世界的に希少なファラオハウンド！ その特徴や魅力をご紹介します

ファラオハウンドは、成犬の体高が53～63cm、体重18～27kg、で大型犬に属します。スラリと引き締まった体ですが動きは力強く、どんなに足場の悪い土地でもものともせずに走り抜けます。

凛とした顔つきで、楕円形の琥珀色の目が特徴。子犬のころの目はブルーですが、成犬になるにつれて琥珀色に変化します。毛色は赤みがかったブラウンの「タン」か「リッチタン」のいずれかしかありません。
大きな立ち耳は、ろうそくの炎のような形ということから、ろうそく耳とも呼ばれています。

犬種名からもエジプトの犬と思われがちですが、実際の原産地はマルタ共和国。ファラオハウンドはマルタ共和国の国犬に指定されていて、現地では「ケルブ・タル・フェネック（マルタ語でうさぎを狩る犬）」と呼ばれています。

アメリカでは視覚で狩りをする「サイトハウンド」となっていますが、ファラオハウンドは嗅覚や聴覚も優れていて、どんな狩りでも対応できる優秀なハンターです。好奇心旺盛で小さなものを追いかけたい欲求が強く、小動物を一緒に飼うのはおすすめしません。

ファラオハウンドは、通説では3000年以上前から存在していた犬種だと思われてきました。

証拠として、エジプト王朝の記録に「神のごとく顔を光り輝かせる犬」として記載があることが挙げられていました。これは興奮すると鼻や耳を中心に顔が赤くなる、ファラオハウンドの「ブラッシング（Blushing）」という現象を表したものだと言われています。

ほかにも、古代エジプトの死者の守護神「アヌビス」とファラオハウンドがよく似ていることや、古代ギリシャの美術品に描かれた犬がファラオハウンドと同じ特徴を持っていることなども、ファラオハウンドが原始犬だという根拠でした。

しかし、最近の遺伝子解析による調査で、実はファラオハウンドは過去数百年の間に誕生した犬であることが判明しました。それによってファラオハウンドの犬種としての価値に変わりはありませんが、ファラオハウンドを通して古代エジプトを思い描いていた愛犬家たちにとってはショックな発表だったようです。

ファラオハウンドは自立心が高く、自己判断能力に長けた犬種。ファラオハウンドは反抗的な性格ではありませんが、頑固な面があるのでしつけは飼い主の忍耐力が試されるでしょう。
「自分の意見をしっかり持った犬」なので、やみくもに従わせようとしても飼い主との信頼関係にヒビが入るだけです。根気強くファラオハウンドと付き合っていきましょう。

問題行動を起こさせないように、子犬のころから社会化トレーニングをしっかり積み、たっぷり運動してファラオハウンドにストレスをためさせない工夫も必要です。

基本的にはフレンドリーで陽気な犬種なので、子どもやほかの犬とも仲よくできるでしょう。うれしいと歯を見せて笑ったり、叱られると耳を倒してしょんぼりしたり、ファラオハウンドはとても表情豊かな犬種です。

ファラオハウンドはあまり人間の手が加えられていないせいか丈夫な犬種で、気を付けるべき骨や内臓の疾患はほぼありません。
唯一気を付けたいのは「耳のしもやけ」で、冬の散歩のあとなどは注意が必要です。帰宅したらすぐに温めてあげましょう。

温暖な地域で誕生したファラオハウンドは寒さには弱いです。皮下脂肪や皮膚も薄く、大型犬ですができれば体温調節用の服も用意したいところ。よほど暖かい地域でなければ、室内飼いをおすすめします。

運動量が多いわりに食が細いのもファラオハウンドの特徴です。少ない量でしっかり栄養摂取できるよう、フード選びは慎重に行いましょう。

スラリと引き締まった体に凛とした顔つきがクールなファラオハウンドですが、実は表情豊かで陽気な犬種です。温暖な地域原産で寒さに弱いため、冬場の温度管理は重要。しかし、骨や内臓は丈夫で、遺伝的な病気にもかかりにくいという長所があります。

日本での年間登録頭数は5～10頭と少なく、なかなか見かける機会はありませんが、魅力あふれる犬種です。