老犬ホームとは

昭和53年、北海道盲導犬協会が引退後の盲導犬たちにゆっくり過ごしてもらいたいと作った施設が、老犬ホームの始まりとなりました。
世界初となるこの施設は盲導犬のためのものでしたが、現在では、これまでペットとして暮らしてきた家庭犬の世話を、家族の代わりに、または家族と共に行う施設のことを指します。
犬用の老人ホームといえばイメージしやすいかもしれません。

犬の寿命がどんどん延びているなか、今後ますます増えていく施設といえるでしょう。

老犬ホームのサービス内容と費用

主なお世話の内容

老犬ホームは、犬版老人ホームのような施設と説明しましたが、基本的なサービス内容はペットホテルと同じとイメージしていいでしょう。
飼い主さんからの依頼で犬を預かり、24時間体制で飼い主さんに代わり愛犬の健康管理、栄養管理、運動管理などを行います。

これまでの暮らしと同じように食事やトイレ、お散歩、グルーミングなどがあり、犬の体調にあわせトリミングやマッサージなど必要な介助や介護を受けることもできます。

預けることができる犬の条件

基本的に年齢上限を設定しているところはないようですが、「老犬ホーム」ですので、年齢の若い犬に対しては受け入れ不可、または預かり期間に制限を設けているところが多いようです。

ほかには、ワクチンの接種証明書または記録の提出が必要で、施設によって若干条件は異なるものの、噛み癖や感染症を持っている犬に対しては、預かり不可としている施設もあります。

預かり期間の種類と費用

預かり期間は大きく分けて、デイケア、短期、長期、終生(一生/終身)預かりがあります。
料金設定は施設によって異なりますが、「基本の飼養費に、要介助の状態であれば介助費、要介護であれば介護費を加算」という方法をベースにしているところが多いようです。

フードは、各施設で用意しているものに少しずつ切り変えていくパターンが多いようですが、ほとんどの施設でフード指定が可能です。この場合、フードは持ち込むか、差額を加えた飼養費を支払うという方法になります。

医療費に関してはさらにさまざまで、基本料金に含まれている場合と、別途支払いが必要な場合があり、医療費用として先にいくらか預けておくというシステムを採用している施設も。

基本的にかかる費用は、入居時にある程度まとめて前払いで支払う施設が多く、使われなかった預かり金は全額または一部返金となります。
最近は、一般的な病院やペットホテルのように、月の最後にかかった費用分だけを支払えばよいというサービスも出てきたようです。

老犬ホームの選び方

見学する

現在、ほとんどの老犬ホームがホームページやブログを開設し、私たちは簡単にネット上で施設の様子を確認できるようになりました。
しかし気になる施設を見つけたら、問い合わせをして、入居を決定する前に必ず見学をするようにしましょう。

平成25年9月の動物愛護法改正で、都道府県等は、終生飼養に反する理由の引き取りを拒否できるようになりました。
それにより、非常に残念なことですが、引き取り屋といわれる存在が知られるようになります。お金を受け取り、犬を引き取るものの、食事も満足に与えられないことが多く、ペットホテルや老犬ホームで行われるようなケアや世話は行われません。

飼い主さんはお互いの幸せを考え、入居を決意したにもかかわらず、もし行き先がそのようなところだったら……。
ネット上の情報は事実であるのかきちんと調べ、自分の目でしっかり確認しましょう。施設責任者、実際に愛犬のお世話をしてくれることになるスタッフさんたちの人柄を知るのも大切な作業です。

見学前にネットでチェックしておきたいポイント

・口コミや評判
・入居犬の様子を公開しているブログなどのSNSがあればその内容と更新頻度
・面会時間と頻度
・愛犬の状態の報告方法と頻度

そのほか、自宅からのアクセス方法など立地条件、スタッフが24時間常駐しているのかも重要なチェックポイントです。
また、老犬ホームは動物取扱業の許可を受けなければ開業できないので、ホームページに登録番号が記載されているか必ず確認しましょう。

預けるのは悪いことではない

犬は長い時間を共に過ごしてきた愛おしい家族。介護が大変になっても、認知症を発症しても、最期を迎えるそのときまで、一緒に過ごしたいと願うのは誰もが持つ当然の気持ちです。
しかし、やむを得ない状況になったときは、プロにお願いすることを考えていいのではないでしょうか。人の場合と同じです。

薄情ではないか、無責任なのではないかと、罪悪感を抱えてしまう飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、「手放す、見捨てる」のではなく、終生であっても「預ける」のです。
会いにいけますし、帰ってくることもできます。(※所有権を放棄する、引き取り型もありますので注意して調べましょう。)

心のゆとりがなくなり愛犬に優しくできなくなってしまう、共倒れしてしまいそう、そんな危機感を持ったら老犬ホームを検討してみましょう。
そして、飼い主さんが負い目や罪悪感を抱えずに過ごせるよう、施設については十分に納得いくまで調べましょう。

どんな人が利用しているのか

老犬ホームへの入居を考えるやむを得ない状況は、大きく分けて2パターンあります。
ひとつは、「老老介護問題」。飼い主さんが高齢になり、愛犬の介護が行えない場合や、飼い主さんが施設入居や入院が必要になり、お世話をする人間がいなくなるケースです。

もうひとつは、愛犬が病や老いにより寝たきりになり、仕事などで長時間家を空けるのが不安なときや愛犬が認知症などで夜中に徘徊したり吠え続けたりと、飼い主さんの心身に不調が生じてしまう状況のときです。
愛犬から目が離せない、しかし、付きっきりのサポートが難しいという飼い主さんからの相談は多いようです。

まとめ

犬はペットではなく家族、という認識が広まった近年。寿命も延びた結果、犬の介護疲れの問題が出てきました。
犬も飼い主さんも心穏やかに幸せに過ごすために、無理をせず、老犬ホームという選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
 執筆者プロフィール
No dog No life

特に牧羊犬が大好きです。
一番の関心事は「シニアわんことの暮らし」。
「人と動物の共生」「ワンヘルス」にも関心があり勉強中です。

動物愛護フェスティバル実行委員。
某県の災害時動物救護ボランティアチームに所属。
某県の動物愛護センターの登録ボランティア(おうちに帰れなかった犬たちの保護と譲渡のお手伝い)もしています。

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