犬が雷を怖がる理由

犬が雷に対して恐怖や不安を覚えるのは、「雷が鳴ると自分の命に危険が迫っている」と判断しているからです。
なぜ犬は雷に身の危険を感じるのか、ということについては諸説ありますが、一般的に下記のようなことが考えられます。

大きな音や強い光に不慣れだから

わたしたち人間も大きな音や、突発的な出来事があったらビックリしてしまいますよね。犬もそれと同様に、普段の生活では聞きなれない大きな音や、雷光による瞬間的な明るさの変化に驚き恐怖や不安を覚えているのです。

雷による環境の変化が、不快感や体調不良をもたらすから

雷が鳴っているときに発生する微細な変化を感じとっている場合です。静電気の発生、気圧の変化、空気中のにおい(オゾン臭)の変化、骨伝導による空気中の振動天候の変化など、なかには人間が気付かないようなことも。
特に高齢犬や持病を抱えた犬には、些細な環境の変化でも体調不良や身体の痛みにつながることがあります。

飼い主が雷を怖がっているから

雷に怯える飼い主の姿を見た犬が、「雷イコール恐ろしいもの」として学習してしまうケースです。信頼している飼い主が怖がっている雷は、犬自身にとっても恐怖の対象になってしまうのです。

過去に体験した雷への恐怖感が積み上がっているから

一度雷に恐怖感を覚えると、また同じような場面に出くわしたとき、より強い恐怖や不安を感じるようになります。
雷への恐怖感が身体に染みつくことで、どんどん雷に対して過敏になっていってしまうのです。

犬の雷恐怖症とは?

雷が鳴っているとき、または雷の前後に見られる恐怖反応は、「犬の雷恐怖症」と呼ばれます。
「犬の雷恐怖症」には、軽度から重度のものまでさまざまな症状が認められています。雷の前後や最中、愛犬に以下のような様子やしぐさが見られるときは要注意です。

<心理的、身体的な変化>
・ブルブルと小刻みに体を震わせる
・舌を出してハァハァと荒い呼吸を繰り返す(パンティング)
・よだれを大量に垂らす
・餌や水に一切手を付けない
・ウロウロと落ち着きがなくなる

いずれも犬が不安や恐怖を感じているときの反応です。表情は固くこわばり、見るからに普段とは違う異常な身体症状が見られるようになります。

<恐怖行動・反応>
・雷の音や光に反応して吠える
・お風呂場などの水場に逃げ込む
・飼い主が呼びかけても恐怖行動が止まない

雷による「生命の危機」から身を守ろうとする行動です。
お風呂場などの水場に逃げ込むのは、体内に溜まった静電気を放出しようとしているためと言われています。
また、飼い主に呼びかけられても反応できない、または行動を止められないほど、強い恐怖心により自身のコントロールが効かなくなっている状態です。

<恐怖行動・反応のエスカレート>
・下痢や嘔吐をする
・パニックに陥り暴れまわる

恐怖感が高まると、強いストレスにより恐怖行動や反応もエスカレートしていきます。
下痢や嘔吐などの症状が出たり、極度のパニックで制御不能状態になったりすることもあるのです。

さらに酷い場合、「雷恐怖症」がショック死を招く悲惨な事例も報告されています。心因性心臓病の危険性が上がる高齢犬や、心臓が弱い犬は特に注意が必要です。

雷でパニックになりやすい犬の特徴

自分の犬は「雷恐怖症」になりやすいのかどうか、気になりますよね。
以下のような特徴を持つ犬は、雷でパニックになりやすい傾向にあると考えられます。

繊細でデリケートな性格

楽天的で物事をあまり気にしないおおざっぱな性格の犬がいる一方で、少しの刺激に過敏に反応してしまうデリケート気質の犬もいます。性格は先天的な要因による部分も大きいため、容易に変えることはできません。

子犬のときストレスの多い環境で育った/社会化不足

子犬期の飼育環境や与えられたストレスが、のちのちの性格や気質に影響をもたらすことも言われています。

また、生後3~13週間は「社会化期」と呼ばれ、子犬にとって非常に大切な時期です。この期間に子犬はさまざまな外部刺激を受け、環境に適応するための学習(=社会化)をします。

逆に社会化期に経験が不足すると、大きな音や光、環境や置かれている状況の変化に適応する力が弱まり、外部刺激に大きく反応しやすくなります。結果、雷のような大きい外部刺激により、パニック症状を引き起こしてしまうのです。

静電気を溜めこみやすい

フサフサと毛量が多い犬は、毛が少ない犬と比べて静電気を溜め込みやすい傾向があります。
静電気による不快感から、雷に対しての苦手意識が強まることが考えられます。

高齢犬

若いときと比べて認知力が落ちている高齢犬は、雷の大きな音や光への恐怖感を覚えやすいです。気圧の変化や空気中の振動など、微細な周辺環境の変化が体調不良を引き起こす可能性もあります。

雷を怖がる犬への対策・予防法

「犬の雷恐怖症」克服のためには、雷が鳴りそうなときや鳴っている最中に、下記のような対策や予防策を試してみましょう。

犬が安心できる場所を確保する

狭い場所にタオルを敷くなど、犬が安心して身を隠せるスペースを設けます。
クレートの場合は、フタを閉めずに使います。犬を完全に閉じ込めてしまうと、逃げ場をなくすことによりかえってパニックが悪化する危険性があります。

普段と同じように犬に振舞う

飼い主がうろたえてしまうと、犬も「リーダーである飼い主の様子がいつもと違う!」と、かえって不安を募らせてしまいます。
犬を心配して過剰に声をかけたり、抱き締めてなだめようとしたりすることは逆効果です。
普段通りの行動を心がけ、うろたえず平静を保ちながら犬に接しましょう。飼い主が普段通りであれば、犬も安心し恐怖感を和らげることができます。

静電気防止用グッズを活用する

ドッググッズとして静電気の発生を抑える特殊繊維で作られた服やマットも販売されています。特に静電気を溜め込みやすい犬に有効です。

日頃から雷を録音したテープなどを聞かせる

雷の音に慣れさせるトレーニングの一種です。
最初から大きな音を聞かせることは、犬に恐怖心を植え付ける場合があります。犬が恐怖を感じない小さな音量から始めるなど、段階的にトレーニングを進めましょう。

薬、サプリメントを服用させる

雷が鳴ると予想される20分~60分前に、犬がリラックスする成分(人間でいうとお酒を飲んだときのような気分になる)が入った薬を与える方法もあります。

対処法は犬の性格や症状によって異なるため、上で紹介したような内容が全ての犬に必ず効果があるとは限りません。
犬が恐怖により普段と異なる挙動を見せたとき、どうすれば落ち着かせることができるのか。いざというときベストな選択をできるよう、常日頃から愛犬を注意深く観察し、性格や行動のクセを把握しておくことが大事です。

まとめ

今回は、犬が雷を怖がる理由と対策について説明しました。

もし雷によって愛犬がパニックを起こしてしまったとき、それを助けられるのは飼い主の冷静な判断と行動です。
記事で紹介したように飼い主自身が落ち着いて冷静に対処し、愛犬の恐怖感を取り除いてあげましょう。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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