ニューオーナーシンドロームとは

「ニューオーナーシンドローム」を直訳すると、「新しい飼い主症候群」。これはお迎えしたばかりの子犬が環境の変化によりさまざまな不調をきたしてしまうことを指します。犬に多い症状とされていますが、ほかの動物にも見られるものです。

生まれてから育った親元や兄弟たちから離れて、新しい家に迎えられた子犬の目の前に広がるのは、新しい飼い主に新しい環境……最初のうちは少なからずストレスを感じてしまうのも無理はありません。このストレスこそが体調不良の原因なのです。

私たち人間に置き換えてみても、新入学や転職など、新しい環境に慣れるまでのストレスは想像に難くありませんよね。

ニューオーナーシンドロームは、お迎えしてからの数日~1週間ほどの間に起こるとされています。環境に慣れるまでの期間は子犬により個体差がありますので、注意深く見守りましょう。

ニューオーナーシンドロームの症状

子犬に現れる体調不良には、どんなものがあるのでしょうか。代表的な5つを解説します。

下痢

ストレスによる神経性の胃腸炎の症状としてあらわれやすいのが下痢です。犬はちょっとのことでも下痢や軟便をすることが多い動物ですが、月齢の低いうちの下には注意する必要があるでしょう。

下痢が見られたら安静にして様子を見てください。1度や2度でおさまればよいですが、何度も繰り返すようであれば早めに動物病院へ。また下痢のときは脱水の恐れもありますので、水分補給にも気を配りましょう。

嘔吐

下痢と同じく、神経性の胃腸炎として起こるのが嘔吐の症状です。嘔吐も比較的犬に多い症状と言えますが、頻度や吐しゃ物の内容は注意して観察しましょう。
食前などに吐く白い泡状のものや黄色い吐しゃ物は、空腹により胃酸や胆汁が吐き出されたものです。
食事の直後に未消化物を吐き出すのは食べすぎの可能性が大きいですが、それ以外で胃の中身を吐き出すようであれば、ニューオーナーシンドロームを疑いましょう。

嘔吐の場合も下痢と同じく脱水症状に注意する必要があります。ほかに低血糖にも注意しましょう。

元気消失

「活発なはずの子犬の元気がなくなった」、「ブリーダーのもとにいたときでは元気だったのに、家ではぐったりしている」というのもニューオーナーシンドロームの症状です。子犬が新しい環境に慣れるまでは時間がかかると心得て、元気がないときに無理に構いすぎないようにしましょう。

元気の消失は下痢や嘔吐、食欲不振などと併せて見られる場合も多く、なかなか回復しないときは何か別の病気が潜んでいることも考えられます。

食欲不振

フードや水に手を付けてくれないときは、とても心配ですね。成長期である子犬の時期は食欲も旺盛ですが、ニューオーナーシンドロームにより食べ物を受け付けなくなるケースも少なくありません
また急にフードの種類を切り替えると、なかなか食いついてくれないことがあります。お迎えしてすぐのときは、ブリーダーやペットショップで食べていたフードと同じものを用意すると子犬も安心するでしょう。

食欲不振も一時的なものであれば過剰に心配する必要はありませんが、絶食が何日も続くようなときは赤信号です。子犬が栄養失調になってしまう前に、動物病院で獣医の指示を仰ぎましょう。

病気にかかる

子犬が抱えるストレスは、免疫の低下を引き起こすことがあります。その結果、さまざまな病気にかかってしまうケースがあるのです。

上記で説明した症状はもちろん、ほかにも気になるようなことがあれば、それは病気のサインかもしれません。病気を早期発見するためには、注意深く観察するようにしましょう。

ニューオーナーシンドロームの対処法

新しい環境に慣れるまでに起こるニューオーナーシンドローム。ストレスを抱える原因はさまざまですが、できるだけ早く解消させてあげたいものですよね。
ニューオーナーシンドロームの予防または早期治癒のためには、以下のようなポイントを注意しましょう。

遊ばせすぎない

お迎えしたばかりの子犬に必要なのは、十分な栄養と睡眠、そして安静に過ごす時間です。子犬をかわいがるあまり、しょっちゅうケージから出して遊ばせてしまう飼い主さんもいますが、これは子犬に大きな負担をかけてしまいます。

もちろん少しずつ家の環境に慣れさせることも大切ですが、遊び時間は適切にコントロールしてあげましょう。

そっとしておく

子犬をお迎えしたばかりのときは、飼い主側もそわそわしてしまうもの。家族が多い家庭では、代わる代わる犬を抱いたり、触ったりするようなケースもあるのではないでしょうか。

それらは環境に慣れない子犬に対し、さらにストレスをかけてしまう行為です。そばで見守りつつも、構いすぎには注意してくださいね。

寝ているときに起こさない

成長期である子犬の時期は、一日の大半を寝て過ごします。子犬に必要な睡眠時間は平均19時間という説もあるほど。睡眠不足による体調不良の恐れもあるため、寝ている子犬は起こさずにそっとしておきましょう。

症状が重い場合は病院へ

ニューオーナーシンドロームによる諸症状は、軽症で済むことがほとんどですが、重症化して命にかかわるケースもゼロではありません。吐しゃ物や排泄物に血が混じる、明らかにぐったりして元気がない、何日も全く食べない日が続く……といった様子が見られたら、迷わず動物病院を受診しましょう。

ニューオーナーシンドロームの注意点

子犬が新しい環境に慣れて、元気いっぱいになるまではどのようなことに注意する必要があるのでしょうか。大切なのは、飼い主さんから子犬への接し方です。以下のようなポイントを心得ておきましょう。

家に来て1週間が大切

子犬が新しい環境に慣れるまでは、数日から1週間ほどと言われています。この時期は疲れやすく、体調を崩しやすい時期とも言えます。最初の1週間を乗り切るまでは、さきほども説明したような「遊ばせすぎない」、「そっとしておく」、「十分な睡眠時間を取らせる」といったポイントに気を付けましょう。

子犬は疲れても遊び続けてしまう

子犬のなかには、お迎えしたばかりでも元気いっぱい遊び回るような子もいます。しかし、この時期の子犬が疲れやすいのは先ほども述べた通り。自分で遊びの加減をコントロールできない子犬は、疲れて体調を崩すまで遊んでしまう恐れがあります。

遊び時間は飼い主さんが管理し、子犬の様子を見ながら徐々に延ばすようにしましょう。

慣れたころにたっぷりかまってあげる

構いすぎがよくないということは繰り返しお話してきましたが、そこには子犬がストレスを抱えやすく、体力がないために疲れやすいという理由があります。
小さいうちにたくさんかわいがりたい気持ちも分かりますが、子犬の健康を考えてぐっと我慢することが大切です。
環境に慣れて体力もついた頃に、飽きるまでたっぷりと遊んであげましょう。

まとめ

実はあまり知られていない子犬の「ニューオーナーシンドローム」について解説しました。犬の飼育に慣れない飼い主さんにとって、子犬の体調不良はとても心配なもの。ついつい構いすぎてしまいますが、子犬が新しい環境に適応するまでのいわば「安静期間」は、非常に大切なものなのです。
体調不良のサインには気を配りつつ、静かに様子を見守ってあげてくださいね。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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