犬の床ずれの原因は?

「床ずれ」とは、体の同じ場所が長時間圧迫されることで血行不良が起き、皮膚の組織が死んでしまった状態です。「褥瘡(じょくそう)」ともいいます。
犬自身の体重による圧力以外に、寝具やオムツなど摩擦も床ずれの原因の1つです。
床ずれは、圧力や摩擦がかかる部位にできやすいため、自力で寝返りや移動ができない寝たきりの犬は特に注意が必要です。
床ずれが起こりやすい部分は、頬骨、肩甲骨、肘、手首、膝、足首、大腿骨、腰骨など。骨が出っ張っている部分は圧力がかかりやすく、寝具などが強く当たる部分でもあるので、気を付けてあげたいものです。

シニア犬の場合は、乾燥が原因となることもあります。
毛が薄くなる、皮膚が赤くなるなどは、床ずれの初期症状である可能性が高いです。日々のお手入れの際に皮膚を観察するようにしてください。
もし床ずれの症状をみつけた場合、できれば周囲の毛を刈って、状態をしっかり確認しましょう。

犬の床ずれを予防するには?

「圧力×時間=床ずれのできやすさ」ですので、圧力の強さや圧力がかかる時間を最小限にすることで予防が可能です。
そして、同じ場所に長時間圧力をかけないようにするには、「体位を変える=寝返りをうたせる」が最適な方法となります。

寝返りのうたせかた

今まで上だった側を下にします。頻度は2~3時間に1回程度でよいでしょう。
ただし、犬の体重や皮膚の状態、使用しているマットの素材などで変わりますので、愛犬の状態によって寝返りの時間を調節してください。

①犬の背中側にまわり、片手を犬の肩下に差し入れ、抱き上げるようにゆっくりと上体を起こす。
②もう片方の手は犬の両後ろ足を持ち、少しずつおなかを下に向け、伏せのポーズにする。
③体を支えながら先にお尻から下ろし、ゆっくりと反対向きに寝かせる。

上体を起こすだけでも滞っていた血行が回復しやすくなるので、反対側を向くのを嫌がった場合には無理をせず、できる範囲で体を起こしてあげるだけで十分です。
背中を軸に仰向けにしながら向きを変えるのは、内臓への負担が大きいので控えましょう。

保湿をする

シニア犬の皮膚は薄く、弾力性も少なくなっているため、乾燥が直接的に影響します。
骨の出っ張り部分やカサカサした部分には白色ワセリンや保湿クリームを塗り、乾燥させないよう心がけましょう。お手入れや寝返りのタイミングを利用し、1日に何度か塗りなおすことでいっそうの効果が得られます。

おすすめの犬の床ずれ予防グッズ

寝返りは2~3時間ごとにうたせるのが基本ですが、一日中付き添うのが難しい場合は、床ずれになりにくい寝床づくりが重要です。
床ずれ予防に適切な寝具やクッションを利用することで、人の手で対応できない時間をカバーできますし、飼い主さんの負担も減らせます。

高反発マットレスと低反発マットレス

立ち上がれる時期には、踏ん張りの補助になる沈まない高反発マットレスが効果的です。寝たきりの時期は、犬の体にあわせて沈む低反発マットレスが寝床として適しています。
体圧分散にすぐれた高反発マットレスを下に敷き、上に低反発マットレスを重ねたものが、床ずれをつくらせない理想的なベッドといえるでしょう。

シーツ・毛布

皮膚に直接触れる一番上のシーツや毛布は、やわらかく肌触り滑らかな素材のものを選びましょう。
マットレスの上に防水シートなどを敷く場合は、さらにその上に冬用毛布のようなふかふかで肌触りがやわらかな素材のものを敷きます。
ループ状のタオル素材は犬の爪が引っかかりケガをしやすく、夏用素材は摩擦力が強くなるため、どちらも使用する際は皮膚が直接触れないように気を付けましょう。

サポーター

圧力がかかりやすく、摩擦も生じやすい足の関節部分などを保護するものです。
伸縮性のある包帯タイプはどの部位でも使いやさが魅力です。サイズ調整ができるマジックテープタイプは繰り返し使用できるため、便利で経済的です。

枕・クッション

頬骨の床ずれ対策に顎枕やドーナツ枕。首の反り返り防止にクロワッサン型枕。足同士の圧力・摩擦防止に抱き枕。体の隙間づくりにスティック型クッション。背骨があたらないよう壁側に並べるクッション……などなど。寝たきり時期にはさまざまな形とサイズのクッションが大活躍します。
もし愛犬に苦手な体位があり、苦手な側に寝返りをうたせるときに嫌がったりバタバタと動いたりするなら、上体を起こした姿勢をキープする大きめクッションがあると便利です。
体位変換用の専用クッション、ドーナツ型やクロワッサン型の人用授乳クッションもおすすめです。

即席!スティック型抱き枕を作ってみよう

足の間に挟み、圧迫や摩擦を防ぐスティック型クッションは、寝たきり時期に大変重宝します。自宅にあるもので簡単に作れますので、ぜひ試してみてください。

まず、食器などを包む気泡緩衝材を用意し、クルクル巻いて芯にします。それをタオルで包みます。緩衝材がなければタオルだけでも構いません。のり巻きのように巻きましょう。
適切な太さまで巻いたらテープかゴムで止め、使わなくなった靴下やレギンスの中に詰めます。靴下やレギンスより太さがある場合は、トイレシートで包めばOK。
愛犬の体に合った大きさで手軽に作れて、汚れたらすぐに交換できる、立派な抱き枕の出来上がりです。

犬が床ずれになったときの対処法は?

毛が薄くなっていたり、皮膚が赤くなっていたりと、床ずれの初期症状らしきものをみつけたら、なるべく早くかかりつけ医に診てもらいましょう。
犬の床ずれは、早期発見・早期治療が重要です。気が付かないうちに広がることもあり、重症化すると壊死した組織を取り除く手術をしなければならない場合も。
しかし、初期の段階で適切なケアを行うことができれば、完治は可能です。

病院では患部の消毒、抗生剤の注射だけでなく、細菌感染の有無も調べます。
受診後は抗生剤や軟膏が処方されますので、あわせて自宅での処置方法を習いましょう。自宅でのケアは病院で処方された薬を用い、獣医師の指示のもと行ってください。
早く治すためには患部を清潔に保つことと乾燥させないこと、この2点がカギとなります。
また、傷口に壊死した組織がある場合とそうでない場合とでは消毒の方法が違いますので、必ず獣医師の指示をあおぎ、わからないことがあればしっかりと確認しましょう。

まとめ

愛犬が寝たきりになったら、床ずれを作らせないことが大きな課題となるでしょう。
床ずれ予防と早期発見、早期治療のためには、愛犬とのコミュニケーション、日々のお手入れがもっとも大切です。
体位変換はお手入れのタイミングを利用し、ぜひ愛犬に優しく話しかけ、楽しみながら行いたいもの。犬は寝たきりでも、飼い主さんの笑顔と、スキンシップ、体をきれいにしてもらうことが大好きです。
また、愛犬の介護をする飼い主さんの負担を軽減し、愛犬との時間を楽しめるよう、便利グッズを大いに利用しましょう。
 執筆者プロフィール
No dog No life

特に牧羊犬が大好きです。
一番の関心事は「シニアわんことの暮らし」。
「人と動物の共生」「ワンヘルス」にも関心があり勉強中です。

動物愛護フェスティバル実行委員。
某県の災害時動物救護ボランティアチームに所属。
某県の動物愛護センターの登録ボランティア(おうちに帰れなかった犬たちの保護と譲渡のお手伝い)もしています。

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