小さな世界最高の相棒！ ケアーンテリアの特徴

イギリス・スコットランド原産のテリアたちは、「スコティッシュテリア」というひとつのテリアをもとに作りだされました。そのなかで、ケアーンテリアはスコティッシュテリアに最も風貌が近く、少なくとも500年前には存在していたといわれています。

「ケアーン」とは、スコットランドの古い言葉で「石組み」や「積まれた石」を指します。スコットランドには石塚（古代人の墓と言われることも）がたくさんあり、ケアーンテリアはそこに棲み付いたウサギやキツネなどの小動物を捕まえることを得意とする猟犬でした。
畑を荒らす害獣を駆除する犬として、農家などでも重宝されていたようです。

時の流れとともに家庭犬やショードッグとして洗練されていきましたが、現代でもテリアらしい外見と気質は保持したまま。きびきびと働き、勇敢で飼い主に忠実な気質が愛され、イギリスのケアーンテリアクラブからは“The best little pal in the world”（世界一の小さな相棒）と呼ばれています。

あまり聞きなれない犬種かもしれませんが、実は目にしたことがある人は多いはず。1939年にアメリカで作られた、映画『オズの魔法使い』で、主人公ドロシーの愛犬、「トト」を演じたのがケアーンテリアなんですよ。

ケアーンテリアの平均体高は28～31cmで、体重は6～8kgほどです。体長は体高よりやや長く、短いけれどしっかりとした四肢を持っています。

顔の周りには飾り毛があり、ケアーンテリアの特徴のひとつ。毛色はクリーム、ウィートン、レッド、グレー、ブラック、ブリンドルなどがあります。成長とともに色が変化することがあり、特にブリンドルの場合は、成長するまでに「7回も色が変わる」と呼ばれることさえあります。
成犬になるころには毛色にかかわらず、耳やマズルが黒っぽくなることが多いようです。

性格は好奇心が強く、陽気で前向き。飼い主に忠実で家族に深い愛情を示しますが、家族以外には警戒心が強いため、すぐに心を開くことはありません。頑固で気の強い一面があるので、根気強くしっかりしつけましょう。
さみしがりでいつも家族と一緒にいたい犬種なので、長時間の留守番には向いていません。

ケアーンテリアは小型犬ですが、丈夫でとても活発な犬です。愛犬と一緒にスポーツを楽しみたい人にぴったりですね。

頑固で気が強いため、初めて犬を飼う人には難しい犬種かもしれません。子犬のころから毅然とした態度で、根気強くしつけてください。
ケアーンテリアは知能が高く、飼い主のことをよく観察しています。きちんとした信頼関係が築ければ、飼い主の期待に一生懸命応えてくれるでしょう。

祖先が猟犬だったケアーンテリアは、毎日の運動が欠かせません。散歩は1日最低2回、30分以上行いましょう。さらにボール遊びなどをしてあげるといいですね。

被毛はダブルコートですが、換毛期以外の抜け毛は少なめなので、比較的手入れしやすいでしょう。換毛期以外のお手入れは、週1回程度のブラッシングで十分です。

ケアーンテリアには、「プラッキング（ストリッピング）」が欠かせません。プラッキングは犬の毛を抜くことで新陳代謝を促し、ケアーンテリアを含め、テリア種本来の硬い毛を維持するためにおこなわれるトリミング方法。
ケアーンテリアは皮膚疾患の多い犬種ですが、プラッキングの刺激で皮膚が強くなることもあるようです。

「毛を抜くなんて痛そう」と思うかもしれませんが、きちんとした技術で抜いた場合は痛みはなく、トリミング中に寝てしまうケアーンテリアもいるそうですよ。
ただし、通常のカットと比べ、トリミング料金は高くなります。

ケアーンテリアは、猟犬、家庭犬、そして役者と幅広い分野で活躍する賢い犬です。小型犬ですが丈夫で活発なので、毎日必ず十分運動させましょう。しつけは信頼関係を大切に、毅然とした態度で根気よく行ってくださいね。