猫が目をそらす①「ごめんなさい」

出入り禁止の部屋に侵入されたときやお気に入りの家具や衣服をいたずらでボロボロにされたとき。猫を飼っていると、思わず「コラ―!」と叱ってしまいたくなるようなシーンがありますよね。
頭ごなしに怒鳴ったり、叩いたりするのは論外ですが、“ダメなことはダメ”と言い聞かせ、猫の好き勝手にはさせないことはしつけの一つです。

ところが、飼い主が猫を叱ると、ぷいっと目をそらされることがあります。叱る側からすると「まったく、ちゃんと聞いているの!」なんて怒りのボルテージが上がってしまいそうな態度。しかし、実は猫が怒られて目をそらすのは、飼い主への反抗心がないことの表れなのです。
このときに目線を合わせてくれないのは、「あなたに逆らう気はありません」「悪いことをしてごめんなさい」という猫なりの意思表示。「怒られている先からそっぽを向くなんて、全然反省してない!」と、さらに怒る必要はないのですよ。

それでも執拗に叱ったり、無理やり猫を構おうとしたりすると、怒った猫に反撃を喰らってしまうことも。目線そらしは人間でいうところの反省や降参のサインとして受け止めてあげましょう。
叱った後は、アフターケアも忘れずに。優しく声をかけながら、そっと撫でてあげると猫の緊張もほぐれます。
さらに、猫が同じイタズラを繰り返さないよう、対策は万全にしておいてくださいね。

猫が目をそらす②「安心しているよ」

さきほどの「ごめんなさい」の目線そらしは一種の緊張状態から生まれるものですが、反対に安心やリラックスの気持ちから、目をそらすこともあります。

“猫目”という言葉があるほど、もともとは暗いところを得意としている猫の目ですが、実は視力は人間の10分の1程度で近視傾向にあると言われています。相手が敵か味方か、はたまた獲物かを見分けるために、じっと相手を観察する必要があるのです。屋外で初めて出会った野良猫がじーっと見つめてくるのも、同じ理由です。
また、もともと猫は縄張りを持ち、自分の領域を冒す存在にはとても敏感な動物。しかし、無駄な争いは好みません。そのため、野良猫同士ではたとえテリトリーのそばで出くわしたとしても、ふっと目をそらして関わり合わないという暗黙のルールが存在します。

信頼している飼い主さんのそばで暮らす猫の場合、周囲の様子に警戒し、あたりを注視する必要がありません。大好きな飼い主さんの近くで心行くまでリラックスして過ごせるので、じーっと相手を見つめることは不要なのです。
このときの猫の気持ちは、「とても安心しているよ」、「あなたを信頼しているからね」といった具合でしょうか。
たとえ大好きな飼い主さんだったとしても、その存在や行動が確認できれば、あとはお互い空気のように振る舞うのも猫らしい一面だと言えるでしょう。

急に目をそらされたり、ふっとその場を離れられたりして、「とうとう猫に嫌われたか……」と落ち込む経験をした飼い主さんもいるかもしれませんね。しかしそのとき、猫の気持ちはまったく別のところにあったのかも知れません。

猫が目をそらす③「負けました」

通常、猫にとって真正面から目を合わせることは、威嚇を意味します。そのまま目線を外さないでいると、威嚇から攻撃、そして大掛かりなケンカへと発展してしまうことも。猫にとってお互い見つめ合う行為は、いわゆる”メンチを切る“状態なのです。
そこで猫たちは、本能的に喧嘩をしたくない相手とは目を合わさないようにすることで、敵意がないことを示します。

さきほどの「ごめんなさい」ともよく似ていますが、これは飼い主だけでなく他の猫との間でも交わされるボディランゲージです。外で暮らす地域猫や野良猫たちを観察してみると、目線を合わさずその場を離れるような姿を見ることができます。

「せっかくかわいい姿を写真に撮りたいのに、猫がカメラを嫌がる」という話もよく耳にしますよね。巨大な目のようにも見えるカメラのレンズを真正面から向けられるのは、猫にとって大きな脅威です。カメラの前から逃げ出したり、目をそらしたりする猫は、「下手な争いを避けたい」という心理でそのような行動に出ているのです。

このときに執拗にカメラで追い回すようなことをすると、恐怖を感じた猫は本当のカメラ嫌いになってしまいます。はじめは怖がっていても、カメラの存在に徐々に慣れてくると嫌がらなくなる子もいますので、徐々に慣らすようにしてあげてくださいね。

まばたきにはどんな意味があるの?

猫を見つめたり、名前を呼んだりしたときにゆっくり「まばたき」をされて不思議に思ったことのある人もいるのではないでしょうか。
私たち人間にとってのまばたきの多くは反射や生理的な現象で、ドライアイでもない限り意識的にまばたきをしている人は多くないと思われます。しかし猫にとってのまばたきは、「相手を信頼し、親しみを感じていること」のサインです。信頼関係を築けていない相手に向かってまばたきをすることはありません。
このときのまばたきは生理的なものとは違い、ゆっくりと相手の目を見ながら瞼を降ろすようにします。人が優しく微笑むような行動と言えます。

「大好きだよ」、「敵じゃないよ」という猫からのメッセージを受け取ったら、こちらからもゆっくりまばたきを返してあげましょう。このような“まばたきの送り合い”は、親子間や特に仲のよい猫同士でしか見られないものです。猫からのまばたきをキャッチしたら、まるで親子のように深い関係で結ばれたものと考えてよいでしょう。

ちなみに、愛猫や馴染みのある地域猫がじっと見つめてくるのは、あなたに親しみを感じているときか、なにかを要求しているとき。「ニャー」と小さく甘えたような鳴き声を上げながら近寄ってきたらビンゴ。「おなかすいたよ~」、「一緒に遊んで!」という気持ちの表れと言えるでしょう。
また、猫が親しい相手を見つめているときは、瞳孔が収縮する様子が見られるものです。猫からの熱い視線を感じたら、瞳孔の動きをチェックしてみましょう。

猫は目線や行動、鳴き声によって自分の気持ちを伝えようとします。機嫌のよいとき、退屈をしているとき、怒っているとき……さまざまな感情を乗せて輝く大きな猫の目は、ときに鳴き声よりも雄弁です。
目をそらすことやまばたきは猫にとって重要なコミュニケーションツールと捉えて、気持ちを理解してあげてくださいね。
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まとめ

以上、降参や反省または安心や愛情表現といった意味を持つ目をそらす行動やまばたきについて解説しました。ポーカーフェイスで感情が読み取れないように思える猫でも、視線を追ってみると案外気持ちがわかりやすいかもしれません。ご自宅の愛猫や野良猫さんを見たときの反応の違いを試してみるのも、興味深いものですよ。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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