犬のシニア期は何歳から?

犬のシニア期についての明確な定義はありませんが、

・超小型犬(5kg未満・体高35cm以下)9~13歳
・小型犬(5~10kg未満・体高50cm以下)9~13歳
・中型犬(10~20kg未満・体高40~60cm)9~11歳
・大型犬(20~40kg未満・体高50~60cm)7~10歳
・超大型犬(40kg以上・体高55~90cm以上)6~9歳

とされることが多いようです。

犬の年齢を人の年齢に換算する際には、下記の計算方法がよく用いられます。

・超小型~中型犬  24+(犬の年齢-2)×4
・大型~超大型犬  12+(犬の年齢-1)×7

この方法で換算すると

・超小型~中型犬は、7歳で人間年齢おおよそ44歳、10歳で人間年齢おおよそ56歳
・大型~超大型犬は、7歳で人間年齢おおよそ54歳、10歳で人間年齢おおよそ75歳

となります。

平均寿命については

・超小型犬 14~15歳 
・小型犬 13~14歳
・中型犬 13~14歳
・大型犬 12~13歳
・超大型犬 10歳 (グレートデーン6~8歳)

このように、体高が高く体重が重い犬ほど寿命が短い、という統計が出ています。

犬の老化のサインは?

シニア期に入ってからの小さな変化は、老化のサインかもしれません。愛犬の様子をしっかり観察しましょう。

ごはんを食べない、食事量が減る

シニア期の「ごはんを食べない」は、「体調がすぐれないから」という場合も多いです。
さまざまな工夫をしてもまったく食べないときは、早めにかかりつけ医に相談しましょう。血液検査や画像検査などで、食欲不振の原因がわかることもあります。
一回の食事量が徐々に減ってきた場合は、老化に伴う食欲の低下が原因といえるでしょう。食事量は変わらず、体重の減少がみられる場合は、十分に消化吸収できていないことが考えられます。 

歩くのを嫌がる

お散歩で立ち止まりがちになるのは、シニア期に多くみられる老化のサインのひとつです。
老化による筋力の衰え、関節の痛みなどが原因で、後ろ足に力が入りにくくなり、歩くペースが遅くなったり嫌がったりします。

睡眠時間が増える

犬の平均睡眠時間はおおよそ12時間ですが、シニアになるとさらに長くなる傾向にあります。
体力が落ち疲れやすくなっているうえに、物事への関心が薄れ、体を動かすことが少なくなるので、その時間を睡眠にあてているといえるでしょう。

体の変化

もし愛犬の口臭がきつくなったと感じたら、歯周病を疑いましょう。若い犬と比べると、老犬は免疫力が落ちているので、歯周病や歯槽膿漏になるのが早いのです。
ほかにも、新陳代謝や体内水分量の低下、血行不良など、見た目では気付きにくい変化から、目のくぼみや目やに、被毛のパサつき、皮膚トラブルなど見てわかるものまで、老化現象が原因と考えられるさまざまな変化が見られます。

老犬との生活で気を付けるべきこと

シニアフードについて

老犬は成犬より運動量が少なくなることから、ひと昔前までのシニア用フードは「成犬用より低カロリー」なものが主流でした。
昨今は愛犬の状態や症状にあわせて選べるよう、栄養強化タイプや消化によいタイプなどさまざまな種類が出ています。
例えば一回の食事量が減ってしまった犬には「高タンパク、高栄養」タイプ。運動量が減ってしまった犬用に「高タンパク、低カロリー」タイプ。消化機能を助ける「良質な動物性タンパク、食物繊維入り」タイプや、関節が弱った犬に特化した「サプリ入り」タイプなどです。
迷うことの多いフード選びですが、愛犬の運動量や食欲、体調をよく観察し、シニア犬用に切り替える時期や、どのようなタイプのものにするかを考えて決めましょう。

ごはんを食べないときの対処法

食欲があれば、症状別に食べ物を選ぶことができますが、食欲が落ちた場合は、とにかくどんなものでも食べてくれるものを優先して与えましょう。
シニア犬は食べない日が続くと、あっという間に衰弱してしまいます。
口から食べることは生きることの第一条件。喜んで食べるものを与え、食べられる日には気が済むまで食べてもらってもいいでしょう。
食欲がないとあきらめず、無理強いもせず、食べられない原因を考えてみることが大切です。おいしく食べることは、QOL(生活の質)の向上につながります。

おいしく食べてもらうための工夫

ごはんにひと工夫を加える
老犬に少しでもごはんをおいしく食べてもらうには、フードをにおいの強いものに替えてみたり、嗜好性の高いトッピングを添えたりしてみましょう。食べやすくするために、ふやかす、温める、ウエットタイプに切りかえるというのもひとつの手段です。
また、これを機に手作り食にチャレンジしてみれば、愛犬との絆もよりいっそう深まるかもしれません。

ラクな姿勢で食べられるようにする
お皿を替える、高さを変える、滑り止めを準備するなど、老犬に負担かからず、食べやすい環境に整えましょう。

お散歩や日光浴の時間
生活の不規則や運動不足も考えられます。
お散歩や日光浴の時間を増やしましょう。気分転換にもなるため、刺激となりごはんを食べてくれるようになるかもしれません。

生活環境の工夫

老化現象が見え始めると、筋力の衰えから、トイレに間に合わなくなったり、転倒してしまったり、だんだんと立ち上がることが難しくなっていきます。
また、視力の低下や認知症などで角にぶつかる、家具の隙間に入ってしまうなどのトラブルが出てきます。
愛犬を不意のケガから守るため、老犬にやさしい部屋づくりをしましょう。

ケガ・事故防止のために
足腰の衰えから、踏ん張りがきかなくなってくる愛犬のために、滑りにくいマットを敷いてサポートしましょう。
また、ぶつかってもケガをしないよう、家具や柱の角を毛布やクッションでカバーするのがおすすめです。
認知症のために、まさかの隙間に入り込み出られなくなることもあります。家具と家具の隙間、ソファーの下なども毛布やクッションでふさぎましょう。

粗相対策
トイレの失敗が増えてきたら、トイレシーツを多めに広げトイレを大きくしたり、トイレの場所を増やしたりするなどしてフォローをしましょう。
老化は努力しても進行していくものです。失敗しても怒らず、頑張らせず、「オシッコが出てよかったね」と明るく声をかけてサポートしてあげてください。

老犬がかかりやすい病気

ガン(悪性腫瘍)

老犬になるとかかりやすい病気の第一位といわれています。
発生した部位によって症状はさまざまですが、どのようなガンでも、全身への影響が出始めると、食欲がなくなり体重が減っていきます。

突発性前庭疾患

バランス感覚がなくなる病気で、老犬は突然症状がでる突発性の場合が多いようです。
首が片側に傾いたり(斜頸)、眼球が揺れていたり(眼振)、一方向にグルグル回ったり(旋回運動)します。

てんかん発作

一時的なものと繰り返し起こるものとがあります。硬直状態になる発作や、ピクピクとけいれんを起こす発作もあります。
また、数十秒で元に戻る軽度のものから、口から泡を吹いて失神するという重度なものまで、症状の度合いもさまざまです。

慢性腎不全

数カ月~数年かけて腎臓が破壊され、腎機能が失われてしまう病気です。
初期症状として多飲多尿が現れます。その後、食欲不振、嘔吐、脱水などがみられます。

前庭疾患やてんかん発作など予防が難しく突然おこる病気もありますが、いずれの場合も愛犬の健康状態を把握しておくことはとても重要です。
進行してようやく目に見える症状があらわれる疾患もありますので、日々しっかりと観察し、愛犬がシニア期に入ったと感じたら、年に2回は定期検診を受けるようにしましょう。

まとめ

高齢になり老化現象がはじまると、ついこの間までできていたことができなくなるため、犬自身も戸惑ってしまうことが多いようです。
老化現象は長生きの証です。ぜひ愛犬の愛おしい老化を受け入れ、飼い主さんは無理をせず、犬には無理をさせず、笑顔で接してあげてください。
 執筆者プロフィール
No dog No life

特に牧羊犬が大好きです。
一番の関心事は「シニアわんことの暮らし」。
「人と動物の共生」「ワンヘルス」にも関心があり勉強中です。

動物愛護フェスティバル実行委員。
某県の災害時動物救護ボランティアチームに所属。
某県の動物愛護センターの登録ボランティア(おうちに帰れなかった犬たちの保護と譲渡のお手伝い)もしています。

犬のブリーダーについて

魅力たっぷりの犬をあなたも迎えてみませんか? 

おすすめは、ブリーダーとお客様を直接つなぐマッチングサイトです。国内最大のブリーダーズサイト「みんなのブリーダー」なら、優良ブリーダーから健康的な子犬を迎えることができます。

いつでもどこでも自分のペースで探せるのがインターネットの魅力。「みんなのブリーダー」では写真や動画、地域などさまざまな条件で理想の犬を探せるほか、多数の成約者の口コミが揃っています。気になる方はぜひ参考にしてみてくださいね。

※みんなのブリーダーに移動します