なぜ犬の鼻は濡れている?

犬の嗅覚は人間の100万倍以上とも言われるほど敏感で、ありとあらゆるにおいを嗅ぎ分けることができます。
犬の鼻は「外鼻孔(がいびこう)」、「上唇溝(じょうしんこう)」、「鼻鏡(びきょう)」と呼ばれる3つの構造で成り立っています。
さらに鼻の中にある「鼻粘膜」には、たくさんの「嗅細胞」が備わっているため、犬はにおいを敏感に感じ取ることができるのです。そして、犬の鼻は濡れているときのほうが、より敏感ににおいの情報をキャッチすると言われています。

犬の鼻の湿り気は、鼻の奥側にある「外側鼻腺」から出る分泌液によるものです。これは鼻水のようにも見えますが、実は涙と汗が混じり合ったような成分でできています。
また、犬が自ら鼻を舐めて湿り気をキープすることもあります。

犬の鼻が湿っているのにはいくつか理由があります。一つは「においから多くの情報を得るため」です。鼻が乾いているときより、湿っている(水分量が多い)ときの方がにおいの分子をキャッチしやすいとされています。

二つめは、「体温を下げるため」です。犬は人間と違って全身から汗をかいて体温調節することができません。しかし、犬は外側鼻腺から分泌液を出すことで、上がった体温を下げることができるのです。

犬の鼻が乾く原因① 生理的なもの

一方、いつもはひんやりと濡れている犬の鼻が乾いているときがありますよね。しかし鼻が乾いているからといって、必ずしも病気が潜んでいるわけではありません。

睡眠中の乾燥

睡眠中の犬の鼻が乾燥している様子を目にする飼い主さんは多いのではないでしょうか。
犬の鼻を濡らす分泌液には、目を保護する涙の成分が含まれています。眠っているときは目を閉じているので、涙で目を保護する必要はありません。また、においによって周囲の情報を嗅ぎ取る必要もないのです。
さらに快適な温度で眠れているのであれば分泌液で体温を下げる必要もなく、結果として鼻が乾いた状態になるのです。
体の他の部分に異常が見られなければ、睡眠中の鼻の乾燥はさほど心配する必要はありません。

運動後の乾燥

犬の鼻を濡らす分泌液は、体内の水分により作り出されるものです。よって激しい運動後などの喉が渇いた状態のときは、鼻も乾燥しがちになります。
運動後は新鮮な水をたっぷり与えて、水分補給させてあげましょう。

老化による乾燥

シニア期に入り、体のさまざま働きが衰えてくると、鼻も乾燥しがちになります(人間が老化すると肌が乾燥するのと一緒ですね)。ほかにおかしな様子が見られなければ、重く受け止める必要はないでしょう。

ほかにも、遊びに夢中になっているときや、においを嗅ぎまわる必要がない安心できる環境にいるときなども鼻が乾燥しやすいです。いずれも生理的なものなので、大きな心配は無用です。

犬の鼻が乾く原因① 病気によるもの

ひんぱんに犬の鼻が乾く、ほかにも異常が見られるなどの場合は、病的な原因が潜んでいる可能性があります。
以下のような項目をチェックし、気になることがあれば動物病院を受診しましょう。

発熱による乾燥

感染症や熱中症にかかり熱が上がったとき、熱を放出させるための分泌液が不足して鼻が乾燥します。熱中症は重篤化すると命にかかわるため、特にリスクが高まる夏場は注意が必要です。
鼻の乾燥とともに、咳やくしゃみ、下痢や嘔吐といった症状がないか、食欲はあるか、排泄物に異常はないかなどもチェックしましょう。

脱水による乾燥

運動後の軽い脱水なら特に心配する必要はありませんが、病気による脱水症状が疑われる場合は要注意です。
重度の下痢や嘔吐がある、歯肉の乾燥、皮膚の弾力がなくなりぶよぶよする、衰弱して動かなくなるなどの症状があれば、すぐに動物病院を受診してください。

皮膚疾患による乾燥

犬の鼻はとてもデリケート。夏場の紫外線による日焼けで、鼻が乾燥してしまうこともあります。
また、犬の鼻にかさぶたやひび割れができていたり、鼻周りの皮膚にも異常が見られたりする場合は、皮膚病の疑いも。

アレルギーによる乾燥

目や鼻にアレルギー症状により「鼻涙管」が詰まり、鼻まで分泌液が流れずに乾燥してしまうケースです(人間の場合アレルギーにより鼻水がたくさん出ますが、犬の鼻の湿り気は鼻水とは別モノなのです)。
アレルギー疾患が疑われる場合でも、投薬などの適切な治療を受けることで改善が可能です。

犬の鼻が乾燥したときの対処法は?

何らかの理由で犬の鼻が乾燥しているとき、飼い主としてはどのようなケアができるのでしょうか? 3つの対策法について解説します。

①水分や好物のおやつを与える

睡眠中は問題ありませんが、目を覚ましているときの鼻の乾燥は脱水が原因であることも。鼻が乾いているなと思ったら、たっぷりと水を飲ませて喉の渇きを潤しましょう。
水を飲んでくれないときは、水分の多い果物や野菜をおやつとして与えたり、ドライフードに水を加えてふやかして与えたりすることも有効です。

②体を冷やす

発熱で鼻が乾燥している場合は、体温を正常値まで下げることが大事です。
犬の体を冷やすためには、冷房のきいた涼しい場所に連れていく、クールマットを敷いた上に寝かせる、湿らせたタオルを乗せるなどの方法があります。

③病院に連れて行く

咳やくしゃみが続く、激しい下痢や嘔吐がある、元気がなくぐったりして動かないなど、明らかにおかしな様子が見られるときはすぐに動物病院へ。安易な自己判断は命にかかわることもあります。

【番外編】犬の鼻に関する病気

犬にとって非常に重要な器官である鼻。しかし犬種によっては、先天的に鼻に関する病気のリスクを抱えている場合もあります。
特に注意しておきたい、犬の鼻に関する病気を押さえておきましょう。

鼻炎

鼻の中の粘膜に炎症が起こることで、くしゃみ、鼻水の増加、鼻づまりなどの症状が現れます。鼻炎が慢性化すると鼻水に膿などが混じるようになり、抗生剤を使った治療が必要となります。
原因ははっきりしないことも多いですが、鼻粘膜を刺激するほこりやハウスダストなどによる影響も疑われます。
ミニチュアダックスフンドウィペット、鼻の長い犬種に起こりやすい症状です。

副鼻腔炎(ふくびくうえん)

鼻炎が進行し、鼻の奥側の副鼻腔まで炎症が広がった状態です。ここから更に進行すると、蓄膿症になる恐れがあります。
副鼻腔炎の症状としては、くしゃみ、鼻水の増加、鼻周りの腫れや出血が見られます。

鼻腔腫瘍

鼻腔腫瘍は鼻の中にできものができる病気です。シェルティやダックスフンドなど、マズルの長い犬種がなりやすいとされています。
外見では気付くことが難しく、腫瘍が悪性のものである場合も多いです。鼻づまりやいびき、鼻からの出血などの症状があればすぐに病院にかかりましょう。

鼻腔狭窄(びくうきょうさく)

鼻の穴が狭いために、呼吸が荒くなったり大きないびきをかいたりする症状で、ブルドッグパグペキニーズなど鼻の短い犬種に起こりやすい疾患です。後天的なものでは、アレルギー疾患による鼻炎や鼻づまりが原因で起こることもあります。

鼻の病気は呼吸へ影響が多いため、息苦しそうな様子が見られたら、なるべく早くかかりつけの獣医師に相談してください。

まとめ

以上が犬の鼻が乾燥しているときの理由や対処法に関する解説でした。
愛犬の健康維持のために、ぜひ毎日の“鼻の乾燥チェック”も取り入れてみてくださいね。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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