課にしましょう。

たれ耳で汚れがたまりやすく、蒸れやすいため、雑菌が繁殖し「外耳炎」などを引き起こすこともあります。定期的に耳垢がたまっていないか、チェックをしましょう。
普段のケアは週1回、洗浄液をふくませたコットンで拭き取るだけで十分ですが、犬が嫌がった場合や奥まで掃除をしたいときには、無理をせず、獣医師に相談しましょう。

歯のケアは健康維持のため必要不可欠です。慣れてもらうためにも子犬のころから行いましょう。
できるだけ毎日、指にやわらかい歯ブラシや濡らしたガーゼを巻き、歯と歯茎をマッサージするようにこすってあげてください。

シャンプー・爪切り・肛門絞りは月1~2度ペースで行います。
できればシャンプーは行きつけのペットサロンをみつけ、自宅シャンプーを交互に行い、どちらにも慣れておくのがベストです。
技術と経験を要する爪切りと肛門絞りは、初めのころは健康診断を兼ねて動物病院で行い、特に問題がなければシャンプーの際にサロンでお願いし、徐々に慣らしていくのがよいでしょう。

かかりやすい病気

ラブラドールレトリバーがかかりやすい病気のひとつに、大型で胸の深い体型をした犬種共通で発症しやすい「胃拡張胃捻転症候群」というものがあります。
また、遺伝性要因が大きい「股関節形成不全」や、1~3歳の若いころには「アトピー性皮膚炎」にかかりやすいです。
さらに、肥満が大きな原因の「糖尿病」や、糖尿病や加齢に伴う「白内障」、垂れ耳の犬種がかかりやすい「外耳炎」も、病院での診察理由に多くあげられます。

日ごろから愛犬の様子をチェックして、少しでもおかしいと感じることがあれば、かかりつけの病院に相談しましょう。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

ラブラドールレトリバーのブリーダーについて

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