犬にも反抗期があるの?

植木を倒すチワワ
愛犬がなかなかいうことを聞かない時期を、最近では「反抗期」と表現することが多くなりました。
しかし犬の反抗期については今のところ、明確な定義や研究データが存在するわけではありません。獣医学的にも「反抗期」という表現はほとんど使われないようです。

犬には、社会化期の後にやってくる「若齢期」と呼ばれる、社会化期と並んで非常に大切な時期があります。ちょうど「第1反抗期」といわれている時期と同じころです。
この時期は、成長期でもあり、体やホルモンバランスが成犬に近づいていきます。それにより、物事の感じ方や行動に変化が出てきます。
また若齢期とは、私たち飼い主にとっては「社会化期で目標にしてきたことを愛犬に実体験させる時期」で、私たちが試されるときでもあるといわれています。犬にとっては恐怖心が好奇心を上回ったり、警戒心が増したり、デリケートな時期になります。それにより「嫌だから唸ってみよう」「吠えたら要求が通るかな」「噛んだら相手はひるむかな」このような、反抗的ともいえる態度をみせてくる子も出てきます。
「犬にも反抗期がある」と断定はできませんが、成長過程で、反抗的な行動が多くみられる時期があるのは事実です。

必ずあるわけではない

反抗期は誰しもが通る道ではありません。もともとの性格はもちろん、どのように社会化期を過ごしてきたかの影響も大きく、個体差があります。反抗期らしき時期がないまま成長する子も多くいます。反対に、普段から飼い主さんが愛犬の要求通りに応えたり、威嚇に驚いたりしていると、反抗期を招きやすいといわれています。

犬の反抗期の時期は? いつまで続く?

散歩を嫌がるミニチュアダックスフンド

第1反抗期(~1歳)

体もホルモンバランスも成犬に近づき、メスであれば初めての発情期を迎えるころ、オスであればマーキングが始まるころになります。自我が芽生える時期です。
この時期は、飼い主さんの反応を見ながら要求を通そうとして、反抗的な行動をとる犬が多いようです。
飼い主さんが、犬が思う通りの反応を示せば、反抗的な行動は繰り返されます。

第2反抗期(2~3歳ごろ)

自我がより発達し、何かに夢中になったり、要求を強引に通そうとしたりする行動がみられるようです。第1反抗期にはみられなかった、執着心や警戒心から威嚇をする子がいるといわれています。

いつまで続くか分からない?

反抗期が全くない子もいれば、いつまでも反抗期のように思える子もいます。個体差もありますし、飼い主さんの受け取り方や感じ方でも違うはずです。反抗期があるかないかも、長さも、残念ながら推測は難しいでしょう。
分かっているのは、愛犬が反抗的な態度をとってきたときに、何が何でも従わせようと躍起になったり、力で抑えようとしたりするのは、かえって逆効果で、反抗期を長引かせるだけということです。

こんな行動や態度が見られたら…… 反抗期かも?

粗相してしまう子犬
  • 「待て」や「おすわり」など、今までできていた簡単な指示に従わなくなる
  • 散歩中、自分が行きたいところに強引に引っ張っていこうとしたり、突然立ち止まり動かなくなったりする
  • 唸ったり、歯をむいたり、噛んだりし、飼い主さんやよその犬を威嚇する
  • 物や場所に執着し、独占しようとするなど、強い自己主張を見せる
  • お手入れ中じっとしていることができず、ジタバタ暴れたり、逃げたりする
  • ご飯を食べなくなる
  • トイレを間違える、違う場所でする
これらの行動のひとつでも、突然にやり始め何度も繰り返し行うようであれば、意図的に反抗している可能性が高いといえるでしょう。

犬の反抗期に対処する方法

じっと見つめる子犬

指示に従わせる方法

「待て」や「おすわり」などを聞いてもらうには、タイミングが重要です。ご飯やおやつ、お散歩など、愛犬が楽しみにしているイベントの前に、指示を出してみましょう。
ご飯の前や、飼い主さんが手におやつを持っているときなどは、集中力が高まっていて、学習しやすいときです。

吠えさせない方法

吠えている間は徹底的に無視をして、諦めて吠えやんだら言葉で褒める、これを根気よく続けます。
吠えても飼い主さんは振り向いてくれず、いいことも起こらないと分かれば、そのうちにしなくなります。
いつまでも吠え続け、やめそうになく、無視をし続けるのも難しいようであれば、天罰法がおすすめです。
吠えた瞬間に、鍵やペットボトル、缶など、大きな音がするものを床に落としてみましょう。愛犬に「吠えたらなぜか大きな音がする」「よくないことが起こる」と学んでもらいます。

唸ったり噛んだりさせない方法

唸ったり、噛んできたりしたシーンがどのようなものであれ、驚き・痛み・恐怖など、犬にとって何か嫌なことがあったのは間違いありません。何に反応をしたのか、突き止めましょう。
原因がわかる前に、2度目、3度目が起こってしまうかもしれませんが、そのときはひるんだり、怒りで叱ったりしてはいけません。
唸りは「これ以上それを続けたら噛むよ」という犬からの警告です。警告を見逃さず、原因を探りましょう。警告や前触れなく噛んできた場合には「痛い」とひとこと言って、その場を離れ、しばらく無視をします。毅然とした態度、一貫性のある対応をするのが重要です。

唸りや噛みが、飼い主さんの動作に反応した可能性があれば、撫でる前やリードをつける前、トイレシートを変える前、おやつを渡す前など、アクションを起こす前に一旦おすわりをさせ、ひと呼吸おきましょう。おやつを使ってもOKです。
犬が咥えているものを離してもらいたいときなどは、「取り上げられる」と思われないよう必ず、何か別のものを渡し「交換」するようにしましょう。

お手入れや散歩をスムーズにおこなう方法

嫌がる素振りを見せた場合は無理には続けず、少し時間をおいてからおやつで誘導してみましょう。
お手入れ嫌い、お散歩嫌いにならないよう、『少しずつ丁寧に』がポイントです。
はじめから苦手だったわけではなく、嫌がるようになった原因があるのかもしれません。時間や状況、道具の見直しをしてみましょう。

ご飯、トイレの対処法

突然ご飯を食べなくなったり、トイレではない場所で失敗したりするのは、反抗やわがままからではなく、体調が悪い、トイレ環境に不満がある、などが原因の場合もあります。昨日まで喜んで食べていたものを突然食べなくなるのは、どこか悪いのかもしれません。フードの味に飽きた可能性や、その日の運動量が少なく、お腹が減っていないということも考えられます。

同じフードが続いているのであれば、思い切って変えてみることをおすすめします。味を変えるのが目的ですので、「トッピングしたものしか食べなくなった」とならないよう、たとえば「ビーフがメインのフードだったから、魚メインの味に変えてみる」など、ドライタイプであればドライタイプのまま、まずは味だけを変えるようにするといいでしょう。

トイレ環境の見直しが必要なケースもあります。
トイレシートがちょっとでも汚れていたら嫌がる子もいます。トイレまでが遠かったり、何か障害物があってたどり着けなかったりで、行きたくても行けずに失敗した可能性もあります。失敗したときの状況と愛犬の体調を考え、対策をとりましょう。

まとめ

逃げていく柴犬
第1反抗期は、人間でいうなら2歳前後のイヤイヤ期。第2反抗期は、思春期の時期に迎える反抗期、というところでしょうか。
いずれにせよ人の場合と同じように犬の反抗期も、成長とホルモンバランス、自我の目覚めが大きく関係しているようです。
そもそも犬は人間に忠実な生き物であるのに、それが反抗的な態度をとるというのですから、必ず原因・理由があるはずです。愛犬の心理を探り、ベストな対応ができるといいですね。
 執筆者プロフィール
No dog No life

特に牧羊犬が大好きです。
一番の関心事は「シニアわんことの暮らし」。
「人と動物の共生」「ワンヘルス」にも関心があり勉強中です。

動物愛護フェスティバル実行委員。
某県の災害時動物救護ボランティアチームに所属。
某県の動物愛護センターの登録ボランティア(おうちに帰れなかった犬たちの保護と譲渡のお手伝い)もしています。

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