ゴールデンレトリバーの基礎知識

歴史

ゴールデンレトリバーの起源は明らかになっていませんが、スコットランドのトゥイードマウス卿が記録した1835年から1890年頃までの繁殖資料が保管されており、現在、それがゴールデンレトリバーの誕生についてもっとも有力なデータであるとされています。

狩猟家であったトゥイードマウス卿は、水辺でハンターが撃ち落とした獲物を咥えて戻ってくる「retrieve(レトリーブ)」ができる、優秀な狩猟犬の作出に励みました。
繁殖記録によると、トゥイードマウス卿は1865年、黒い毛色のウェイビーコーテッドレトリバーから生まれた黄色い毛色の子犬を購入し、トゥイードウォータースパニエルという犬種と交配させます。そのときに生まれた4匹の子犬のうち1頭が、現在のゴールデンレトリバーの始祖になったと考えられています。
その後、始祖犬をアイリッシュセッター、ブラッドハウンドなどと交配を重ね、現在のゴールデンレトリバーを誕生させたのです。

犬種としての登録は、1913年にイギリスのケンネルクラブ(KC)で、1925年にアメリカのケンネルクラブ(AKC)で行われました。
KC(イギリスのケンネルクラブ)に登録されたころはまだ「ゴールデンレトリバー」とも「イエローレトリバー」とも呼ばれていましたが、1920年にようやく現在の「ゴールデンレトリバー」という犬種名に統一されることとなります。
ゴールデンレトリバーは1908年にイギリスで開催されたクリスタル・パレス・ショーという大きなショーに登場したことで、一躍有名に。
その後、アメリカの第38代大統領ジェラルドフォードの愛犬としてメディアに紹介されたのをきっかけに、人気は不動のものとなったのです。

特徴

ゴールデンレトリバーの理想体高はオスが56~61cm、メスが51~56cmで、平均体重は30kg前後の大型犬です。
平均寿命は10~12歳といわれており、小型犬の平均と比べると短いですが、大型犬のなかで見ると平均的数字でしょう。
オーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の2種類の毛が生えているダブルコート種で、認められている毛色は、クリームとゴールドの2色。
8グループ(ポインター、セター以外の鳥猟犬)に属し、獲物を傷つけずに咥えることができるソフトマウス(やわらかい口)をもちます。また、泳ぐのが得意な犬としても知られています。
ゴールデンレトリバーはイギリスタイプとアメリカタイプがあり、イギリスタイプはアメリカタイプと比べると被毛がやや短くウェーブがかっていて、骨太でずっしりとした体格です。
アメリカタイプは、イギリスタイプがアメリカへ渡ったあと、いくつかの犬種がかけ合わされ誕生しました。イギリスタイプより被毛は長くストレートで、体格は細身、長めのマズル(口周りから鼻先までの部分)をしています。

ラブラドールレトリバーとの違い

ゴールデンレトリバーとラブラドールレトリバーは、おなじ目的で作出された犬種で、どちらも同じ8グループ(ポインター・セター以外の鳥猟犬)に属します。どちらも「retrieve(回収する)」の名を冠した大型犬で、見た目も雰囲気も似ていることから、同種の長毛タイプと短毛タイプと思われることも少なくないようです。
しかしこの2種は作出に関わった人物も原産国も、かけ合わされてきた犬も違う異なる犬種です。長毛であればゴールデンレトリバー、短毛であればラブラドールレトリバーと、被毛の違いで簡単に見分けられます。

性格

レトリバーの性格は、賢く、人懐こく、献身的。人とともに作業をし喜んでもらうのが大好きです。
人見知りをしないことも多く、番犬には向いていないといわれています。明るい性格で、さまざまなトレーニングにも喜んで参加することができるでしょう。
オスとメスでは、オスのほうがやや甘えん坊が多いといわれているようですが、イギリスタイプとアメリカタイプの違いのほうがもう少し顕著なようです。アメリカタイプがより陽気でテンションが高め、イギリスタイプのほうが穏やかな性質をしているといわれています。

ゴールデンレトリバーの子犬を迎えよう

価格相場

ゴールデンレトリバーの子犬の現在の価格相場はおおよそ22万円です。価格は、親犬のショー経験や血統が関係し、40万以上の価格がつくこともあります。

子犬を迎える方法

子犬を迎える方法は、「ペットショップで購入する」「ブリーダーから購入する」「里親になる」の3つの方法があります。それぞれのメリット・デメリットなどを解説します。

①ペットショップで購入する
ペットショップとは、動物を仕入れて販売する店舗で、好きなタイミングでの見学が可能です。
ペットショップで気に入った子犬を見つけたら、「店の衛生・管理状態」「動物愛護法で定められた販売週齢を守っているか」「スタッフに犬の知識があるか」「購入後のアフターフォロー」「病気や死亡に対しての保証制度」の5点は必ず確認しましょう。
2点目の「定められた販売週齢を守っているか」については、店への入荷日ではなく、入荷前の仲介業者が購入したり競りにかけられたりした時期の確認がポイントです。
また、ゴールデンレトリバーは成犬になれば30kg近くにもなる大型犬で、こまめな手入れが必要なダブルコート種です。
犬のかわいさだけではなく、飼育の苦労面についてもきちんと説明があったうえで、仕入れ先や親犬について答えられるスタッフがいるショップが理想といえるでしょう。

②ブリーダーから購入する
まず、ゴールデンレトリバーを専門にブリード(繁殖)しているブリーダーを探しましょう。
優良ブリーダーは、ゴールデンレトリバーの血統と健康を守るために、正しい知識を持ち、健全な繁殖に努めています。
たとえばゴールデンレトリバーは、遺伝性要因が強い疾患「股関節形成不全」の発症率が高い犬種です。
遺伝子検査を受けている、または、遺伝性欠陥のある犬は種犬から排除しているなど、遺伝性疾患についての説明の有無は、優良ブリーダーであるか否かを見分けるポイントになります。最近では、日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD)へ検査を依頼しているブリーダーも多いようです。
インターネットを通じてのブリーダー直販であれば、購入者はパソコンやスマホで好きなときに親犬と過ごす子犬の様子をみることができます。子犬にストレスをかけずに話を進められるのは、大きなメリットといえるでしょう。
ただし動物愛護管理法では、犬猫販売の際には現物確認と対面説明を義務づけています。気に入った子犬が遠方だった場合には、出張費などのコストが発生する場合も。
費用がかさむ可能性もありますが、ゴールデンレトリバーを心から愛し、健全な繁殖を行うブリーダーからであれば、心身共に健康な子犬を迎えることができます。

③里親になる

保健所や動物愛護センターなどの行政施設には、飼い主のいない犬が多く収容されています。経緯は犬によってさまざまで、迷い犬として収容されたり、飼育が困難になった個人から保護を依頼されたりするケースもあります。
行政施設に収容され、お迎えがなかった犬たちは、譲渡対象であるかのチェックを受けます。譲渡可能と判断されると、新しい飼い主探しが始まります。
県や市、ボランティア団体のホームページ、譲渡会お知らせ、里親募集サイトなどをチェックしてみましょう。SNSなどを利用し、個人で探している場合もあります。
気になる子をみつけたらどのような経緯で保護犬となり、現在どのような状態であるか、また、譲渡条件についてもしっかり確認しましょう。
新しい飼い主を待っている犬たちは疾患を持っていたり、心に傷を負っていたりする子も少なくありません。募集側も「二度捨てられないように」と、厳しい譲渡条件を設けているところがほとんどです。
多少の違いはありますが、まずは面談、犬との相性チェック、環境調査、トライアルを経て、ようやく正式譲渡という流れが一般的。
ゴールデンレトリバーの子犬の里親募集は少なくはありませんが、犬を迎えたいと思ったときに迎えられるかどうかはタイミング次第です。待つのが苦でなければ運命の出会いを待ち、こまめに里親募集情報をチェックしましょう。

健康な子犬を迎えるポイント

気に入った子犬を見つけたら、健康に問題がないかしっかり観察しましょう。
動くものを目で捉えているか、瞳に輝きがあるかをみてください。鼻は適度に湿っているかを触ってチェックしてみましょう。皮膚はベタベタしたりカサカサしたりしていないか、フケが出ていないかを確認します。
姿勢や歩き方も観察が必要です。ゴールデンレトリバーは遺伝性要因が強い股関節形成不全の発症率が非常に高い犬種。気付いたことがあればその場で質問をしましょう。親犬や兄弟犬の健康状態について知ることができればさらに安心です。

飼い始める前に必要な準備

子犬が家にやってくる前にそろえておくべき飼育グッズをご紹介します。

■ケージ犬
ゴールデンレトリバーにも専用の場所が必要です。ケージを用意し、パーソナルスペースを作ってあげましょう。
ケージは成犬サイズを想定しながら、丈夫でしっかりとした作りのもの、犬がゆったりと横になれる広さがあるもの、飛び越えられない高さがあるものを選びます。
中にはトイレやベッドなどを設置し、留守番など長時間ケージで過ごしてもストレスにならないスペースにしましょう。屋根つきタイプのものもあります。

■首輪、ハーネス、リード
初めに用意する子犬用のものはすぐにサイズアウトしてしまいますが、サイズを重視し耐久性のあるものを選んでください。リードも体重に合わせ選び、丈夫なものを使用しましょう。

■その他、事故防止対策
ゴールデンレトリバーは股関節に負担がかかりやすい犬種です。転倒・ケガ防止のため、フローリングなど滑りやすい床には、カーペットや滑り止めマットを敷くなどの対策をとりましょう。長く元気に歩いてもらうためにも効果的です。
ゴミ箱やコンセントやコードなど、噛んだら危険なものや噛まれたくないものには、カバーをつけたり届かない場所に置いたりするなど工夫が必要です。
ゴールデンレトリバーは、咥えて物を運ぶことが本能として備わっています。そのため、おもちゃなどの誤飲事故が多く報告されており、成犬サイズになると野球ボールくらいのものは簡単に飲み込めてしまいます。
留守番など長く目を離す際には、誤飲の可能性があるものはすべて届かないところへ置く、犬をケージインする習慣をつけるなど、事故防止対策をとるようにしましょう。

ゴールデンレトリバーの飼い方

食事のポイント

子犬のころは成長期なので、与える量は日々変わる可能性があります。月齢と体重に合わせ、常に適量を与えるようにしましょう。
成長期はたくさんのエネルギーが必要ですが、まだ体も消化器官も小さいため、1回で食べられる量は多くありません。
ミルクや白湯などでふやかして消化しやすくする、1回量を減らして食事回数を増やすなどの工夫をし、必要量を摂れるようにしてください。

生後6カ月くらいになると、成長スピードがややゆるやかになります。
1歳前後になり体重の増加が落ち着いたら、成犬用フードへの切り替えタイミングです。もともと食べているフードに少しずつ混ぜながら切り替えましょう。
食事回数も、フードの移行が終わるころに、成犬の一般的回数とされる「1日に2回」になるよう調整していきます。

ゴールデンレトリバーは皮膚トラブルが多い犬種です。
遺伝性による皮膚疾患の改善はなかなか難しいですが、予防と発症した場合のケアには、良質な動物性タンパク質(肉や魚)を中心とした食生活がよいといわれています。ドッグフードは「穀物不使用」や「高タンパク」にこだわって選んでみるといいでしょう。

必要な運動量、散歩の頻度と回数

ゴールデンレトリバーは運動量の多い大型犬です。エネルギー摂取量と運動量のバランスが崩れるとすぐに太ってしまいます。
食事は必要量しっかり与え、運動もたっぷり行いましょう。運動不足はストレスとなり問題行動を引き起こすだけでなく、肥満化の要因となり、「糖尿病」や「股関節形成不全」を誘発する可能性が高まります。
このふたつは犬種としてかかりやすい疾患でもあるため注意が必要です。散歩は1日に2回、1回1時間前後で行うのが理想です。

また骨格がしっかり形成されるまでの1歳くらいまでは、運動のさせ過ぎにも注意しましょう。運動は大切ですが、過度なものはダメージとなります。
日頃の散歩だけでなく、ときには泳いだり思いっきり走らせたりすることも必要です。気候のよい時期には川や海、プール付きドッグランなどに連れて行ってあげましょう。
飼い主さんとのスキンシップ、投げたボールやディスクを咥えて持ってくる遊び、それから水遊びが大好きな犬種ですので、充実した時間を過ごすことができます。

しつけのコツ

ゴールデンレトリバーは大変賢く、学習能力が高いので、しつけがしやすい犬種です。遊ぶことや人を喜ばせることが大好きなので、遊びの要素を取り入れたゲームのようなトレーニングがおすすめです。
「叱る」より「褒める」が効果的で、「叱られたから止めよう」ではなく、「褒められたからまたしてみよう」と思考させるとでスムーズに習得することができます。
ただし本能に備わっている「咥える」という行動をやめさせるには、時間と根気が必要かもしれません。
咥えていいものダメなものをひとつずつ教えていきましょう。お気に入りのおもちゃを常にひとつ、持たせてあげることも効果的です。

トイレトレーニングは、体調がいいことを確認してからはじめてください。朝起きてすぐや、食事のあとなど、トイレしそうな場面で先にトイレの場所まで連れていき、排泄するのを見届けます。
トイレは、囲いと扉があるケージ内に設置するとしつけがしやすいです。トイレシートの上で排泄したらほめてあげましょう。
もし排泄をしなくても、2~3分でケージから出してあげてください。ここがトイレだと覚えてもらうのと同じくらいに大事なのは、トイレの場所を嫌いにならないようにすることです。
ケージから出した途端に別の場所で排泄してしまっても叱らず、次のタイミングを待ちましょう。
排泄しそうな少し前に先にトイレの場所へ連れていく、トイレで排泄できたらほめる、を繰り返します。犬が行きたいと思ったときに自分で行けるよう、ケージの扉は普段から開けておいてください。

お手入れ方法

ブラッシングは日頃から丁寧に行い、換毛期は特に念入りに行ってください。ブラッシング好きになってもらうためにも、子犬のころから始め、日課にしましょう。
汚れがたまりやすく取り除きにくい垂れ耳のため、外耳炎など耳のトラブルが多い傾向にあります。週1回ペースを目安に耳チェックを行い、汚れがたまっていたら洗浄液を含ませたコットンで拭き取りましょう。

歯のケアは、健康維持のためにも必要です。子犬のころから毎日行いましょう。
やわらかめの歯ブラシか、歯磨きジェルなどを塗ったガーゼで、マッサージするように磨きます。

爪切りと肛門絞りはシャンプーと一緒に行うと、忘れずに効率よく作業ができます。
シャンプーは行きつけのサロンをみつけ、ときどきは自宅シャンプーにもチャレンジし、どちらにも慣れさせるのがいいでしょう。
大型犬のシャンプーは時間もかかり大変ですが、皮膚の健康維持のために、月に1~2度を目標にしてください。
爪切りと肛門絞りは、初めは動物病院やサロンにお願いしましょう。そのうち自宅でもできるように、看護師さんやトリマーさんに必要な道具やコツなどを教えてもらうのがいいかもしれません。

かかりやすい病気

遺伝性要因が高い疾患に「股関節形成不全」と「アトピー性皮膚炎」があります。また、ゴールデンレトリバーのように大型で胸の深い体型の犬が発症しやすいものとして「胃拡張胃捻転症候群」が挙げられます。
病因はあきらかになっていませんが、「リンパ腫」の発症が他犬種と比べると多いこともわかっています。たれ耳の犬種がかかりやすい「外耳炎」も、ゴールデンレトリバーの診察理由に多いようです。
日頃のスキンシップとお手入れを通して愛犬の体調をチェックし、少しでもおかしいと感じたらかかりつけ医に相談しましょう。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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