ワイマラナーの歴史

ワイマラナーの誕生についての記録はほとんど残っておらず、さまざまな説があります。有力なのは、18世紀末ころにザクセン・ワイマール大公カール・アウグストの犬舎で誕生したというもの。ワイマラナーはイノシシやシカ、クマなどの大型の獣を狩る狩猟犬として作出されましたが、のちに小型獣の狩りでも使われるようになり、さまざまな犬種との交配で万能の狩猟犬となりました。

ワイマラナーの犬種名は、当時ワイマール地方の貴族が独占的に飼育していたため、地名にちなんでつけられました。1896年にはスタンダードが作成され、翌年設立した「ワイマラナー・クラブ」によって厳重に管理されます。クラブへの入会条件は非常に難しく、また会員同士でないと犬の売買もできません。さらにワイマラナーという犬種の情報さえほぼ開示されなかったため、貴族以外のハンターの間では、「幻の犬」だったそうです。

1928年、アメリカのハワード・ナイトがワイマラナー・クラブへ入会し、そこから嘆願し続けて10年後にやっとアメリカでのワイマラナーの繁殖が許されます。アメリカに渡ったワイマラナーは競技会などで目覚ましい記録を打ち立て、1942年にはアメリカン・ワイマラナー・クラブが設立されました。
ワイマラナーは第34代アメリカ大統領アイゼン・ハワーや歌手のフランク・シナトラ、モナコ王妃グレース・ケリーなどの著名人にも愛され、世界的にその名を広めました。

ワイマラナーの特徴

ワイマラナーの体高は、オス59~70cm、メス55~65cm、体重はオス30~40kg、メス25~35kg。しっかりとした骨格にしなやかな筋肉を持ち、身体能力とエレガントさを兼ねそろえた犬種です。動きは俊敏で、足には水かきがあって泳ぎも得意。嗅覚も非常に優れています。

毛色はグレー単色の濃淡のみで、金属を思わせるような光沢があります。ダブルコートですが、滑らかなスムースコートで抜け毛が少なく、手入れに苦労はしないでしょう。ただし、ごくまれにロングコートのワイマラナーが生まれることもあります。子犬の目の色はほとんどがブルーで、成長につれてアンバー(琥珀色)からブルーグレーに変化することが多いようです。

耳は大きな垂れ耳で、しっぽは細く長い垂れ尾。以前は断尾されていましたが、動物愛護の観点などから最近は行われないことも多くなりました。ロングコートの場合以前から断尾していません。

グレーの被毛が森林のなかで保護色となり、姿を見失う(獲物から見つかりにくい)ことから、ワイマラナーには「グレーゴースト(灰色の影)」の異名がつきました。

ワイマラナーの性格

ワイマラナーは家庭犬として人気の犬種ですが、原産国のドイツを中心に今でも狩猟犬として根強い人気を誇っています。性格にも狩猟犬らしさが見られ、好奇心が強く飼い主への忠誠心に厚い犬種。常に飼い主とともに行動したいさみしがり屋なところがあるため、室内飼いをおすすめします。感受性が強いので、飼い主の気持ちを察し、寄り添ってくれるよきパートナーとなるでしょう。

繊細さと警戒心の強さから、家族以外には距離を置いて接し、時には攻撃的になることもあります。ただし賢く学習能力の高いワイマラナーは、きちんと訓練さえすれば本来の穏やかな性格を見せるでしょう。
無駄吠えも少なく家族への愛情が深い犬種ですが、狩猟に対する欲求が強いので、小動物や小型犬との同居は難しいかもしれません。

ワイマラナーの運動

「究極の猟犬」とも言われるワイマラナーは、毎日たくさんの運動を必要とします。散歩は毎日2時間でも足りないと言われることがあり、歩くだけでなく軽いジョギングや自転車での引き運動などもさせるべきでしょう。運動不足になると欲求不満から破壊行動を起こしたり、場合によっては自称行動をとったりすることもあります。人間と一緒に行動することが好きなので、コミュニケーションも兼ねてしっかり運動量を確保してください。

知能の高いワイマラナーの運動には、頭を使う遊びを取り入れましょう。ワイマラナーは特に何かを追いかけることと取ってくることが得意な犬種なので、「トッテコイ」や追いかけっこなどをさせるといいですよ。嗅覚が優れているので、匂い探しなども喜んで参加するでしょう。

ワイマラナーを飼うときの注意

ワイマラナーは服従心が高く素直なので、信頼関係さえ築ければしつけは難しくありません。家にワイマラナーを迎えたら、毎日スキンシップをとって体のどこに触られても嫌がらない犬にしてください。家族以外には心を開かない傾向があるので、子犬のころからたくさんの人や犬と触れ合う経験をさせましょう。

短毛が多く皮下脂肪も薄いワイマラナーは寒さに弱く、冬は防寒対策が必要です。室内の温度の管理のほか、外出時は服を着せるなどの処置をしましょう。ブラッシングは短毛の場合ラバーブラシ、長毛の場合は獣毛ブラシなどが適しています。体は濡れタオルなどで拭くだけでもきれいになりますが、月に1回程度はシャンプーするとワイマラナーの健康な皮膚を保てます。

大型犬にありがちな胃捻転や股関節形成不全にも気を付けたいですね。運動は空腹時に行い、食後はしっかり休ませてください

まとめ

美しいグレーの毛並みや神秘的な目に、甘えん坊で無邪気な性格のワイマラナーは世界中で人気の犬種です。現在でも猟犬として活動する犬種らしく活動量が多いので、毎日しっかり運動の時間を確保できるアクティブな飼い主にぴったりの犬種でしょう。

賢く愛情深く、飼い主が大好きなワイマラナーとの生活を楽しんでくださいね!
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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。

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