ラグドールの基礎知識

ラグドールはペルシャなどを原種に持ち、ほかの猫と比べるとまだまだ歴史の浅い猫種です。
豊かな毛並みと顔回りに入る模様がチャームポイントですが、ほかにはどんな特徴を持つ猫なのでしょうか?
歴史から、サイズ感、性格、毛色まで、ラグドールの基礎知識を説明します。

原産国と歴史

ラグドールが誕生したのは、1960年頃。原産地はアメリカのカリフォルニア州です。
もともとペルシャを繁殖していたブリーダーが、地域の土着猫と自らの猫との交配で新たな猫種を作出したことから、ラグドールの歴史は始まります。
この猫に自信を持ったブリーダーは、新たな血統登録団体(IRCA)を立ち上げてラグドールの繁殖をフランチャイズビジネス展開するようになります。ところが、独占的なやり方に疑問を持つ人たちもいたようです。
それからフランチャイズ契約を行わずに繁殖を行う人たちの手によってラグドールが作出されるようになり、新たな猫種として世界に広まることとなりました。

サイズはどれくらい?

ラグドールの体高は、22~28㎝です。オスは5~8kg、メスは4~6kg程度になります。
猫のなかでは中型~大型に分類されますが、オスのなかには10kgを超えるサイズの猫も存在し、「ラグドールは世界一重い猫」と言われることもあります。
子猫から成猫のサイズになるまで、3~4年かけてゆっくりと成長していきます。

平均寿命は?

ラグドールの平均寿命は、14~16歳とされています。
ほかの純血種と比べて病気のリスクが低く、体が丈夫なのが長生きの秘訣のようです。

どんな性格?

とても穏やかで人懐っこい性格です。
人に抱っこされることが好きで、抱っこされてもじっとおとなしくしている姿は「ぬいぐるみ」さながら。小さな子どもの相手や、ほかの猫との共同生活も嫌がらない、大らかな性格の子が多いです。
あまり鳴き声を上げない静かな猫のため、集合住宅にも向いていると言えるでしょう。

猫と言えば俊敏なイメージがありますが、ラグドールはあまり運動量が多くありません。キャットタワーで遊ぶよりも、地面に近い場所でゆったり過ごすことを好みます。

人の言うことをよく理解するため、しつけも比較的容易です。飼い主や家族には深い愛情を見せるので、よきパートナーになってくれることでしょう。

毛色のバリエーションは?

ラグドールと言えば、白をベースとしたふわふわの長毛で、顔回りに濃い色が混じる猫をイメージする人が多いのではないでしょうか。実はこれ以外にも、さまざまな毛色や模様のバリエーションが存在するのです。

ラグドールの子猫はほぼ全身白の毛色で生まれますが、成長するにつれて顔回りや耳、しっぽに別のカラーが現れます。
ポイントの色は、こげ茶色の「シール(チョコレート)」、グレーやシルバーの「ブルー」、淡い赤茶の「レッド」、黄味がかったベージュの「クリーム」、ごく薄いグレーの「ライラック」など、たくさんのバリエーションがあります。

さらに、模様の種類もさまざまです。大きくは以下の4つに分類されます。

・「ポイント」…顔の中心部や手足、しっぽに色が入る
・「ミテッド」…ポイントに加えて、おなかや手足に色が入る
・「バイカラー」…2つの色がはっきり分かれる。顔に逆Vの字が入る“ハチワレ”模様が特徴
・「トーティ」…2つの色が混じり合う

これらの特徴がはっきり出るようになるまでには、生まれてから2年ほどかかります。カラーの変化を楽しめるのも、ラグドールの魅力の一つですね。

ラグドールの子猫を迎えよう

穏やかで優しい性格のラグドールは、初心者でも飼いやすい猫種です。
ラグドールはほかの猫よりもゆっくり成長しますので、成猫になるまでにじっくりと信頼関係を築けば、かけがえのない存在になってくれることでしょう。
ここでは、子猫を迎える前に知っておきたい価格相場や、おすすめのお迎え方法、飼育準備のポイントを紹介します。

子猫の価格相場は?

ラグドールの価格相場は、約23万円です。一般的にオスよりメスの方が2~3万程度高く、月齢が低いほど値段が上がる傾向です。
また、血統のよい子猫や、希少カラーの子猫も相場より高くなります。

そのほかにも、ワクチン代やエサ代、飼育グッズ代と、子猫をお迎えするためには色々と費用がかかります。
初めて猫を飼おうと思っている方は予算を多めに見積もっておくとともに、それぞれどれくらいかかるのか、あらかじめ調べておくと安心でしょう。

子猫をお迎えする方法

ラグドールの子猫をお迎えするためにチェックしたいのは、「①ペットショップ」、「②ブリーダー」、「③里親制度」の3つです。
それぞれメリット・デメリットがありますので、自分の条件に合う方法を選んでみてください。

①ペットショップから迎える
街角のペット専門店や、郊外のショッピングセンターにホームセンター。猫を気軽に見学できるペットショップは全国各地に数多くありますよね。
ラグドールのような人気猫種の子猫は、比較的どこでも見かけやすいです。

ペットショップのいいところは、いつでも思い立ったときに猫を見に行ける点です。
フードや猫用トイレなどといった専用グッズも販売されていることも多いので、猫初心者さんは一度見に行ってみるのもいいでしょう。

ペットショップの心配な点は、子猫の飼育環境です。
狭いケージの中でたくさんの人の目に晒されるのは、子猫にとっていい環境とは決して言えません。たくさんの猫と一緒に管理されているため、飼育員さんの目が行き届かなくなってしまうことも。
さまざまなストレス要因に囲まれたまま暮らしていると、体調を崩したり、神経質な性格になったりと、さまざまな支障をきたすようになります。

さらにお店のなかには、“悪徳ペットショップ”と呼ばれる業者が存在します。信頼できるお店かどうかを完全に見極めるのは難しいですが、最低限「動物取扱業」といった資格を持っているか、お店の飼育環境におかしな点はないかなどをチェックしましょう。

②ブリーダーから迎える
ペットショップの数ほどではありませんが、ラグドールを専門とするブリーダーも全国各地に存在します。
はじめて猫を飼う人にとってブリーダーのもとを訪ねることはややハードルが高く思えるかもしれませんが、“ラグドールの専門家”ならではのメリットがたくさんあります。

生まれてから親元で大切に育てられた子猫は、健康で性格にも難が少ない子が多いとされています。猫にとってストレスが少なく安心して過ごせる環境はとても重要なことなのです。
また、ペットショップの場合と違って、親猫や一緒に生まれたきょうだい猫を見ることもできます。
タイミングがよければ、たくさん生まれたラグドールの子猫の中から、好みの子を選べることもあります。

デメリットは、近くにブリーダーがいないとき、遠出しなければならないことです。現在はネット経由で猫を販売するブリーダーも増えてきていますが、やはりお迎えする子猫は、実際に見て、触ってから決めるのが賢明です。

ブリーダーの情報はWeb上にもたくさん掲載されています。ぜひ近くのブリーダーを探してみてはいかがでしょうか。

③里親制度を使って迎える
里親制度は、理由あって譲渡に出されている猫をお迎えする方法です。
自治体や保健所、動物愛護センターが運営している譲渡会や、ネットの里親サイトを利用するパターン、動物病院での募集を見つけて個人的に譲ってもらうといったパターンがあります。

純血種のラグドールの場合でも、成猫であれば無償~子猫の相場よりも低い値段で引き取ることができます。人に飼われていた猫であればワクチンの接種も終わっているケースもあるので、猫を飼うための初期投資が安く抑えられます。
また、行き場を失った猫を引き取ることは、社会貢献の観点でも大きな意義があることです。

一方の懸念点は、人気猫種のラグドールは、里親に出されてもすぐ決まってしまうことです。特に月齢が低い子猫は競争率が高いので、譲ってもらえるかどうかは運次第といったところ。
譲渡されているなかには、純血種とほかの猫のMIXも含まれています。
純血種の子猫にこだわりたいのであれば、里親制度以外の方法を考える方が確実でしょう。

健康な子猫を見分けるポイント

見た目のかわいらしさだけではなく、健康な子猫を選べるかどうかも飼い主さんにとっては重要なポイント。
具体的には、以下の項目をチェックしましょう。

・骨格…抱っこしたときに、骨格や筋肉をしっかり感じるか。手足におかしな点はないか
・皮膚…赤みやただれ、フケが出ていないか。ケガや傷はないか
・目…目の周辺に傷はないか。大量の目ヤニが出ていないか
・口…歯が汚れていないか
・耳…耳垢で汚れていないか
・肛門…ひどく汚れていないか
・その他…ぐったりして元気がない様子はないか

飼い始める前に必要な準備

ラグドールと生活を始めるために、まずは住環境を整え、専用のグッズを買い揃えておきましょう。

■猫の住環境
子猫の頃は気温の変化に敏感です。猫と暮らすスペースは、温度調整しやすい部屋がよいでしょう
またおっとりした性格のラグドールですが、子猫の頃は運動量も多く、よく動き回ります。
猫が暮らす部屋は、机の上や床に余計なものを置かない、家具に飛び乗られても大丈夫なように固定するなどの工夫が大切です。そのうえで、猫のための寝床やトイレ、水飲み場を用意しましょう。

■はじめに揃えたい猫グッズ
①キャリーケース
お迎えのとき、病院に定期健診に行くときなど、外出の際には猫を入れるキャリーケースが必要です。
プラスチックのカゴタイプ、背負えるリュックタイプなど、材質やデザインもさまざまなキャリーケースがありますが、猫の身体のサイズに合ったものを選びましょう。

②猫用トイレ、猫砂
猫は決まった場所に排泄するキレイ好きな動物です。トイレの数は、「猫の飼育頭数+1」が適切とされています。
猫のトイレには、オープンタイプ、ドームタイプ、自動洗浄タイプ……といったように、さまざまな種類があります。
排泄物を吸収するのに使用する猫砂も、鉱物由来のもの、紙、木材、ペットシーツなど、さまざまです。
猫が落ち着いて排泄できるよう、トイレは部屋の中でも静かな場所に設置しましょう。

③キャットフード
子猫のうちは、高栄養価タイプの「子猫用」を選んでください。お迎え当初は、もともとブリーダーやペットショップで食べていたものと同じフードを用意すると間違いないでしょう。

④食器
キャットフード用のもの、水用のもの、最低2つは必要になります。
いつでも清潔を保てるよう、洗いやすい陶器製やステンレス製のものがおすすめです。

⑤寝床
猫用のベッドとして市販されているものを使用するほか、毛布やブランケットで代用する方法もあります。
冬はドーム型のようにすっぽり覆われるタイプの寝床があれば、猫もぬくぬく暖かく過ごせます。

⑥爪とぎ
爪とぎのしつけは、子猫の頃からはじめます。爪とぎは縦型のもの、横型のもの、キャラクターの付いたものと数多くありますが、設置スペースやインテリアのテイストに応じて選ぶとよいでしょう。

ラグドールの飼い方

子猫を迎えるために必要な準備が分かったら、次はラグドールを飼うポイントを押さえましょう。
食事や日々のお手入れ、気を付けたい病気について紹介していきます。

食事のポイント

大柄な体格を持つラグドールは、食欲も旺盛です。大きな体を支えるためには筋肉が必要なので、毎日の食事で良質なたんぱく質を摂取させましょう。
運動量が少なくなる成猫~シニア期には、肥満に注意を。たくさん食べるからといって、たくさんのフードを与え続けるとあっという間に体重が増えてしまいます。

その他、アレルギーフリーのものや、猫がかかりやすいとされる「尿路結石」を防止するキャットフードを取り入れるのもいいですね。

必要な運動量は?

その性格通り、行動も“おっとり”気味のラグドール。
元気に動き回るよりも、家族のそばでまったりすることを好み、運動量も少ない傾向にあります。
上下の昇り降り運動もあまり得意ではないため、天井まで届くような高いキャットタワーは必要としません。
一方、成猫になる前の若いラグドールは活発な一面もあるため、ストレス発散の意味でも適度に遊ばせることが重要になります。

おすすめの遊ばせ方

猫じゃらしなどのおもちゃを使って、1日10分程度の遊び時間を取りましょう。
体が重いラグドールは運動により手足の関節に負担がかかりやすいため、フローリングや家具の上で足を滑らせないようにする工夫も必要です。滑り止めマットやカーペットを敷くなどして対策しましょう。

しつけのコツ

ラグドールのしつけは、「トイレの場所」、「爪とぎの場所」を教えるものが中心となります。
とても聡明で、理解力のある猫種ですので、しつけはそこまで難しくはありません。
トイレや爪とぎが上手くいったら、おやつなどのごほうびを与えて褒めてあげましょう。頭ごなしに叱ったり、叩いたりするのは逆効果です。
ちょっぴりやんちゃな子猫時代は手を焼くこともあるかもしれませんが、飼い主としてあくまで冷静に、何度も言い聞かせるようにしつけてください。

また、ラグドールは「帰巣本能」が強い猫だとされています。お迎えのときや、長年住んだ部屋から引っ越すときなど、慣れ親しんだ場所から離れるときに強いストレスを感じるようです。
環境が変わったばかりのときは、猫が落ち着くまでそっと様子を見守りましょう。

日々のお手入れ

■ブラッシング
ラグドールの被毛は、上毛と下毛に分かれたダブルコートです。
長毛種の割には抜け毛が少ない部類ですが、それでも換毛期になると驚くほど大量の毛が抜け落ちます。
抜け毛を放っておくことは、見た目にもよくないだけでなく、毛球症の危険性も高まります。

専用のブラシやコームを使用し、毎日ブラッシングしましょう。
手足や脇、おなかまわりなどのもつれやすい部分にはスリッカーブラシをかけて毛をほぐします。続いてコームで毛流れを整えると、見た目にも美しいラグドールの出来上がりです。

人に触られることを嫌がらない子が多いので、ブラッシングするのはさほど難しくありませんが、慣れないうちは部分ごとに分けて短時間で済ませる配慮も必要です。

■シャンプー
シャンプーは皮脂汚れを落としてくれるだけでなく、抜け毛を取り去るのにも有効です。
猫用のシャンプーを使って、頭からお尻に向かって汚れを落としていきましょう。すすぎ残しは皮膚トラブルの原因になるため、シャワーで念入りに洗い流してください。
頻度は猫の体質にもよりますが、月に1回程度~多くても2週間に1回程度が適切です。

■爪切り
「爪とぎをしているのに、爪切りが必要なの?」と思う人もいるかもしれませんが、ラグドールの場合、爪はとぎだけでは十分にお手入れができません。
もともとハンターとしての狩猟本能があまり強くないので、爪とぎの頻度も少なく、放っておくとどんどん爪が伸びてしまいます。
お手入れの際にはペット用の小さな爪切りを用意し、血管を切らないように少しずつ切りましょう。
自分でやるのが難しい場合は、決して無理をせずに動物病院やトリミングサロンにお願いするのがベストです。

部屋の温度管理

細かく長い毛が密集しているラグドールは、夏の暑さを苦手とする猫です。
熱のこもった室内で長時間お留守番させていたら、熱中症になってしまった……といった事故も決して少なくありません。
特に気温が高くなる時期は、クーラーを付けて室温を一定に保ちましょう。さらに冷感マットなどのクールダウングッズを用意しておけば、万が一クーラーが切れてしまったときの保険になります。

かかりやすい病気

純血種特有の遺伝的疾患は少ないとされるラグドールですが、それでも注意したい病気はいくつかあります。
日々の健康チェックを欠かさず行うとともに、少しでも様子がおかしいと思ったら、すぐに動物病院に連れて行きましょう。

■肥大型心筋症(ひだいせいしんきんしょう)
心臓を覆う筋肉(心筋)がだんだんと大きくなっていく病気です。血の巡りが悪くなることで貧血や血栓、心不全の原因になります。
発症の原因は明らかになっていませんが、ラグドールの祖先である「ペルシャ」が持っている遺伝的形質が受け継がれているためとされています。

■尿石症(にょうせきしょう)
一般的に、猫がかかりやすい病気です。シュウ酸カルシウムが尿石化し、排尿障害を引き起こします。
症状が悪化すると、膀胱炎から尿路閉鎖、最終的には尿毒症を引き起こしてしまうことも。
毎日十分な水分を飲ませるとともに、おしっこの様子がおかしくないかもチェックしましょう。

■熱中症
夏場の暑さに弱いラグドールは特に注意したい症状です。
呼吸が荒くなり、ふらつきが見られたら要注意。下痢や嘔吐、痙攣、意識障害を引き起こすこともあります。夏場の熱中症対策は十分に行ってください。

■皮膚炎、皮膚病
皮膚にかゆみや赤み、脱毛が起こる症状です。
アレルギー性のものや、細菌性、寄生虫によるものなど原因はさまざま。長毛種であるラグドールは皮脂汚れを溜めやすいので、日々のケアで清潔に保つことが重要です。

ぬいぐるみのようなラグドールと癒しの日々を

もふもふ猫の代名詞ともいえる、ラグドールについて紹介しました。
ラグドールは人懐っこく穏やかなだけでなく、体も丈夫なほうなので、比較的飼いやすい猫といえるでしょう。
ただし、美しく豊かな毛並みを維持するためにはお手入れが必要不可欠です。抜け毛も多いのでしっかり対策をとってあげましょう。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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