介護が必要な犬の老化のサイン

一般的に、犬の老化現象が始まる年齢は小型犬が9~13歳、中型犬が9~11歳、大型犬が7~10歳、超大型犬が6~9歳くらいからと言われています。

その老化サインの一つが、ごはんを食べづらそうにすることです。これは、噛む力や飲み込む力の衰えが原因ですが、加齢による食事量の減少や食の好みの変化なども影響します。
また、排便の様子や頻度の変化、粗相するなどトイレの失敗も増えてきます。トイレに間に合わなくなるのは、主に泌尿器の機能低下が原因ですが、視力の低下によるものとも考えられます。
歩行が困難になるのも老化サインで、大好きだった散歩にも行きたがらなくなってきます。

ほかにも以下のような老化サインがありますが、早めの対処によって進行を防げることもできるので見逃さないようにしましょう。

・夜鳴きが増える
・口臭や体臭が強くなってくる
・耳が遠くなる
・白髪が増え、薄毛になってくる
・ハアハアと荒い息をするようになる
・水を多く飲むようになる
・体が震えている

犬の食事の介護方法

食事の介護のポイントを見ていきましょう。ごはんを固形物にするか流動食にするかは、獣医師と相談したうえで判断してください。

フードを水でふやかすかウエットタイプのものに切り替える

老犬になると噛む力や消化する力が衰えます。フードを小粒のものに替えたり、細かく砕いたりするだけでも噛みやすくなりますが、ぬるま湯でふやかすと食べやすくなり消化もよくなります。
その際、熱湯でふやかすとフードに含まれる栄養素が壊れてしまうため、ぬるま湯を使うようにしてください。
また、ドライフードではなくレトルトフードや缶詰などのウェットタイプに切り替えてもよいでしょう。

食べやすいようにエサ台を用意する

老犬は、飲み込む力も弱くなっていきます。誤って喉につまらせたり気管に入ったりさせないために、食べるときに頭の位置が高くなるようにしてあげてください。
首や足への負担を減らすこともできますので、食べやすい高さのエサ台を用意しましょう。

流動食の場合はシリンジを使う

流動食の場合は、シリンジ(針のない注射器)を使うと上手に食べさせることができます。
その際、柔らかくした食材にぬるま湯を足しながらミキサーにかけますが、シリンジの先に詰まらないよう粒が残らなくなるくらいまでしっかりペースト状にします。
水分が多すぎると量が増えて負担になりますが、逆に少なすぎるとうまく食べられません。飲み込む様子を見ながら調整してあげましょう。

犬のトイレの介護方法

次に、トイレに関する介護方法を見てきましょう。老犬になると腰や後ろ足の筋肉が衰えやすく、中腰の姿勢が難しくなります。中腰の姿勢が保てないと粗相の原因につながりますので、さまざまな工夫が必要です。

腰を支えるなど排泄の補助をする

排泄の姿勢が維持できず、トイレで足が震えたり滑ったりする場合は腰を支えるなどの補助をしてあげましょう。

排泄物による汚れはこまめに拭いてあげる

足やおしり、おなかなどは排泄物で汚れやすいので、固く絞った濡れタオルやペット用ウェットテッシュでこまめに拭いてあげましょう。
汚れがひどい場合は水がいらないドライシャンプーを使ったり部分浴をさせたりしますが、体力が落ちているぶん疲れやすいため、できるだけ短時間で済ませるようにしてください。

粗相する場合はおむつを履かせる 

足がふらついて思うように歩けないと、トイレに到着する前に粗相することも増えてきます。
トイレの場所を移動したり、複数のトイレを用意したり、できるだけ移動距離を縮めてあげてください。それでも間に合わないようならおむつを履かせましょう。
ただし、おむつを履くと蒸れやすくなるので、こまめな交換が必要です。

寝たきりになった場合は体の下にペットシートを敷く

寝たきりになった場合は、体の下にペットシートを敷いておきましょう。
寝床の上に防水マットを敷き、その上に大きめのペットシートを重ね、さらに腰のあたりに小さめのペットシートを重ねると取り替えのときに便利です。
また、寝たきりで排泄すると体が汚れやすいので、手早くきれいにしてあげなければなりません。汚れを拭き取りやすくするため、肛門周りの毛をカットしておくとよいでしょう。

犬の歩行の介護方法

足が弱ってくると歩行が困難になり、散歩を嫌がるようになりますが、適度な運動は筋肉を維持するために必要です。
また、外に出ることで脳が活性化されるので、よい刺激になるでしょう。健康を維持するためにも、歩行補助器具を使いながら体力に合わせた散歩を続けてあげてください。

歩行補助器具には、ハーネスやウォーキングベルトなどがあります。下半身だけが弱っている場合、これらを使用すると歩行時の負担を減らすことができます。
また、後ろ足が動かせなくなってしまったら車椅子を活用するとよいでしょう。完全に歩けなくなる前から使用すれば、リハビリ効果も期待できます。

そして、歩行補助器具を使っても歩けないという場合でも、犬用カートなどに乗せて好きな場所へ連れて行ってあげてください。それだけでも気分転換になります。

犬の床ずれの対応方法

犬が寝たきりになると長時間同じ姿勢になるため、腰や肩、足の関節など、体重のかかる部分の血流が悪くなり、床ずれができやすくなります。
床ずれを予防するためには、ベッドを柔らかいものにしたり、床ずれ防止のマットやクッションなどを活用したりなど、一カ所に体重が集中しないようにしましょう。
クッション材やドーナツ枕などで患部を保護すると、状況によってはその部分が圧迫されて血流が悪くなり、傷を悪化させることもあります。使用するときは、あてがう場所や時間などを十分考慮してください。

また、敷物を変えるだけでなく、こまめに寝返りをうたせて姿勢を変えてあげることも大切です。
そして、もし床ずれになってしまった場合は、症状が悪化しないよう、できるだけ早く動物病院に連れて行きましょう。

犬の認知症の対応方法

老犬の夜鳴きや徘徊、昼夜逆転などは認知症が原因の可能性があります。
認知症による夜鳴きを軽減させるためには、日中に適度な刺激を与えることが効果的。体内時計をリセットさせるために、日光浴に脳に刺激を与えるとよいでしょう。
もし昼夜が逆転している場合は、できるだけ昼寝をさせないようにしてください。つい寝てしまうことがないよう、こまめに声をかけたりおもちゃで遊んだり、適度な刺激を与えるようにしましょう。

また、徘徊については、無理に止めるとストレスになることがあります。犬の歩行自体に問題がなければ、気が済むまで歩かせてあげましょう。
ただし、万が一のケガに備えてサークルを設置してあげてください。段ボールなどで囲いを作るだけでもケガ予防につながります。
そのほかにも、床の素材を滑りにくいものに替えたり、クッション材などで部屋のすみや家具の隙間を保護したりなど、安全な部屋作りを心がけましょう。

まとめ

飼い主にとってかわいがってきた愛犬が老化していく姿を見るのは辛いことですが、犬は、そのような状況だからこそ飼い主のサポートを必要としているのです。
最後まで一緒に暮らしていくために、どのような介護が必要になるのか、ぜひ知っておいていただきたいと思います。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

犬のブリーダーについて

魅力たっぷりの犬をあなたも迎えてみませんか? 

おすすめは、ブリーダーとお客様を直接つなぐマッチングサイトです。国内最大のブリーダーズサイト「みんなのブリーダー」なら、優良ブリーダーから健康的な子犬を迎えることができます。

いつでもどこでも自分のペースで探せるのがインターネットの魅力。「みんなのブリーダー」では写真や動画、地域などさまざまな条件で理想の犬を探せるほか、多数の成約者の口コミが揃っています。気になる方はぜひ参考にしてみてくださいね。

※みんなのブリーダーに移動します