パグの基礎知識

起源、歴史

パグは、古くからアジアやヨーロッパの皇族や貴族の寵愛を受けた、愛玩犬(コンパニオンドッグ)です。
現在日本で飼われているパグの起源は、紀元前2000年前まで遡ります。パグの祖先は大型犬で、東洋(アジア)で飼育されていました。
長い歴史のなかで、同じく東洋を起源とする犬種との交配により小型化したパグは、紀元前600年頃には中国の皇室で飼われるようになります。
長らく中国で愛されてきたパグでしたが、1500年代には貿易を通じてオランダ王室や貴族の間に広まっていきます。その後ヨーロッパに伝わり、イギリス、フランスなどでも飼育されるようになりました。
日本に広まったのは、1900年代に入ってからのこと。現在ではジャパンケネルクラブ(JKC)に登録される犬種別の飼育頭数のランキングで20位以内に入るほど、人気の犬種です。

体高、体重、平均寿命

パグは小柄ですがかなりの気肉質で、抱き上げると案外がっしりとしています。
ジャパンケネルクラブ(JKC)が定めるパグの理想体重は、6.3~8.1kgです。体高は成犬時で25~28㎝ほどになります。
似ている犬種としてフレンチブルドッグが挙げられますが、こちらは体高が28~33cm、体重が8~14kgと、パグよりも一回り大きいサイズです。

平均寿命

12~15年の間です。小型犬としては、短くも長くもないと言えるでしょう。
寿命を決定するのは、個体差や飼育環境、病気の有無なども関わってきます。

性格

パグは愛嬌抜群で安定感のある性格で、家族のよきパートナーになってくれる犬です。穏やかで飼いやすい反面、無駄吠えが少ないため、番犬としては向きません。

①利口
人懐っこい性格のパグは、飼い主の言葉や仕草から、気持ちを読み取ることができます。
また比較的しつけがしやすい犬なので、根気よくしつけをすれば、しっかり覚えてくれます。

②素直
飼い主が大好きで、言われたことを素直に聞きます。
しつけをするときは、「褒めて伸ばす(飼い主が喜んで見せる)」方法が有効です。素直な性格のパグは、飼い主にもっと喜んで欲しいという気持ちから、前向きにしつけに取り組んでくれます。

③遊び好き
パグは小柄な体に似合わず、筋肉質な体つきをしています。散歩や室内でのボール遊びが大好きで、誘われると喜んで遊びに乗ってきてくれます。

④頑固
お利口で人の言うことをよく聞く反面、一度「こう」と決めたらテコでも動かない、頑固な一面も持ち合わせています。
一度覚えたことを変えようとしない性格のため、一貫したしつけを行う必要があります。

毛色のバリエーション

ジャパンケンネルクラブ(JKC)で認められているパグの毛色は、「シルバー」、「フォーン」、「アプリコット」、「ブラック」の4色です。各色の違いははっきりして、顔回り(マスク)や耳、前頭部、背中などの模様の出方にも、パグならではの特徴が見られます。

〇シルバー
グレーや黒のように見える繊細な寒色カラーがベースです。前頭部や背中には、黒色の模様が出るのがよいとされています。日本ではあまりお目にかかれない珍しいカラーです。

〇フォーン
日本で頻繁に見かけるカラーのひとつで、全身が薄茶色(褐色)の被毛に覆われています。耳やアイライン、顔回りが黒くなり、薄茶の被毛とのコントラストがはっきりしたカラーです。

〇アプリコット
黄みがかったベージュがベースで、温かみのあるアプリコット。フォーン(薄茶色)と比べると、色味がはっきりしています。シルバーと同様、日本で交配されている数は少ないようです。

〇ブラック
全身が艶やかな黒い被毛に覆われたカラーです。フォーンやシルバー、アプリコットと比べて新しいカラーであることから、やや安定性に欠け、交配で色味を出すことが難しいとされています。

パグの子犬を迎えよう

パグを飼う人の大半は、生後2~3カ月から半年にかけての子犬を迎え入れるケースが多いのではないのでしょうか。
長く一緒に暮らすためにも、できる限り健康で優良な子犬を選びたいですよね。
パグの子犬を迎え入れるときにチェックしておきたいポイントを紹介します。

価格相場

子犬の生体価格の相場は、約28万円です。
ペットとして人気の他犬種と比べるとやや高めな印象ですが、これにはパグのブリーディングの難易度が影響しています。
パグは母犬の胎内にいる頃から、体の大きさに比べて頭部が大きく、難産になる傾向が高いのです。自然分娩が危険であると判断される場合には、帝王切開での出産となります。
このようなリスクがあることから、生体価格の相場はやや高めになっています。

子犬を迎え入れる際には、さらにプラスの費用を考えなくてはなりません。
ワクチン接種費、血統登録費、エサや飼育グッズなど、念のため多めに予算を見積もっておくのがよいでしょう。

子犬を迎える方法

パグの子犬を迎えるときには、「ペットショップ」や「ブリーダー」、「里親制度」をチェックしましょう。それぞれの方法にメリット・デメリットがありますので、よく考えて自分に合った方法を選んでださい。

①ペットショップ
比較的足を運びやすく、手軽に子犬を見学できるのがペットショップです。
家庭犬として人気のパグは、取り扱っているショップも多いようです。パグのほかにもさまざまな人気犬種、希少犬種が揃っているため、色々と比べながら自分に合う子犬を探すことができます。

<メリット>
・予約なしで気軽に子犬を見学できる
・複数の犬種を比べることができる
・一緒にグッズを購入することができる

<デメリット>
・健康状態が悪かったり、精神的に不安定だったりする子犬がいる場合がある
・子犬の飼育管理が行き届いていない場合がある
・店員が必ずしもパグの正しい知識や経験を持っているわけではない

近年ではネットショップ形式のペットショップも出現していますが、実際の店舗に足を運ばないまま犬を購入することはおすすめできません。

②ブリーダー
特に初心者飼い主さんにおすすめなのが、パグを専門とするブリーダーから子犬を迎え入れる方法です。
知識の少ない飼い主にとって、短い時間で健康な子犬を選ぶのはなかなか難しいところです。その点に犬種の交配に熱心に取り組むブリーダーでからであれば、健康でよりスタンダードに近い子犬を紹介してもらえる可能性が高まります。
まずは家の近くにパグを専門とするブリーダーがいないか、探してみるとよいでしょう。

<メリット>
・健康な子犬が手に入りやすい
・知識豊富なブリーダーから、飼育のアドバイスがもらえる
・子犬の繁殖環境や飼育状況が見学できる
・きょうだい犬や親犬も見せてもらえることがある
・親元できょうだい犬とともに育てられた子犬は、精神面が安定しているとされる

<デメリット>
・人気のブリーダーの場合は、予約待ちになることがある
・気になったブリーダーが遠方の場合は、直接見に行くことが困難なことも
・なかには悪徳ブリーダーも存在する

③里親制度
各市町村にある保健所や、動物愛護センターに保護された犬を引き取る方法が「里親制度」です。
譲渡できる犬の情報は、定期的に開催される譲渡会や、ホームページ上で知ることができます。

<メリット>
・生体価格はほぼかからない場合が多い
・不幸な犬を救うことができる
・近隣の保健所や愛護センターから引き取るのであれば、遠方に足を運ぶ必要がない

<デメリット>
・必ずしもパグの子犬に出会えるわけではない
・健康状態や精神状態がよくないことがある
・里親になるための条件を満たさない場合は、犬を譲ってもらえない

健康な子犬を見分けるポイント

パグの健康な子犬を選ぶためには、どのようなポイントに注意する必要があるのでしょうか。
子犬はケージ越しに見るだけでなく、必ず抱っこして異常がないか確認しましょう。

<子犬をチェックするポイント>
 〇目…目に傷はないか、大量の目ヤニが出ていないか
 〇鼻…鼻水が出ていないか
 〇口、歯…上下の歯がかみ合っているか、嫌な口臭がしないか
 〇耳…茶褐色の耳垢が付いたり、耳から臭ったりしないか
 〇被毛…毛ツヤはよいか、体から異臭はしないか、毛色はスタンダードの範疇か
 〇四肢…元気に動き回っているか、ぐったりした様子はないか
 〇皮膚…ただれや炎症がないか
 〇肛門…肛門の回りが排泄物で汚れたりしていないか
 〇体格…痩せすぎていたり、太りすぎていたりしないか
 〇おへそ…臍ヘルニアなどの症状はないか

飼い始める前に必要な準備

パグの子犬を飼い始める前には、いくつか必要な準備があります。大きくは、「子犬が暮らす環境を作ること」、そして「子犬の飼育に必要なグッズを揃えておくこと」の2点です。

①子犬が暮らす環境を作る
パグの子犬にとって、これから暮らす新しい家は未知の環境です。生後幼い頃にこれまで過ごしていたブリーダーの犬舎やペットショップのケージなどと違う環境に移されるということは、子犬にとって多少なりともストレスがかかること。早く子犬に安心してもらえるよう、環境作りに気を配りましょう。
パグは暑さ・寒さが苦手な犬種なので、特に子犬の頃は室温管理が重要になってきます。
さらに、子犬が日中や夜寝るときに過ごすスペース確保の必要があります。家の中でも、飼い主の目が届き、かつ静かに過ごせる場所(物音や振動が少ない場所)を選びましょう。


②子犬の飼育に必要なグッズを揃えておく
子犬の飼育グッズは、犬を迎え入れる前に揃えておくと安心です。

<最初に揃えるグッズ>
・パグの子犬に合うペットサークルやケージ
・パグの子犬に合うクレートやキャリーバッグ
・布団、ベッド
・子犬用のドッグフード
・餌台
・水入れ
・トイレ用品(トイレトレー、ペットシーツ)

そのほかにも、子犬と遊ぶためのおもちゃや首輪、犬の服など、必要なグッズはさまざまです。
子犬の様子を見ながら、徐々に買い足していくのがよいでしょう。

パグの飼い方

ペットとして飼いやすいとされているパグですが、健康で長生きさせるためには、食事や運動、日々のお手入れ、かかりやすい病気など、飼育するうえで注意したいポイントがあります。
ここでは、パグの詳しい飼い方について解説します。特に初めてパグを飼う人は、要チェックです!

食事のポイント

「食いしん坊」の個体が多いパグ。肥満犬にしないためには、毎日の食事のコントロールが必要です。
パグの欲しがるままフードを与えるのは絶対にNG。必要な栄養素がしっかり摂れる量を、正確に量って与えましょう。
市販品のなかには、「パグ専用」として設計されているフードもあります。成長のステージに合わせて、適切なフードを選びましょう。

<パグのフードを選ぶポイント>
①必要な栄養素がしっかり含まれているもの
②カロリーコントロールが考えられているもの
③小粒で食べやすいもの
④余計な添加物やアレルギー物質が含まれていないもの
⑤皮膚や被毛を健康に保つ栄養素が含まれているもの

必要な運動量、散歩の頻度・回数

食事の項目でも説明した通り、パグは比較的太りやすい犬です。肥満やストレスを防止する意味でも、それなりの運動量が必要となります。
食事に注意するとともに、1日2回の散歩を習慣づけましょう。散歩1回当たりの時間は20~30分が目安です。
一方で、パグには「夏の暑さ・冬の寒さともに苦手」という特徴があります。真夏や真冬の時期には散歩の時間を調整し、その分室内でたくさん遊んであげるといいでしょう。

しつけのコツ

パグはとても利口で、飼い主の言うことをよく聞く犬です。大好きな飼い主を喜ばせようと、素直にしつけに取り組もうとする一面もあります。ただし、あまり物覚えがよくない傾向にありますので、子犬の頃から根気よくしつけを行うことが大切です。
一方、パグには一度覚えたことを変えようとしない頑固な面もあります。
指示語を変えたり、しつけの方針を変えたりすると、パグを混乱させてしまいます。家族の間で犬との接し方やしつけの方針を決めて、正しくしつけを行いましょう。

お手入れ方法

長毛種の犬と比べると、短毛種のパグはお手入れが簡単です。
トリミングサロンに通う必要はありませんが、その分ブラッシングやシャンプーなど、家庭でのお手入れを行いましょう。


①ブラッシング
パグの被毛は、年に2回換毛期があるダブルコートです。
短毛種におすすめなのは、毛を吸着してくれるラバーブラシ。トントンと優しく犬の体をマッサージするように、ブラッシングしてあげましょう。
犬がブラッシング嫌いにならないよう、子犬の頃から徐々に慣らしてください。

②シャンプー
パグを洗うときには、犬専用のシャンプーを使用しましょう。
頻度は月に1回、多くても2週間に1回が目安。シャンプーのやりすぎは、返って犬の皮膚や被毛を痛める原因になってしまいます。
お尻を気にする様子を見せるときには、シャンプーする際に、一緒に肛門腺絞りを行うとよいでしょう。

③しわのケア
「何だかパグからイヤな臭いがする……」そんなときは、顔のしわに汚れが溜まっているのかもしれません。パグやフレンチブルドッグなどは、顔のしわの間に皮脂汚れが溜まりやすく、それらが悪臭の原因になることがあります。
しわをお手入れするときは、水を含ませたコットンや柔らかい布を使ってください。しわの流れに沿って優しく拭き取るようにケアしてあげましょう。

④歯磨き
食欲旺盛なパグですので、食事のあとの歯磨きは忘れずに。
口周りを触らせてくれない場合は、フードに混ぜるタイプの歯磨き粉やデンタルガムなどを使いましょう。

⑤爪切り
自宅で爪切りをする際は、深爪に注意。先の方から少しずつ切っていきましょう。
無理にやろうとすると犬にケガさせてしまったり、爪切り嫌いになってしまったりすることも。犬が嫌がる場合や、自分でのカットに自信がない場合は、決して無理せずに、トリミングサロンや動物病院にお願いしましょう。

暑さ、寒さ対策

ダブルコートで短毛種のパグは、夏の暑さにも、冬の寒さにも弱い犬種です。パグが快適に過ごせるように、温度管理には十分気を配ってあげましょう。

①室温管理
クーラーなどの空調設備や、専用グッズを使って適温を保つようにしてください。
熱中症の危険が高まる夏場は、特に注意を。留守番させるときにも、忘れずクーラーをONにしましょう。クールマットのように体温を下げてくれるグッズの使用もおすすめです。
夏場に車の中に放置することは、あってはならないことです。パグは暑さに弱い生き物と心得ましょう。

②服を着せる
冬場、パグがふるふる震えるような仕草を見せるときは、寒さを感じているサイン。パグなどの小型犬に着せるかわいい犬服が販売されていますが、これらの服は犬の体を温めることにも有効です。
冬用の犬服には、保温性に優れたものも販売されています。

かかりやすい病気

パグは特有の骨格や遺伝的性質から、さまざまな病気にかかりやすいとされています。

〇壊死性髄膜脳炎
別名「パグ脳炎」とも呼ばれるほど、パグに多くみられる病気です。1~3歳の若い犬に多く、原因は不明です。初期症状として、痙攣やまっすぐ歩けなくなる運動失調が現れ、進行するにつれて意識障害や昏睡状態に陥ってしまいます。

〇短頭種気道症候群
短頭種(鼻の短い犬種)によく見られる疾患です。骨格の特徴から、気管虚脱、鼻腔狭窄、軟口蓋過長などの呼吸器系に係る病気が起こります。
パグのいびきやパンティング(舌を出してハアハアと呼吸する)が苦しそうではないか、注意してあげましょう。

〇洞不全症候群
心臓の機能障害により、失神などの症状を引き起こす病気です。パグのような短頭種の犬は、心臓に負担がかかりやすいため、要注意です。

〇間擦疹
顔のしわが擦れる部分に細菌やマラセチア菌が繁殖し、炎症が起こる病気です。症状として、皮膚の赤み、痒みや悪臭があります。

〇レッグぺルテス
成長の過程で後足の骨に炎症が起こり、大腿骨頭が壊死する病気です。成長期の子犬に多く見られます。足をかばって歩くような様子があるときは、要注意です。

〇乾性角結膜炎
パグは遺伝的に涙が少ない犬種です。常にドライアイ状態であることから、目の中が傷ついたり、結膜炎になったりするリスクが高まります。

〇ピルビン酸キナーゼ欠乏症
血液中の赤血球を正常化する「ピルビン酸キナーゼ」という酵素が欠乏すると、重い貧血症状を引き起こします。遺伝的疾患のため、若いうちから発症するケースが多いです。
珍しい病気ですが、なかでもパグやダックスフンド、チワワなどの犬種がかかりやすいとされています。

魅力たっぷりなパグとの豊かな暮らしを

愛嬌たっぷりな見た目と、利口で素直な性格が魅力のパグについて紹介しました。
比較的飼いやすい犬種ですが、暑さや寒さに弱い点や、遺伝的疾患にかかりやすいといったリスクもあります。子犬を迎える際は、信頼できるブリーダーやショップを選ぶのがおすすめです。
パグを飼いたいと考えている方は、ぜひ今回の内容を参考に“かけがえのないパートナー”を探してみてくださいね。
 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

パグのブリーダーについて

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