自宅での老犬のグルーミング －ブラッシング・シャンプー・カットのポイント－

グルーミングとは、シャンプーやブラッシング、爪切りや歯磨きなど、犬のお手入れ全般を指します。

犬も人間同様、年をとるにつれて体力が衰えていきます。さらに、関節炎や心臓病を患っている犬、緑内障などで視力が著しく衰えている犬などは、日々の生活の中でも体に負担がかからないように工夫が必要ですよね。

こうした老犬たちにとってグルーミングは大きなストレスになる可能性がありますが、かといってグルーミングをまったくしないわけにはいきません。

グルーミングには愛犬の見た目を整える以外にも、体を清潔に保つ、ノミやダニを防ぐ、血行を促進するなどの大切な役割があります。さらに、グルーミング中は皮膚の状態をよく確認することができるため、皮膚病の早期発見にもつながります。

最低限の被毛のお手入れは、愛犬の健康維持のために必須なのです。

ブラッシングは血行促進の効果があるので、定期的に行いましょう。

老犬は皮膚が弱っているので、力加減に気をつけてください。
長毛種の場合は、わきの下や内股、耳の付け根などの毛玉ができやすい部分を特に丁寧にブラッシングしましょう。できてしまった毛玉は無理にほぐそうとせず、はさみで切り取りましょう。刃先が皮膚のほうに向かないよう気をつけてください。

皮膚疾患がある場合など、必ずしもブラッシングする必要はありません。そのときはマッサージなどで血行促進してあげるのがおすすめです。

愛犬が嫌がる場合は、一度に全身をブラッシングする必要はありません。数日に分けて、愛犬がリラックスした状態で行いましょう。

シャンプーの際のポイントは「とにかく短時間で終わらせること」です。シャンプーは体力を消耗するだけでなく、体が冷えて体調を崩す原因にもなります。老犬のシャンプーは、汚れたとしても月2回以上は行わないようにしましょう。
体力を消耗するだけでなく、皮膚や毛に必要な油分まで失ってしまいます。

なるべく早くシャンプーが終わるよう、シャンプー前にブラッシングをしましょう。事前に毛玉を取り除くことで、汚れが落ちやすくなったり、すすぎやすくなったりします。
お風呂場は、愛犬が滑らないようにマットを敷いてあげるといいですね。

乾かすときもスピード重視。
まずはタオルでしっかり水分を吸い取りましょう。吸水タオルの使用がおすすめです。自然乾燥は冷えによる体調不良につながるので、ドライヤーで乾かします。ドライヤーは冷えやすいお腹や胸からあてましょう。

排泄がうまくできなくなってしまった犬は、おしり周りがすぐに汚れてしまいますよね。
そんなときは、頻繁に洗うのではなくドライシャンプーやウェットティッシュを使い、できるだけ体に負担がかからないように対処しましょう。

加齢とともに感情のコントロールが難しくなり、怒りっぽくなる犬もいます。特に体が痛む場合や視力が衰えている場合は、カットをしようと触ると噛みついてくるかもしれません。

足の裏やおしり周り、長毛種の場合は目のまわりなど、カットは必要最低限にしてください。

愛犬が抵抗するときは、無理やりカットを続けす、優しく声をかけながら体全体をゆっくりなでてあげましょう。このとき、飼い主さん自身がリラックスすることが大切です。飼い主さんの緊張は愛犬にも伝わってしまいます。

愛犬が落ち着いたらカットを再開しましょう。

カットの際も、立ち続けたり同じ体勢をキープしたりと体力を使います。きれいにカットすることにこだわらず、雑でもなるべく短時間で終わらせることを心がけましょう。

グルーミングは老犬の体に負担がかかる一方、健康維持のために必要不可欠なことです。グルーミングを自宅で行う際は、スピード重視で、愛犬の体調を気遣いながら行ってくださいね。

老犬は何かと手がかかると思いますが、今までたくさん楽しい思い出を作ってくれた大事な家族の一員です。愛犬が最後まで穏やかな日々を送れるよう、愛情を持って大切にお手入れしてあげましょう。


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