フレンチブルドッグの基礎知識

ヨーロッパ生まれの愛玩犬

フレンチブルドッグのルーツは諸説ありますが、イギリス原産のイングリッシュブルドッグがフランスに渡って改良された説が有力です。
イギリスのイングリッシュブルドッグはもともと闘犬として人気を博していましたが、そのなかでも体が小さく争いごとに向かないとされる犬がフランスに持ち込ます。その犬と、パグやテリアと掛け合わせ生まれたのがフレンチブルドッグです。

フレンチブルドッグは、パリの労働者階級から上流階級まで、さまざま人々な親しまれる犬種として、人気が広がっていきました。
この頃のフレンチブルドッグは垂れ耳でしたが、のちにアメリカにで改良されたことで、今のような立ち耳(バッドイヤー)になったとされています。

大正時代になると日本にも持ち込まれ、昭和の時代にはあちこちでその愛くるしい姿を見かけるようになりました。

体高、体重、平均寿命

ジャパンケネルクラブ(JKC)が定めるフレンチブルドッグのスタンダードは、体高が28~33cmで、体重は8~14kgです。体高と体重の釣り合いが取れた体格が理想的とされています。

フレンチブルドッグの平均寿命は、10~12歳前後。遺伝的疾患等の影響から、小型犬のなかでは比較的短命とされ、長寿の個体は珍しいようです。
大切なフレンチブルドッグと1日でも長く過ごすために、生活環境や食事に気を配り、いつまでも健康でいてもらえるようにするのも、飼い主としての役割です。

どんな性格?

見た目の通り、性格も愛嬌たっぷりのフレンチブルドッグ。もちろん個体差はありますが、主に下記のような性格だとされています。

①人懐っこくて大らか
陽気で明るく、良く人に懐きます。細かいことを気にしない大らかな性格のため、子どもの遊び相手としても最良です。飼い主さんが大好きで、とても甘えん坊な性格の個体もいます。

②好奇心旺盛で遊び好き
ブルドッグと比べるとサイズもコンパクトなフレンチブルドッグですが、実は全身筋肉隆々! ボール遊びのようなハードな運動も大好きな犬種なのです。家の中にいるときでも、たくさん遊びに付き合ってあげるとよいでしょう。

③頑固で思い込んだら譲らない面も
フレンチブルドッグは賢い反面、ブルドッグ種特有の頑固な性格を見せることもあります。日々のしつけには根気が必要と言えるでしょう。

④叱られるのは嫌い
飼い主から強く叱られると、落ち込んでしまうようなデリケートな一面もあります。大らかな性格なので、一緒に暮らす飼い主も神経質になりすぎず、ちょっとのんびりしているくらいがちょうどいいのかもしれません。

⑤無駄吠えが少ない
フレンチブルドッグは、闘犬(吠えたら負け)としてのルーツからか、小型犬の中でも比較的吠えにくい犬とされています。集合住宅でも飼いやすいと言えるでしょう。

毛色のバリエーションもさまざま

JKCで認められているフレンチブルドッグの毛色は、「ブリンドル」、「パイド」、「クリーム」、「フォーン」の4色です。
さらに色の組み合わせや模様の出方により、毛色のバリエーションは非常に多様です。
二度と同じカラーの子には出会えないかもしれないので、ピンとくる子との出会いは運命かもしれませんね。

個別のカラーについて見ていきましょう。

ブリンドル
体全体がブラックの被毛に覆われていますが、胸や手足など部分的に褐色や白の毛色が混じります。差し毛が多く入ったものは、「タイガーブリンドル」とも呼ばれます。

パイド
白色をベースに、顔や体の一部に別の色が混じります。フォーン(茶色)が混じった「フォーンパイド」や、薄いベージュがかった「ハニーパイド」も人気です。

クリーム
原則としてクリーム単色で、差し色は入りません。ホワイトに近いものから茶色に近いものまで、色の濃淡は個体によって変化します。

フォーン
褐色・茶系をベースに、ブラックやホワイトの差し色が入ったカラーです。ベースの茶色は、ライトブラウンから赤茶に近いものまでさまざまです。

フレンチブルドッグの子犬を迎えよう

フレンチブルドッグのことを知れば知るほど、「一緒に暮らしたい!」という気持ちは高まっていきますよね。初心者飼い主さんのなかには、「自分でもちゃんと飼えるかな?」と不安に思っている人もいることと思います。

ここで紹介するポイントを押さえて、しっかり準備したうえでフレンチブルドッグを迎え入れてあげましょう。

価格相場は約35万円と高め

ほかの人気犬種が20万台でお迎えできるのに対し、フレンチブルドッグの価格相場は約35万とやや高めです。

フレンチブルドッグは子犬の頃から頭部が大きいため、帝王切開が必要なケースが多い傾向にあります。母犬への負担や繁殖に係る労力が大きいため、結果として価格相場も高めとなっています。

生体価格の他、ワクチン費用や関連グッズにもお金がかかります。初期費用は多めに考えておくのがよいでしょう。

子犬はどこから迎え入れればいいの?

現代では、フレンチブルドッグを迎え入れる方法もさまざまです。
主なお迎え先としては、「ペットショップ」、「ブリーダー」、「里親制度」の3つを挙げることができます。

①ペットショップ
犬を飼おうと考えたとき、はじめにチェックする人が多いのがペットショップではないでしょうか。ペットショップと言っても、専門店からホームセンターの一角に入っているもの、ペットサロンを併設しているものまで、店舗形態はさまざまです。

フレンチブルドッグ以外の犬種も多く扱っているため、見比べることができるるのはペットショップならではのメリットでしょう。また、自分が欲しい子犬がいないときでも、チェーン展開している別店舗で探してもらえることもあります。

一部のペットショップでは、健康状態が悪い子犬が取り扱われていたり、早い月齢で母犬や兄弟から引き離され、情緒不安定になっていたりするケースも散見されます。
利益を追求するあまり、子犬の管理やケージ内の清掃が行き届いていない店舗も。狭く不衛生な場所で、多くの人の目に晒されることが犬に与えるストレスは、計り知れません。

②ブリーダー
フレンチブルドッグの子犬を探すのであれば、専門のブリーダーからのお迎えは、おすすめの方法です。

フレンチブルドッグは、無理な繁殖の結果、スタンダードからかけ離れてしまうケースがあります。
しかし、フレンチブルドッグのスタンダードを追求している専門ブリーダーであれば、そのようなリスクを最小限に抑えることができます。
父犬・母犬についての詳しい情報も確認だけでなく、ブリーダーによっては、直接見て触れ合える場合もあります。

管理が行き届いた犬舎で、母犬や兄弟とともにのびのびと過ごす子犬たちを見学できることも、ブリーダーならではの特権でしょう。

ただし、近くに希望するブリーダーがいない(子犬がいない)場合は、遠方まで出向いたり、子犬が産まれるのを順番待ちしたりしなければならない可能性も。
多く繁殖させることを優先していない以上仕方ないことなので、「運命の子犬」に巡り合えるまで、さまざまな犬舎を見学するのもいいのかもしれませんね。

③里親制度
保健所や動物愛護センターで保護された「行き場のない犬」を譲り受ける方法もあります。
基本的に生体に値段は付かないことが多いため、ペットショップやブリーダーから購入するときと比べて費用面では安く済みます。
なにより、奪われるかもしれなかった命を救えることは、犬が好きな人にとって、大きな意義を持つことでしょう。

一方、里親制度では希望する犬に出会えないケースもあります。特にフレンチブルドッグの子犬は、犬種としても人気が高く、巡り合えるかどうかは運次第です。

「フレンチブルドッグを飼いたい!」とはっきり決まっている場合は、里親制度にはあまり期待できないと言っていいでしょう。

健康な子犬を見分けるポイント

フレンチブルドッグの子犬を選ぶときには、目で見るだけでなく、抱っこして子犬の様子を深く観察することをおすすめします。
目や鼻、口、耳、被毛や皮膚の状態に異常がないか、元気に動き回っているのか、極度に憶病だったり神経質だったりしないなど、すみずみまでチェックしてみましょう。

以下は、フレンチブルドッグの健康のチェックポイントです。

 〇目…目はきちんと見えている様子か。大量の目ヤニが出ていないか
 〇鼻…ずるずると鼻水が出ていないか
 〇口、歯…上下の歯がかみ合っているか、嫌な口臭がしないか
 〇耳…茶褐色の耳垢が付いたり、耳から臭いしたりしないか
 〇被毛…毛ツヤはいいか、体から異臭はしないか
 〇皮膚…皮膚炎を起こしていないか
 〇肛門…肛門の回りが排泄物で汚れたりしていないか
 〇体格…痩せすぎていたり、太りすぎていたりしないか、フレンチブルドッグのスタンダードからかけ離れすぎていないか
 〇おへそ…臍ヘルニアなどの症状は出ていないか(短吻種はでべその子が多い傾向があります)

飼い始める前に必要な準備

予備知識を入れたら、「早速フレンチブルドッグの子犬を迎えよう!」という気持ちになってしまうもの。
でもちょっとその前に、子犬を迎え入れるために必要な準備を万全にしておくのはいかがでしょうか。

まず考えたいのは、子犬が暮らす環境を作ることです。
お迎えした子犬が、新しい環境を「自分の暮らす場所」として慣れるまでには少し時間がかかります。
大切なのは、子犬が安心して眠れる場所の確保です。騒音がしたり、人の出入りが激しかったりする場所を避け、犬が落ち着いて過ごせる場所にケージやクレートを設置してあげましょう。

さらに暑さ・寒さ対策には敏感にならなければなりません。室内は常に適温を保ち、急激な温度変化で子犬が体調を崩さないよう注意してあげる必要があります。

また、子犬を迎え入れる前に、家で必要な飼育グッズは一通り揃えておきましょう。必要なものをリストアップしましたので、参考にしてください。

・ペットサークル、ケージ(成長に合わせて大きさを変える)
・クレートやキャリーバッグ(クレートは犬の寝床としても活用可)
・子犬が眠るベッド
・子犬用のドッグフード(高栄養価)
・餌台、水入れ
・トイレ用品

上記のグッズが揃えば、とりあえずはOKです。
あとは飼い主とフレンチブルドッグのライフスタイルに合わせて、随時必要なものを買い足していきましょう。

フレンチブルドッグの飼い方

フレンチブルドッグは、ほかの人気犬種と比べても決して飼いやすい犬種ではありません。
しかし、例え初心者飼い主さんであっても、しっかりと飼い方のポイントさえ押さえていれば、決して飼育が不可能なわけではありません。

フレンチブルドッグの特徴を踏まえたうえで、一緒に楽しく暮らせる環境を用意してあげましょう。

食事のポイント

食欲旺盛で太りやすいフレンチブルドッグ。
フードを選ぶときは、少ない量でしっかりと必要な栄養を摂ることができるものを選ぶことが大切です。

また、アレルギーによる皮膚炎などのリスクもあるため、アレルギー物質を含まないものであることが大前提です。

<フレンチブルドッグのフードの選び方>
①少量でしっかりと栄養素が含まれている
②低アレルゲンの穀物を使用、グレインフリー
③添加物不使用(無添加)

必要な運動量、散歩の頻度・回数

遊び好き、運動好きなイメージのあるフレンチブルドッグですが、1日に必要とする運動量はそれほど多くありません。最低限必要な運動量は、朝・夕の1日2回、それぞれ10分程度のお散歩です。

もちろんもっと遊びたがるようでしたら、散歩以外にも、お気に入りのおもちゃなどを使って思う存分遊んであげましょう。

上手なしつけのコツ

フレンチブルドッグは賢い犬種ですが、落ち着きがなくせわしない子も多いです。
繰り返しトレーニングをしても集中が続かないため、あらかじめしつけの時間を短時間に設けて、区切りながら次々進めるのがいいでしょう。

また、食欲旺盛な性格から、「おやつのご褒美」も効果てきめんです。
なにかを教えたいときは、大好きなおやつやフードで集中させ、よくできたらご褒美をあげて……の繰り返しで、徐々にしつけを守るようになります。

清潔に保つためのお手入れ方法

フレンチブルドッグは、体の作り方から体臭が強い部類に入る犬種です。
適切にお手入れすることで清潔に保ち、皮膚病などにかからないようケアしてあげましょう。

①ブラッシング
フレンチブルドッグは、体毛が上毛と下毛の二重構造になった、ダブルコートの短毛種です。
長毛種のようにスリッカーブラシやコームを使ったお手入れは必要ありませんが、血行促進やスキンシップの意味で、ラバーブラシなど短毛種用のお手入れグッズでブラッシングしてあげるのがいいです。

また、短毛種といっても換毛期にはかなりの毛が抜けるため、ラバーブラシは抜け落ちかけた毛を取り除くことにも有効です。

②シャンプー
一般的にほかの犬種と比べて臭いやすいフレンチブルドッグですが、過剰なシャンプーはかえって皮膚を傷めてしまいかねません。
シャンプーの頻度は、月に1回。多くても2週間に1回。洗いすぎて皮膚の余計な脂分を落としすぎてしまわないよう、低刺激の犬用シャンプーで優しく全身を泡立てるように包み込みます。

シャンプーのあと、フレンチブルドッグの被毛を濡れたままにしておくこともまた、皮膚病の原因になります。ドライヤーを前後に動かしながら、熱風で火傷しないように注意しつつ、しっかりと被毛を乾かしてあげましょう。

③しわのケア
フレンチブルドッグが臭う原因のひとつが、顔のしわの間に汚れが溜まることです。
しわのお手入れには、コットンのような柔らかい布が最適です。充分に水を含ませたコットンなどで、優しく汚れを拭き取ってあげましょう(しわの臭いが気になるからといって、くれぐれも擦りすぎないように!)。

仕上げに乾いた布でトントンと水分を吸い取れば、お手入れは完了です。

④歯磨き
歯に歯垢が付かないよう、食後の歯磨きも欠かさずに。
犬用の歯ブラシや、歯磨きシートのほか、犬が噛んで遊べる歯磨きガムなども市販されています。

⑤爪切り
普段はペットサロンでお願いする人も多い爪切り。
「歩くとチャカチャカと音がする、爪が伸びてきたな……」と思ったら、自宅での爪切りにトライしてみましょう。

決して深爪にはせず、先の方から少しずつ切っていきます。
爪を切るごとに「よくガマンしたね、偉いね」と声をかけながらご褒美を与えて、ゆっくり爪切りに慣れさせるのがコツです。

暑さ、寒さ対策は万全に

フレンチブルドッグは、夏の暑さに弱く、冬の寒さも苦手とする犬種です。
長時間家を留守にするときは、犬が快適に過ごせるよう、適宜連暖房器具を使いましょう。

夏の暑さ対策と言えば、フレンチブルドッグのような短頭種は、夏季の飛行機への登場も制限されています。
急激な温度変化がある飛行機の貨物室は、フレンチブルドッグにとって辛く、きつい場所です。
体温調節がうまくくいかず、激しいパンティングによる呼吸の乱れが生じ、最後は熱中症に陥ってしまい、最悪の場合……ということも考えられるからです。
夏季にフレンチブルドッグを連れて飛行機への搭乗を考えている人は、注意が必要でしょう。

一方、短毛種であるフレンチブルドッグは、冬の寒さも苦手としています。室温を温かく設定するとともに、温かい服を着せて保温してあげましょう。
それでも寒がる場合は、犬用の湯たんぽなどを使って集中的に温めてあげることも有効です。

こんな病気に注意

短頭種特有の遺伝的疾患のリスクがあるフレンチブルドッグ。
飼い主としてどんな病気にかかりやすいかを知っておくことで、予防ともしものときの対応に役立てましょう(愛犬の様子がおかしいなと思ったら、素人判断はせずすぐ動物病院へ!)。

〇尿石症(シスチン)
成犬になってから発症する可能性のある遺伝的疾患です。血尿や頻尿、排尿困難といった症状が見られるようになり、膀胱炎や尿路閉塞の原因にもなります。

〇難産
身体に対して頭が大きいフレンチブルドッグは、難産の傾向があり自然分娩が難しい犬種です。ブリーダー等で繁殖する場合も、その多くは帝王切開です。

〇短頭種気道症候群
短頭種特有の構造により、ハアハアとした激しいパンティングや呼吸困難、呼吸時の雑音が見られる症状です。

〇原発性脳腫瘍
脳に腫瘍ができることで、身体機能や性格に変化をきたす病気です。良性腫瘍の場合は摘出手術を行いますが、悪性の場合は外側からの対処療法で症状を和らげる処置が行われます。

〇第三眼瞼腺突出(第三眼瞼腺脱出)
通称「チェリーアイ」とも呼ばれる症状で、下まぶたの内側にある第三眼瞼が外に飛び出してしまう症状です。

〇皮膚炎・皮膚病
顔のしわの間や、指の先、肉球などが赤くただれる症状です。マラセチアというカビ菌が繁殖して起こるものから、食物アレルギーによって引き起こされるものまで、原因はさまざまです。
犬が痒がって掻いたり、舐めて悪化したりしてしまう前に、動物病院で適切な処置を受けましょう。

魅力たっぷりなフレンチブルドッグ

ブサかわワンちゃんの代表ともいえる、フレンチブルドッグについて紹介しました。

フレンチブルドッグは販売価格はかなり高く、飼育するうえでもさまざまな注意が必要な犬種です。しかし、そんな大変な面を補ってあまりある愛らしさと魅力は、多くの愛犬家から高い人気を得ているのも納得のもの。

これからフレンチブルドッグをお迎えしようとお考えの方は、万全の準備を整えるために、ぜひこの記事をお役立てください。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

フレンチブルドッグのブリーダーについて

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