犬の発情期はいつから? 期間は?

犬が性成熟を迎えるのは、オスで生後5カ月、メスで生後4~12カ月といわれ、個体差があります。
メス犬の場合は、性成熟を迎えると、初めての発情出血が認められるようになります。
しかし、これにも個体差があり、生後5カ月で始まる子もいれば、2歳まで見られない子もいます(小型犬のほうが比較的早く初回発情出血があるといわれています)。

発情出血は平均で7~10日続きますが、これも個体差によるので、3日で終わる子もいれば最長で18日続く子もいます。
ただし、実は発情期自体は出血が終わったあとも続いているのです。
少し難しい話になりますが、出血が認められるのを「発情前期」といって、それが終わったあとに本来の「発情期」(オスを迎え入れる時期)がきます。
出血が始まって発情期が完全に終わるまでは、トータルで1カ月程度かかるのです。

初めての発情出血を迎えたあとは、平均して年に2回、6カ月おきに定期的に発情期を迎えるといわれています。
ただし、小型犬ではもう少し頻繁にくる場合もありますし、大型犬では年に1回しかこない場合もあります。

発情には季節性があり、一般的に春と秋に迎えるといわれていますが、冷暖房完備の現代の生活では季節感がなくなったため、1年を通じて見られるようになってきています。
オス犬に周期性や季節性はなく、近くに発情しているメスがいると、そのフェロモンをかぎつけ、発情行動を起こします。

発情期に犬がみせる行動・症状

まずメス犬が発情期にみせる兆候についてです。
オーナーさんにとって一番わかりやすいのは、陰部からの出血です。赤、ピンク、透明の液体が陰部から出てきます。床に垂れるほど量の多い子から、陰部に少しつくだけの量の少ない子までさまざまです。
ただ、初めての出血は量も少なく、オーナーさんの気が付かないうちに終わっている場合も多いです。
ここで要注意! 黄色っぽい液体が陰部から出てくるときは子宮内が感染を起こしている可能性もあります。そのような症状があらわれたときは、獣医師に診てもらってください。

分泌物が出てくることで、普段より陰部を気にしたり、舐めたりする犬もいます。腰のあたりを気にする子もいるようです。
それから、発情の始まる数日前から陰部がはれぼったく赤みを帯びます。
子犬をとりたい!と思っているオーナーさんにとっては重要な兆候ですが、そうでない方はあまり気付くことがないかもしれません。
同時に乳腺も腫れてくる子がいます。これに関しては、発情が終わると同時に腫れが落ち着けばいいですが、ずっと続くようなら動物病院を受診してください。

行動にも変化が見られます。
食欲が増えたり、逆に低下したり、元気がなくなったり、逆に落ち着きがなくなる、普段よりおしっこの回数が増える、体温がいつもより高めになる子もいます。
その子によって変化はさまざまです。一緒に暮らしていくなかで、オーナーさんが自分の愛犬どういったタイプなのか把握してあげることが重要です。

オスを受け入れる準備ができている場合、オスが近寄ってくると、おしりを突き出す感じで腰をそらせ、後ろ足をつっぱり、しっぽを片方に寄せる、という特徴的な姿勢をとるメスもいます。

オス犬は発情期のメスのフェロモンをかぎつけ、発情します。
落ち着きがなくなる、攻撃性が増える、メスに近寄りたがる、オーナーのいうことをきかなくなる、マウンティングが増える、マーキングが増えるなど、個体によって兆候はさまざまです。

犬の発情期に飼い主が気を付けるべきこと

自分の愛犬に子犬を産ませたいと思っているオーナーさんは、発情期が来る前からしっかり陰部のチェックをして、発情期を見極めることが大切です。
先ほど述べた通り、発情出血のあとに本当の発情期(妊娠できるタイミング)が来ます。
そのタイミングも2~3日ととても短いため、それまでに前もって交配相手を決める、動物病院で膣スメアの検査をするなどの準備が必要です。

出産を望まないオーナーさんは愛犬の妊娠を防ぐために、さまざまな工夫をしなければなりません。
最も有効なのはオスでは去勢手術、メスでは避妊手術ですが、健康な体にメスを入れるのはかわいそう……と手術を望まれない方もいます。
その場合は、オムツをつける、オスとメスを近づけない、発情中はお散歩をお休みにして外出しないなどを徹底しましょう。オムツをつけることは分泌物が床を汚してしまうことを防ぐこともできますね。

また、図らずして妊娠してしまった場合は、大切な命です、できれば家族に迎え入れる、里親を探すなどの努力をして、犬の幸せを考えてあげてほしいです。
しかし、どうしても解決策が見つからず、不幸な犬を増やしてしまうことになるなら、堕胎も選択肢の一つです。
妊娠週数や病院のポリシーなどにより受け付けていないところもあると思うので、病院に相談してください。
どちらにせよ、妊娠してしまった犬にはとても負担のかかる方法です。妊娠を望まれない場合はオーナーさんがしっかり予防をしましょう。

繰り返しますが、発情出血のあとに発情期が来ます。
出血が終わったからと安心せずに、出血開始から1カ月は妊娠する可能性があることをしっかり覚えておいてくださいね。

去勢・避妊手術を受けるという選択肢

妊娠を望まれないオーナーさん、多頭飼いでオスとメスを離すことが難しいオーナーさんは早期に去勢・避妊手術をすることを考えてみてください。
早期に手術を受けることには以下のようなたくさんのメリットがあります。

・妊娠を防げる
・乳腺腫瘍の発生率が低くなる(2回目の発情までに手術をすると発生率が低いことが証明されています)
・メスでは子宮蓄膿症(子宮蓄膿症は、老齢の避妊手術をしていないメス犬に多い疾患で、子宮内に膿がたまり、重篤な症状を引き起こします)、子宮や頚、卵巣などの腫瘍が防げる。
・オスでは精巣腫瘍、前立腺肥大の発生を防げる。
・発情によって引き起こされる体調不良や精神的ストレスを軽減させることができる。
・性ホルモンが関与する攻撃性を軽減できる場合がある(必ずしも性格や攻撃性を落ち着かせることができるわけではありません;)
・マーキング行動が減る

もちろん、手術になりますので、以下のデメリットもあります。

・麻酔をかけるので100%安全とは言えない。
・手術による貧血、感染のリスクがある。
・太りやすくなる(避妊手術をするとホルモンの影響で食欲が増える、基礎代謝が下がるなどの報告があります)。
・骨肉腫、血管肉腫、甲状腺機能低下症の発生リスクが上がる(アメリカの論文で報告されています)。

このようなメリット・デメリットを踏まえたうえで、愛犬に去勢・避妊手術を受けるべきかどうかを検討しましょう。

まとめ

愛犬との生活で、多かれ少なかれ、発情に関する心配事は出てくるものだと思います。発情期について正しく理解し、しっかり納得したうえで、その子その子に合ったライフスタイルをオーナーさんが選んであげていってくださいね。
 執筆者プロフィール
獣医師免許取得後、3人の出産・育児をはさみながら、8年間都内の動物病院で勤務。家族の転勤に伴い、各地を転々としています。
現在はアメリカ在住。動物保護シェルターのサージェリー部門にて勉強中です。ママ獣医・転勤族獣医としての在り方を模索中です。
小さいころからウサギが好きで、獣医師になることを決めました。
ペットとの笑顔あふれる生活のために、少しでもオーナーさんの不安が少なくなるよう、病気のとき以外にも何でも相談できる身近な獣医師を目指しています。

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