ブラッシングだけではダメ? 犬をお風呂に入れる目的とは

犬のお手入れの基本はブラッシング。被毛についたホコリやゴミを落としたり、毛の絡まりをほどいたり、血行を促進する効果もあります。
しかし、ブラッシングだけでは毛の汚れは完全には落とせません。

生活していれば、犬の毛は必ず汚れます。散歩などで外出する場合は特に汚れやすく、放置すると皮膚病や毛づやが悪くなる原因になってしまいます。

犬は全身に「アポクリン腺」があって、そこから悪臭のもととなる汗を排出しています。特に毛の長い犬や量の多い犬は、汗のつく範囲が広かったり湿気がこもったりで体臭が強くなることも。

犬の被毛や皮膚を清潔に保つために、定期的に愛犬お風呂に入れましょう。

犬を洗う前には事前準備が必要

・ブラシ
・犬用シャンプー&コンディショナー
・スポンジ
・大きめのタオル
・ドライヤー


ブラシは普段のお手入れで使っているもので十分です。

犬の皮膚と人間の皮膚は構造が違うため、シャンプーとコンディショナーは犬用を用意しましょう。長毛種や毛を長くデザインしている犬でなければシャンプーのみでも大丈夫です。
乾燥やフケ改善、毛のつや出し効果など、用途にあったものを選んでください。犬は嗅覚が優れているので、あまり匂いの強いものは避けたほうがいいでしょう。

手早く犬の体を乾かすため、ドライヤーも必要です。人間用でいいですが両手が使えると乾かしやすいので、置き型やペット専用のドライヤーはあってもいいですね。
このほか、持ち運びが簡単で省スペースでシャンプーができる犬用のバスタブなどもあると便利です。

洗う前にお風呂場を温めたり、バスタオルを広げておいたりといった準備もしましょう。

時短ですっきり!犬のお風呂は4ステップで!

犬を洗うときは、

①ブラッシングする
②体全体を濡らす
③シャンプーで洗う
④ドライヤーで乾かす


の4ステップで行います。

①ブラッシングする

犬のシャンプーの前には念入りにブラッシングしましょう。汚れを浮かせ、ホコリを落とすことでシャンプーしやすくなるとともに、シャンプーの効果がアップします。
逆に、毛の絡まりや毛玉がある状態で洗うと、余計に絡まったり泡切れが悪くなったりします。

抜け毛が多い犬だと排水溝が詰まってしまう危険性もあるので、ある程度抜け毛を取り除いておくという意味でもブラッシングしておいてください。

ブラッシング中に皮膚トラブルやケガなどが見つかった場合は、無理せずシャンプーを中止しましょう。

②体全体を濡らす

ブラッシングが終わったら、犬の体全体を濡らします。
お湯の温度は35~38℃くらいのぬるま湯にしてください。犬は体温調整が苦手なので、熱いお湯をかけると熱中症になる危険性があります。

シャワーの音や体に水が当たる感覚が苦手な犬も多いです。シャワーは弱めに出し、犬の体にヘッドを密着させるようにしましょう。
急に体にお湯をかけると犬が驚くので、お尻から後ろ足、背中、胸、前足の順にシャワーを当てます。
頭は後頭部のあたりにシャワーヘッドを当て、流れるお湯で顔を濡らすか、スポンジなどにお湯を含ませて濡らすといいですよ。

肛門腺しぼりをする場合は、このとき行いましょう。体についても次のシャンプーで洗い流せます。

③シャンプーで洗う

シャンプー液は泡立ててから犬の体につけましょう。洗面器などに泡立て用のお湯を準備しておくといいですね。
最近は泡で出るシャンプーも売られているので、そういったものを選ぶのも手です。

泡立てたら、体を濡らしたのと同じ順番で洗っていきます。泡を犬の体にもみ込むようにして、マッサージしながら全身を洗ってください。肉球の間やわきの下、内もも、耳の後ろなどは見落としがちな場所なので念入りに。

犬の顔を洗うのが苦手な飼い主は多いですが、難しいときはスポンジに泡を乗せ、なでるように洗うのがおすすめです。

全身をシャンプーしたら、泡を流します。皮膚にシャンプー液が残っていると皮膚炎やかゆみの原因になるので、しっかりすすぎましょう。シャンプーより時間をかけるくらいの気持ちでおこなってください。
濡らすのとは逆に、頭から順にお湯をかけます。後ろ足で犬を立たせるようにするとおなかの流し残しがないですよ。

コンディショナーを使う場合は犬の体にコンディショナーをもみ込み、再度流す工程があります。

④ドライヤーで乾かす

全身の泡を流したら、犬の体を乾かしましょう。犬が体を震わせて水気を飛ばしたらタオルで拭きます。身震いしない場合は耳に息を吹きかけると犬は体を震わせます。
犬の体を強くこすり過ぎないように拭き、タオルが濡れたら交換しましょう。

水が垂れない程度までタオルで水分を吸い取ったら、ブラシなどを使って毛を分けながらドライヤーでしっかり乾かします。よくタオルドライして、手早く乾かすのがポイントです。

近くで温風を当てすぎるとやけどすることもあるので、温度は高すぎず、近づけすぎずを保ってください。犬用のドライヤーや置き型のドライヤーがない場合、服やエプロンなどの胸元にドライヤーを差し込むと両手が使えて便利ですよ。

犬がドライヤーの音を怖がることは多いですが、自然乾燥だと乾きが遅く、皮膚炎を起こしたり体温が下がって体調を崩したりといったトラブルが考えられます。
静音タイプのドライヤーを使ったり、普段からドライヤーの音を聞かせて慣らしたりしましょう。

シャンプーが終わったら

体を洗われるのは、必ずしも犬にとって楽しいことではありません。

犬はにおいでコミュニケーションする動物なので、シャンプーで自分のにおいが消えてしまうことをストレスに感じる場合もあるでしょう。シャンプーのあとに体を部屋中ににこすりつける犬がいますが、自分のにおいをもとに戻そうとしての行動だと言われています。

「せっかく洗ったのに汚したり毛を散らかしたりしないで!」と思うかもしれませんが、ここはそっと見守ってあげたほうがよいでしょう。

シャンプーが終わったら、思い切り犬を褒めてあげましょう。疲れているのでその日は激しい運動を控えさせてください。

シャンプーの頻度は?

犬種や犬の体質、状況などにもよりますが、洗う頻度は月に1~2回程度が目安です。犬の皮膚は人間よりずっと薄いので、洗いすぎると必要な皮脂まで取れて乾燥やかゆみなどのトラブルのもととなります。

子犬を初めて洗うタイミングについてはさまざまな説がありますが、3カ月を過ぎたころがいいでしょう。ワクチン接種直後は避け、1~2週間後以降に行うのがおすすめです。

病中病後、出産前後の犬は洗うことは避けたほうがいいですね。老犬もシャンプーの頻度を落としてください。

体を洗えない時期に汚れてしまった場合は、部分的に洗ったりお湯だけで洗い流したり、蒸しタオルなどで拭くといいですよ。市販のシャンプータオルやドライシャンプーを活用するのもいいですね。

犬にとって体を洗われることは、人間が考えている以上に体力を使います。なるべく手早く終わらせるとともに、体調が悪いときは無理に洗う必要はありません。

まとめ

犬にとって体を洗われるのはあまり楽しいことではないようです。しかし、犬の健康や人間と一緒に暮らすためにはシャンプーが必要です。
少しでも犬の負担を減らすため、しっかり準備してなるべく手早く済ませられるようにしましょう。
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 執筆者プロフィール
『みんなのペットライフ』編集部スタッフが、わんちゃん・ねこちゃんの飼い方、しつけのアドバイスなど、毎日のペットライフに役立つ知識や情報をお届けします。
 監修者プロフィール
獣医師・トリマー・ドッグトレーナー / ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
18歳でトリマーとなり、以来ずっとペットの仕事をしています。
ペットとその家族のサポートをしたい、相談に的確に応えたい、という想いから、トリマーとして働きながら、獣医師、ドッグトレーナーになりました。

現在は東京でペットのためのトータルケアサロンを経営。
毎日足を運べる動物病院をコンセプトに、病気の予防、未病ケアに力を入れ、気になったときにはすぐに相談できるコミュニティースペースを目指し、家族、獣医師、プロ(トリマー、動物看護士、トレーナー)の三位一体のペットの健康管理、0.5次医療の提案をしています。

プライベートでは一児の母。愛犬はシーズー。
家族がいない犬の一時預かり、春から秋にかけて離乳前の子猫を育てるミルクボランティアをやっています。

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