ライオンのような犬を目指して生まれた超大型犬・レオンベルガー

レオンベルガーは、1846年、愛犬家のハインリッヒ・エスィヒによってドイツのレオンベルク市で作出されました。白黒のニューファンドランドとセントバーナードをかけ合わせ、のちにはグレートピレニーズも導入されたそうです。

エスィヒの目的はライオンのような勇猛な犬をつくることでした。苦心して誕生した犬は望み通り町の紋章のライオンによく似ていたことから、町の名をとってレオンベルガーと名付けられます。
少し違っていたのは、勇猛ではなく愛嬌があって穏やかな性格だったこと。目的とは少し違っていたとはいえ、忠実で賢く力強いレオンベルガーは理想的な牧畜犬としてドイツで大切にされました。

20世紀はじめにはヨーロッパ各地に輸出されますが、「雑種」とみなされ犬種としては評価されませんでした。しかし、威風堂々とした姿が王族や貴族には好まれ寵愛されていたという記録があります。

第一次・第二次世界大戦中や戦後は数が激減し、生き残ったレオンベルガーはわずか8頭。熱心なブリーダーの努力があり、その8頭を基礎に繁殖され、今日の数を取り戻しました。

レオンベルガーは体が大きく運動量は多いですが、あまり激しい運動は必要ありません。1日2回、できれば1～2時間程度のゆっくり歩く散歩に連れて行きましょう。

ニューファンドランドの血を引いて手足には水かきが発達していて、泳ぎが好きな犬種です。許可された場所があれば、思い切り泳がせてあげるといいですね。海外ではそれを活かして水難救助犬として活動するレオンベルガーもいます。

一見すると怖そうな顔をしていますが、性格は心優しく穏やか。飼い主に対してとても従順で、記憶力も学習能力も優秀なため、しつけに苦労することはありません。

滅多に吠えず、見知らぬ人にも愛想がいいので番犬としては不向きです。しかし、いざ家族に危険が迫ったときは、身を挺して守ろうとする頼りがいのある犬種です。

レオンベルガーは超大型犬で、体高はオスで72～80cmで、メスは65～70cm。体重は34～50kgです。
唇が垂れていないので、大型犬ではめずらしく、よだれはあまり多くありません。

平均寿命は約8年。胃捻転をおこしやすいため、消化のよいエサを与え、一度に大量に食べさせないように気を付けることが必要です。食後は運動を避け、ゆっくり休ませるようにしてください。

そのほか、大型犬がかかりやすい股関節形成不全や膝関節形成不全も日ごろから注意したいですね。少しでも変化や異常に気付いた場合は、すみやかに病院を受診するようにしましょう。

超大型犬を診てくれる病院は実は少ないので、事前に探しておくこともお忘れなく。

レオンベルガーはブラックマスクといわれ、顔が黒いのが基本。被毛は少しウェーブがかかっていて、ライオンイエローやレッド、レディッシュブラウンなどのカラーがあります。濃い茶色の目はとても優しげです。

首のまわりにはたてがみのような飾り毛があり、毛量はかなり豊富です。しかも、換毛期にはたくさん毛が抜けるダブルコートなので、毎日のブラッシングが欠かせません。

レオンベルガーはいつでも家族と一緒にいたい犬種なので、体は大きいですが室内飼いがおすすめです。
また、暑さに弱く、食が細くなりがちです。きちんと対処しないと、毎年夏は激ヤセなどという事態に。その点からいっても、温度管理できる室内で飼育するべきでしょう。

日本でのレオンベルガーは、年間登録頭数が50前後（2018年）とかなり希少な犬種。飼いたい場合はブリーダーを探すか、海外から輸入する形になるでしょう。

見かけることはめったにありませんが、優美で堂々とした外見や穏やかな性格は世界中で愛されています。知能も記憶力も高く、救助犬として活躍するレオンベルガーもいるそうです。
日本でも身近な犬になるといいですね。


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