犬が尻尾を追いかける理由は?

主な原因はストレス

犬が尻尾を追いかける主な原因は、ストレスです。
うちの子がストレスを感じているなんて…… そう思われる飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。しかし私たちが日々さまざまなことでストレスを感じるように、犬もまた、ストレスを感じ、ため込みます。
運動不足、スキンシップ不足、暑さや寒さ、生活のリズムのずれや、いつもより長いお留守番。外の騒音、苦手なシャンプー。ほかにも、お散歩中にすれ違った犬に吠えられることなども、犬にとってはストレスとなります。
感じたストレスを解消できずにいると、問題行動を引き起こします。楽しく遊んでいるように見える尻尾追いも、ストレスが原因の行動かもしれません。

退屈しのぎ

ストレスからではなく、暇だからという理由で、退屈しのぎで尻尾を追いかけているケースもあります。
また、飼い主さんの反応をみて、尻尾を追いかけると褒めてもらえる、喜んでもらえると理解している場合には、飼い主さんの関心を引くために繰り返すようになります。

特に問題のないケースもある

子犬なら問題ないことがほとんど

楽しく遊んでいるように見える尻尾追いも、ストレスによる行動の可能性があるご説明をしました。しかし、もし、子犬であれば、本当に遊んでいるのかもしれません。
好奇心旺盛で、動くものすべてに興味津々な子犬。フリフリと動く自分の尻尾もおもちゃのように見えるのでしょう、夢中になって追いかけることがあります。
この場合、無理にやめさせる必要はありません。成犬になると興味を失い、徐々にしなくなります。

問題ない尻尾追いの見分け方

子犬の尻尾追いは心配のいらないケースがほとんどです。では、成犬の場合はどうでしょうか。

・時々であれば大丈夫
成犬でも、時々見かける程度の行動であれば問題ないと考えて良いでしょう。しかし「一日に何度もする」、「長くグルグル回っている」となると心配です。原因はストレスかもしれません。お散歩時間を長くする、スキンシップの時間をしっかりととるなどの工夫をしてみましょう。

・関心がなくなったときにやめられるなら大丈夫
グルグルと回っている姿をわりと良く見かけるという場合でも、たとえば「お散歩」や「おやつ」など、愛犬の好きなワードを言って止めるのでしたら、問題ないといえるでしょう。

・退屈しのぎによるもの
退屈しのぎによる尻尾追いは、私たちでいえば爪を噛んだり、貧乏ゆすりをしたりするのと似たような行動です。それほど心配はいらないですが、できれば、少しずつでも止められるよう、取り組んでいきましょう。

・飼い主さんの気を引くため
過去に、飼い主さんが尻尾追いを見て、喜んだり笑ったりした場合には、飼い主さんの気をひくためにしている可能性があります。
やめさせるには、尻尾追いを見ても反応せず、無関心をきめましょう。飼い主さんのリアクションがなければ、犬も楽しくありませんので、そのうちにしなくなります。

犬が尻尾を追いかけるのは病気!?

犬が尻尾追いをするのは、病気が理由である場合もあります。
愛犬を注意深く観察してください。ただ尻尾追いをするだけでなく、尻尾を追いかけて噛もうとする場合は特に、病気の可能性が高いです。

ノミ・ダニ

季節やお散歩コースにもよりますが、ノミ・ダニは予防しなければすぐにくっついてきます。
ノミは小さく、見つけにくいですが、寄生すると強い痒みを生じます。愛犬が尻尾を追いかけては噛んだり、尻尾に脱毛や発疹が見られたりする場合は、ノミが寄生している可能性があります。
ダニも、血を吸って大きく膨れるまでは発見しづらいのですが、尻尾追いをしていないか、また、ブラッシングの際にイボのようなものがついていないか、よく観察してください。
ダニは皮膚の奥深くに頭を突っ込み噛みつきますので、見つけたときは無理矢理ひっぱらず、病院へ行きましょう。

皮膚炎

赤み、ただれ、発疹など、痒みをともなう皮膚炎にかかっていると、掻くために、または痒みを紛らわせるために、尻尾追いをすることがあります。
尻尾の付け根やお尻まわりは、シャンプー等のすすぎ残しが多く、また、汚れやすく、炎症を起こしやすい部位でもあります。被毛をかき分け、皮膚の状態をみてみましょう。

ストレスからの自傷

ストレスが原因の場合や、痛い・痒いなどの体の違和感を紛らせるためにしている場合は、放置すると尻尾を噛むといった自傷行為につながる恐れがあります。唸りながら尻尾を追う、毛をむしったり、傷つけたりするというのは、危険なサインです。尻尾を噛みちぎり大けがをしてしまっても、まだやめられず、自傷行為防止のために断尾手術をうけるというつらいケースもあります。

てんかん

けいれんや異常行動を起こす「てんかん」が原因であるケースもあります。「症候性てんかん」では、脳の病気で幻覚が見えたり、体がムズムズするといった症状から、尻尾追いにつながることもあります。「突発性てんかん」は、脳に異常がないにもかかわらず、発作を繰り返すのが特徴で、1~5歳までの犬に多く見られます。どちらの場合も、抗てんかん薬などによる治療が必要です。

尻尾を追いかけるのをやめさせる方法

子犬期以外で、尻尾追いが頻繁に見られる場合や、呼びかけに応じないほど夢中になって追いかけてしまうような場合は、繰り返さないように、対策をとったほうが良いでしょう。
皮膚炎など何らかの病気が原因の場合は、適切な治療を行い、不快感を取り除いてあげましょう。
ストレスが原因であれば、考えられるストレスの元を解決する必要があります。ストレスの原因を特定することが難しいときは、愛犬の行動をよく観察し、おやつやおもちゃで尻尾から注意をそらすなどして様子を見ましょう。
退屈しのぎによる行動であれば、運動量やコミュニケーションの時間を増やしたり、噛むおもちゃを与えると効果があります。
飼い主さんの気を引くために始めたのでしたら、無関心を装います。反応しないようにしましょう。

注意したい犬の「常同行動」

なんらかの理由があり始まる尻尾追い行動は、繰り返すうちにその行動を常にしていないと落ち着かない、「常同行動」と呼ばれる状態になります。動物園の檻の中で、グルグル回り続ける動物の行動も、常同行動と呼びます。
常同行動は人間の強迫性障害にあたるもので、しつけやトレーニングでどうにかなるものではありません。抗不安薬の処方など、医療的処置が必要になる場合もあります。
そうなってしまう前に原因を究明し、繰り返させない対策をとることが理想ですが、もし、「常同行動」が疑われるような場合には、早めにかかりつけ医に相談をしましょう。
また、近年、行動学に基づいた行動診療が注目されています。改善が見られなければ、行動診療の専門医に相談されることをおすすめします。

まとめ

いかがでしたか? 愛犬が尻尾を追いかけるしぐさは、一見愛らしくも見えますが、ストレスや、病気の兆候がないか、注意してみる必要がありそうです。
特に言葉を持たない愛犬のストレスには、なかなか気がつきにくいものです。「うちはかわいがっているから大丈夫」と思いがちですが、犬は私たち人間と暮らすために、何かしらの我慢を強いられています。ストレスをまったく感じたことがない犬はいないのかもしれません。
尻尾追い行動を見かけた場合は理由を探り、不快感やストレスの要因となりそうなことを極力排除するよう心がけましょう。
 執筆者プロフィール
No dog No life

特に牧羊犬が大好きです。
一番の関心事は「シニアわんことの暮らし」。
「人と動物の共生」「ワンヘルス」にも関心があり勉強中です。

動物愛護フェスティバル実行委員。
某県の災害時動物救護ボランティアチームに所属。
某県の動物愛護センターの登録ボランティア(おうちに帰れなかった犬たちの保護と譲渡のお手伝い)もしています。

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