コーギーの基礎知識

歴史

正式には、コーギーは「ウェルシュ・コーギー」と呼ばれ、そこからさらに「カーディガン」と「ペンブローク」の2種に分けられます。どちらのコーギーもイギリス・ウェールズ原産の牧畜犬ですが、それぞれルーツは異なり、別々の歴史を持っています。

カーディガンは、紀元前1200年には存在したといわれており、とても古い歴史を持つ犬です。ケルト民族がウェールズに移住する際に一緒に連れてきた犬が祖先といわれています。
ペンブロークは、8~9世紀ヴァイキングがスウェーデンから連れてきた犬が祖先であるという説と、1107年、イギリス国王ヘンリー1世がウェールズに招いた機織り職人たちと共にいた犬が直系の祖先であるという、ふたつの説が有力です。

コーギーといえば、「イギリス王室に愛される「ロイヤルドッグ」としても知られています。
12世紀の英国王ヘンリー2世はペンブロークを、19世紀王ジョージ6世はカーディガンを飼育していました。さらに、ジョージ6世の娘であり、世界一有名なコーギー愛好家である現エリザベス女王の愛犬たちはペンブロークです。

ペンブロークとカーディガンの違い

前述した通り、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークとウェルシュ・コーギー・カーディガンは、まったく別の犬種です。
しかし、どちらもウェールズ州にいる胴長短足体型の牧畜犬であることから同一種とみなされ、2種の間で交配を繰り返した時期があります。そのため、ペンブロークとカーディガンの外見や性格はますます似てきたといわれています。
そんななか、1925年、ペンブローク愛好家が地元ウェールズにコーギークラブを設立。翌年にはカーディガン愛好家が集うコーギークラブを創設します。
そして1934年、イギリスのケンネルクラブ(KC)とアメリカのケンネルクラブ(AKC)は、2種は体の特徴が異なるとし、別犬種として登録をおこなったのです。

別犬種として登録されたペンブロークとカーディガン、見た目の違いはあるのでしょうか。
実は日本での飼育率は圧倒的にペンブロークが多く、見かけるコーギーのほとんどはペンブロークということになります。
イメージしているコーギーとちょっと違うコーギーをみかけたら、それはカーディガンかもしれません。特徴を比べてみましょう。

特徴

コーギーの特徴は何といっても、大きな耳と胴長短足の体型でしょう。
理想体高はカーディガンが30cm、ペンブロークは25~30cm。体重は、カーディガンのオスで13~17kg、メス11~15kg。ペンブロークのオスは10~12kg、メス9~11kgとなっています。
比較すると体高も体重もカーディガンのほうがやや大きく、さらに重心が低いためよりガッチリしてみえるようです。

耳もカーディガンのほうが大きく、形にも違いがあるので見分けるポイントになりそうです。カーディガンの耳は下のほうが幅広い扇形、ペンブロークは楕円形です。どちらも直立しているのが特徴です。

毛色でも違いがあり、ペンブロークは「レッド」「セーブル」「フォーン」「ブラック&タン」の4色。
カーディガンは「フォーン」と「ブラック&タン」を除く2色に加え、大理石模様の「ブルー・マール」、虎のような縞模様があらわれる「ブリンドル」、さらに「ブリンドル・ポイントを伴うトライカラー」、および「レッド・ポイントを伴うトライカラー」が許容されています。

性格

社交的で明るく、とても賢い犬種です。勇敢で頼もしく、大型犬のような頭の使い方をするともいわれています。
牧畜犬だったことから、自分と家族を守ろうとする縄張り意識が強いです。
また、飼い主に忠実で、人と接することが大好きでありながら、一人の時間も嫌いではないので、長時間の留守番ができる優秀な犬種といわれています。

警戒心は強いですが攻撃的ではなく、子どもにも寛容です。
ただし、家畜のくるぶしを噛んで追い込む仕事をしていたためか、今日でも噛みつく性質は残っているようです。子犬のころからしっかりとしつけをおこなう必要があるでしょう。
機敏でパワフル、フリスビーやアジリティなどのスポーツも上手にこなします。運動量が多い犬種ですのでたくさんの運動時間を作ってあげることが大切です。

しっぽについて

「桃尻」「コギケツ」ともいわれる、ぷりぷりでかわいいコーギーのお尻。そのお尻には長いしっぽがついている場合とそうでない場合があるのをご存知でしょうか。

しっぽがあるコーギーはカーディガンである可能性が高く、しっぽが短いかついていなければペンブロークです。ペンブロークも長いしっぽを持って生まれてくるのですが、人の手で断尾しています。
断尾は、1700年頃ヨーロッパではすでに習慣としておこなわれていました。なぜ断尾をするようになったのでしょうか。

・その昔、ヨーロッパでは断尾をすれば狂犬病にかからないと信じられていた
・イギリスのジョージ王朝時代にしっぽのついた犬が課税対象となり、節税対策のため断尾するようになった
・牛追いの仕事中、牛にしっぽを踏まれないようにするため

この3つのいずれか、もしくはすべてがきっかけとなり、慣習化したといわれていますが、同じ州に住み、同じ胴長短足体型の牧畜犬カーディガンに断尾の習慣はありません。

近年ではWASAVA(世界小動物獣医協会)をはじめ各国の獣医師会がこの考えに異議を唱え、美容目的での断尾を禁止する国が増えてきました。
日本でも動物愛護の観点から、断尾をしていないコーギーを多く見かけるようになりました。

コーギーの子犬を迎えよう

ここでは、コーギーの子犬を迎えるにはどのような方法があるのか、どのような点に気を付ければよいのか、また、子犬を迎える時に必要なものをご紹介します。

価格相場

コーギーの平均相場はおおよそ21万円といわれており、オスよりメスのほうがやや高値で取引されています。また、親犬にショー受賞歴があると30万円をこえることもあります。

子犬を迎える方法

子犬を迎える方法は「ペットショップで購入する」「ブリーダーから購入する」「里親になる」の3つの方法があります。

①ペットショップで購入する
ペットショップとは、動物を仕入れて販売している店舗のことです。好きなときにいつでも見に行けるのが利点です。
気に入った子犬を見つけた場合は、「お店の衛生・管理状態」「定められた週齢まで親犬と過ごしていたか」「スタッフに犬の知識があるか」「購入後のアフターフォロー」「病気や死亡に対しての保証制度の有無」以上5点は必ず確認しましょう。

②ブリーダーから購入する
まず、特定~少数の犬種のみを専門にブリード(繁殖)している、優良ブリーダーを見つけましょう。
優良ブリーダーはいわばその犬種のプロフェッショナルです。コーギーを愛し、犬種固有の遺伝性疾患について正しい知識を持っていて、血統と犬質向上に努めています。
たとえば、コーギーは遺伝性疾患として「変性性脊髄症(DM)」の発症が非常に多く報告されているので、この疾患についての説明有無は、優良ブリーダーであるか否かを見分けるポイントになるでしょう。

インターネットを通じてのブリーダー直販でしたら、子犬にかかるストレスが少ないことも大きなメリットです。
子犬は親犬やきょうだい犬と多くの時間を過ごせるので、犬同士のコミュニケーションを学習するなど、社会性を身に付けることができます。

なお、動物愛護管理法では、犬猫販売の際の現物確認と対面説明を義務付けています。
ブリーダーの住まいが遠方の場合は出張費がかかってしまいますが、コーギーを心から愛し、正しい繁殖をしているブリーダーからであれば、心身ともに健康的な子犬を迎えることができるでしょう。

③里親になる
全国の保健所・動物愛護センターなどの行政施設には日々、多くの犬が収容されています。純血種コーギーも例外ではありません。家庭の事情で飼い続けることができなくなった個人が手放すケースもあります。
行政施設に収容されお迎えがなかった犬達は、譲渡可能と判断されると、新しい飼い主探しを始めます。個人がSNSなどを利用して新しい飼い主を募集する場合もあります。
県や市、ボランティア団体のホームページ、譲渡会、また、里親募集サイトなどをこまめにチェックしてみましょう。

気になる子を見つけたら、保護犬になった経緯、健康状態、それから、譲渡条件をしっかり確認しましょう。新しい飼い主を待っている犬達は疾患を持っていたり、心に傷を負っていたりする子も少なくないからです。
また、募集側も「この子に二度も辛い思いをさせないために」と厳しい条件を設けている場合が多いです。
多少の違いはありますが、面接、環境調査、トライアルを経てようやく正式譲渡、という流れが一般的です。

純血種の子犬の里親募集は少ないので、犬を迎えるまでに時間はかかりますが、焦らずじっくりすすめていけば、運命を感じる出会いがあるかもしれません。

健康な子犬を見分けるポイント

コーギーは後ろ脚に障害をおこしやすく、遺伝性疾患である「変性性脊髄症」の心配もあるため、立ち方や歩き方に不自然なところはないかしっかり観察しましょう。親犬やきょうだい犬の健康状態も確認できることが理想です。
皮膚はカサカサしていないか、フケは出ていないか、被毛にはツヤがあるかもみてみましょう。鼻には適度な湿りがあり、目には輝きがあるか、動くものを追っているかを確認しましょう。

飼い始める前に必要な準備

子犬を迎えると決めたら早速準備をしましょう。子犬がやってくる前にそろえておくべき飼育グッズをご紹介します。

ケージ
犬には犬専用の場所が必要です。
特にコーギーは縄張り意識が強いため、広い部屋自体が自分の縄張りだと感じるととても神経質になってしまう可能性があります。安心できるパーソナルスペースを確保してあげるためにも、ケージは必ず用意しましょう。
ケージはずっと使うものなので丈夫なもの、成犬になっても飛び越えられない高さのものを選びましょう。屋根付きタイプもあります。
犬がゆったりと横になれるくらいの広さのものを選び、中にベッドやトイレを設置し、留守番などで長い時間をケージで過ごしてもストレスにならない場所にします。

トイレトレー
トイレのしつけにはトレーがあると便利です。
トイレトレーはいたずら防止のメッシュ付きタイプや囲いがあるもの、オス用にL字にたてられるものなどさまざまな種類があります。

首輪、ハーネス、リード
必要なものですが、すぐに成犬用へとサイズアウトします。
子犬期に使用するものは、装着のしやすさ、つけ心地のよい素材、サイズを重視して選びましょう。リードは体の大きさに合わせて選び、丈夫なものを選んでください。

その他、事故防止
コーギーは後ろ脚と腰、股関節に負担がかからないよう、子犬のころから十分に配慮する必要があります。
滑りやすいフローリングなどの床の上が主な活動場所の場合は、カーペットや滑り止めマット、コルクマットなどを敷きましょう。
コンセントやコードに興味を持つ子犬も多く、舐めたり噛んだりと危険です。噛まれたくないものや噛んだら危険なものには、カバーを付けるか届かないところに配置するなどの対策をとりましょう。
また、コーギーは脚が短いため他の犬と比べて段差の影響を受けやすいです。飼育場所はできるだけ段差をつくらないよう気を付けましょう。

コーギーの飼い方

食事のポイント

コーギーは筋肉質でなおかつ太りやすい体質です。肥満にさせず健康体を維持するには、良質な動物性タンパク質がメインのドッグフードを選ぶことが大切です。
市販のフードには必ずパッケージに給餌量が記載されています。運動量や体重の増え方を考慮し、与える量を決めましょう。

子犬期は成長期ですので、日々の必要摂取量が変わる可能性があります。こまめに体重を測り、常に適量を与えられるようにしてください。
また、子犬が一度で食べられる量はそれほど多くなく、消化器官も未熟な状態です。スープやミルクでふやかして食べやすくしたり、一回量を減らし与える回数を増やしたりと、必要なエネルギー量を摂取できるよう工夫をしましょう。

生後6カ月くらいになると成犬らしい体つきになってきます。1歳前後になり体重の増加が落ち着いたら、徐々に成犬用フードに切り替えてください。
もともと食べているフードに少しずつ混ぜながら切り替えます。完全に切り替わったら、次は1回の食事量を増やし、1日朝・夕2回の食事回数になるように調整していきましょう。

必要な運動量

コーギーはもともと牧畜犬だったこともあり、大型犬と変わらないくらいの運動量が必要です。散歩の頻度で考えると、成犬で1日に朝夕の2回、それぞれ30分~1時間ほど必要となります。
しかし、育ち盛りの1歳くらいまでの時期は、過度な運動はダメージとなるため運動をさせすぎないように気を付けましょう。

コーギーは好奇心旺盛ですので、散歩コースを不規則に変えてあげると喜びます。
また、散歩を長めにすることも大切ですが、ときどきドッグランへ連れていくなどして思いっきり走りまわれる時間を作ってあげることも重要です。フリスビーやアジリティも上手にこなします。

しつけのコツ

コーギーは賢く、しつけがしやすい犬種です。
ただ、もともとは牧畜犬であったことから、簡単に吠え癖・噛み癖がついてしまうことがあります。
問題行動は基本的に無視するようにして、やめたら褒めてあげましょう。
吠えたり噛んだりしたら、その場で空のペットボトルを落とすなど大きな音を出して驚かせる「天罰法」も効果的です。吠える(噛む)と何か悪いことが起きる、とすぐに学んでくれるでしょう。

お手入れ方法

ダブルコート種ですので、毎日のブラッシングは欠かせません。しかし、被毛は短くしっかりとした太さがあるので、毛玉ができにくく絡みにくく、お手入れは比較的ラクな犬種といえるでしょう。
注意すべき点としては、換毛期の抜け毛対策。衣服や家具に抜け毛がつきやすいので、掃除はこまめにおこなう必要があります。換毛期のブラッシングでは、スリッカーとういうブラシを使うと便利です。

歯を大切にすることはさまざまな病気から身を守ることであり、歯のケアは健康維持のため必要不可欠です。歯磨きは子犬のうちから慣らしておきましょう。
できるだけ毎日、やわらかい歯ブラシや濡らしたガーゼを巻いた指で、歯と歯茎をマッサージするようにこすってあげてください。

コーギーの耳のお手入れは簡単です。月1~2度ほど、洗浄液をふくませたコットンでやさしく拭き取ります。
犬が嫌がる場合や奥まで掃除をしたい場合は、無理をせず獣医師に相談しましょう。

シャンプー・爪切り・肛門絞りは月1~2ペースでおこないます。
シャンプーは行きつけのサロンをみつけ、サロンと自宅シャンプーを交互におこない、どちらにも慣れてもらうのがよいでしょう。
技術と経験を要する爪切り・肛門絞りは、はじめのうちは健康診断を兼ねて動物病院でお願いし、特に問題なければ、シャンプーの際にサロンで処置をお願いするのがおすすめ。可能であれば自宅でもできるようアドバイスをもらいましょう。

かかりやすい病気

コーギーは、遺伝性疾患である「変性性脊髄症」のほか、遺伝性要因が強い「進行性網膜萎縮」、「股関節形成不全」を発症しやすく、胴長短足の体型のため「椎間板ヘルニア」になりやすいといわれています。
椎間板ヘルニアについては、飼育環境の工夫で予防することが可能です。
まずは子犬期から、主な活動場所となる部屋の床は、滑らない素材のものにかえましょう。肉球まわりの毛をカットすることも大切です。
可能な限り段差のない飼育環境をつくり、ソファーに飛び乗らせないなどの工夫も必要です。階段も負担が大きいので可能な限り避けましょう。
階段の昇り降りついては、教えなければできないものです。柵などで階段をふさぎ、一度も体験させずに避けるという方法もあります。
このように、腰への負担がかからないよう常に意識し、工夫することが重要です。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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