犬の臭いの原因 ①体臭

犬の臭いの原因としてまず考えられるのは、体からの「体臭」です。

犬には、エクリン線とアポクリン線と呼ばれる2つの汗腺が備わっています。
エクリン線はサラッとした汗をかき、体温を下げる働きがありますが、犬の場合は肉球の部分にしかありません。よって、犬の体は汗をかきにくくなっているのです。
一方のアポクリン線は、皮脂腺と直接つながっている汗腺です。人間の場合は脇の部分や陰部に集中していますが、犬の場合は全身にアポクリン線があります。
ここから出る汗と皮脂が混じり、酸化することで雑菌が繁殖し、その結果体臭が強くなる仕組みです。

一般的に、シングルコートよりもダブルコートの犬種のほうが臭いがこもりやすく、体臭が出やすいとされています。
また、パグブルドッグのように顔にシワがある犬は、シワとシワの間が蒸れやすいため、独特の臭いが発生しやすくなります。
また、汗が原因ではないものの、ゴールデンレトリバーラブラドールレトリバーといった唇が垂れた大型犬は、よだれで口の周りが汚れやすく、臭いが強くなりやすい傾向にあります。

<病気の可能性の有無>
・皮脂の分泌が多くべたついている…脂漏性皮膚炎(マラセチア性皮膚炎)
皮膚炎にかかることで体臭がきつくなるケースがあります。犬の体がべたついていたり、体を痒がる仕草をみせたりするときは、脂漏性皮膚炎が疑われます。

・シニア犬の体臭がキツイ…甲状腺機能低下症
甲状腺は代謝を促すホルモンを分泌する器官です。高齢化により甲状腺の働きが衰えることで代謝が低下すると、皮膚が脂っぽくなったり、体臭がきつくなったりする傾向があります。

犬の臭いの原因 ②口臭

愛犬に顔をなめられそうになったときなどに、犬の口の臭いに思わず顔を背けてしまう飼い主さんも多いのではないのでしょうか。
犬の「口臭」の原因は、歯石の付着による場合がほとんどです。
犬はもともと人間よりも歯石が溜まりやすく、食べ物の残りカスが歯に付いてから歯石化するまでは、たったの3~5日程度とされています。歯石が溜まると周囲に雑菌が繁殖し、口臭が発生してしまいます。

また、大型犬でよだれが多い犬の場合、唾液で口の周りが汚れることで悪臭が発生することもあります。

<病気の可能性>
・口臭がきつくなった、歯が抜けてきた…歯周病
歯周病は犬にとってもポピュラーな病気です。歯石が溜まって雑菌が繁殖した結果、歯茎に炎症が起き、周辺の骨が溶けてしまいます。悪化すると歯が抜け落ちることもあります。
口臭が気になったときには、すでに歯周病にかかっている場合も多いです。日々の歯磨きを念入りに行うとともに、早めに動物病院にかかることをおすすめします。

犬の臭いの原因 ③耳の臭い

「耳の臭い」もまた、犬の臭いトラブルのよくある原因です。
犬の外耳道には、「耳垢線(じこうせん)」といった皮脂腺があります。皮脂分泌が通常の範囲であれば問題ありませんが、何らかの原因で皮脂分泌が多くなると、目に見えない菌が発生し、それが悪臭の元となります。

トイプードルミニチュアダックスフンドといった耳が顔の横に垂れ下がり耳の穴が隠れるタイプ(垂れ耳)は、耳の臭いが発生しやすい犬種です。
耳が垂れることで雑菌がこもりやすく、病気の原因にもなります。
梅雨の時期や湿気が多い夏場などは、いつも以上に菌が発生しやすくなるため、特に注意が必要です。

<病気の可能性>
・外耳が赤くなっている、耳垢が増えた…外耳炎
外耳道にある耳垢線に細菌が繁殖し、外耳に炎症が起きる症状です。
茶色い耳垢が増えることで、耳からの臭いが強くなります。
犬が痒がって耳を引っ掻いてしまうことも多く、傷がつけば治癒が遅れる場合もあります。
皮膚のただれが強い場合は、耳垢線種の可能性も。いずれの場合も早めに動物病院を受診しましょう。

犬の臭いの原因 ④肛門腺の臭い

肛門腺とは、犬などの動物にみられる肛門の周辺にある一対の臭腺です。肛門腺はアポクリン線の一種ですが、袋状の構造をもち、中に強い臭いを放つ分泌液が溜まるようになっています。
この臭いは犬それぞれに固有のもので、犬同士の挨拶ではお尻の臭いをかぎ合うことで互いを認識、識別しています。
肛門腺の分泌液が溜まりすぎてしまうと、外に臭いが漏れ出して悪臭の原因となります。

大型犬などサイズが大きい犬の場合は、排泄とともに肛門腺の分泌液を排出することができます。一方、小型犬や肥満気味の犬、シニア犬の場合は自力で分泌液を排出することが難しいため、人間の手で定期的に絞り出す必要があります。

<病気の可能性>
・肛門の周辺が炎症を起こしている、出血している…肛門嚢炎・肛門嚢破裂
肛門腺からの分泌物を自力で排出できない犬の場合、分泌物がいっぱいになるとお尻に違和感を覚えます。しきりにお尻を舐めたり、床にお尻を引きずるような仕草を見せたりするようになれば、肛門腺に分泌物が溜まっているサインです。
そのまま放置すると肛門腺が炎症を起こし、最悪の場合破裂してしまいます。
肛門腺に分泌液が溜まっているようであれば、絞り出してあげてください。難しい場合は動物病院やトリミングサロンに相談するのも一つの手でしょう。

犬の臭い対策

犬の臭い対策は、快適なドッグライフを過ごすためだけではなく、犬の健康維持にとっても重要な役割を担ってくれます。
初心者飼い主さんでもできる、簡単な臭いケアをご紹介します。

ブラッシング

臭いの原因となる菌はジメジメした環境を好みます。また、古い皮脂や抜け毛も菌の繁殖を手助けしてしまうため、ブラッシングでそれらを取り除くのはとても効果的です。風通しもよくなるため、皮膚の蒸れも解消することができます。また、シャンプー前にブラッシングすることによって、シャンプーが皮膚まで届き、きちんと洗えるようになりますよ。

自宅またはトリミングサロンでシャンプーする

皮脂汚れを落とすためには、水洗いだけでなく定期的にシャンプーすることが有効です。
健康な犬の場合は、月に1~2回程度の頻度で十分です。洗いすぎはかえって臭いや皮膚トラブルの原因となります。
犬を洗うときには、ペットショップなどで販売されている専用のシャンプーを使用しましょう。

ドッグフードを替える

犬に食べさせているドッグフードの種類によっては、歯に付きやすく歯石ができやすいものや、口臭を強めるものがあります。また、消化不良により胃腸から臭いが発生する場合も。
フードが合わないと感じたら、歯石が付きにくいものや、消化がよいものに替えるなどの対策を考えましょう。

歯磨き、口腔ケア

口臭対策として一番有効なのは食後の歯磨きです。犬用の歯ブラシや、おもちゃやおやつにもなるデンタルガムを活用しましょう。
また、引っ張り合いできるロープ状のおもちゃで、歯磨き替わりになるグッズもあります。
歯磨きを嫌がる犬も多いので、さまざまなタイプのものを試してみるといいでしょう。

耳のケア

犬の耳はデリケートなため、耳掃除は慎重に。ティッシュや専用のクリーナーなどを使い、優しく耳の回りをぬぐうようにします(綿棒の使用は、耳を傷つけて外耳炎などの原因になることもあります)。
耳垢の汚れや臭いがひどい場合は、無理に自宅ケアしようとせず、動物病院で処置してもらいましょう。

肛門腺のケア

自力で肛門腺の分泌液を排出できない小型犬などに必要なケアが、「肛門腺しぼり」です。
トリミングサロンに通っている場合は、シャンプーのときに一緒にケアしてもらえることが多いです。
自分で絞るときには、犬の肛門の両側、下方(時計の4時と8時の場所)に親指と人差し指をあてます。押さえた部分を下から上へ、肛門腺の中身を絞りとるように動かします。
自宅でシャンプーをするときに一緒にケアしてあげるといいでしょう。頻度は月に1回程度が目安です。

まとめ

以上、犬が臭う原因と対処法についての説明でした。
犬は体の構造上、多少の臭いが出てしまうのは仕方がないこと。しかし、飼い主さんの日々のケアによって臭いを軽減することは十分可能なのです。

また犬の臭いには、思わぬ病気が潜んでいることもあります。ちょっとでも「おかしいな?」と思ったら、動物病院を受診するようにしましょう。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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